銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ

マサノブ

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王家の絆編

PART18 VIP護衛作戦

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この日空から数個の隕石が落ちた
併し地上に着く前に燃え尽きたと
天文台が発表したが
たいして大きなニュースにもならず・・・
だが本当は燃え尽きた直後に
16本の光の線が地上に落ちていたのだ

2、8mはある人型の16体もの何かが
林の中に消えその影に気が着いたのは
不運にも偶然其処を通りかかった
防衛隊の警備車両の警備隊員達

「何だ今のは!?」

隊員が怪しい影に気が着いた瞬間
その影が防衛隊の警備車両に襲いかかる

「逃げろ!」だが間一髪

日頃の訓練の賜か、一人が叫びもう一人も
急いで車から飛び出すと、ほぼ同時に
車が真っ二つになって切断された

そして銃を抜こうとして腰に手を回すが
怪しい影に先制攻撃されてしまい
結局彼等は命を落としてしまう。

怪しい影はその場から立ち去り
間もなく去っていった方向に
数本の火柱が上がる
そこには1隻の防衛艦があった。
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犬吠岬ハヤテ基地
作戦会議室

木星奪還作戦が終わって直ぐ
一つの大きな事件が太陽系防衛軍に起きる
それは人間関係の歪みが原因であった
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勝艦長が全員揃っているなと言い
ハヤテ主要隊員一同総勢200名が
艦長に注目する。

「今度各エリアの代表者などの社交界の重鎮が
一同に集まり木星勝利の祝賀パーティを
行う事が決定した」

「其処でハヤテの主要メンバーがその護衛として
選ばれたんだが・・・」

誠矢が、「また護衛任務ですか?」
と言うと勝艦長が

「それだが、今回の任務では
我々もパーティの中に混ざり
敵のスパイを油断させ一網打尽に
すると言う作戦でいく」

「そうか地球に潜入したガルスグレーサーの
スパイ共を一気に片付けるんですね?」

「ああその通りだ」

響竜一が口を挟む
「もう木星も落としたんだからスパイも
弱体化したんじゃないかな?」

小原正二が意を唱える
「いや~ムーの末裔の生き残りと
手を組むかも知れないし油断大敵だと思うな」

「艦長、我々も公のパーティに参加するとなると
公の場ですから戦闘服って訳にはいきませんよね?」
岩表久(機関班長)は艦長に質問した

そして艦長は
「そうだな、タキシードかスーツでの出席を
頼む、其れと女性はドレスか着物でと言う事だ」

誠矢は後頭部を掻きながら
「タキシードか、あれって苦手だから
スーツにするか」

すると女性陣がもの凄い勢いで意見し
「駄目です!ダメダメ勿体ない!
総隊長はタキシードでお願いします!!」

「そうです!他に選択肢はありません!」

「それで希望者全員とツーショット写真を
撮ることを要求します!」
そう詰め寄る女性陣に誠矢はタジタジしながら
「無茶を言うな此処だけでも20人以上
居るじゃないか!」

「一人一人が無理でも、せめて集合写真を!!」

「其れが駄目なら大城隊長一人の立ち見姿の
写真を下さいお願いします!!」

「私に撮らせて下さい!!」

ジョンは誠矢が女難地獄を見ている状況で
ああ僕もハイスクール時代にこんな目に
あってたな~何て郷愁を感じながら

ハッとした

『そうか・・そうだよ・・そうなんだ!』
「艦長、全員と言う事は真耶やイザベルも
ですか!?」

勝流水は何を当然の事をと思いながら、
「特に真耶君とイザベル君は主力だぞ!」と
言うとジョンと響は顔を見合わせ

「ウオー真耶が化粧をするなんて!」

「彼女は地の顔の方が良い!」

其れを聞いていた景子が
「レディにそれは失礼ですよ」と言った

暫く時は経ち主要メンバーは
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全員正装を整え終え★付箋文★

「艦長、指示通り二人の着付けが終わりました」

「ああ待っていたぞ入りなさい」

ドアが開いて少しの時間が過ぎ景子が中を覗き
「あら真耶ちゃん何故入らないの?」

「今まで化粧なんてしたことないし・・
ドレスなんて似合わないわ」

「そんな事ないわ真耶とっても良く似合ってる」
赤いドレスを着たイザベルが真耶を励ましている

景子が業を煮やして
「もういいわイザベルさん
構わないから引っ張り出して!」

イザベルは嫌がる真耶を強引に
会議室内に引っ張り込んだ

その真耶を見て全員が一概に
驚きの声を上げる
真耶の白いドレス姿はまるで花の妖精に
見まがうばかりだ

「真耶ちゃんは小さい頃から知っているけど
こんなに化粧の似合う娘だとは思いもしなかったわ」

そう言う景子に真耶は恥じらいながら
「今まで薄い口紅を付けた位で、こんなに
濃い口紅やアイシャドーを使ったのは初めてよ」

勝艦長はまるで父親のように喜び
「しかし見違えたな、もの凄く綺麗じゃないか」

「ン?ジョン・・それに響・・
何を惚けっとしておる」
ジョンと響は呆気にとられ真耶に見取れていたが
其処で直ぐジョンはある事に気が着いた

「かっ艦長!今すぐ出席者名簿を見せて下さい!」
艦長が出席者名簿を渡すと

「それと響、一緒に来てくれ!」

二人が慌てて出て行ったのを見て小原が
「どういう心境の変化だ?
あの二人が意気投合するなんて」

会議室から出た二人はテラスに
そこで名簿を貪るように睨むジョン

「この男は女に手が早くて有名だ!
そしてこの男は中年だが
良い女とみたら直ぐ手を出すし
それからこの女は女しか興味を示さない
・・って良く見たら父さんもいるぞ!」

「あっ今はそんな事どうでも良いか」
響はジョンが言いたい事の大体察しがついた

「どうやら此処はいつもの因縁を一時封じて
互いの為に手を組んだ方が得策の様だな」

「その通りだ・・我々は今回互いの利害の為に
手を結ぶ!」そう言って二人はきつく握手した。

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★付箋文★

所在地
東京エリア郊外自然公園内
太陽系防衛軍式典会場<葵の間>

その夜のパーティでは、早速ジョンと響の
悪い予感が当たった。

真耶とイザベルは式典会場中の注目を集め
いきなり沢山の紳士から声を掛けられていた

「初めてお会いしますねお名前は?」

「大城真耶ですわ」

「何とも美しい何処の御令嬢かな?」

「美しいだなんてそんな御恥ずかしいですわ」

「是非一度私の孫と会っていただきたい」

「私などとんでも御座いません」

声を掛ける順番を待つ紳士達は
二人の噂話で華を添える

「それにしても清楚にして可憐な」

「どちらの御令嬢でしょうか?」

「貴族か・・華族の御令嬢に違いありませんな」

次々に声を掛けられる赤いドレスのイザベルと
白いドレス姿の真耶、この二人はいつの間にか
パーティの主役となっていた

「どちらも美しいですなー」

「赤いバラの御令嬢は華々しく華麗で
まるで光り輝く女神」

「そして白いバラの御令嬢は清楚で可憐な
愛らしい純血の天使でしょう」

二人の思った以上の人気にジョンも響も
気が気でない。

「ローマでお会いしませんでしたか?」

「いえお会いしておりませんわ」

誠矢はイザベルと真耶を見て感心していた
「パーティ慣れしてるイザベルなら解るが
真耶の奴・・あの男達を手玉に取って
軽くあしらうとは何処で覚えた?」

ジョンが、「それは僕がいつも四六時中
真耶を追いかけ回し・って・何を
言わせるんだよ誠矢!」

誠矢は笑いながら、「それも結構役に
立ってるんだな」と言っている内に
小田司令の御令嬢である小田令子が
誠矢を見つけてやって来た

「今日貴方が来ていると聞いて
探していたのよ」当然ながら美人で
スタイルの良い令子のドレス姿も華がある

「令子さん、お久しぶりです」
誠矢も流石は上流階級の御令嬢だけはあるなと
感心していると、その令子の友人らしい
令嬢達が二人寄って来て
美男子である誠矢に興味を惹かれたのか
令子に有れ此尋ねてくる

