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カレーの作り方
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カレーは簡単に作れる料理の代名詞だ。
切った野菜を炒ためて煮込んでルーを投下し。
一人カレーもいいが、誰かと、いやみんなとワイワイするのもいい。
正直なところ、普段のご家庭で作るプロセスに拘ることなんて、まぁないない。
でも今回は、ちょっと頑張ってみた。
あくまでもアバウト~なマイレシピ。試すのは自己責任で。
例えば考え事がこびり付いてどうしようもない、普段しないことでもして気を紛らわしたい──実際多少は気が紛れた──ときが試しどきかもしれない。
普段作る時はもちろん目分量。ここで言う分量──カレー食べる時に使うスプーン(以降カレースプーンとする)で表記したりしてる──は『量ったら多分こんぐらいじゃね?』というレベルでしかない。
そこらへんとこよろしくできたら以下。
まず野菜。ジャガイモ、にんじん、玉葱を各半個。
半個にしたのは、折角の秋だし、旬の食材をとりいれるため。
色々あるが、今回は安く手に入ったかぼちゃ──4分の1個──としめじ──半~1株──を使うことにする。
切り方は大事だ。できるだけ大きさを揃えよう。後で炒めるとき・煮るときの火の通り方に影響する。
飴色玉葱──微塵切りにした玉葱を、飴色になるまで炒めたもの。凝ったカレー作りの定番素材だ──は使わない。
使ってももちろんいいが、あれは時間がかかりすぎるし今回他で色々やることがあるから、そこまでやると手間が『ちょっと』とは言えなくなってしまう。
あくまでご家庭の『ちょっと』にとどめるため、あれは無しにする。
肉は豚モモの塊肉を使う。
鶏肉でもなんでもカレーは旨いけど、今回は験担ぎで飛べない鳥チキンではなく、豚にする。
豚も飛べない? イタリア機に乗って飛ぶカレーに入れるなんて以ての外の超有名な豚がいるじゃないか。
これはただの豚だけど、豚ならいける! 大丈夫!
握り拳1つ半ぐらいって、200グラムくらいか? まあ、いいか。
大抵はこれをそのまま縦に角切りにするが、ここで一工夫。
斜めに厚めの削ぎ切りにしてから、さらに一口大に切る。
こうすると豚肉の繊維が斜めになることで、食べた時の食感が柔らかくなる。
どの位になるかというと、普通しっかり煮込まないとガチガチのモモ肉が、カツなんかでもなんとかイケる固さになる。
切り終わったところで出ている肉汁をキッチンペーパーなどで拭く。
スーパーで買った肉のこの汁は、『ドリップ』といって臭みの元だ。拭いておくと肉の臭みが薄まる。
さらに臭みを消しつつ肉を柔らかくするため、日本酒を揉み込む。
赤ワインでももちろんいいが、現実問題としてボロいワンルーム一人暮らしのわが家にないので却下。
そこまでいったら、中火で熱したフライパンにサラダ油だ。
肉を炒める。
表面を加熱することで肉汁を閉じ込める必須工程。
薄っすら火が入ったところで塩胡椒。
肉だけの段階でまぶしてしまう事をお勧めする。
肉の臭みを徹底的に消していくためと、肉の周りに付着した胡椒がカレーに仕上がった後で味のアクセントになるからだ。
塩胡椒が肉全体に行き渡ったところで他の野菜を順に入れていく。
野菜も肉同様表面に火が通ればいい。こちらは肉と違って煮崩れを防ぐ意味に終始する。
肉よりわかりにくいかもしれないが、外側がちょっと透明になったような感じで色が変わってきたらOK。
炒めた具材を鍋に投下し、水を加えて沸騰させる。
すると、表面に汚い泡がわいてくる。
これはアクだから、湧き上がってきたものを取り除く。
延々とここでアクを取り続けると澄んだ味になるが、雑味がある程度あった方がカレーは旨い──と思っている──ので一、二度でいい。
あとはふたたび塩・胡椒に、顆粒のスープの素──コンソメやブイヨンなど、洋風のもの──を入れる。
和風出汁や中華出汁を使うと味がそっちに寄る。それはそれでいいかもしれない。
今回のレシピでは、スープの素は結構思い切りよく入れていい。
5~6皿分に対してカレースプーンに山盛り1杯なら全然大丈夫だ。
そして沸騰したら野菜や肉には芯まで火が通っていない状態でいいので、火から下ろす。
