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またあいこ。
あいこ。
あいこ。
あいこに次ぐあいこ。
あいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこ。
もう何回あいこったんだろう。
右腕が痛い。指も多少痛い。
最初は上からリキ入れて思いっきり振り下ろしてた腕だけど、もうそんな大きなモーションを起こす力なんて残ってない。
下から軽く上に持ち上げ、差し出してるってことがわかる程度に動かす。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
ああ、またあいこか。
いつまで続くんだこのあいこラッシュ。
ゆっくりしたじゃんけんのテンポは変わらず。
途中までちゃんとしてた『じゃん、けん、ぽん』の掛け声すら面倒になり、いつのまにかアイコンタクトのみになって。
更に今では日曜夕方6時30分テレビから日曜日の終わりを告げる『マイゴさん』のエンディングの、あの声が等間隔に流れるだけ。
俺二号だって疲れてくるはずだ、その隙を狙おう。そう思ってた。
でもそんなことはなかった。
あいつ、本当に俺だ。
腕を振り出すのもめんどくせぇって早々に思ったんだろう。
自分を乗せてきたじゃんけんグミにじゃんけんを一任。
ピラミッドの角っこをゴリゴリしたり、他のじゃんけんグミに押さえつけられて踊り続ける奴等をツンツンしたりして。
じゃんけんのタイミングの度、チラッチラッとこっちを見ながら。
要は遊んでいた。
ふざけんな。
俺だってだりぃわ。
自らそんなんしてサボるんだったらこのじゃんけんもうやめろや。
お前は疲れない代わりの腕使ってっけど、俺の腕はこの体から生えてるこの二本しかねぇんだぞ。
束の間の休憩タイムを作るため、右手を左手に交代して。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
ああ、左手でもあいこだ。
右手の手首と腕をその間にぐるっと回して。
でまた右手で。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
…あいこ。
ああああああああーーーーーーーーーーーー…。
そうだ。
こうなったらかくなる上は。
奥の手のアレだ。
アレなら、100%勝てる。
小指と薬指でグー。
中指と人差し指でチョキ。
伸ばした三本指でパー。
グーチョキパーで勝てないじゃんけんなんてねぇ!
反則だったらそっちの代打だって反則だろ。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
ええええええええええ!!??
またあいこ!?
嘘だろなんでこれであいこなんだよ。
「いだだだだ!!」
暫く振りに上空のコウダから叫び声がする。
俺二号は両腕でバッテンを俺に向けて提示してた。
相変わらずの笑顔。
ああ!? ダメってか!?
ムカツく。
あそこで基板割って遊んでる俺二号がムカつく。
今の状況面白がってるのが手に取るようにわかる。
だってあいつは俺だから。
ん?
俺?
俺VS俺。
今、俺は俺の『中』に入ってる。
俺と俺…。
もしかして。
俺が今振り出そうとしてる何かって、あいつにバレてる?
いや、だったら他の事だって伝わってるはずだから、こんな風に、あいつとなんかやりあうって事自体がない気がする。
今の俺がこんなんやりたくないってことも、話してコウダを助けたい俺の気持ちも伝わって、寧ろ何も起らないんじゃないだろうか。
バレてないとすると…。
俺二号は俺とほぼ同じ発想するんだろ?
あ。
もしかしてそれって。
現実には有り得ないくらいの超高確率で、じゃんけんの次の手が被るってことなんじゃ…。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
それを証明するかのように、またしてもあいこ。
あいこ。
あいこ。
まじでそゆこと!?
あいこ…。
あいこ!
あいこ!!