「あら令子さんこの方はどなた?」

「こちら大城誠矢さんですわ」

「令子さんとどう言ったご関係ですか?」

「父の仕事に関係あるの」

「それでは防衛軍の?」

「ええ高い役職に就いておいでよ」

「まあ素敵!」

誠矢は誠矢でタキシード姿が悪かったのか
それとも強力なフェロモンで誘惑するのか
上流階級の女性達にあっと言う間に取り囲まれた

見た目が映画俳優も裸足で逃げ出す美青年で
防衛隊の高官ともなると、其れはこうなるのも
当然だろう

誠矢の心中では 『参ったな、沢山の女性達に
注目されるのは悪い気はしないんだが
いざと成って動きが取り難くなるのは困る』

『此処は何とか上手く立ち回らないと』

その様子を遠くから面白くなさげに見ている
男がいた、「このパーティの主役は俺なのに」

「勝流水めハシャギおって!」

彼は宇宙戦艦金剛の金剛艦長である
その直ぐ横には彼の副長が控えていた

「見た目の良い部下共を引き連れて
パーティの注目をこの俺から奪うとは!」

「木星を奪還した一番の功労者はこの俺なのに
実力でかなわないからと・・こんな卑怯な手で
人気を浚うとは・・卑怯者めが」

「同感です誠に卑怯な男ですな」
副長は金剛艦長に同意した

「ですが・・もう直です」

副官の曰くありげな表情は
眼鏡の光に隠されている
「もう直・・真の英雄が
誰なのか世間が思い知るのは」

金剛艦長は其れを聞き、勝流水を見て
「確かにそうだな・・今は焦らず
奴を油断させねばな」

副長は金剛艦長に
「ささ、此の様な場所ではなく
別の席を他に用意致しました
我等だけで先勝祝い致しましょう」

「そうだな気分の良い場所で
飲み直すとするか」
そう言って金剛艦長はその会場を
後にしながらもう一度、勝艦長を見る

フン!『今の内に精々楽しんでおくが良い
お前の命運も此処までだ勝流水!』

そして金剛艦長は副長と支持者を伴い
祝賀会場を後にするのだった。
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★付箋文★

「令子さん、お父上に挨拶をしたいのですが」
令子は誠矢が自分に助けを求めていると解り

「父ならあちらですご案内致しますわ」

「有り難う感謝します」
二人がその場から立ち去ると御令嬢達は

「羨ましいわ令子さん、あんなに素敵な殿方を」

「お父様が総司令官ですもの仕方ないですわ」
ハンカチを噛んで悔しがる御令嬢達

同じ頃、真耶も男達を軽くあしらいながら
イザベルと共に上手く逃げていた
中にはしつこいのがいて後をさり気なく
追いかけられたが

『あーもうテレポートでもして
逃げようかしら、でも任務だから仕方ないし
下手に動いてスパイに感づかれたら』

真耶を追いかける男達の方は
迷惑を掛けているつもりは全くなく

「あんなにチャーミングな御令嬢が
今まで見初められなかったなんて」

「何というか不思議な魅力を持つ御令嬢だ」

「ああ真耶さん、私の天使」

この状況に真っ青になるジョンと響
「ライバルがドンドン量産されていく」
「これは史上最大のピンチだぞ!」

ダンスの時間が来ると楽隊が音楽を奏でだし
案の定真耶にダンスを申し込む男が
何人も何人も群がり殺到した

二人が更に真っ青になっていると
真耶にダンスを申し込む中にジョンの父
クラークスミスが居た事に更に驚いた

「父さん!何やってんのさ!!」

慌ててジョンが駆け寄ると
「なんだジョン騒がしいぞ」

ジョンは拳を握りしめながら
「彼女・・が・・誰だか
知っているのですか!?」

クラークはニヤリと笑い
「案ずるな、お前が選んだ女性を
見に来ただけだ」

「やっぱり知ってて」

「いいか敗北は許さんからな」

ジョンは顔を引き締め
「解っています」

少し離れた場所で
誠矢は令子に感謝していた
「助かったよ令子さん、
お礼に俺に出来ることは言って下さい」

令子はハニカんだように笑い
「まあ、それでは感謝の証に
キスをプレゼントして下さる?」

「そ・それは!!」
いきなりな要望に誠矢は返事に困る

「冗談ですよ、何でも言うこと聞くなんて言うから
ついからかってしまいました」
そう可愛く言われて誠矢は頭を掻きながら
「参ったな」と言い笑う
『あー驚いた心臓が止まるかと思ったよ』

だけど令子の心中は
『私は本気でした誠矢さん』

この様子を少し冷や冷やしながら
艶やかな黒いドレス姿の滝川鏡子が見ていた
『駄目よ鏡子うかうかしてたら
私の総戦闘隊長が取られちゃう』

ファションモデル誌から抜け出してきた
美女が怖い顔で睨んでいると
声を掛けようとした多くの紳士達も
怯んで遠のいた、そんな鏡子の艶姿に
目が離せず見取れる小原正二

会場の主役は誠矢でけではない
坂巻も立っているだけで女達の目に止まる
ハヤテの中でもトップクラスの美形な上に
漂うその色気は破壊力抜群だ

だがその傍らには最強の美女が鉄壁の
防御を展開しているので安心である
崎景子は(良妻賢母の要塞賢母)であり
悪い虫を坂巻進吾に1ミリも近寄らせない

このパーティ会場はハヤテの
主要メンバーにより完全に
独壇場となっていた

だが━━━━━━━━━━━━━━━━━━

そんな空気を一変させたのは
空気を読めない暴力的な行動を引き起こす
ガルスグレーサーのスパイだった
ライフルの照準がパーティ会場に向けられ
其れを合図に会場内の電気がいきなり落とされ
御婦人達の悲鳴があがる
その闇に乗じて幾つも影が会場内に踊り込んだ

「動くな!」

会場内の全員がその場で固まったとき
誠矢達だけが素早く動いた

誠矢達はソファの下やテーブルの白いクロスの
中に手を突っ込み其処にあった武器を手にして
あっと言う間に武装した

誠矢が「まんまと罠に掛かったな!」そう叫び
ドラッケンサーベルで襲撃者の一人を斬り倒した
そして響達は電磁ガンでスパイ達を無力化する
坂巻と景子はスパイを投げ飛ばして倒した

一人のスパイが坂巻を撃とうとした時
後ろにいた真耶がそのスパイの背中に銃を当て

「戦場ではいつも自分の後ろに敵が居るものよ
間抜けなスパイさん」

「貴様・・」

「ついでにこの場に似合わない
その銃を捨てて下さらない?」

スパイは悔しげに唸り銃を捨てた
春吉が「真耶君良くやったぞ」と賞賛する

この会話をきき真耶に熱を上げていた紳士は
「では君も防衛軍の隊員なのか信じられない」

「信じる信じないは貴方の勝手ですけど
私は現実に防衛軍の隊員なんです」

パーティ会場を襲撃したスパイ達は
全員殺されるか捕らえられた
「大量だな活け作りにでもしてやろうか?」
下田の脅しにスパイが
「人を魚みたいに言うな、畜生」

だがその次の瞬間窓のサッシが吹っ飛び
壁に大穴が開いた

「まだいたか」

誠矢、坂巻、下田、ゴルドーは
光の出た方向に向かって引き金を引いた
「手応えがあった」4人は窓を飛び越え
その場に駆けつけ当たりを探索するが
併し壊れたライフルが落ちているだけだった

「何だこのライフルは・・」

4人が戻り「艦長犯人の残したものです」

そう言ってゴルドーが敵のライフルを
床に置いた時その大きさが異常である事が解る

「こ・・此は3メートルはあるぞ」

ゴルドーが肩から卸した荷物を見ながら一言
「コレヲ使ッタ犯人ハ人間ジャナイナ」

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夜も更けーーー
招待客達は不安げにしてはいたが
なんと言っても第一線の防衛軍が
守ってくれていて心強かった。

