柊瑞希は青春コンプレックス

黒姫百合

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52話

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「金森。私たちは異性なんだからすぐに抱き着くな」
「柊と意見が合うのは癪だけど、もう少し舞は女の子であることを自覚しなさい。すぐに異性に抱き着くなんて破廉恥よ」

 異性に抱き着かれて狼狽する瑞希と椿。
 二人とも男の娘であるため、異性のスキンシップになれていなかった。
 そのため、顔がほんのり赤く染まる。

「別に友達だからあたしは平気だよ」

 舞はなにが問題なのか分かっていない顔をしている。

「あたしは瑞希ちゃんも椿ちゃんも好きだけど、二人はあたしのこと嫌い?」

 ここで舞が二人に逆質問をしてきた。
 よく、自分のことが好きか、嫌いか質問できるなーと瑞希は思った。
 さすがにストレートに嫌いだとは言わないと思うが、この女の子は自分が嫌われているという可能性は考えていないのだろうか。

「「……別に嫌いではない」」

 正直言って舞は嫌いではなかった。もちろん、好きでもない。
 瑞希が答えたのと同時に椿の答えもかぶる。
 その瞬間、お互いが顔を見合わせて嫌な表情を浮かべる。
 よりによって椿と答えがかぶるなんて、一生の不覚である。

「凄い、はもったよ。やっぱり二人は仲良くなれるよ。絶対」

 ただ言葉がはもっただけで、舞は大喜びである。
 二人のことを抱きしめながらピョンピョン跳ねている。

「僕は舞に賛成かな。三人で話してた時、結構楽しかったもん」
「ちょ……帆波、いつの間にこの三人と仲良くなってるのよ。あたし、知らないんだけど」

 帆波が舞の援護射撃をすると、椿は帆波がこの三人といつの間にか仲良くなっていたことに焼きもちを焼いて驚いている。

「確かに陰キャのボッチって見下していたわ。でも、相手のことを知らないで見下すのも失礼だよね」
「その言い方の方が失礼だと思うは私だけかしら大村さん」

 失礼なことを言いながら馴れ馴れしく撫子に話しかける早織に、嫌悪感を隠そうともしない撫子。
 確かにこれは早織が失礼すぎる。

「これで問題解決だよね帆波ちゃん」
「うん、解決。よくよく考えれば単純だったねこの問題」
「陽キャたるもの、陰キャも知って陽キャべし。あたし、今格好良くなかった?」

 舞や帆波や早織の中ではこの問題は解決したらしく、ワイワイ喋っている。
 これで納得していないのが瑞希と椿である。
 一言で言うと不完全燃焼である。
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