これを毛布などに包んで放置。
余熱で火を通すのだ。
ガス代節約以外にも、野菜の煮崩れを防ぐ事ができる。
煮崩れは野菜同士が沸騰する鍋の中でこすれあう事でその角が削れて起きる。
つまり火から降ろしたお湯の高温を保ったままその中に浸けておくだけなら、全くそういったことが起きないのである。
さらに、煮込み料理で素材に味がしみ込んでいくのは、暖めている時ではなく冷めていく時。
それも、急速にさめていくのではなく、ゆっくりと温度が下がっていくときのほうがよく味が染み込む。
火を使わないので付きっきりになる必要もなく楽チン。
カレー以外でも使える一石四鳥のテク。ぜひ試していただきたい。
逆に煮込んだカレーの半分溶けた野菜が好きな人はぐつぐつやる必要があるが、それはカレーの味を付けた後でもいいだろう。
このまま1時間ほど放置すると、なにもしていないのに芯まで火が通っている。
1時間が手持ち無沙汰なら、サラダの中身でも考えてみるといい。
欧米では新婚さんの代名詞らしい『レタスだけのサラダ』とか…いや、妄想は今後が辛くなる。やめやめ。
気を取りなおして、野菜を煮ただけの鍋をカレー化する準備にはいるとしよう。
そしてこの工程こそが今回のキモ。
カレールーを使わない。
じゃあどうするのか。
カレー粉だ。
それじゃトロみがつかないじゃないかと思うかもしれない。
そのままだと確かにそうだが、まさかそのままカレー粉を鍋の中身に振りかけたりはしない。
まずフライパンにバター。たっぷり30グラム。
溶けたところに小麦粉をカレースプーンで軽めに2杯。
木べらできつね色になるまで中火で炒める。
巷の時短レシピだと、水で溶かした小麦粉をそのまま煮汁に加えて火にかけているものがある。
確かにトロみはつくが、あのやり方だとどうしても粉っぽさが残ってしまう。
しっかり炒めておくのが美味しくする秘訣だ。
炒めたら、一旦火を消す。
で、さっきの具材を煮た鍋が再登場する。
ここからしばらく気を付けてほしい。ちょっとコツがいるところだから。
最大のコツは、焦らないことと、光熱費を気にしないこと。
フライパンにお玉一杯分の、鍋の煮汁を投下する。
熱くなったフライパンの中で勢い良く煮汁が沸騰するので、手早く木べらで混ぜて欲しい。
火はまだ点けない。
しっかり混ざりきったら、またお玉一杯分煮汁を投下。
お玉一杯という分量はこの後も絶対守ってほしい。
ジュワーっと煮汁が沸騰しないようなら、フライパンを火にかける。
このとき、火は強火だ。
そしてこの後は暫く火を消さない。
火にかけながら、小麦粉の塊と煮汁を、ダマにならないように、焦げないように混ぜていく。
小麦粉の塊を手早く木べらで鍋底に押し付けて擦り潰すようにしたら、直ぐに底からしっかりとかき混ぜ…これを数回。
プツプツと端の方が沸騰してきたら、即、火から下ろす。
ここポイント。火は消さずに、フライパンをコンロから下ろすだけ、である。
手元は引き続き全体を混ぜていく。
混ざったら、またお玉の煮汁、でまた混ぜる。
混ざってきたら再び付きっぱなしになっている火にフライパンを戻して熱する。
これを3回くらい繰り返すと、炒めた小麦粉はペースト上になっているはずだ。
この工程の難しい点は、熱しながら攪拌を続けなければならないこと、これに尽きる。
光熱費を気にして火を点けたり消したりすると、その僅かな作業の間、フライパン内の小麦粉の塊を木べらで攪拌できない。
すると小麦粉の塊の表面にだけ火が入って固まり、ダマになったり焦げたりする。
お玉一杯という分量を超えて煮汁を投入するのも同様で、小麦粉が液体の中で塊のまま綺麗に混ざらずに泳いでしまい、その状態で小麦粉の塊の表面だけ熱された結果、やはり固まってダマになる。
強火のまま、フライパンを火から下ろしたり上げたりしつつ、両手は中身を混ぜるのに終始するのが鉄則だ。
このコツは小麦粉でトロミを付ける料理ほぼ全てに応用が効く。
ホワイトソースや、もっと凝ったものだとシュークリームのシュー生地なんかも一緒。
覚えておくと周りから一目置かれる…かもしれない。いや、置かれていると信じたい。
ペースト状になったところで、カレー粉をカレースプーン1杯程度投入する。
辛いものが苦手な人はこの時点でカレー粉を思い切り少なくしておくといい。
