悪役令嬢の野望

ひとりぼっち辺境伯

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リュー様の人気

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リュー様のピアスは、ダイヤ型の縁取りが耳に当てられ、そこから下に小さいダイヤ型が3つ並ぶ。



銀色に陽の光が反射して、ただでさえ美しいリュー様を神様みたいに神秘的に見せる。



(あとで、第一王子とお揃いだと聞いて落ち込んだりするんだけど。)



小さな宝石のピアスの方が似合うと思ったけれど、馴染んだように時折耳元に触れるリュー様はそれがお気に入りみたい。



そんなリュー様が、一度だけピアスを外していた。



出会ったばかりの私でも見るくらいなんだから、ちょくちょく外しているんだろうな、と思う。



それは、魔法学の時。



ガウディ=ヴァンザント=パンドラという男性教諭の前で、貴族子女らしい装いを外すのは、ある種の警戒なのかな。



気怠げ、かつ乱雑。



小説によくいる「◯◯先生!貴方がそんなんだから~」って言われてヘコヘコしてるような、主張はなく、だけど時折鋭い。



何気なく伏線とかを挟み込んでくるようなキャラ立ちの先生。



実は見た目がよければ誰でもいい女好き?



確かによく見ると整った顔立ちの渋いおじさまだし……



それとも男らしい女性がタイプなの?!



リュー様、きっとあの先生に言い寄られるのが嫌なんだ。



どうしよう、あの先生が原因で断罪ルートへの別の道が開いちゃったら……!



私が望まないだけで断罪がなくなる今ならともかく、変な横槍が入ったらリュー様を不幸にしちゃう…



これは、私がどうにかして先生とリュー様を引き離すしかないわ!









「先生、説明がなおざりです」



「説明してねえよこのタコ、と?」



「そうとは言ってませんよ。説明してません、とは言いましたが」



「おざなりとなおざりの違いがわからない奴は辞書引いておけよ」



「……意外に語彙力あるな」



「おい聞こえてるぞデルタ!」



「地獄耳」



「ざけんな!罰として見本はお前がやれ」



「どうせ私だったのに?」











「ふふ、いつものお二人ですわ」



「仲が良いよな、主にガウディ先生が遊ばれてるけど」



「悪戯なアンドリュー様も親しみやすさが増して良いですわね…」



「しっ、アンドリュー様が魅せてくれますわよ」








「水魔法には段階がある……それは基本事項だよね」



そう言って、リュー様は左手を横にスライドさせるように動かした。



その指先が青色の光の線を引き、古代文字が描かれるのと同時に、ガウディ先生そっくりの人の頭が彫られたコインの形の氷が現れた。



精巧なその出来栄えと、くるくると指を回して小さな雲を作り雪や雨、雹を足元に降らせるリュー様に見惚れてしまう。



すると、小さな雲が生徒たちの間を縫うように動き回り、包装の施された飴玉が降り出した。



私もそのうちの1つをキャッチすると、隠れてその飴を口にした。



甘いいちご味。




リュー様のくちびるのような色の飴を、口内でカラコロと転がす。



すると、先ほど作り出したコイン型の氷に水を纏わせ、トロンボーンに見かけを変えていたリュー様と目があった。



途端に口内の甘い塊が消えてしまった。



驚きで口元を押さえると、苦笑したリュー様が歯でそれを噛んでいた。



間接キスの事実にときめく私とは別に、さらっと物質転移の魔法を使ったリュー様に感動する面々。



私もリュー様を囲う人垣に入ろうとすると、中から出てきたリュー様が私の口に新しい飴を押し込んだ。



「ん、れもん…」



「ごめんね、君のいちご味をもらってしまって。

お詫びにいちごと並んで初キスの味に例えられるレモンにしてみたよ。

どう?美味しい?」



「美味しいです…」



何人かが私と同じように昇天しかかっている。



わかるよ、その気持ち。



お茶目なのに色気があって、油断した心にぐっさりトドメを刺されるその気持ち。



どんどん魔法を重ねて、最終的にスノードームもどきを完成させて、やっとリュー様の実演は終わった。



後で聞いたら、ピアスを外すのはピアス本体に魔力抑制効果があるかららしい。



凄く現実的な答えに、少しばかりがっかりしてしまったり。



ガウディ先生に狙われるリュー様とか、王子様にはない別の魅力があって良かったのに、とか思ってしまった私のバカ!
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