柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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50話

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「……そもそも柊さんって休日に誰かを誘って遊びに行くことってあるの?」
「……ない。だから、そもそもこの仮定は成り立たない」
「……そうだろうと思ったわ」

 やっぱりと言わんばかりに撫子はため息を吐き出す。

「それで舞はどうするのっ」

 まるで犯罪者を追い詰める刑事のように、威圧的に問い詰める椿。

「その質問は酷すぎない?椿」
「これは舞に質問してるの。帆波は口を挟まないでくれる」

 帆波が舞を庇おうとするものの、椿は帆波の言葉を遮る。

「うわ~、椿ってドSじゃん」

 椿の後方にいる早織が若干引いている。
 あの早織が引くほどに椿は残酷で不器用だ。

「そんなに決められるわけないじゃん。あたしの中では瑞希ちゃんも椿ちゃんも大事で。教室で一番初めて話しかけたのが椿ちゃんだったし、瑞希ちゃんには恩があるし」

 今にも泣き出しそうな舞の表情。
 本当に舞は椿も瑞希も好きなんだなと分かる。

「それで舞はあたしと柊、どっちを優先させるの?」

 それでもしつこく椿は舞を問い詰める。
 まるで自分が悪役を引き受けるかのように。
 そもそも論点がずれていることをどれぐらいの人が気づいているだろうか。
 最初、喧嘩をしている理由が舞が瑞希たちと仲良く話していることが嫌だった椿が瑞希たちのグループに行けば良いと言い、舞はどっちとも仲良くなりたいという話だった。
 でも口論しているうちに、椿は舞が瑞希と椿、どっちを優先させるのかという話題に代わっている。
 似ているようで全然違う争点になっていたのだ。

「だったら体を半分に分けてどっちにも行く」
「「「……?」」」

 今まで現実的に話していたのに、急にファンタジーな答えが返って来た。
 体を半分に分けてどっちにも行く?
 そんなに現実的にも物理的にも無理だ。

「……ぷっ」

 ここで最初に笑い出したのは意外にも椿だった。

「さすがにそれは無理でしょ」

 早織もゲラゲラと笑っている。

「さすがにその答えは思いつかなかったわ」

 あの撫子すらもクスクス笑っている。
 帆波も腹を抱えて笑い、今までシリアスムード全開だった空気が霧散して、瑞希はそのギャップに戸惑い笑うことができず、逆に戸惑っていた。

「なんで笑うのよ。あたし、一生懸命考えたのに」

 笑われたことが恥ずかしいのか舞は頬を膨らませている。

「ごめん、ごめん。まさかそんな馬鹿な答えをされるとは思ってなくて」

 目に涙を浮かべながら、オブラートに包まずに椿は舞に話す。
 ストレートに言いすぎだろう。
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