後で辛くするのは楽だが、後で辛さを減らすのはなかなか難しいから。
これでカレーペースト完成。ルーの代わりに出来る。
『ほほぅ、ルーの代わりに自家製カレーペーストでカレー…初めて聞いた』というそこのあなた。
実は昔ながらのカレー粉の、赤い缶の側面に、レシピ──ここまで詳しくはないが──は書いてある。
あなたのお家の冷蔵庫ないし調味料の棚に眠っているカレー粉の缶を、今度よ~く見てみてほしい。
では、とうとうお待ちかね。
隠し味といこう。
ココアパウダーをカレースプーン山盛り1杯分投入する。
ココアにある苦味が、カレーを複雑な味わいにするとともに、カレー粉だとどうしても薄くなりがちな色を市販のルーに近づける。
コーヒーやチョコレートを入れるのだって苦味を加える役割だから、そっちでももちろんいい。
インスタントコーヒーならティースプーン一杯程度でいい。普段は大抵わが家でもインスタントコーヒーだ。
なお今回使うココアは、お湯で溶かしてそのまま飲める砂糖や乳製品が入ってるココアじゃなくて、本当にココアパウダーのみでできた純ココアというやつだ。
これと砂糖を少量の牛乳と鍋で暖めながら練って、更に牛乳で伸ばして沸騰直前まで暖めて作ったココアの方が、お湯でとかしてそのまま飲めるやつよりおいしい。
いや、言い換えよう。ココアが好きな人にはおいしいらしい。
今後使うことも…と購入したものの、ココアなんてそうそう飲まない。
『使うことも』と思った使いどころがなくなって、こいつだけ残って困るんじゃね? と不良債権食材化を危惧していたのだが…。
役立ってくれた。
買ってよかった。うん。そうだ。よかったんだ。
ただ、まあ、出来上がったカレーに甘味が出てもいいや、というのであれば、お湯でとかして飲むあれを使っても多分大丈夫だろう。
乳製品はこの後加えるので、ここで入っていても問題はない。
その代わり、ココアの量を純ココアと合わせるために、分量は3倍にしてほしい。
で、話を戻すとしよう。
カレー粉と隠し味のココアを加えてさらに弱火で熱しながら、全体が混ざるように練り上げて出来上がったカレーペースト。
これを、野菜と肉を煮込んだあの鍋に溶かしていく。
ペーストが完全に溶けるまで火は入れちゃダメ。ペーストが溶け残ったまま混ざらないことがまれにあるから。
綺麗に溶けたところで、味を深めるために隠し味パート2。
粉チーズをカレースプーン1杯。コクがでて、味がまろやかになる。
ヨーグルトをカレースプーン2杯。酸味を加える。例えるならちょっとインドに近付く感じか。
ここまで来たら、一旦火を入れよう。沸騰したら一体感が出て、カレーっぽくなる。
味見してみると…きっと、一味足りないはずだ。
足りないのは塩気。なぜならカレー粉には塩が一切入っていないから。
あれだけスープの素を入れて、下拵えで塩胡椒しているにもかかわらず、市販のルーで作った時より全然塩気が足りなくなる。
だから、好みに合わせて塩を足していこう。
とはいえ入れ過ぎると引き算はできないので、ティースプーンに半分くらいを目安に加減し、さらに味見する。
家にあれば、隠し味パート3としてソース──ウスターソースとか──を入れてもいいと思う。
うちにはないから使えないけど、あれの原材料は主に野菜&果物&香辛料&塩。味に深みが増すのではないだろうか。
塩味がいい感じになったら、辛さを調整しよう。
辛くする方はフリーダム。
追いカレー粉・唐辛子・タバスコ・マスタード・山椒・胡椒、何でも投下してくれたまえ。
一方、辛過ぎのケアはなかなか難しい。
だって甘味で辛味を打ち消すことはできないから。
ここで絶対やってはいけないのは、単純に砂糖を足すという行為だ。
両方が生きた結果、甘いのに辛いという謎の味になる上、甘味が短調で非常に残念な感じになる。
ではどうするか。
砂糖以外の糖分と、乳製品の脂肪分だ。
今回はちょっと奮発し、紙パックのコーンスープと牛乳をちょい足しする。
野菜の甘味なら砂糖より自然で、カレーにマッチする。かぼちゃとの相性もあるし。
牛乳はコーヒーに入れる脱脂粉乳にしてもいいかと思う。
本当は生クリームがいいけど、そんな御高くて日持ちしないものはうちには(以下略)。
『紙パックのコーンスープだってうちにゃねぇぞ!』?
