銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ

マサノブ

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王家の絆編

PART21 冥王星難攻不落

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この日、ハヤテの乗員はぞくぞくと
ハヤテ艦中に転移ゲートを使い乗り込んで来る
第一艦橋では響と真耶が、あの日の事で
盛り上がっていた
「その時の誠矢の顔と来たらさ」

「想像がつくわ、私が貴腐ワインを1本
空にしちゃったんだもん」

少し間をおき
「あのさ、この戦いが終わったら皆で
何処かに旅行に行かないか?」

「皆で・・2人だけじゃないの竜一さん?」

「エッ!?そんなとんでもない
もし何か間違いが起きたら」

「面白いじゃない貴方となら
間違いがあっても大丈夫ですよ」

「そ・・そんなフザケるなよ真耶ちゃん」

「冗談よ」「脅かすなよ」
二人はそう言って笑っていた、久しぶりの
真耶の楽しそうな笑顔を見て誠矢は安心する

だが複雑な思いの者も居た
それはジョンスミスだ

『一体僕がいない間に何があったんだ?』
まるで鳶に油げを横からかっさられた気分である

_____________________

神風型宇宙駆逐艦ハヤテ
全長130メートルの艦体は
小さいながらも斬新で先進的な
優れた設計思想で造船されていた

そのハヤテが最前列で艦隊を率いる光景は
普通の陣形からは想像もつかない奇妙な
陣形なのだが文句は出ない、
何故ならハヤテは地球最強の艦なのだから

一路冥王星に向かって
リープで距離を稼ぎながら
その間にも他の惑星に配属された艦隊が
ぞくぞくと集結していった。

そんな時、誠矢は艦長室に呼び出された
「一体何の用でしょうか艦長?」
椅子に腰掛けるよう勝艦長に促され
誠矢が座ると

「うむ、私からの要望だ、出来たらもう
戦闘機に乗るのは控えて欲しい」

誠矢は唐突に言い出され戸惑うが

「君はもう只の防衛軍隊員ではない
王家の王子の身分もさることながら
銀河の盾のアストラ大使でもある」

「地球の運命をその肩に背負っていると言っても
過言ではないのだ」

「・・それは理解出来ます」

「勢十郎君を君の、と言うかアストラ大使の
影武者として呼んだのも君自身の負担軽減の為だ」

「・・そのために勢十郎さんを?」

「彼ほどの逸材を・・フランスの英雄を使うしか
今の君の代役をこなせる人材は見つからなかった」

「君はもう今の地球になくてはならない
唯一無二の存在なのだ」

勝流水は念を押していった
「自分で想像する以上の重要人物に
成っていることを自覚してくれたまえ」

だが大城誠矢は臆さない
「その辺は臨機応変に対応します
保身ばかりを選択すると良くない予感が
するんですよ」

勝はこの若者のこう言う所が
人を惹き付ける堪らない魅力なのだろうと
解っていただから今はこう言うしかない

「何・・只の要望だ、
出来るだけ考えて置いてくれ」
たった一人の若者に此処まで頼らなければ
ならない現在の地球の実状を勝流水は憂れいた。

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★付箋文★

冥王星では、あの
バダイ全自動式(移動要塞工場)と呼ばれる
巨大物体が衛星軌道上に浮かんでいる

全長6000メートル
全高6000メートル
全幅6000メートル

形状は完全立方体で
自信で移動可能
最大リープ速度4

資源さえ放り込めば
無限に戦艦を製造し続ける
ガルスグレーサー自慢の
別名 宇宙戦艦無限量産BOX

機械のメンテナスでさえも
マシーン自身で行う
2万年稼働を続ける怪物である

ガルスグレーサーには此が
100基存在する
ウルフシューターに
この1基が貸し出されていた

今は急ピッチで3隻の戦艦が集中して
建造されている、これこそが
戦艦設計の天才ウルフシューターの新作の
全長700m全幅350mの大型戦艦だった。

「よしそれをそのまま降ろせ」

指示を出すウルフシューターの横に
グリフォンとワイルダーがやって来ると
その造船の様子を見てグリフォンが