誠矢達が調べて解ったのだが
車は全て破壊されている
そして妨害波により連絡手段もない

「この建物の周辺は森と林に囲まれている」

「チョットした陸の孤島だな」

誠矢と坂巻は周辺の地図を見ながら
防衛手段を相談していた

「しかし地下のオートバイと軽戦車は無事だ」

誠矢が地下に降りて
軽戦車のハッチから中を覗きこみ
「今里、レオールドはいつでも使えるか?」
レオールドとはこの軽戦車の機体名である

「いつでもスタンバイオッケーだ!」

そこに坂巻と春吉が降りてきた
「誠矢、戦車の見張りの交代だぞ」

誠矢は時計を見ながら
「もうこんな時間か・・今里行こうか」

「んじゃあー宜しくな俺は仮眠を取るぜ」
そう言って二人は地下から上階に上がると
そこには白いドレス姿の真耶がライフルを持って
壁にもたれ掛かっていた

そして何故か周りに5人ほどの男達が見える
「君のような可憐な少女に守られてばかりでは
男として情けない我々にも何か手伝わせて欲しい」

「天使だと思っていたらまさかバルキリー
だったなんて、なんて勇ましい姿なんだ」

「真耶さん私は君の為なら戦うぞ」

「私だって」「僕だって」
「どうか君を守らせてくれ!」

真耶は首を振り
「訓練をしてない方が武器を使うのは危険です
私達はこの時のために日夜鍛えています
ですから指示に従い自分の身を守ることが
今は一番の手助けになります」

其れを聞き男達は真耶の手を握り顔を引き締め
「全く君の言うとおりだ!」

「我々は自分の出来る事をするよ」

「ただ感謝だけは受け取ってくれ」

「本当に有り難う」「感謝します」

真耶の側に誠矢は行くと顔を覗き込み
「なっ!何なの誠矢兄さん」

「成長したな真耶、誇らしいよ」

真耶は其れを聞き耳を真っ赤にする
「からかわないでよモー」

「何だかんだで真耶も成長してるんだなー」

その時誠矢は、月明かりに映る2体の影を見つけ
怪しいその影は何処かに跳んで消え去る

「あれだ!」

その影には今里も気が着いていた
「何かロボットみたいでしたね」

「ああ・・今は下手に動かない方がいいな」

「確かに、まだ沢山いる可能性もあるし
陽動だったら流石に不味い」

誠矢と真耶、そして今里の3人は
敵の襲撃に備えて休息を取りに行く

会場内の一角で
赤いドレス姿のイザベルと
タキシードを着た紳士と
シャツ姿になって多少ラフなジョンが
会話をしている

「そうかジョン・・お前があのハヤテの
主要メンバーだとは・・責任重大だな」

「社交界で一部の人間だけは
小田司令と太いパイプが通っている
詳しくは言えないがね」

「お父様の力添えには感謝していると
艦長が言ってました」

「それにしてもイザベルは益々綺麗になったね
おいで私の大切な女神」

クラークはイザベルの頬にキスをしながら
耳元に囁く
『イザベルが真耶様と姉妹の契りを結んだのは
スミス家にとっては朗報だ、良くやってくれた』

『次は兄さんの番なのですけど不甲斐なくて』

『王家の血を引くのは真耶様だけではないよ』

イザベルは父から顔を離し
「お父様、其れは流石に欲張り過ぎですわよ」

やはりクラークスミス氏は
かなり強かな人物な様である。

太陽系防衛隊式典会場<葵の間>

大勢の招待客達は会場となった
この建物の中央に集められていた。

誠矢達が休む場所はやはり
直ぐにでも客達を守れる近場となる
戻ってきた誠矢達に客達が質問する

「我々はどうなるのでしょうか?」

「此処から逃げる事は出来ないのか」

「皆殺されてしまうの?」
明らかに彼等は怯えていた

其れを誠矢は宥めるように
「大丈夫です俺達が全力で貴方方を守ります」

併し婦人の一人が
「うそよ皆殺しにされるんだわ
私は死ぬのは嫌よ誰か助けて!」

誠矢はその婦人に近寄り
「此を」そう言って
自分の着ていた上着を着せた

「まず寒さから守りました」
婦人の顔は真っ赤に紅葉し
誠矢の魅力の前に恐怖などふっ飛んでしまう

「は・・はい!ワタクシ・・命を貴方様に
御預け致します」
他の女性達も誠矢の姿を見ているだけで
今の恐怖は何処かに吹き飛んだ

令子が側に来て誠矢が上着を着せた
婦人に声をかけた
「もう大丈夫ですわね?さあ、
あちらに参りましょう」

誠矢は令子に軽く会釈し後を任せた

「流石だね誠矢君、どんな状況でも君なら
上手く納めてくれるから助かるよ」

「小田司令」

「誠矢君、私も護身用の銃位は携帯している
私には民間人を守る義務があるからね」

「司令危険です司令の身に何かあったら」

「これは防衛軍総司令としての決断だよ」

その時何人かの男性陣が護身用の銃を取り出し
弾を調べ始めた

「ご婦人を守るのは我々紳士の義務だよ
君達は思う存分敵と戦ってくれたまえ」

「随分年寄りなナイトだな足が震えて
るのじゃないかね?」

「何を言うまだまだ若い者には負けはせんぞ」

「例え此処で命を落とそうとも後悔しない
生き方をしたいからね」

「地球人の意地を侵略宇宙人共に見せてやる!」

「それに君達だけでこの大きな施設の
守りを固めるのは難しいだろう」

「全員で協力せねば生き残れますまい」

確かにその通りだ、何より敵に備える
気概が有るのと無いのとでは守る難度が違う
死に抵抗する人間はそれだけで強い

「私も戦うわ銃を貸して下さい」
令子の言葉に誠矢は躊躇するが

「私は小田の娘ですそれに真耶さんや
イザベルさんまで戦って私が戦わない
訳にはいかないわ」

そして何人かの女性達も声を上げた

『とうとう民間人を巻き込んでしまった』
誠矢は意図していない自体に戸惑うが
併しこの局面ではどうしようもない事だった。

_______________________
★付箋文★

東京エリア郊外{自然公園内}
太陽系防衛軍式典会場<葵の間>

ガルスグレーサーの
MM13戦闘型ロボロイド16機が
建物を取り囲むように現れ勝艦長が警戒を促す

「奴等だな・・間違い有るまい」

「数日前、防衛艦を破壊した犯人は
この戦闘ロボロイドだ、強敵だぞ気を付けろ」
誠矢達は戦うことを決意した

非戦闘組である客達の人数73名は客間に集め
この会場に来た客数は153名
つまり約半数が戦う事を選んだ訳だ

誠矢達はバリケードを作って窓から発砲した
併し客達の銃では殆ど効果が無い
戦闘型ロボロイドはレーザーライフルや
ロケットキヤノンで攻撃してきた

爆発音と共に爆風が捲き起こり
堅牢な建物であっても破壊を免れず
多数の負傷者が出てしまう

「これは打って出るしかないな、行くぞ!」
誠矢達戦闘部隊は施設の防衛を客達に託し
敵の主力と直に戦う決死隊となった

だが戦闘型ロボロイドの戦闘力は強力だ
レイガンでさえ強固な装甲には歯が立たない

滝川鏡子がロボに首を絞められそのまま
吊り上げられる、高さ3メートルの
モンスターにとっては容易い作業だ

併しロボの腕が途中から断ち斬られ
鏡子は助かった、誠矢がドラッケンサーベルで
切断したのだ

如何にMM13戦闘型ロボロイドが頑丈でも
ハヤテと同じ素材で高密度に圧縮された
ドラッケンの前には一溜まりもない

両腕を一撃で落とされたロボは
上空に飛び上がる
上から攻撃するつもりだったらしいが
アッという間もなく吹き飛んだ

今里とゴルドーの搭乗した軽戦車
レオールドの砲撃をまともに食らったのだ

「戦車のレーダ反応は16機・・
でも今殺ったのまだ3機目だよな」

13の光点が向かってくるのが見え
そして残る13機が軽戦車レオールドを
集中攻撃し始めた

「ゴルドー不味いぞ・・」
必死で攻撃を避けるがキャタピラを破壊され
戦車は身動き取れなくなる
「ゴルドーヤバイ!!」

「出来ルダケ殺ッテカラ、ズラカロウ!」

「賛成だぜ!」

ゴルドーは戦車から飛び出し
戦車のボディをその怪力で持ち上げ
大砲の斜線をロボに向けると
中の今里がトリガーを引いた
「ファイヤー」

それが見事にロボ1体に命中し撃破に成功したが
そこで限界を悟り二人は逃げ出した
その直後レオールドが大爆発を起こす

また陸上戦闘隊隊長の下田明は
1台のロボの後ろに回り込み、そのロボの
動きに合わせ必殺のバックドロップを決めた
自分の重量と内部の爆発性物質が反応し
ロボは内部爆発で破壊された

