ウザい先輩と可愛げのない後輩

黒姫百合

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51話

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「やはりドリンクバーは必須だろ」
「そうなんですか? 私友達とファミレスに来たことがないので分からないです」
「そうなのかっ。何気に北野後輩の初めてをもらってしまったな」
「その発言はキモいので止めてくれませんか。引きます」
「まっ、そんな冗談は置いといて」
「今、冗談と言って逃げましたよね。逃げましたよね」

 今まで友達がいなかった真希はもちろん、友達とファミレスに行った経験もない。
 だから、友達とファミレスに行った時、ドリンクバーが必須という事実に驚いた。
 さすがにその後に紗那の変態発言には真希も困惑し、思わず罵倒してしまった。
 紗那も少し言い過ぎたとここで気づいたらしく冗談だと言っているが、全然冗談には聞こえなかった。
 この会話から真希が紗那たちを友達だと思っていることが分かるが、真希自身も含めここにいる四人は気づいていなかった。
 その後、ドリンクバー四人分と山盛りフライドポテトを二つ店員に注文し終えると通路側の紗那と清美が立ち上がる。

「それじゃー北野後輩、ドリンクはなにが良い?」
「いや、ドリンクは私が運んできますよ。一番年下ですし。鈴木先輩は座っていてください」

「年は関係ないだろ。通路側に座っている人間がドリンクを持ってくる方が合理的だ。それに今日の主役は北野後輩なんだからあたしたちに尽くされてくれ」

 後輩の真希が先輩の紗那にドリンクを運んできてもらうのは気が引ける。
 しかし紗那は年齢とか気にしていないらしく、むしろ今日の主役は真希だから尽くされてほしいと願い出てきた。
 本当に優しい先輩である。

「そうだよ北野。別に先輩後輩ってあんまりこだわらなくても良いでしょ。通路側の人間が運んできた方が合理的だし、あたしは後輩だから先輩に気を使えなんて思ってないし。北野は年齢にこだわりすぎ」
「私たち三人は年齢とか気にしていませんので肩ひじを張らなくても大丈夫ですよ」

 清美も麗奈も真希との年齢を気にしておらず、年齢を気にしすぎている真希に優しくしてくれる。
 少なくともここにいる三人の先輩は、先輩だから、後輩だからを気にするような器の小さい先輩ではないらしい。

「分かりました。ではお言葉に甘えさせていただきます」

 先輩三人が気にしなくて良いというなら、真希が意固地になって年齢にこだわるのは逆に三人に失礼である。
 真希は素直に紗那の好意を受け取ることにした。

「それではオレンジジュースをお願いします」
「了解。氷はありなし?」
「ありで」
「了解」

 真希はオレンジジュース氷ありを紗那に注文する。
 紗那は嫌な顔一つせず、むしろ嬉しそうに注文を受けるとドリンクバーのところに行く。
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