興味津々に「大分出来てきたな」と言った

「ああ、だがまだ武装に関して言えば
全体の43%だ」

ワイルダーはその艦を観た感想を
「ガルスグレーサーの艦の特徴が見られないな」

グリフォンも
「それに我等にも同系艦を造らせて
何のつもりだ?」

「お前達の方ではどれくらい進んだ?」

「41%だもう動かす事は出来る・・
エンジンがあればな」
グリフォンは肩を竦める

「こっちもだ、だが此に着けるような
大型エンジンを我々は持ってないぞ」

「主砲や副砲もだ!」

語気を強めるワイルダーに
ウルフシューターは
「ハヤテに対抗できる艦はこの
デストロイ・カタストロフしかない!」

「デストロイ・カタストロフ?」

「自信があるようだな」

ウルフシューターが此処まで豪語するのだ
只の戦艦である筈がない!

「このデストロイ・カタストロフの
主砲は魔導砲だ」

「何!其れは巨人要塞戦艦の主砲じゃないか!」

「Jジョーカーが本星から盗み出した
・・艦体も断片的だが何とか入手したが
エンジンだけは無理だったそうだ」
Jジョーカーは本当に恐ろしいスパイである

「併し私はウルフ・ASS735の
エンジン開発に成功した」

「アレが完成したのか?」

グリフォンとワイルダーは期待で身を乗り出した
「エンジンの部品は既に届いて居るはずだ」

ハヤテの性能に対抗できると目される
巨人要塞戦艦の技術を再現したレプリカ
それがデストロイ・カタストロフなのである。

「これでハヤテが巨人戦艦に挑む前に
経験が積めるな」

「だが本当に沈んでしまうかも知れんぞ」

「まあこれで沈むなら其処までと言う事だ」

3将軍達の
武人としての血と本能が強敵を前にして
過去ない勢いで燃え上がるのであった。

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★付箋文★

同じくバダイ全自動式(宇宙戦艦工場)
宇宙要塞工場を奪い
銀河に逃亡した名将・ヘルターナーは
艦隊接近の報を受け緊張が走る

「バダイの自動砲台に迎撃命令を・・」

「お待ち下さい!」

通信士が喚起の声を上げた
<味方です!天王星から逃亡し
ヘルターナー様の傘下に加わりたいと
言って来ています!>

それは天王星で地球艦隊に破れた
ガルスグレーサー艦隊の残党達だった

ヘルターナーは早速、自分がまいた種が
芽吹いた事を知り喜んだ
「どうやら良い風が吹き始めたようだ」

こうして移動要塞工場バダイは
ガルスグレーサーから逃亡した総ての
脱走兵の灯台としての役目を果たし始めた。

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海王星のガルスグレーサー
自動砲台衛星ガルム
太陽系防衛艦隊・旗艦ハヤテでも
その存在は把握していた

勝艦長は後ろに控える友軍艦隊を更に後ろに
下がらせ対決姿勢をとる

「メインスクリーンON
敵の砲台衛星を投影します」
崎景子・観測班長が操作し
その巨大な砲台衛星が映し出された

「大きさは推定2000メートル
強力なエネルギー反応有り!」

「あの砲台は海王星の衛星を装い
12基も存在しています!!」

「あんな物が12基もあるのか・・」
小原(戦闘班副長)が息を呑む

「超重力竜巻砲
S・ジェット・トルネード・カノン
超重力圧懐砲
S・グラビティトゥクラッシュ・カノン
どちらも射程圏外だ」

「いや・・決戦兵器は使用せずに奴を叩くぞ」
勝艦長の言うと通りだ・・銀河円盤の正体を
隠しておくにはその方が良い

だがこの時(マグネショックカノン)が
砲台衛星ガルムから発射された

景子がレーダー反応に気づき叫ぶ
「強力なエネルギーが右舷48パーセクより
本艦に接近します着弾まで後12秒」

「回避すると後ろの友軍艦隊に直撃です!」

それを聞いた勝艦長が
「やむなしか・・超重力圧懐砲」

「いや間に合わない!」
そう叫んだ誠矢が真耶に
「真耶少しで良い!お前の力で防いでくれ」

真耶は一瞬戸惑うも
「はい兄さん!」

「ヤアアアアアアアアア!!」
エネルギーの幅が広過ぎてハヤテが盾になっても
全く防ぎきれないのは明らかだった
其れを真耶が念動力障壁でせき止めて
その間にハヤテは超重力圧懐砲の発射体勢を整えた