「しっかし、重てえ野郎だなー」

次の戦いにカメラを移す
坂巻はロボに飛び蹴りをかまし
ロボの目を破壊した後
他のロボが坂巻を攻撃するのを利用して
同士討ちをさせた

「今日は此だけか・・楽だな」
前回の(12機の殺人ロボロイド戦)に
比べればの話しだ

「残す敵は9機・・オートバイでどれだけ
攪乱出来るか解らないけど、この戦法
下手をしたら私達が殺られますね」

滝川鏡子は黒いドレスを着たまま
クロノスに跨がりエンジンを吹かした

「俺と心中は嫌か?」
誠矢がそう冗談を言うと

「大城総戦闘隊長なら
地獄の果てまでお供致します」

「そうか・・じゃあ行くぞ」
誠矢と鏡子の乗る2台のバイクは
大地を蹴って走り出した

戦闘ロボロイドは1台を中心とし
4台が合体した全方位攻撃多足型になり
ライフルを乱射しだした

2台のクロノス{バイク}は鎖で繋がっていた
此でロボの足を引っかけ(ひっくり返す作戦)だ
此は二人の息がピッタリ合わなければ
どちらかが、引っくり返ってしまう

全方位攻撃合体ロボの多足を
バイクの加速で攪乱し攻撃をかわしながら
2台が同時に大回転して敵の多足に鎖を丸く
円を描きながら巻き付け
合体ロボロイドを地面に転倒させた

転がったロボロイドは満足に反撃できず
誠矢と鏡子の熱線系のブラスターガンを
長時間浴びせ続けられ、其れに寄り
電子機器が発熱でショートを起こし
其れが切っ掛けで内部の燃料に引火し
爆発炎上、一気に5機が撃破される。

同時刻
2台のロボロイドが真耶にライフルを
発射したが思念バリヤーで防ぎ無事だった

併し、如何に真耶でもバリヤーの中から
敵を攻撃出来ない、だがその2台も
後から小原、西沢、春吉、流水達が
レーザーライフルを乱射してケリを付けた。

残る2台も
ロケットミサイル攻撃の為
空に飛び上がったところを
清水、梅岸、岩川、岩表に
ロケットミサイルごとライフルで
撃ち抜かれそのまま

40m程の高さから叩き落とされた
このキルMM13戦闘型ロボロイドは
外部からの攻撃には強いが
衝撃には弱い、此で一通り決着が付く

「終ワッタ終ワッタ」

「案外まだ2台くらい居たりして」

ゴルドーと清水の所にバイクで駆けつけた
誠矢はエンジンを止め
「清水今の話は本当か?」

清水は肩を竦め
「ほらフライキラーが18機編成でしょ?」

西沢はそれに突っ込む
「んじゃあ戦闘機のガルスファイターは?」

「あっ15機編成だな」

次の瞬間、一同から笑いが起きた。

木星奪還記念(式典事変簿)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★

木星奪還祝賀パーティから1週間後
それに引き続き記念式典が盛大に執り行われた
太陽系防衛隊本部がある
東京港に式典会場が用意される

式次第プログラム

一、開式の言葉
一、国歌斉唱
一、区歌斉唱
一、開会の辞
一、代表挨拶
一、来賓挨拶
一、祝辞・祝電披露
一、勲章授与・記念品贈呈
一、本人・主催者の謝辞
一、閉会の挨拶


・木星奪還作戦に参加した
全防衛隊艦隊による
白い雲を割って空からの登場に
会場に摘め寄せた全ての観客が息を呑む
防衛隊音楽隊が見事な演奏を奏でる中

金剛艦隊と長門艦隊が海の上に鮮やかに
着水し防衛隊が誇る大艦隊が一同に揃った

そしてその中からただ一隻
港に向かう駆逐艦が有る

<ご覧下さい多くの味方戦艦を
敵の魚雷から救った大英雄の姿を!>

<その数実に257発もの魚雷を撃ち落とした
我等の英雄戦艦、その名はハヤテ・・
地球最新鋭の神風型駆逐艦ハヤテです!>

会場内から割れんばかりの拍手が鳴り響く
どんな戦艦であっても対艦魚雷一つで撃沈する
駆逐艦の役目は決して低くはない

木星の戦いでただの1隻も
戦艦を撃沈させなかった、その功績は大きい
その理由は次の戦いで地球は無傷で
ガルスグレーサーの大艦隊と対決できるからだ。

太陽系防衛軍総司令官と言う立場は
それこそ大統領にも匹敵する権威を持つ
小田司令の言葉は全防衛軍の魂に響く
名演説だった

会場からはまた割れんばかりの拍手が鳴る
式典に全ての艦長が勲章を贈与されるために
主賓席に勝艦長が座り、その隣には
金剛艦長の姿もあった

金剛艦長は心中穏やかではない
最新鋭艦のハヤテが予想以上の活躍を
したせいで、勝艦長を悪く言い難くなった

「そう言えばこの前の祝賀パーティでは
私が帰った後大変だった様ですな
何でも敵のスパイが襲ってきたとか」

(金剛艦長は酒に酔い潰れ早々に
取り巻きと一緒に幸運にも会場を後に、
と言う事に成っていた)

「残念ですなこの私が居たならば
そんな無法者共只では済ませませんでしたぞ」

「そんなことは若い者に任せ我々は
精々足を引っ張らないように用心するだけでいい
呉々も若者の足を引っ張るなという事だ」

式典様に海防の白い礼服を着た勝艦長が
同じく礼服に身を包む金剛の艦長に返事を返した

「何ぃ・・私が足手まといだとでも?」

勝は金剛の艦長を睨みつけた
「此は警告だ・・若い奴等の足手まといに
成りたくなければ大人しく任務だけ果たせ!」

その勝の目が余りにも恐ろしく金剛艦長は
背筋が凍った

『な・・なんだこの敵意は!?いきなり
何だというのだ!?』

口が渇き上手く息が出来ない
完全に勝流水の覇気に押し潰され
心臓の動悸が治まらないのだ
「あ、ああ・気に障ったなら謝罪する」

だが勝の圧力は消えなかった

「も・・申し訳ない・・」
フ・フン!・こ・ここは負けた
振りをしてやる、どうせ直ぐに
こんな屈辱挽回できる!!
今に思い知らせてやるからだ

もう直ぐだ・・もう直ぐに・・
金剛艦長は確実に何かを企んでいた。

______________________
★付箋文★

小田司令が壇上から降りようとしたとき
突然数人の武装した隊員が走りより
小田司令を取り囲んだ

式典会場が突然の事態に騒然となる
そして其れと同時に100人程の
武装した防衛隊員がなだれ込み
式典会場をそのまま占拠した

この様子はテレビ中継で全世界に
生放送されていた
テレビ局は事態の状況を考慮し
直ちに放送を中止する。

そして貴賓席に座る賓客も人質に取られてしまい
その場を警護していた隊員も手出し出来なくなる
そこに金剛の副長が壇上に現れこう言った
<金剛艦長準備が整いました
壇上にお上がり下さい>

「どうやらお膳立てが整った様だな
それでは勝艦長、貴方と司令との不正を
暴かせて頂きますよ」

金剛艦長はそう言うと席を立ち
小田司令が拘束されている壇上に向かって
上がっていった
勝艦長は何も言わず金剛の艦長を見送る

『ふん!どうだ思い知ったか勝流水!』

この一歩一歩が権力に駆け上る為の
偉大な一歩となる
その想いを噛みしめながら彼は
壇上の上に立った。

そこから見下ろす風景は彼が待ち望んだ
まさに理想の世界

<突然の非礼お詫びする、だが
各国からお越しになっている
賓客の方々がおられる前で
どうしてもお知らせしたい事があるのです>

『いよいよだ・・いよいよ小田司令と
勝流水による談合と不正を暴く時が来た』

金剛艦長は此までにあった

一、ハヤテの建造費の不正
一、ハヤテ基地建設に置ける談合問題
一、補給物資の横流し疑惑
を取り上げた

<他にも多々有りますが此だけでも
小田司令の犯した数々の職権乱用と
怪しい資金の流れは全てハヤテという
疑惑の存在に集約されており
その犯罪性は間違いのない事実です>