大抵そうだろう。そのときはコーンスープの粉末、それもなければ蜂蜜、ジャムなんかいいかもしれない。
とにかく、砂糖ぶち込むのはやめとけマジで(実体験)。
で、まあこのままひと煮立ちさせて食卓へ…でも悪くない。
が、やはり定番として一晩寝かせる。尖った香辛料の味がまとまり、おいしくなる。
この一晩が辛い。いい匂いが漂う鍋にも余計な考え事にもぴったり蓋をしてしまうのがいいんだけど、今回は本当につらかった。
でも、その峠を超えたら、あとは翌日食べる前に、再び火をいれて…。
最後のさいご、盛り付けはもう好みの問題だ。
お玉から掬い上げた芳しい香りのそれを、カレー皿に御飯とともにとろ~りとかけるもよし、別々にしてもよし。
ご飯を茶碗に入れて丸く整形してから盛り付け、その周りにドーナツ状にカレーをかけた上に、さらに爪楊枝で国旗作ってご飯の真ん中に挿してもよし。
さて、ここまで来ると分かってくれると思う。
カレーの味を作るのに結構な手間暇をかけていることを。
これに加えて飴色玉葱をやったら、そりゃもうパーフェクトに美味しくなるだろう。
が、一緒に食べる誰かが居る場合、もしかしたらやり過ぎでめんどくさがられる可能性がある。
こいつに言わなきゃいいだけっちゃそうなんだけど、やったからにはそのうち自慢したくなるのが作った人間の心理ってもんで。
こいつの性格考えると、俺に言われたら絶対…と思ったので、今回はやらなかった次第。
というわけで、だ。
今俺の目の前にあるローテーブルの上には、二皿のカレー。
カレーが右、ご飯が左と、左右に別れた状態で盛り付けられたそれは、スプーンと共に鏡で写したように向かい合って並んでる。
その向こう側のカレーの、さらに向こうには、俺にとっての今日のメインイベントの、主賓。
「「いただきます」」
俺のものじゃない右手は、ローテーブルを挟んだ向こう側でスプーンでカレーと米の間をピンポイントですくって口に運んでいる。
俺とお向かいさんの双方から、静かな部屋に響く咀嚼音。
「…おいしい」
よかった。お気に召したようだ。
直ぐに無言で二口目にいっているということは、過去作ってきた中でも上出来という証拠だった。
「カレールー使ってないって聞いて『マジか!?』と思ったけど、イケてる」
だが、俺のほうはといえば。
「ちょっと辛いかなぁ。
てかスパイシー」
お向かいさんのその言を聞きつつ口の中のカレーを飲み込むものの、全く味がしない。
「いや、でも、やばい。おいしーわこれ」
それはメインイベント前の緊張感からだった。
「で、さ」
俺の口から飛び出た音に反応してその顔を多少俺の方に向けたものの、お向かいさんはなおカレーを貪る手を止める気配はない。
俺は言いながら自然を装いつつスプーンを動かし、カレーと米を混ぜた。
混ぜているだけだった。
「あの件、どう?」
「ん?」
混ぜたカレーをスプーンにゆっくりかき集めながら、『ん?』の主を見つめ返す。
「この前言ったやつ。
考えてくれた?」
「…なんだっけ?」
しらばっくれている。
俺の二口目のカレーは、スプーンの上に米とまんべんなく混ぜ遭わされた状態で積載量オーバー寸前になっていた。
もうカレーと米に分けることはできない。
いけ、俺。
「…俺と付き合って…ってやつ」
咀嚼音のない沈黙…。
手元のカレーの皿と、山盛りになったスプーンを凝視し、それを目一杯大口を開けた己の口に運んだ。
口いっぱいのカレーライスを無心に咀嚼する。
いやに大きく聞こえる自分の『クッチャクッチャクッチャクッチャ』を打ち破るように、向かいからカチャリと、スプーンを皿の上に下ろす音がした。
「いいよ」
反射的に顔をあげると、お向いさんは居住まいを正している。
俺を真っ直ぐ見据え、
「よろしくおねがいします」
正座でぺこりと頭を下げるお向いさん。
からりと俺の左手から、スプーンが皿に落ちた。
飲み込む前のカレーライスが口からこぼれないように必死で綻ぶ口元を引き締める。
やったぞ、これまでの俺…!
料理練習して日々餌付けしてきた甲斐はあった!
お向かいさんはそんな俺には構わず再びスプーンを手にとってカレーを食べ進め始めた。
「辛い、けどやっぱ…」
大学の研究室配属から社会人に至る、間も無く二桁になろうという数年間、それなりにお互いの家の行き来もあるのに男の代替わりを横で指咥えて見続ける我ながらツッコミ所満載☆ドMずっ友生活からの昇格ミッション・コンプリートォぉおお!!!