「真耶君凄いぞ!」

「もう少しだ頑張ってくれ!!」

皆の励ましもあり真耶は必死に耐えた
「やああああああああ」

「発射準備出来ました!」

勝艦長は賺さず超重力圧懐砲発射を命じる!
大城誠矢は発射トリガーを引いた
「S・グラビティトゥクラッシュ・カノン発射!!」

唸りをあげ超重力圧懐砲が敵の
マグネショクカノンのエネルギーを押し潰す

「やったぞ超重力圧懐砲のほうが威力は上だ!!」

「敵の砲撃が連続で来ます!」
そう叫ぶ景子に

「奴はあれを連写出来るのか!?」
ハヤテの決戦兵器は連射は出来ない

「射程は超重力砲の2倍あります」

「当たらなければどうと言う事ない!」
巨大で高威力のエネルギー砲だが
響はその驚異的な繰艦技術でそれを何度も
避け続ける、そんな事を繰り返すうちに

「解ったわ!」一同は真耶の方を見た

「あの砲台はエネルギーの充填に3分掛かります
12基が順番に発射するシステムのようです

「味方艦隊の避難はすんでいるか?」

「ハヤテが防いでいる間に友軍艦隊は
海王星宙域を離脱しました」

「よしこれで心おきなく戦えるぞ!」
誠矢はそう言うと自分の掌を鳴らした

「ハヤテの防御力なら多少食らいながらでも
あのボールに肉薄して主砲で貫けますよ!」
小原が中々野性的な提案を出す

その時レーダーを見ていた景子が
衛星の移動時に「此は面白いわね」

「何が面白いんだ?」
誠矢は何かヒントを景子が掴んだのだと思う

「あの衛星は移動時に互いの磁力を
反発させ合っているのよ」

「それにエネルギー砲を発射するまで
ウロウロしてるみたい」

海王星の衛星軌道上を互いの超電磁力で
連動し高速移動しているボールか

「星の磁場を吸収して磁力を補充する
システムの様です」
真耶がコンピュータで分析した

それをコンガラクが補足説明する
「アノ砲は電磁場の塊・・敵艦を破壊出来ナクテモ
電子機器を故障サセて人質トシテ扱う気カモデス」

景子がホットしながら
「下手に当たらなくて命拾いしたわね」

小原も
「あ・・危なかった~」

「ハヤテは圧縮された超高密度装甲であるため
体当たりと言う行為も武器になるが・・
その発想がそもそも危険な場合もあるのか」

「解析の結果、右端の砲台衛星が
敵のリーダー基みたいです」
真耶がコンピューターで動きを計算し
その事実を突き止めた

「よし!右端の砲台衛星が砲撃したら
3分以内に破壊する」
勝艦長の命令が下ると

「短距離リープ用意」

ハヤテめがけ砲撃が来る瞬間

「リープ!」
敵光線の直撃の瞬間、ハヤテは極小短距離を
空間移動し、今砲撃したばかりの敵リーダー基と
思われる砲台衛星に肉薄した

「主砲50センチ・アレキサンドライト・カノン3連3門
副砲35センチ・アレキサンドライト・カノン3連2門
全門発射!!」

2000メートルもある巨大な丸い球体を
途轍もない威力のエネルギー砲が貫き通し
何カ所も風穴が空いた、それもたった一撃で
この威力だった。

敵サイドはこの駆逐艦では絶対にあり得ない
ハヤテ主砲の破壊力に恐怖と絶望を感じる
貫通した穴の大きさは有に100メートル

「何なのだアノ化け物は・・」

「大変です司令官!マスターコントロールを
殺られました!」

リーダー砲台衛星は大爆発を起こし
磁力のバランスを失った残り11基の衛星は
海王星の重力に引かれて落下を始める

副官の絶望的な報告を聞き、砲台衛星の司令官は
唸り声を漏らした「おのれ・・こんな負け方が
あるか・・こんな出鱈目な」

12基の砲台衛星は決して弱くはなかった
だが地球の最新鋭艦ハヤテの戦闘力は
その攻撃力を遙かに上回ったのである

とは言え・・
此処の所のガルスグレーサーの超兵器は
ハヤテにとって決して楽勝の相手では
ないのも一つの事実だ
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そしてあの(ヘル・ターナー)に変わり
ガルスグレーサー太陽系攻撃隊総司令官を
引き継いだ新総司令官のドン・ドルガは、
海王星の砲台衛星の敗北に激怒していた