<私は今此処に小田司令とハヤテの艦長である
勝流水を糾弾致します>

『どうだ勝流水、これで私の勝ちだ!』

金剛の艦長の告発に来賓の各国の
重要人物達がヒソヒソ話しをしている

そこに手を挙げ意見を述べたいと
居だした人物がいた

それは、日本の最高権力者であり
占拠により選ばれた自衛党党首
内閣総理大臣・神崎歳光である

<おお此は此は!神崎総理大臣
良くぞ手を挙げてくれましたな
歓迎いたします、どうか御発言を>

<誰か総理にマイクを>

金剛艦長が指図すると
恐らく戦艦金剛の搭乗員の一人だと思われる
礼服を着た男がマイクを総理に手渡した

其れを受け取り総理は口を開く
<金剛艦長、私は居うまでもないが
この国の総理大臣でありもう一つ
大きな役目がある者だ>

<それは防衛軍最高指揮官としての顔だ
その私が命令する、直ちに武装解除し
このような愚行を止める事だ>

金剛艦長は顔を歪め総理に反論する
<待って下さい、私の話を聞いて
おられなかったのでしょうか?>

<聞いていればその様な態度は
御取りになられないはず>

<小田司令と勝流水の犯罪行為は動かない事実
どうしてその様な態度をお取りになられるの
でしょうか?>

そして貴賓席に座る他の艦長の顔を見て

<そうです、総理の隣に座る他の艦長も
私と思いは同じ筈、どうかお聞き下さい>

突然話を振られた総理の直ぐ隣の席に座る
宇宙戦艦長門の艦長が総理からマイクを譲られ

<マイクを譲られましたが、自分は話すのが
其れほど得意ではない、それでも
金剛艦長の言う事に思うところはある>

金剛艦長は破顔して喜ぶ
<おお!どうぞお話下さい私腹を肥やす
許せぬ巨悪を暴いてやりましょう!>

<まず・・金剛の艦長は、新鋭艦ハヤテが
防衛軍に参加してからと言うもの
あのガルスグレーサーに地球が突然
勝ちだした事実をどう考えているのか
それを御聞きしたい>

金剛艦長は思いもしなかった事を言われ
言葉に詰まった

<そ・・それは、確かにそうかも知れないが
偶然だろう?たかが駆逐艦が1隻加わった所で
戦局に影響など!!>

<だが現実に起きている事だ、何より
火星も木星も、殆ど地球に犠牲を出さず
奇跡的に取り戻した小田司令と司令部の
大戦果を貴殿はどう考えるのだ?>

<まさか自分一人の手柄だとは言うまいな
金剛艦長殿>

<そーーそれは・・・>

<今回の木星奪還作戦ではハヤテの活躍の御陰で
本当に目の見える形で我々は命拾いした筈だ
その大恩人に対しこのような仕打ちとは少々
不義理が過ぎるのではないか?>

長門の艦長の言葉に他の艦長等も
頷きながら拍手で応えた

<バカな!それと此とは話が別だ!!
正気の沙汰ではない>

<其れを言うなら恩人の揚げ足取りで
自分の株を上げようとする貴方は
相当正気の沙汰ではないがね>

金剛艦長は鶏冠に来た
『何故だ何故この俺が責められるのだ
こんなのはオカシいぞ!オカシすぎる!!』
人生最悪の羞恥と屈辱を味わう金剛艦長

想像したのと違う展開・・だが
今更後戻りは出来ない

(此は警告だ・・若い奴等の足手まといに
成りたくなければ大人しく任務だけ果たせ!)

『何故・・あの時の勝流水の言葉を思い出す?
あの警告に従うべきだったのか?』

併し最早・・手遅れ・・

その時だった、突然只一隻港に入った
新鋭、神風型駆逐艦ハヤテに向かって
謎の輸送ヘリが6機接近する。

<そこの未確認ヘリにつぐ
本艦にそれ以上接近した場合
自衛権を行使し撃墜する>

駆逐艦の主砲としては細すぎる
ハヤテの3連3門の砲門が
接近したヘリに狙いを付ける

だがその威力は宇宙魚雷を200発以上
撃破した実績からも明らかだ
そして金剛艦長に滅私奉公していた
あの副長が突然豹変し

金剛の艦長からマイクを奪い取ると
思いも寄らない事を言い出した。

<宇宙駆逐艦ハヤテにつぐ!抵抗をやめろ!
さもなくば人質の命はない!>

金剛艦長はいきなりの事に
この男は何を言っているのだと思った

<やめろ副長!
これではまるでコッチがテロリストだ
我々は悪まで組織の不正を正す
告発者でなければならない>

だが副長は金剛艦長の顔を殴り
取り出した銃の銃口を、その額に
押しつける

「なっ何の真似だ貴様!」

小田司令が金剛艦長に教えた
「まだ気が付かんのかね君は?」

総司令の言葉に金剛艦長は戸惑う
「小田総司令・・どう言うことですか?」

「その男は防衛隊の人間ではない
その正体はガルスグレーサーのスパイだ!」
その正体を聞かされ金剛艦長は
自分が填められていた事にやっと気が付いた

「我が金剛の将兵達よ!この副長は敵の間者だ
武装解除しろ今直ぐに!」

だが、金剛艦長に従う者はいない
「何故私の命令を聞かない?ま・まさか!」

「そのまさかですよ艦長、此処にいる
100名近い戦艦金剛の乗組員は全て
ムーの末裔に連なる者達なのです!」

「まさに獅子身中の虫とはこの事でしょうが
今更我々の正体に気が付いた所でもう遅い」

副長は勝ち誇って言い放つ
「此ほどの人質が居るのだ如何に無敵の
ハヤテといえども抵抗出来まい!」

「我々ムーの末裔は此より
ガルスグレーサー帝国軍に仇なす悪魔の船
ハヤテを拿捕し巨人様に献上する!」

金剛艦長にはこの男が何を言っているのか
全く理解は出来ないが、間違いなく
自分が利用されたせいで大変な事態に
成っている事を自覚した

「こ・・こんなバカな!・俺はただ・・
正義を防衛軍を救いたかっただけだったのに」

小田司令は静かに、だが厳しく一言
「その思い上がりを敵につけ込まれたのだ」

「うぐぬぬぅうう」金剛艦長は涙を流しながら
膝を崩し、嗚咽して泣き崩れた

「泣きたいのはコッチだぜ」
そう小さく呟きながら金剛隊員の一人が
小田司令の後方にスタンバった

「さあ同士諸君、直ちに
本命の獲物ハヤテに乗り込み
迅速に艦内を占拠せよ!」

副長を名乗っていたこの男の名は
ムーの末裔の幹部の一人アダナス
この作戦でムーの末裔は殆どの
防衛隊に潜入させていた人材を投入して来た

だがそうするだけの価値はあった
ガルスグレーサーの巨人様方は今は
信じようとしないが此処の所の悪夢の元凶が
ハヤテという王家の船だと判明すれば
必ずや考えを改めて下さる

其ればかりか此ほどの成果を上げれば
我等ムーの末裔を巨人族の末端に受け入れて
下さるに相違いない、其の手土産に
ハヤテを献上するのは最良策である。

6機のヘリからロープがー垂れ下がり
ハヤテの甲板に次々に降下兵が乗り込んでいく
そして艦内に突入し次々にハヤテの区画を
占拠していくのだが、おかしな事に
全く抵抗がない、まるで最初から
無人だった様にだ。

その報告を受けてムーの末裔リーダー・
アダナスは渋い顔をした
『む・・無人だと?だとすると
ウルフシューター将軍が予言したロボット艦の
可能性が当たったと言う事なのか?』

