ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

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6話

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「……早く家に帰ろう。今日は疲れた」

 朝からウザい先輩に絡まれて、それだけで真希の疲労はピークに達している。
 あんな奴といたらいくら元気があってもやっていけない。
 唯一の救いがクラスメイトではないということだ。
 同じクラスにいたらもっと、面倒くさかっただろう。
 真希は紗那に出会わないように急いで昇降口に向かう。

「ここにいたのか北野後輩。探したぞ」
「げっ」

 なんという執念だろうか。
 クラスも分からないのにしらみつぶしで探して見つけたものである。
 正直言って、怖いしキモい。
 さすがの真希も嫌そうな顔を隠すことはできなかった。

「どれどれ、後輩の北野って」
「あの黒髪のボブカッとで眼鏡をかけている男の娘だ」
「あれねー。へぇー……なんか生意気そうな感じがするんだけど」
「それがまた可愛いんじゃないか清美」
「っていうか今、嫌な顔をされたように見えたんだけど本当に仲良くなったの」
「北野後輩からは『ウザい』と言われたがあたしに話しかけてくれるから仲良しだろう」

 しかも今回は友達を一緒らしく、今朝見かけた巨乳ギャルと一緒だ。
 二人は親し気に話しながら真希に近づいてくる。
 こっちは結構本気で嫌がっているのに、相手にされているから『仲は良い』と紗那は暴論を言って来た。

 沢田清美(さわだきよみ)は紗那と同じ高校三年生の女の子だ。
 身長百六十六センチで、紗那より小さいが真希よりは大きい。
 髪はブリーチしているのか金髪のショートでツインテールに結っている。
 見た目も喋り方もギャルのような感じで、真希が苦手とする人種だった。
 そもそも一人が好きな真希とギャルはまさに水と油みたいな存在だ。
 目もパッチリしていた可愛いし、制服を着崩して着ているせいか胸が凄く強調されている。
 胸は推定Gカップぐらいあるだろう。
 かなりの巨乳である。

「それって好かれてないよね。むしろ嫌われてるよね」
「そうなのか。別にそんなことはどうでも良いだろう。最終的に仲良くなれば良いんだから」

 どうやら紗那よりも清美の方が物分かりが良いらしい。
 紗那の方は相変わらずポジティブというか馬鹿である。
 あのウザくて馬鹿な先輩に捕まると、貴重な真希の体力と時間を奪われることになる。
 そんなのは嫌だ。

「紗那。北野が逃げ出したよ」
「そうだな。逃げたなら捕まえれば良い。簡単なことだろ」
「だね。ならあたしも本気で追いかけちゃうよー」

 ウザい紗那に捕まりたくないという一心で真希は紗那たちから逃げ出す。
 だが二人ともなぜか面白がって、真希を追跡する。
 鬼ごっこでもしていると勘違いしているのだろうか。
 廊下を走ってはいけないという校則があるが、そんな校則を守っている生徒なんてほとんどいないし、校則も守よりも二人に捕まらない方が優先度は高かった。
 真希は全力で逃げ、二人は獲物を追い詰める狩人のように楽しそうに追いかける。
 あいつら、楽しんでやがる。
 真希は心の中で悪態を吐いた。
 そして廊下の曲がり角を曲がろうとした時、誰かとぶつかってしまった。
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