種族・(禿ネズミ人間)
見た目が醜く小汚いのを理由に巨人族に
駆逐され掛けたが、科学実験で病気に
以上に強い特性があるとされ
ガルスグレーサーに加わることを
特別に許された種族である

{権力と暴力に弱く
強者に本能的に取り入ろうとし
常に生き汚く行動する習性を持つ}

この時地球艦隊は冥王星目前まで近づいていた
「何としてでも此処を死守せよ!」

マグネショックカノンシステムは
ウルフシューター将軍が
ガルスグレーサー本星より取り寄せた
対艦隊用(決戦兵器)だった

「狼将軍からお借りした(黙って借りた)
最強兵器を・・このドン・ドルガ・・一生の不覚!」

「こうなれば何が何でも勝たねばならぬ!
でなければウルフシューター将軍に
合わせる顔がない!!」

やがて地球艦隊との戦闘が開始された
ガルスグレーサー軍は死に物狂いで立ち向かう。

その上、冥王星基地は最も強固な守り
(5重層電磁障壁)で
幾重にも守られていた、だが・・・
ハヤテがその状況を一変させていた

「あそこにハヤテの決戦兵器を一つ
撃ち込むだけで、この戦は終わる」

通常兵器、例えばハヤテの主砲50センチ・
アレキサンドライト・カノン3連3門
これでタコ殴りにするだけでも
冥王星基は兵士ごと壊滅するだろう

真耶は無益な殺生を止めたかった
「何とか成らないのかしら?」

誠矢も同意見だ
「このままじゃ万単位の犠牲が出るぞ」

「残念だがガルスグレーサーは戦わずに
降参すれば種族丸ごと厳罰を受けると言う
過酷な悪法があるからな」
春吉の言葉は事実だ、敵から得た情報で
国の内政まで彼等は正確に掴んでいた