「なんか辛いもの食べたら甘いものも欲しくなってきた」
何口目か分からないカレーを口に運びながら言うお向いさんの声に、カレーライスを飲み込んで空っぽになった俺の口は滑らかだった。
「後でココア、入れようか」
口に入る一歩手前でお向いさんのスプーンが止まる。
もう思う存分ニヤニヤしたって、俺の口からカレーはこぼれない。
「え! あんの?」
そう。ある。あるのだ。
「前にココア自宅に常備してるってこっちが言ったら『そんなもんブラック・コーヒー党員の俺様の家には必要ねぇな』って…」
質問に答えたらすぐに喋れない状態になりたくて、三口目のカレーのために左手を動かした。
「買ってみた」
カレーを頬張りながら眼下の皿だけを見つめる俺の耳に入ったのは、お向いさんの『キモ~イ』という嬉しげな声だった。
切った野菜を炒ためて煮込んでルーを投下し。
一人カレーもいいが、誰かと、いやみんなとワイワイするのもいい。
正直なところ、普段のご家庭で作るプロセスに拘ることなんて、まぁないない。
でも今回は、ちょっと頑張ってみた。
あくまでもアバウト~なマイレシピ。試すのは自己責任で。
例えば考え事がこびり付いてどうしようもない、普段しないことでもして気を紛らわしたい──実際多少は気が紛れた──ときが試しどきかもしれない。
普段作る時はもちろん目分量。ここで言う分量──カレー食べる時に使うスプーン(以降カレースプーンとする)で表記したりしてる──は『量ったら多分こんぐらいじゃね?』というレベルでしかない。
そこらへんとこよろしくできたら以下。
まず野菜。ジャガイモ、にんじん、玉葱を各半個。
半個にしたのは、折角の秋だし、旬の食材をとりいれるため。
色々あるが、今回は安く手に入ったかぼちゃ──4分の1個──としめじ──半~1株──を使うことにする。
切り方は大事だ。できるだけ大きさを揃えよう。後で炒めるとき・煮るときの火の通り方に影響する。
飴色玉葱──微塵切りにした玉葱を、飴色になるまで炒めたもの。凝ったカレー作りの定番素材だ──は使わない。
使ってももちろんいいが、あれは時間がかかりすぎるし今回他で色々やることがあるから、そこまでやると手間が『ちょっと』とは言えなくなってしまう。
あくまでご家庭の『ちょっと』にとどめるため、あれは無しにする。
肉は豚モモの塊肉を使う。
鶏肉でもなんでもカレーは旨いけど、今回は験担ぎで飛べない鳥チキンではなく、豚にする。
豚も飛べない? イタリア機に乗って飛ぶカレーに入れるなんて以ての外の超有名な豚がいるじゃないか。
これはただの豚だけど、豚ならいける! 大丈夫!
握り拳1つ半ぐらいって、200グラムくらいか? まあ、いいか。
大抵はこれをそのまま縦に角切りにするが、ここで一工夫。
斜めに厚めの削ぎ切りにしてから、さらに一口大に切る。
こうすると豚肉の繊維が斜めになることで、食べた時の食感が柔らかくなる。
どの位になるかというと、普通しっかり煮込まないとガチガチのモモ肉が、カツなんかでもなんとかイケる固さになる。
切り終わったところで出ている肉汁をキッチンペーパーなどで拭く。
スーパーで買った肉のこの汁は、『ドリップ』といって臭みの元だ。拭いておくと肉の臭みが薄まる。
さらに臭みを消しつつ肉を柔らかくするため、日本酒を揉み込む。
赤ワインでももちろんいいが、現実問題としてボロいワンルーム一人暮らしのわが家にないので却下。
そこまでいったら、中火で熱したフライパンにサラダ油だ。
肉を炒める。
表面を加熱することで肉汁を閉じ込める必須工程。
薄っすら火が入ったところで塩胡椒。
肉だけの段階でまぶしてしまう事をお勧めする。
肉の臭みを徹底的に消していくためと、肉の周りに付着した胡椒がカレーに仕上がった後で味のアクセントになるからだ。
塩胡椒が肉全体に行き渡ったところで他の野菜を順に入れていく。
野菜も肉同様表面に火が通ればいい。こちらは肉と違って煮崩れを防ぐ意味に終始する。
肉よりわかりにくいかもしれないが、外側がちょっと透明になったような感じで色が変わってきたらOK。
炒めた具材を鍋に投下し、水を加えて沸騰させる。
すると、表面に汚い泡がわいてくる。
これはアクだから、湧き上がってきたものを取り除く。
延々とここでアクを取り続けると澄んだ味になるが、雑味がある程度あった方がカレーは旨い──と思っている──ので一、二度でいい。
あとはふたたび塩・胡椒に、顆粒のスープの素──コンソメやブイヨンなど、洋風のもの──を入れる。
