柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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14話

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「ずいぶん最初から見てたのね」
「あっ……」

 撫子が鋭くツッコミを入れると、舞はバツの悪い表情を浮かべる。
 瑞希と撫子がため息を吐いたのは、かなり序盤である。
 つまり舞は最初から瑞希たちのことを見ていたのである。

「だったらなにか用があったんじゃないの」

 不器用なのか鋭いのか分からない女の子である。
 実は撫子と同じことを瑞希も思ったが別に口に出して言うことではないと思い、出しかけた言葉を飲み込んだ。

「なんで分かったの?」
「それに急にあいさつをするなんて不自然だし。今までもあいさつをする機会があったのにいきなりあいさつをされたら普通分かるでしょ」

 それが普通なのかこの場合は答えが出ないので保留にしておく。
 撫子もボッチのくせに観察眼は良いらしい。
 これは同じボッチ……ではなく友達が少ない瑞希だからこそ分かることだった。
 ボッチという生き物は、よく人間観察をし他人と争わない、ぶつからないことを意識しながら生きている。
 だから自然と人を見る目が養われる。

「それで私たちになんの用かしら」
「それは……」

 再び舞が瑞希たちになんの用があるかと聞くとなぜか困った表情を浮かべながら瑞希の方を見つめる。
 困った表情で見つめられても困る。

「あっ、そうそう。二人して困っているようだったからどうしたのかなって。あたしでよければ力になるよ。クラスメイトだもん」
「どうする柊さん」
「そうだな。別に話しても良いと思う。金森が力になってくれるならこれ以上嬉しいことはない」
「そうそう瑞希ちゃん。今度はあたしが瑞希ちゃんの力になるよ」

 クラスメイトという理由で力になってくれるならこちらとしても嬉しい限りだ。
 だから瑞希たちは舞に、自分たちで部活を作るためになにをしているのか話した。

「えぇー自分たちで部活作るんだー。凄いねそれ」
「別に私たちはただ部活に入りたくないから緩い部活を作るだけだから、そんなに凄くはないよ」
「でも自分たちで部活を作るために行動するのって凄いよね。あたしたちまだ高校一年生だし、なかなか一年生で行動に移せる人っていないもん」

 舞が思っているより高尚な理由ではないのだが、舞はまるで偉業を成し遂げる人を応援するかのように目をキラキラ輝かせていた。

「それじゃーあたし瑞希ちゃんたちの部活に入るよ」
「「えっ、ホント?」」

 舞がなんの躊躇もなく、言うものだから瑞希と撫子は自分の耳を疑ってしまった。

「それで瑞希ちゃんが助かるなら」

 そう言う舞はとても儚く、なぜか心の奥まで言葉の温かさが染みわたった。
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