「それじゃあ降伏を呼びかけても」

「無駄だろうな・・」

「酷い・・」真耶の目には涙が滲んでいる

「巨人に強制的に従わされている
ガルスグレーサー将兵は出来るだけ救う
それがアストラ大使の方針ですよね?」

「春吉さんなら、あの基地の弱点が
解るんじゃないんですか?」
春吉は真耶の嘆願に思考を巡らす

「これは悪まで仮にだが・・」

「誰かが敵基地にあるエネルギー発生装置の中枢に
爆弾を仕掛ければ或いは無力化出来るんだが・・」

大城誠矢は顔色を変えた
「ちょ・・待って下さい」

真耶を一瞬見てから誠矢は頭を振った
「誰が行くんですか?・・まさか真耶を」

それを聞いた響は叫んだ
「おい!待って!何で真耶が!?」

響だけじゃないイザベルは小さな悲鳴を上げ
他のクルー達も色めき立った

「併し・・彼女しか不可能だろう・・」

「そんなの駄目だ!春吉さん
アンタ何を考えてるんだ!
他の手を考えよう!」
皆・・真耶にそんな危険な任務を
させるのは大反対だった

「でも・・私がやらないと沢山の人が
死ぬんでしょ?それもハヤテの力で・・
私はハヤテをそんな悪魔の船にしたくない!」

「だからってお前が行くなんて」
誠矢は引き裂かれるような思いだった

この先の事を考えるとハヤテが冥王星で
ガルスグレーサー将兵を虐殺するのは
出来るだけ避けたい

「人の命は・・地球より重い・・
それを守る為に戦うハヤテが私達の誇り
敵の命も同じように守るわ!」真耶の決意が
並大抵ではないと感じた誠矢

「真耶やめろ!」

「必ず戻ってきます」

もう真耶の決心は変えられない
誰もがそう感じた。

勝艦長が最終的な判断を下し
無理だと判断したら直ぐにテレポートで
撤退する事を約束させ作戦を承認した。

春吉から小型マグネット爆弾を受け取り
真耶がテレポートしようとしたその時
響がやってきて

「真耶・・君が帰って来ると信じて待つよ」

「戻ってくるわ必ず」

真耶は単身敵地にテレポートして向かった。

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★付箋文★

真耶のテレポートは超空間転移系統の
リープに近いエネルギーサインが出る

ハヤテで景子がそれをレーダーで捉えた
「リープサイン確認、成功です」

「後は天に祈るしかないかぁ」
春吉は真耶の無事を祈りながら
エスパーソルジャー運用の可能性を
科学者視点で無意識に考える自分が居た。

ガルスグレーサー冥王星基地
ドン・ドルガ司令は小太りの中年の男で
狼将軍に密かに憧れを抱いている

ヘル・ターナーの後釜に入ったとはいえ
お歴々と肩を並べる地位につき
出来れば3将軍の仲間入りを夢見ていた
この男は人一倍欲深く、そして愚かだった

本人は自分がまさか{負け戦}の
なり手のない敗軍の将に就かされているとは
夢にも思っていない
『此処から逆転すれば、その戦果だけで
俺も将軍になれる筈なんだ!』
ゲフフフ・・