和風出汁や中華出汁を使うと味がそっちに寄る。それはそれでいいかもしれない。
今回のレシピでは、スープの素は結構思い切りよく入れていい。
5~6皿分に対してカレースプーンに山盛り1杯なら全然大丈夫だ。
そして沸騰したら野菜や肉には芯まで火が通っていない状態でいいので、火から下ろす。
これを毛布などに包んで放置。
余熱で火を通すのだ。
ガス代節約以外にも、野菜の煮崩れを防ぐ事ができる。
煮崩れは野菜同士が沸騰する鍋の中でこすれあう事でその角が削れて起きる。
つまり火から降ろしたお湯の高温を保ったままその中に浸けておくだけなら、全くそういったことが起きないのである。
さらに、煮込み料理で素材に味がしみ込んでいくのは、暖めている時ではなく冷めていく時。
それも、急速にさめていくのではなく、ゆっくりと温度が下がっていくときのほうがよく味が染み込む。
火を使わないので付きっきりになる必要もなく楽チン。
カレー以外でも使える一石四鳥のテク。ぜひ試していただきたい。
逆に煮込んだカレーの半分溶けた野菜が好きな人はぐつぐつやる必要があるが、それはカレーの味を付けた後でもいいだろう。
このまま1時間ほど放置すると、なにもしていないのに芯まで火が通っている。
1時間が手持ち無沙汰なら、サラダの中身でも考えてみるといい。
欧米では新婚さんの代名詞らしい『レタスだけのサラダ』とか…いや、妄想は今後が辛くなる。やめやめ。
気を取りなおして、野菜を煮ただけの鍋をカレー化する準備にはいるとしよう。
そしてこの工程こそが今回のキモ。
カレールーを使わない。
じゃあどうするのか。
カレー粉だ。
それじゃトロみがつかないじゃないかと思うかもしれない。
そのままだと確かにそうだが、まさかそのままカレー粉を鍋の中身に振りかけたりはしない。
まずフライパンにバター。たっぷり30グラム。
溶けたところに小麦粉をカレースプーンで軽めに2杯。
木べらできつね色になるまで中火で炒める。
巷の時短レシピだと、水で溶かした小麦粉をそのまま煮汁に加えて火にかけているものがある。
確かにトロみはつくが、あのやり方だとどうしても粉っぽさが残ってしまう。
しっかり炒めておくのが美味しくする秘訣だ。
炒めたら、一旦火を消す。
で、さっきの具材を煮た鍋が再登場する。
ここからしばらく気を付けてほしい。ちょっとコツがいるところだから。
最大のコツは、焦らないことと、光熱費を気にしないこと。
フライパンにお玉一杯分の、鍋の煮汁を投下する。
熱くなったフライパンの中で勢い良く煮汁が沸騰するので、手早く木べらで混ぜて欲しい。
火はまだ点けない。
しっかり混ざりきったら、またお玉一杯分煮汁を投下。
お玉一杯という分量はこの後も絶対守ってほしい。
ジュワーっと煮汁が沸騰しないようなら、フライパンを火にかける。
このとき、火は強火だ。
そしてこの後は暫く火を消さない。
火にかけながら、小麦粉の塊と煮汁を、ダマにならないように、焦げないように混ぜていく。
小麦粉の塊を手早く木べらで鍋底に押し付けて擦り潰すようにしたら、直ぐに底からしっかりとかき混ぜ…これを数回。
プツプツと端の方が沸騰してきたら、即、火から下ろす。
ここポイント。火は消さずに、フライパンをコンロから下ろすだけ、である。
手元は引き続き全体を混ぜていく。
混ざったら、またお玉の煮汁、でまた混ぜる。
混ざってきたら再び付きっぱなしになっている火にフライパンを戻して熱する。
これを3回くらい繰り返すと、炒めた小麦粉はペースト上になっているはずだ。
この工程の難しい点は、熱しながら攪拌を続けなければならないこと、これに尽きる。
光熱費を気にして火を点けたり消したりすると、その僅かな作業の間、フライパン内の小麦粉の塊を木べらで攪拌できない。
すると小麦粉の塊の表面にだけ火が入って固まり、ダマになったり焦げたりする。
お玉一杯という分量を超えて煮汁を投入するのも同様で、小麦粉が液体の中で塊のまま綺麗に混ざらずに泳いでしまい、その状態で小麦粉の塊の表面だけ熱された結果、やはり固まってダマになる。
強火のまま、フライパンを火から下ろしたり上げたりしつつ、両手は中身を混ぜるのに終始するのが鉄則だ。
このコツは小麦粉でトロミを付ける料理ほぼ全てに応用が効く。
ホワイトソースや、もっと凝ったものだとシュークリームのシュー生地なんかも一緒。
覚えておくと周りから一目置かれる…かもしれない。いや、置かれていると信じたい。
