好感度MAXから始まるラブコメ

黒姫百合

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90話

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「ち、違うんです。別に密樹先輩が大事ではないというわけではなく……」

 茜は必死に密樹に弁明するが、それ以上の言葉が出てこなかった。
 それ以上言ってもただの言いわけにしかならないからだ。

「ありがとう茜さん。でも、もう良いよ」

 声は穏やかだが、それが空元気だということは茜でも分かる。

「茜さんは本当に武田さんのことが大好きなんだね。私が妬いちゃうぐらい。きっと茜さんも気づいたんじゃないのかな。茜さんも本当は武田さんのことを幼馴染以上に好きだと言うことに。だって茜さん、私にこんなことされたら嫌でしょ」

 悲しみをこらえながらも平静を装いながら話す密樹。
 密樹はもう気づいていた。
 茜もまた早苗のことを恋愛的な意味で好きだということを。
 だから密樹は茜に幸せになってほしいというわがままで、茜に無理矢理それを自覚させる。
 密樹は茜の方に移動し、肩を掴みながら茜の頬に顔を近づける。
 あと、数ミリでも動けば密樹の唇が茜の頬に触れるぐらい近い距離だった。

「……密樹先輩」

 いきなりのことにわけが分からなかった茜は、恐る恐る密樹に声をかける。
 この時、茜は一瞬密樹に嫌悪感を抱いてしまった。
 好きなはずなのに。
 もちろん、これで密樹を嫌いになったわけではないが、自分でも不思議なことに嫌悪感を抱いたことに驚いていた。

「この距離は友達として好きでも嫌な距離だよね。茜さん、一瞬凄く嫌そうな表情をしてた」
「……はい、ほんの一瞬だけ嫌でした。でもいきなりでしたし、今は別に嫌ではありません」
「あはは、茜さんは正直だね。でももし私が武田さんだったらどうだった。嫌かな? それとも大丈夫かな?」
「あっ……」

 密樹は茜が嫌悪感を抱いた瞬間を見逃さずに、それを指摘する。
 図星をつかれた茜は誤魔化すことはできないと悟り、正直に答える。
 もし今、これをしたのが早苗だったら茜は嫌悪感を抱くのか。
 その答えはもうすでに出ている。
 答えはノーだ。
 なぜなら、早苗とはこの距離で寝ているし、頬にキスなら毎日のようにしている。
 だから、全く嫌ではない。
 その意味に気づいた茜は思わず声を漏らした。

「……密樹先輩と早苗は全然違います。もちろん二人とも大好きですが密樹先輩はちょっとだけ嫌でした。でもほんのちょっとだけです。でも早苗は全然なにも感じません。むしろそれが当たり前で、逆にないと少し寂しいかもしれません」
「そうなんだね。それが答えだよ茜さん。さっきは怖い思いをさせて悪かったね」
「いえ……」

 茜は自分の本心を吐露する。
 茜の本心を聞いた密樹は一瞬悲しそうな表情を浮かべるものの、すぐにいつも通りの穏やかな表情に戻る。
 密樹に謝罪された茜は罰の悪い表情を浮かべながら、密樹から視線をそらした。
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