「この冥王星の守りが想定以上に堅いので
太陽系防衛軍艦隊にも焦りの色が見える
だから降伏勧告などという苦し紛れな
交渉をしてくるのだ」

だが冥王星基地からの攻撃を仕掛けても
ハヤテが正面を遮る限り後ろの地球艦隊に
攻撃が通る事は絶対に無かった。

「忌々しい化け物め」その時だった
ドン・ドルガに{運}が向いたのは

「侵入者です!」

「何だと馬鹿な!!」

監視モニターに真耶の姿が映る
「女か・・併し何処から?・・
直ぐチェックしろ!そして
何処から入ってきたか調べるんだ!」

「当然だが殺さずに捕らえるんだぞ!」

『尋問して情報を吐かせるのもあるが
生かしておけば人質としても使えるからな』
司令官の命令で兵隊が通路を固め始めた。

その時真耶は中央変電所にマグネット爆弾を
仕掛けた所だった、そして次に
エネルギー発生路へと接近している

「ドン・ドルガ様、此をご覧下さい!」
副官が何かを見つけた様だ

監視カメラにその映像が捉えられていた
「此は・・」

ドン・ドルガ司令が見たのは
真耶が通路にテレポートして現れた
瞬間を捉えた映像だった。

「この女エスパーか・・」
暫し考えてからドン・ドルガ司令は
マイクに向かってこう命じた。

「何があっても殺すな生け捕りにしろ!
この命令を破った者はその場で処刑する」
そう言い終えてから

「此処に来てこの俺にも運が向いて来たぞ!」
ドン・ドルガの目は真耶を極上の獲物として
見据えていた。

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★付箋文★

暫くして真耶は兵隊と鉢合わせをしてしまい
「いたぞ、コッチだ!」
真耶が逃げると「追え逃がすな!」

逃げる真耶は銃に閃光弾を込めた
命を救いに来たのに殺したりしたら
台無しになる

「彼処だぞ!捕まえるんだ」

その時真耶は駆けつけてくる兵隊達に
引き金を引いて直ぐに目を伏せると
閃光が起こり兵達は目を押さえ転げ回った。

しかしこの閃光弾の光は目潰しにはなっても
暫くすれば視力は回復する

この時ドン・ドルガは副官に
「アンチエスパージャマーを準備しろ大至急だ!」
この装置はESPの脳だけを攻撃する
マイクロ波発生装置だ。

「併しアレはまだ実験段階の未完成品で
どんな副作用が出るか・・」

「構わん、あの女はエネルギー発生路に
向かっている放っておけるか!」

既に発電所の爆弾は撤去した後で
真耶の目的が基地バリアーの無力化だと
ドン・ドルガ総司令にはバレていた

「それに発生路の5m手前のNRブロックが
丁度設置しやすい、セットするんだ!」

「りょ・・了解しました!此からあの女を
NRブロックに追い込みます」

まさかそんな罠が待っているとは露知らず
至る所のゲートが閉まり、また兵隊も配置され
真耶は徐々にNRブロックに追い込まれていく

そして真耶が走っていると前方のゲートが降りた
続いて後方もゲートが降りる
「やあ!」

真耶はテレキネッシスで前方のゲートを破った
それを監視モニターから見てドン・ドルガは
興奮したように「面白い俺も行くぞ!」

『凄い力だ此は期待できる』
ドン・ドルガは自分の強運に感謝した

やがて真耶は銃撃を避けながら、目指す
エネルギー発生炉を発見した
「アレね!」

『此を破壊すれば総司令官の人も
降伏に応じてくれるかも知れない』
その一縷の望みに掛けたのだ

真耶は遂にNR2ブロックに来てしまった
そして突然前と後ろのゲートが閉まり
アンチESPジャマーが発生した

閉じたゲートを破ろうとしていたが
『なんなのこの音は!?頭が割れる!!』

真耶はゲートを破ったが併しそれで
マイクロ波を止める事は出来ない
3mと歩かない内に意識が遠のいていく

『体中から力が抜けて・いく・・』
併し真耶は諦めず何とかエネルーギ発生装置に
通じる橋を渡り始めた

だが無情にも中央部から橋の半分が離れ始めた
『い・・行かないで・・』

橋は完全に向こう側に仕舞われてしまった
それでも真耶は一番端に辿り着いた
エネルギー発生装置が7m先にある
真耶はマグネット爆弾を投げつけた

その何個かは発生装置に張り付く
「や・・やったわ」その次の瞬間、
真耶は左肩に衝撃を受けつんのめた。

その時、下が見えたが
何百Mもありそうに底が深く暗い
真耶は自分の肩に銃創を見つけ
自分が撃たれた事を知る

振り返ると兵達が真耶に銃を向けていた
そしてその兵達の間を割って恰幅の良い
上官らしい男が現れた、
ドン・ドルガ総司令である

真耶は銃を抜いたが其れは兵隊に撃たれ
弾き飛ばされた、その衝撃で真耶は橋から
足を滑らせ転落してしまう
「きゃああああ」

辛うじて橋の手摺りを掴んだ真耶だったが
下は100m以上ある高さで落ちたら命はない

「下の階の床を出せ」
ドン・ドルガの指示で
3m程下の壁から床がせり出した

真耶は上ばかり見ていて気が付かない
ドン・ドルガが真耶を見下ろしながら
「大人しく降伏しろ、そうすれば
命だけは助けてやる」

「誰が・・降伏なんか・・」

「鼻息の荒いお嬢さんだ、だが落ちたら
命はないぞ」
そう言われ真耶はテレポートしようとして
今は出来ない程自分の力が弱まって居ると知った
そして最後に意識がなくなり真耶は手を離した
『ご免なさい竜一さん・・約束を守れないみたい・・』

『さようなら・・』

だが3m下には床があった
真耶はそこに叩きつけられる形になった

気を失った真耶の周りを兵士達が取り囲む
そしてドン・ドルガは真耶の側に立ち見下ろして
頭を踏みつける
「手こずらせおって、お前の体は後でじっくりと
取り調べてやる、連れて行け」