「ハヤテ内部の写真を念のため撮って本部に送れ
それと本当に誰もいないか艦内捜索を徹底させろ」

アダナス・リーダーは元宇宙戦艦の副長だった
経験を生かし適切な命令を部下に与える

「もしもの時の為にプロトニック743を
2つ程仕掛けて置け、艦橋とエンジンルームにだ」

この会場にも、当然ながら743を仕掛けた
此は行きがけの駄賃だ・・アダナスは
凶悪な笑みを漏らす
「此処にいる人質全員をプロトニック743の
餌食にしてやる・・」

これで地球の防衛力は壊滅的な打撃を受け
ガルスグレーサー帝国が勝利するのは間違いない
その最高の功労者は我等ムーの末裔なのだ。

______________________
★付箋文★

小田司令がアダナスに
「もう良かろう、演じ者の下手な
出し物ほど退屈な物はない
この茶番もそろそろ御開きにしよう」

「何!?」

そう言った瞬間
小田司令を拘束していたムーの末裔の兵隊が
至近距離で背中から撃たれた

「何ぃい~~っ」

アダナスが振り返るとヘルメットを
外した、強面の顔をした男が
硝煙をあげる銃を構えて立っている

「き・・貴様は・・
  鬼瓦少尉!?」

「馬鹿な何故此処に奴が?ムーの末裔以外の
隊員は全員教団の営巣に拘留している筈だ」

鬼瓦は鼻で笑い
「それなら話は簡単だ、軍警隠密部隊の
皆様が教団の施設を強襲し貴様等を全滅させ
既に人質は解放されているのだからな」

「軍警隠密部隊だ・・と・・?」

「まさかあの噂の、一人一人が坂巻流の有段者で
構成されていると言う秘密部隊か!?」

「正にその部隊だ」
何ヶ月も前から金剛艦長の動向が
怪しいと、軍警では密かに捜査していたのだ
鬼瓦少尉は金剛艦長支持派だった過去の
経歴を利用し(密偵)として働いていたのだ

「ムーの末裔が絡んでいると解ってからは
軍警と協力し貴様等の施設を見張っていた
そして大型トレーラーが数台施設内に入った
時点で隠密隊が強行突入したのだ」

「200人近い戦艦金剛の隊員達をガスで眠らせ
監禁するとは余りに大胆過ぎる行動だったな」

アダナスにはまだ余裕があった
「それがどうした?人質ならば
此処にいる世界各国の重要人物達の方が
遙かに価値は上だ!」

「さあ人質を殺されたくなければ
抵抗をやめろ!」
そう凄んで鬼瓦を睨みつけるが
そんなアダナスを鬼瓦はガハハと笑う

「貴様何がオカシい!?」

「此が笑わずに居られるか
何故貴様等を好きに遊ばせてやったと
思っているんだ」

「ぬぁ~に~??」

鬼瓦が啖呵を切ると同時に
数十もの転移ゲートが会場内に突如出現した
その中から走り出てくるハヤテの戦士達

例え人質をとっていても
こんな事態に即座に対応できる人間はいない
ゲートから出現したのがゴルドーを始め
西沢に長崎、下田などという素手で
人間を挽き肉のミンチにしてしまう
怪物が含まれているなら尚更であった

ゴルドーは登場と同時に
目の前で銃を持ったムーの末裔の兵を
まずケリで20メートルほど蹴り飛ばし

下田明は銃を持った敵兵を
構わずその握力で掴まえては
頭蓋骨を叩き潰すという具合で

その地獄絵図に比べれば
西沢や長崎が敵兵の首を逆方向に向けて
殺害するのが優しく見える

更に戦艦金剛の隊員を救出した
隠密部隊の面々も参戦して
ムーの末裔共を確実に急所を潰し乍
即死させていった

式典会場はハヤテの戦士達にとって
絶好の狩り場と化した
「貴様等は下手に生かして置けば、どんな
反撃をするか解らないから必ず仕留めろとの
大城総隊長のお達しだ覚悟して貰おう」

小原{戦闘班副長}はそう言うが早いか
自分に銃を向け撃とうとした敵兵の目を指で突き刺し
鼻を肘で陥没させ喉を1本指を立てる貫手で突き
とどめを刺す

だが敵の中にも格闘技をやっている有段者が
含まれていたが、そう言う相手には
ジャック・ゴルドーが喜々として相手をつとめた

体の大きい敵兵を掴まえ鯖折りにすると
そのままバックブリーカーで脳天を砕いた

この地獄の状況に冷静沈着をもっとーとする
アダナスも我が身の危険をいち早く悟り
ヘリを呼んでロープを掴み急いで上に昇り
何とか難を逃れる

「いかんな此は、このまま金剛に向かえ!」
ヘリがアダナスの命令で宇宙戦艦金剛に向かう

「己・・このままでは済まさんぞ」

ヘリからの無線でハヤテを占拠した
強襲部隊の隊長に命令する

「ハヤテの主砲で式典会場を直ちに砲撃せよ
自分達の希望の船であの世に送ってやるのだ」

「了解!」

ハヤテを乗っ取った敵部隊の隊長は
艦橋の攻撃席に座ると式典会場に主砲の
狙いを定めようとする

だがその寸での所で転移ゲートが現れ
ハヤテのメンバー達が躍り出る
まず誰よりも早く響が操縦席に座る敵兵を
キックで蹴り飛ばした

「俺の駆逐艦チャンに触るんじゃねーっ」

蹴り飛ばされた敵兵が腰に手を伸ばし
響に銃を撃とうとしたが

突如として脳天に銃で風穴を開けられる
だがそれは本当の銃創ではなく
坂巻流銃拳による損傷だった
つまり此処に現れたその{人物は}

この場にいるムーの末裔達の絶望に
歪んだ顔が全てを物語る
「さ・・坂巻進吾・・だ」

坂巻は攻撃席に座っていた隊長の男を
44口径相当の銃拳で撃ち抜き席から退かせた
そして他の敵兵も坂巻に応戦を試みるが

「貫通連弾!」4人程重ねて心臓を貫く
坂巻の銃拳の威力を見たとき反撃する気が失せる
そして我先に艦橋から飛び出し逃げ出し始めるが

坂巻の後ろに転移ゲートが出来ると
中から会場から駆けつけた
小原{戦闘班副長}が現れる
「坂巻さん此処は俺に任せてヤッテ下さい!」

坂巻は方手を上げて小原に応えると
艦内に潜入したテロリスト共を一掃しに向かう

敵の脅威が無くなり艦橋を取り戻した
ハヤテの乗員達は次々に席を埋める
「全く人の席を土足で踏み荒らしやがって」

「後で取り戻せると解っていても
ゲートで留守にして出て行くのは
本当に嫌だったよな~」

「遠隔操作で動かし敵の目を誤魔化してはいたが
・・もしバレて破壊されたらと思うと気が気じゃ
なかったよ」

響と小原はそう言いながら自分の席を
大事そうに撫でた

「それはそうと、この爆弾
転移でさっさと飛ばして下さいよ大城総隊長」

小原は何処かに向かって
大城誠矢に呼びかけた
誠矢が居る場所は当然ガードミラーリングで
姿を遮蔽したハヤテの第一艦橋司令室だ

「まあそう急かすな、敵の爆破コードが
来るのをもう少し待て」

「早くして貰って良いですか?
尻がムズムズして落ち着かないんです」

「だがベストのタイミングじゃないと
意味が無くなる」誠矢が繰り返し言う
そのベストタイミングとは。

_______________________
★付箋文★

坂巻進吾が第一艦橋から一歩出ると
ハヤテを占拠したムーの末裔の強襲部隊が
一斉に銃撃をしようと狙いを定めた、が

「奴が居ないぞ!」

坂巻進吾の姿は狙いを付けた場所には既に無く
気づいた時には天井を走り
全身から魔導気を放出する全解放状態で現れ
突入部隊に向かって突撃した

魔導気と衝突した人体はその衝撃波で
無惨に破壊され木っ端微塵となる
頑丈な防弾服ごと四肢がもげて
頭部が宙を舞いながら四散していく

「坂巻流魔導拳{奥義螺旋弾丸!}」

狭い艦内でこんな攻撃手段を自由自在に
用いられたらどんなに訓練された
屈強な兵隊でも一溜まりも無い

最後に五体満足で艦内に立っていたのは
技を使った坂巻一人だけとなった

「この技は他に味方が居ると使えない
大量殺戮技だからな・・滅多な事で
使用出来ないんだ」

ムーの末裔が偽装艦ハヤテに送り込んだ
30名弱の強襲部隊は坂巻進吾の前に
一溜まりも無く全滅した。

_______________________

そして、ヘリの中ではムーの末裔の
大幹部アダナスがハヤテに送り込んだ
突撃部隊の全滅の報を聞き顔色を失っていた

「ば・・馬鹿な!全滅だと?
一体どうやって奴等はハヤテを
奪還したと言うのだ?」

「可笑しいぞこれは・・幾ら何でも
可笑しすぎる!」
アダナスは冷静さを失ってはいたが
この状況が異常であることには気が付いていた
「そうだ・・奴等が使っているのは
転送ビームではなく、其れより遙かに高度な
転送技術だ、こんなもの地球人が持っている
筈がないぞ!」