ペースト状になったところで、カレー粉をカレースプーン1杯程度投入する。
辛いものが苦手な人はこの時点でカレー粉を思い切り少なくしておくといい。
後で辛くするのは楽だが、後で辛さを減らすのはなかなか難しいから。
これでカレーペースト完成。ルーの代わりに出来る。
『ほほぅ、ルーの代わりに自家製カレーペーストでカレー…初めて聞いた』というそこのあなた。
実は昔ながらのカレー粉の、赤い缶の側面に、レシピ──ここまで詳しくはないが──は書いてある。
あなたのお家の冷蔵庫ないし調味料の棚に眠っているカレー粉の缶を、今度よ~く見てみてほしい。
では、とうとうお待ちかね。
隠し味といこう。
ココアパウダーをカレースプーン山盛り1杯分投入する。
ココアにある苦味が、カレーを複雑な味わいにするとともに、カレー粉だとどうしても薄くなりがちな色を市販のルーに近づける。
コーヒーやチョコレートを入れるのだって苦味を加える役割だから、そっちでももちろんいい。
インスタントコーヒーならティースプーン一杯程度でいい。普段は大抵わが家でもインスタントコーヒーだ。
なお今回使うココアは、お湯で溶かしてそのまま飲める砂糖や乳製品が入ってるココアじゃなくて、本当にココアパウダーのみでできた純ココアというやつだ。
これと砂糖を少量の牛乳と鍋で暖めながら練って、更に牛乳で伸ばして沸騰直前まで暖めて作ったココアの方が、お湯でとかしてそのまま飲めるやつよりおいしい。
いや、言い換えよう。ココアが好きな人にはおいしいらしい。
今後使うことも…と購入したものの、ココアなんてそうそう飲まない。
『使うことも』と思った使いどころがなくなって、こいつだけ残って困るんじゃね? と不良債権食材化を危惧していたのだが…。
役立ってくれた。
買ってよかった。うん。そうだ。よかったんだ。
ただ、まあ、出来上がったカレーに甘味が出てもいいや、というのであれば、お湯でとかして飲むあれを使っても多分大丈夫だろう。
乳製品はこの後加えるので、ここで入っていても問題はない。
その代わり、ココアの量を純ココアと合わせるために、分量は3倍にしてほしい。
で、話を戻すとしよう。
カレー粉と隠し味のココアを加えてさらに弱火で熱しながら、全体が混ざるように練り上げて出来上がったカレーペースト。
これを、野菜と肉を煮込んだあの鍋に溶かしていく。
ペーストが完全に溶けるまで火は入れちゃダメ。ペーストが溶け残ったまま混ざらないことがまれにあるから。
綺麗に溶けたところで、味を深めるために隠し味パート2。
粉チーズをカレースプーン1杯。コクがでて、味がまろやかになる。
ヨーグルトをカレースプーン2杯。酸味を加える。例えるならちょっとインドに近付く感じか。
ここまで来たら、一旦火を入れよう。沸騰したら一体感が出て、カレーっぽくなる。
味見してみると…きっと、一味足りないはずだ。
足りないのは塩気。なぜならカレー粉には塩が一切入っていないから。
あれだけスープの素を入れて、下拵えで塩胡椒しているにもかかわらず、市販のルーで作った時より全然塩気が足りなくなる。
だから、好みに合わせて塩を足していこう。
とはいえ入れ過ぎると引き算はできないので、ティースプーンに半分くらいを目安に加減し、さらに味見する。
家にあれば、隠し味パート3としてソース──ウスターソースとか──を入れてもいいと思う。
うちにはないから使えないけど、あれの原材料は主に野菜&果物&香辛料&塩。味に深みが増すのではないだろうか。
塩味がいい感じになったら、辛さを調整しよう。
辛くする方はフリーダム。
追いカレー粉・唐辛子・タバスコ・マスタード・山椒・胡椒、何でも投下してくれたまえ。
一方、辛過ぎのケアはなかなか難しい。
だって甘味で辛味を打ち消すことはできないから。
ここで絶対やってはいけないのは、単純に砂糖を足すという行為だ。
両方が生きた結果、甘いのに辛いという謎の味になる上、甘味が短調で非常に残念な感じになる。
ではどうするか。
砂糖以外の糖分と、乳製品の脂肪分だ。
今回はちょっと奮発し、紙パックのコーンスープと牛乳をちょい足しする。
野菜の甘味なら砂糖より自然で、カレーにマッチする。かぼちゃとの相性もあるし。
牛乳はコーヒーに入れる脱脂粉乳にしてもいいかと思う。
本当は生クリームがいいけど、そんな御高くて日持ちしないものはうちには(以下略)。
『紙パックのコーンスープだってうちにゃねぇぞ!』?