あいこが一つ増える度、絶望感がその色を増していく。
俺二号はやっぱり最初と変わらず笑ってる。
どうすんだコレ。
話しようにも出来そうもなくて。
俺VS俺で。
俺の代打はいなくって。
ゲームやめても負けてもアウト。
無限ループだろ。
その言葉を思いついたとき、映像を伴った記憶が鮮やかにフラッシュバックした。
『無限ループ』
コウダが2周間前にした、自分で自分の『中』に入ることへのリスク。
その映像とリンクして浮かんだのは、俺が『中』に入るまでの間、考えてきた頭ん中の言葉の数々。
『いるじゃないか。
この世で、今生きてる人間で、誰もがたった一人だけ。
絶対に面と向かって話できない相手が』
『話しかけられてもどうしていいかわからずに沈黙を作ってしまう』
『喋るの苦手なのも人付き合い苦手なのもそうだけど、開き直りたくて開き直ってるわけじゃない。それしかやりようないからだ』
そして俺がこの『中』に入るときに思ったことは。
『運がよければ、これで最後』
凍りついた。
でも腕は動かす。
グー。
あいこ。
自分で撒いた種。
その言葉の重さ。
全部、そうだ。
今のこの状況全部、紛れもなく俺が作り出したんだ。
あいこ。
あいこ。
あいこに次ぐあいこ。
あいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこあいこ。
もう何回あいこったんだろう。
右腕が痛い。指も多少痛い。
最初は上からリキ入れて思いっきり振り下ろしてた腕だけど、もうそんな大きなモーションを起こす力なんて残ってない。
下から軽く上に持ち上げ、差し出してるってことがわかる程度に動かす。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
ああ、またあいこか。
いつまで続くんだこのあいこラッシュ。
ゆっくりしたじゃんけんのテンポは変わらず。
途中までちゃんとしてた『じゃん、けん、ぽん』の掛け声すら面倒になり、いつのまにかアイコンタクトのみになって。
更に今では日曜夕方6時30分テレビから日曜日の終わりを告げる『マイゴさん』のエンディングの、あの声が等間隔に流れるだけ。
俺二号だって疲れてくるはずだ、その隙を狙おう。そう思ってた。
でもそんなことはなかった。
あいつ、本当に俺だ。
腕を振り出すのもめんどくせぇって早々に思ったんだろう。
自分を乗せてきたじゃんけんグミにじゃんけんを一任。
ピラミッドの角っこをゴリゴリしたり、他のじゃんけんグミに押さえつけられて踊り続ける奴等をツンツンしたりして。
じゃんけんのタイミングの度、チラッチラッとこっちを見ながら。
要は遊んでいた。
ふざけんな。
俺だってだりぃわ。
自らそんなんしてサボるんだったらこのじゃんけんもうやめろや。
お前は疲れない代わりの腕使ってっけど、俺の腕はこの体から生えてるこの二本しかねぇんだぞ。
束の間の休憩タイムを作るため、右手を左手に交代して。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
ああ、左手でもあいこだ。
右手の手首と腕をその間にぐるっと回して。
でまた右手で。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
…あいこ。
ああああああああーーーーーーーーーーーー…。
そうだ。
こうなったらかくなる上は。
奥の手のアレだ。
アレなら、100%勝てる。
小指と薬指でグー。
中指と人差し指でチョキ。
伸ばした三本指でパー。
グーチョキパーで勝てないじゃんけんなんてねぇ!
反則だったらそっちの代打だって反則だろ。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
ええええええええええ!!??
またあいこ!?
嘘だろなんでこれであいこなんだよ。
「いだだだだ!!」
暫く振りに上空のコウダから叫び声がする。
俺二号は両腕でバッテンを俺に向けて提示してた。
相変わらずの笑顔。
ああ!? ダメってか!?
ムカツく。
あそこで基板割って遊んでる俺二号がムカつく。
今の状況面白がってるのが手に取るようにわかる。
だってあいつは俺だから。
ん?
俺?
俺VS俺。
今、俺は俺の『中』に入ってる。
俺と俺…。
もしかして。
俺が今振り出そうとしてる何かって、あいつにバレてる?
いや、だったら他の事だって伝わってるはずだから、こんな風に、あいつとなんかやりあうって事自体がない気がする。
今の俺がこんなんやりたくないってことも、話してコウダを助けたい俺の気持ちも伝わって、寧ろ何も起らないんじゃないだろうか。
バレてないとすると…。
俺二号は俺とほぼ同じ発想するんだろ?
あ。
もしかしてそれって。
現実には有り得ないくらいの超高確率で、じゃんけんの次の手が被るってことなんじゃ…。
『じゃん、けん、ぽん!
うふふふふ~』
それを証明するかのように、またしてもあいこ。
あいこ。
あいこ。
まじでそゆこと!?
あいこ…。
あいこ!
あいこ!!
あいこが一つ増える度、絶望感がその色を増していく。
俺二号はやっぱり最初と変わらず笑ってる。
どうすんだコレ。
話しようにも出来そうもなくて。
俺VS俺で。
俺の代打はいなくって。
ゲームやめても負けてもアウト。
無限ループだろ。
その言葉を思いついたとき、映像を伴った記憶が鮮やかにフラッシュバックした。
『無限ループ』
コウダが2周間前にした、自分で自分の『中』に入ることへのリスク。
その映像とリンクして浮かんだのは、俺が『中』に入るまでの間、考えてきた頭ん中の言葉の数々。
『いるじゃないか。
この世で、今生きてる人間で、誰もがたった一人だけ。
絶対に面と向かって話できない相手が』
『話しかけられてもどうしていいかわからずに沈黙を作ってしまう』
『喋るの苦手なのも人付き合い苦手なのもそうだけど、開き直りたくて開き直ってるわけじゃない。それしかやりようないからだ』
そして俺がこの『中』に入るときに思ったことは。
『運がよければ、これで最後』
凍りついた。
でも腕は動かす。
グー。
あいこ。
自分で撒いた種。
その言葉の重さ。
全部、そうだ。
今のこの状況全部、紛れもなく俺が作り出したんだ。
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