その分析が外れて居ないことは直ぐに
判明する事になる

<地球の友よ・・私は銀河の盾代表アストラ>
その言葉と共に遮蔽を解いて
美しい虹色の光を纏った銀河円盤が姿を現した
銀河円盤の出現にその場の全ての者達の目が
釘付けとなる。
<我々は地球に2つ要望があり
この場に駆けつけた>

その時ヘリが丁度、宇宙戦艦金剛に収容され
艦橋にアダナスが到着し艦長席に座る

「アダナス様!あれは銀河円盤です
間違い有りません!」

艦長席に座ったアダナスは銀河円盤を凝視する
「そんな事は言われずとも解っておる」

どうりで地球の防衛軍ごときが
アレ程高度なテクノロジーを使える訳だ
種を明かせば何の事はない
銀河円盤が裏から手を貸していたからだった
『だが疑問だ何故此処で、銀河円盤が
突如として出しゃばってくる!?』

銀河円盤の介入はアダナスにしてみれば
寝耳に水の事だった、だが銀河円盤の
<我々は地球の代表諸君と交渉の場を
用意して頂くために転移ゲート技術を
一時的にお貸しした>と言う説明を聞き

「成る程そう言うことか・・銀河円盤は
恐らく我々ムーの末裔に興味はない
銀河連邦憲章では同じ地球人同士の争いには
一切干渉しないという禁止事項がある」

「然るに我々から直接、銀河円盤に攻撃でも
しない限り奴がこちらに手を出す事はないのだ」
だとしたら、銀河円盤に此以上邪魔される前に
ハヤテを破壊してしまえ!

「ハヤテに仕掛けたプロトニック743は
まだ二つとも撤去されておりません」

「恐らく撤去作業が難航しているものと
思われます」

まあそれはそうだろう、下手に爆弾を解体すれば
アレは起爆コードが勝手に作動する仕組みだ!
「よし!起爆コードを送れ」

「了解です!」

「コード送信!」

宇宙戦艦金剛の第一艦橋内から間違いなく
起爆コードが送信される

ピィイイイイイ「来ました!敵からの起爆コードです」

其れを待っていた大城誠矢は直ちに
最も有名なガルスグレーサーの小型核爆弾
プロトニック743を銀河円盤の船体に
命中させる形で転移させた

その二つの光は多くの人々の始終監視の元
間違いなく銀河円盤への攻撃として目撃される。

______________________

「馬鹿な!違う!違うぞ!アレは銀河円盤が
わざとああなるよう仕組んだのだ!」
アダムスはまんまと銀河円盤のアストラに
填められた事を理解した。

「奴はこのタイミングを待っていたのだ」
今の起爆コードは間違いなくこの金剛から
送信されたと言う記録が付いた
これはムーの末裔が銀河円盤に対して
明らかに攻撃したと言う動かぬ証拠となる

案の定、銀河円盤のアストラがそれを利用した
<今の攻撃は我々銀河の盾に対する明らかな
敵対行為と認識する>

<ガルスグレーサーの小型核爆弾で
銀河円盤を攻撃した事は許し難い
我々銀河の盾はムーの末裔と名乗る
テロリストをガルスグレーサーと同一と
たった今認定した>

決定的な言葉だった!もうこれは覆らない
たった今(ムーの末裔は)銀河の盾を
敵に回してしまったのだ。

「は・・填められた・・此はもう・・
取り返しが付かない!」
間違いなく銀河円盤と地球の防衛隊は
結託している何もかも計算ずくの事だと
アダムスは確信する

「こうなれば是非もなし宇宙戦艦金剛の力で
ハヤテだけでも沈め、我等の意地を
見せてやろうぞ!」

「只では終わらぬ!喰らえ!」
金剛の主砲が火を吹き
ハヤテに命中すると思った次の瞬間

ハヤテの主砲に転移ゲートに似た
光の輪が発生し其処から
真のハヤテの主砲・50センチ・
アレキサンドライト・カノン3連3門が
一斉に火を噴いた

その威力はその細身の砲塔から発射したとは
到底考えられない絶大な破壊力だった
金剛の発射したか弱いエネルギー砲など
全く問題にもならず、まるで無かった様に
掻き消された

命中したハヤテの主砲により
金剛の装甲が紙の様に引き裂かれ
威力が大き過ぎるが為に
艦体がくの字に折れ曲がりながら
太平洋上まで運ばれ哀れにも真っ二つに
へし折れるなか・・

アダナスは凄まじい衝撃と閃光に襲われ
ガルスグレーサー万歳と讃えながら
壮絶に絶命したのだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★

「何だ・・あの馬鹿みたいな威力の主砲は?」

それは目撃した長門の艦長だけでなく
全ての艦長達の嘘偽りのない感想だろう
最新鋭とは言ってもハヤテは駆逐艦だ

「小型艦であの破壊力はあり得ない
・・だが・・そうか銀河円盤が何かしたのか?」

『或いは銀河円盤がハヤテに化けているとか』
其処まで憶測する艦長迄も居た

「そうだ・・銀河円盤がハヤテに手を
貸しているのだったな」
長門の艦長だけではなく他の艦長の
殆どがそう思った

「そうなのですね?勝艦長」
だが注目される勝流水は何も応えず
この沈黙は了承と受け取られる

敵味方共にハヤテではなく
やはり銀河円盤に最大の関心が向いた
{此で今までハヤテでやらかした
色々な身バレを回避できる筈だ}

誠矢は銀河円盤という架空の存在で
ハヤテの正体を覆い隠す為に
ムーの末裔の計画を最大限利用した。

そして此処から外向的な大芝居を
誠矢はうたなければ成らない
式典会場の壇上に転移ゲートが現れ
中から異星人らしい人物が姿を現すと
頭上には銀河円盤が静止した状態で浮いている

その姿は銀のマスクを付け
長いコートを着た黒装束姿の
身長も2メートル以上ある人物
だが実際の中身は・・大城誠矢である

春吉{科学班長}が強化スーツを
それらしくアレンジしたのだ
誠矢の声は(変声器)で変えられている

<初めまして私が銀河の盾代表で
大使を務めるアストラです>

壇上には小田指令を始め各国の代表が列をなした
その中で議長国である日本の総理大臣
神崎歳光が代表してアストラと握手を交わす
その歴史的な映像を放送を再会させたマスコミは
全世界に向け大々的に報道した。

<大ニュースです>

<本日の式典がまさか此ほど重要で
ダイナミックな事態に成ることを一体誰が
予測出来たでしょうか?>

<銀河円盤はやはり実在しました
なんと今我々の目の前に現れたのです>

<そして銀河の盾という
異星人組織の代表を名乗る人物
アストラ大使が今、世界各国の代表と
握手を交わしました>

<一体彼の目的は何か、全く予測が付きませんが
ガルスグレーサーの脅威から我々を救う救世主か
はたまた更に恐ろしい地球人類の脅威なのか
今その真相の全てが明かされるのです>