副官は「その女を人質に使えば交渉材料に
出来るのではないですか?」

ドン・ドルガは、
「たかが小娘一人の命に
そんな価値があると思うか?
当然見殺しにするだろうよ、
だから見せしめにしてやるのだ」

そう言って地下に降りていった。

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★付箋文★

地球艦隊旗艦ハヤテに冥王星から通信が入った
ドン・ドルガ司令からのメッセージである

禿でデブで出っ歯のネズミ人間
そんな醜い容姿がこの男の第一印象だ。

<地球艦隊の諸君我が輩は
太陽系方面攻撃軍の総司令
ドン・ドルガである>

<今から諸君に面白い見せ物を見せてやろう>
スクリーンのアングルが移動して天井から
吊るされ項垂れる一人の少女の姿が映し出される

少女の悲壮な姿を見てハヤテメンバー達全員の
血の気が引いた、其れまで真耶が
無事に帰ってくるのを信じて待っていたからだ

ドン・ドルガが勝ち誇ったように
<小賢しい手を使ってもこの女は捉えた
同胞の苦しむ姿を見るが良い>

その時、か細い声で真耶が
<ご免なさい失敗してしまいました>

ドン・ドルガ司令は真耶に近づき手に持った
鞭で真耶の顎を持ち上げると、喉に黒い首輪が
填めてあるのを見せる。

「此が何か教えてやろうか?これは
超能力阻害装置だ」

そう言ってからドン・ドルガ司令は真耶を
残酷な目つきで睨んでから
「此から残酷ショーを見せてやる・・やれ!」

真耶の手足を拘束している金具に
高圧電流が流された
その電流は気を失わない程度に弱めたもので
真耶はその苦しみを途切れなく受け続け
悲鳴を上げ続けた。

「やめろー!!」
誠矢が叫ぶ

<どうだ?中々面白いショーだろう?
グヒャヒャヒャヒャ>そう言って
通信を切った後にドン・ドルガ司令は真耶に
「何だその目は?今の貴様は超能力を使えない
只の小娘だ長生きしたければそんな目つきはやめろ」

「長生きしたければ降参するのは貴方の方よ
このまま地球艦隊とまともに戦えば冥王星に居る
全ての兵士隊が全滅するのよ!」

「チッ!生意気な小娘め口を噤むと言うことを
教えてやる!」
そう言うとドン・ドルガは鞭で有無を言わせず
真耶を連打した

真耶の戦闘服が破れ血が滴り落ちる
そして真耶が気を失うと
「こいつの手当をして監禁しておけ
死なせては不味いからな」

命じられた兵士隊が連れて行こうとした時
「待て監禁室のベットの手枷と足枷を
填めて置け、それと服は全部脱がせろ」

「超能力を使えなくても逃げる事は
出来るからな、裸なら逃げる事も出来まい」
総司令ドン・ドルガは
兵士隊達が真耶を連れて全員出て行くのを見送り

「我が輩も運が強い・・・
ギルザート星帝様は超能力者研究が御趣味だ
あの小娘を献上品にすれば立身出世も夢ではない」
グハハハハ、ドン・ドルガは勝ち誇るように
下品な大笑いを続けるのだった。

______________________
★付箋文★

その頃ハヤテでは
冥王星基地から一時後退し衛星を攻略して
惑星の裏側に回っていた
この時、誠矢と響、春吉にジョン、
勝流水の5人は艦長室に集合している

春吉が誠矢に謝罪する
「私の責任だ、こんな事態になるとは」

「いえ・・春吉さんのせいじゃない
自分を責めないで下さい」

ジョンが艦長に進言する
「直ぐに救出部隊を送りましょう
僕も参加します艦長!」

だが勝流水は
「駄目だ私情で部隊を動かすなど以ての外だ!」

ジョンは食い下がる
「そんな!せめて戦闘機を一機!」

響竜一はジョンを止めた
「よせジョン!艦長を困らせるだけだ!!」

「何っ!?オマエも真耶が
好きなんじゃないのか!?」

「ああ好きだ愛している・・少なくとも
お前よりもな!」

其れを聞きジョンは余計に食い下がる
「だったら尚更」

「今行っても無駄死にだ、そんなこと
真耶は望んでいない悲しませるだけだ」

「飛んで行きたいのは俺も同じだ
真耶の為なら命も惜しくない」
響は苦悶の表情で
「チャンスは必ず来る、その時に
賭ける命を残しておくんだ」

ジョンは響の言葉の説得力に飲まれ
敗北感を味わった
『僕の負けかも知れないな』

______________________
★付箋文★

冥王星基地・捕虜拘束室

真耶が監禁された
監禁室に一人の男がやって来た

その男の背には銀色に翼があり頭は鷲だった
そう誰あろうガルスグレーサー3将軍の一人
大鷲将軍グリフォンである。

「やれやれ慣れない基地で道に迷ったな・・」

そう呟きながら監禁室に何食わぬ顔で近寄ると
「将軍特権で開かない部屋はない」

3重のドアを開け中に入った
そこではベットに手枷宇足枷で繋がれた真耶が
裸に近い姿で寝かされていた、その顔には
涙の跡がある

それを見てグリフォン将軍は
『美しい少女だ、これが大城真耶か・・
・・(J)の情報は相変わらず正確だな』

グリフォン将軍はシーツが見あたらず
仕方なく自分のマントを脱ぎ真耶にかけてやった
それから側のイスに腰掛け真耶を見守る

将軍はフェミニストなのである
この出会いは真耶の運命のみならず、
地球とガルスグレーサーの運命を左右する
重要な分岐点となる
そして刻は静かに過ぎていった。

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