大抵そうだろう。そのときはコーンスープの粉末、それもなければ蜂蜜、ジャムなんかいいかもしれない。
とにかく、砂糖ぶち込むのはやめとけマジで(実体験)。
で、まあこのままひと煮立ちさせて食卓へ…でも悪くない。
が、やはり定番として一晩寝かせる。尖った香辛料の味がまとまり、おいしくなる。
この一晩が辛い。いい匂いが漂う鍋にも余計な考え事にもぴったり蓋をしてしまうのがいいんだけど、今回は本当につらかった。
でも、その峠を超えたら、あとは翌日食べる前に、再び火をいれて…。
最後のさいご、盛り付けはもう好みの問題だ。
お玉から掬い上げた芳しい香りのそれを、カレー皿に御飯とともにとろ~りとかけるもよし、別々にしてもよし。
ご飯を茶碗に入れて丸く整形してから盛り付け、その周りにドーナツ状にカレーをかけた上に、さらに爪楊枝で国旗作ってご飯の真ん中に挿してもよし。
さて、ここまで来ると分かってくれると思う。
カレーの味を作るのに結構な手間暇をかけていることを。
これに加えて飴色玉葱をやったら、そりゃもうパーフェクトに美味しくなるだろう。
が、一緒に食べる誰かが居る場合、もしかしたらやり過ぎでめんどくさがられる可能性がある。
こいつに言わなきゃいいだけっちゃそうなんだけど、やったからにはそのうち自慢したくなるのが作った人間の心理ってもんで。
こいつの性格考えると、俺に言われたら絶対…と思ったので、今回はやらなかった次第。
というわけで、だ。
今俺の目の前にあるローテーブルの上には、二皿のカレー。
カレーが右、ご飯が左と、左右に別れた状態で盛り付けられたそれは、スプーンと共に鏡で写したように向かい合って並んでる。
その向こう側のカレーの、さらに向こうには、俺にとっての今日のメインイベントの、主賓。
「「いただきます」」
俺のものじゃない右手は、ローテーブルを挟んだ向こう側でスプーンでカレーと米の間をピンポイントですくって口に運んでいる。
俺とお向かいさんの双方から、静かな部屋に響く咀嚼音。
「…おいしい」
よかった。お気に召したようだ。
直ぐに無言で二口目にいっているということは、過去作ってきた中でも上出来という証拠だった。
「カレールー使ってないって聞いて『マジか!?』と思ったけど、イケてる」
だが、俺のほうはといえば。
「ちょっと辛いかなぁ。
てかスパイシー」
お向かいさんのその言を聞きつつ口の中のカレーを飲み込むものの、全く味がしない。
「いや、でも、やばい。おいしーわこれ」
それはメインイベント前の緊張感からだった。
「で、さ」
俺の口から飛び出た音に反応してその顔を多少俺の方に向けたものの、お向かいさんはなおカレーを貪る手を止める気配はない。
俺は言いながら自然を装いつつスプーンを動かし、カレーと米を混ぜた。
混ぜているだけだった。
「あの件、どう?」
「ん?」
混ぜたカレーをスプーンにゆっくりかき集めながら、『ん?』の主を見つめ返す。
「この前言ったやつ。
考えてくれた?」
「…なんだっけ?」
しらばっくれている。
俺の二口目のカレーは、スプーンの上に米とまんべんなく混ぜ遭わされた状態で積載量オーバー寸前になっていた。
もうカレーと米に分けることはできない。
いけ、俺。
「…俺と付き合って…ってやつ」
咀嚼音のない沈黙…。
手元のカレーの皿と、山盛りになったスプーンを凝視し、それを目一杯大口を開けた己の口に運んだ。
口いっぱいのカレーライスを無心に咀嚼する。
いやに大きく聞こえる自分の『クッチャクッチャクッチャクッチャ』を打ち破るように、向かいからカチャリと、スプーンを皿の上に下ろす音がした。
「いいよ」
反射的に顔をあげると、お向いさんは居住まいを正している。
俺を真っ直ぐ見据え、
「よろしくおねがいします」
正座でぺこりと頭を下げるお向いさん。
からりと俺の左手から、スプーンが皿に落ちた。
飲み込む前のカレーライスが口からこぼれないように必死で綻ぶ口元を引き締める。
やったぞ、これまでの俺…!
料理練習して日々餌付けしてきた甲斐はあった!
お向かいさんはそんな俺には構わず再びスプーンを手にとってカレーを食べ進め始めた。
「辛い、けどやっぱ…」
大学の研究室配属から社会人に至る、間も無く二桁になろうという数年間、それなりにお互いの家の行き来もあるのに男の代替わりを横で指咥えて見続ける我ながらツッコミ所満載☆ドMずっ友生活からの昇格ミッション・コンプリートォぉおお!!!
「なんか辛いもの食べたら甘いものも欲しくなってきた」
何口目か分からないカレーを口に運びながら言うお向いさんの声に、カレーライスを飲み込んで空っぽになった俺の口は滑らかだった。
「後でココア、入れようか」
口に入る一歩手前でお向いさんのスプーンが止まる。
もう思う存分ニヤニヤしたって、俺の口からカレーはこぼれない。
「え! あんの?」
そう。ある。あるのだ。
「前にココア自宅に常備してるってこっちが言ったら『そんなもんブラック・コーヒー党員の俺様の家には必要ねぇな』って…」
質問に答えたらすぐに喋れない状態になりたくて、三口目のカレーのために左手を動かした。
「買ってみた」
カレーを頬張りながら眼下の皿だけを見つめる俺の耳に入ったのは、お向いさんの『キモ~イ』という嬉しげな声だった。
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