興奮したテレビ局のアナウンサーが
早口で報道する

「如何なる意図で地球に来たのか
お聞かせ頂けますか?」
神崎総理の質問に

<我々銀河の盾は銀河連邦の方針を
誤りだと判断しました>率直に
アストラ大使がそう答えた

「誤りとは一体どのような?」

<ガルスグレーサーは地球侵略を足がかりに
最終的には銀河そのものを侵略する野望が
あると銀河の盾は判断します>

会場にいた多くの聴衆から驚愕の声が漏れた
「ガルスグレーサーが銀河征服をもくろむと
そう仰るのですね?アストラ大使」

<その通りです、故にガルスグレーサーの
大規模侵攻に対し銀河の盾は武力行使を
否定しません>

「確かに、銀河の盾は既に
大規模侵攻しようとしたガルスグレーサー艦隊を
銀河円盤の驚異的な戦力で追い返して下された」

<本当はあの場で彼等を殲滅する事も考えました
我々の戦力は其れが十分可能です>

神崎総理は、殲滅を止めたその理由を
アストラ大使に聞いた

<ガルスグレーサー兵の多くは
実は侵略され強制的に戦わされている
奴隷兵だと解ったからです>

「奴隷・・ですって?まさか!?」

<ガルスグレーサー艦隊の旗艦グレートガルスを
ハッキングして得た情報です間違い有りません>

<今から手に入れたデーターを開示しますので
心して御確認下さい>

アストラ大使はガルスグレーサーから得た
最高機密の情報を惜しげもなく
地球全体の電子的情報網に開示した
最早この情報に関しては一般人でも
インターネットでも観覧可能な情報となる

其れを耳打ちされ神崎総理は苦笑いをした
「出来ればこういった重要な機密情報は
政府筋だけで止めたい物でしたな」

<失敬した>アストラ大使はその一言で済ませた

<私の言葉が真実なのは確認出来ましたか?>

「ハイそれは確かに、ガルスグレーサーが
星を侵略してその星の人々を従属奴隷化し
次々に奴隷星人を量産する方法で
軍事力を強化してきた巨悪だと言う事実は」

「併し、だからと言ってガルスグレーサー
帝国軍との戦争で手を抜く事は出来ませんよ
地球の自由と平和を守る為に我々も
自衛する権利があるのですから」

<自由と平和は戦って獲得するもの・・
私もその考えは同じです>

<ですがガルスグレーサーを壊滅させれば
そうした多くの奴隷達をも殺害する事になる
其処で・・銀河の盾はそうした奴隷兵に
ガルスグレーサーから逃亡するよう
呼びかけました>

「つまり仰りたいのは?」

<そこで逃亡兵を一時的に受け入れる
場所の提供を地球にもお願いしたいのです>

「ガルスグレーサーから亡命した者を
一時預かれと言う事ですか!?」
それは受け入れ難い提案である

「心情的にもそれは出来ない!」

神崎総理の言葉に各国の代表も同様に頷く
「一体どれ程の地球人がガルスグレーサーに
殺されたと思っているのだ・・何十億と
殺害されている、」

「例えガルスグレーサーとの
戦争で勝利したとしても惑星国家として
立ち直るのも難しい程に世界は荒廃した
我々には他人に手を差し伸べる余裕など
有りはしないのだ!」

アストラ大使は火星の映像を空間に映し出した
<手を差し伸べる?一方的に支援などする
必要はない、何故ならガルスグレーサーの
科学力なら火星を地球科学の200倍の早さで
テラフォーミングする事が可能なのだから>

「200倍!!」

<火星を皮切りに太陽系にある
人の居住可能な惑星は全て
その速度で地球環境に改造可能だと
帝国の情報を分析して判明しました>

「ですが労働力はどうすれば?」

<そうした人材はガルスグレーサーから
亡命した彼等自身がやってくれる>

<大戦後、地球とガルスグレーサーから
帰化した人類で同盟を結び
地球が銀河でも有力な勢力となるのが
双方にとって最も望ましい平和的な未来
に繋がると我々銀河の盾は期待します>

アストラは地球全体に呼びかける様に話した
<私はガルスグレーサー全てを敵にせず
諸悪の根元である巨人だけを滅ぼすのが
最も有益な手段であると確信する>

テレビ局のカメラが此処ぞと秤に
壇上のアストラをズームで映す
<そのためにガルスグレーサー星帝軍を
内部崩壊させるのです>

<まずその手始めに無人の火星コロニーを
一時的であれ難民の受け入れ先として
提供して欲しい>

「ですが・・ガルスグレーサーの逃亡兵が
其れを利用し火星を我が物にしようと
するのではないですか?」
総理の不安にアストラは
<当然、武装解除させ地球の管理下に
置くし、もし彼等が艦隊で火星を
攻撃する動きを見せれば
我が銀河円盤で殲滅するだけだ>

アストラの顔は見えなくても
此までの行動と覇気を込めた声を聞けば
其れが只の脅しでない事が解る

<ここで公言するが
逃亡した兵を追ってガルスグレーサーが
銀河に送った艦隊はその理由に関わらず
我が銀河の盾が全力で壊滅させる>

この宣言はガルスグレーサーからの
逃亡兵にとっては願ってもない
最も聞きたかった言葉だ

他ならぬ銀河円盤という超戦力が発する
言現実行主義者の言葉は実に重い。
<銀河の盾がやると言った時は必ず実行する!>

「火星コロニーの件は恐らく前向きに
検討されるでしょう・・それ位
銀河円盤という存在は地球にとって
大きいからです」
神崎総理の言葉にアストラは
<感謝します>と一言発し次の話題に進む

<そして二つ目の要請が・・
銀河の盾の権限に寄り地球にも外銀河に出る
エンジン開発を正式に解禁する>

「いや・・それは銀河連邦に禁止されて」

<銀河の盾が許可する開発して構わない>
この二つ目の要請は地球にとって
願っても無い事だった、二つ返事で
此も正式に検討する事になる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★

アナウンサーは興奮した声で視聴者に伝える
<今壇上でアストラ大使は神崎総理と
固い握手を交わし、最後は民衆に手を振って
熱烈な拍手を受けながら転移ゲートで
銀河円盤へと戻られます>

炊かれる無数のフラッシュに照らされながら
銀河円盤は地球外に悠々と去っていった。

「何とも気持ちの良い人物だった」
神崎総理は後に記者団の質問で
アストラ大使の印象を聞かれて
そう答えたという。

「我々は銀河の盾という文字通り
力強い後ろ盾を得た、此から新たな時代の
到来を見据え政治を変えて行く所存です
どうか地球国民の皆さんに応援して頂きたい」

こうして地球はガルスグレーサー戦役の
終盤を向かえた。

そして悪夢幻の如く
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★

ハヤテ基地、地上施設(サロン)

この後、誠矢達は新しい問題を抱え込んだ
どこで調べたのか誠矢とメンバーに向け
恋文や感謝状、自分の経営する会社への引き抜き
とくに春吉さんにアプローチする
企業の熱意は相当な物だった

「また電子メールでのラブコールか
此では満足に実験も出来ないよ」

大城誠矢は更に過酷な状況である
ラブレターがそれこそ1日に100通を超え
王族や貴族の社交界に誘う書状に無視も難しい。

電子メールの着信音が冗談みたいに連日続き
全く鳴り止まない
「コーヒーを飲んでる暇もないな」

そこに滝川鏡子が、坂巻と景子と一緒に
慌ただしくやってきた。
「逃げてきたのか・・皆・・」

誠矢は絶望的な気持ちになる
「大丈夫ですか皆さん!」

小田司令の娘の令子さんだ
俺達を心配して来てくれたのか?
「ご免なさい私も逃げて来たんです」

令子さんの所にも誠矢達に合わせて欲しいと
あの日以来、社交界に来ていた女性陣と
男性陣が大挙して押し寄せて来たそうで
慌ててハヤテ基地に避難したのだった

「偉い事に成ったぞ此じゃあ任務に支障が出る」

そして社交界の大波が
ハヤテ基地にまで押し寄せた所で・・
誠矢はベッドからウワーッと飛び起きた
「何てーーっ夢だ・・夢だよな?」

そして誠矢の寝室にある電話から
コール音が鳴った。
  リリリリリーーーー


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