楠葵先輩は頼られたい

黒姫百合

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第二十六話

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 その後、優の部屋に着き、一旦優だけ中に入る。

「散らかってるので少し片づけてきますね」
「私は全然気にしないわよ」
「私が気にするので、少し待っていてください」
「……はい」

 まさか今日誰かを呼ぶことを想定してなかった優の部屋はかなり散らかっている。
葵は散らかっていても気にしないというが、優が気にするのだ。
 特に洗濯物を干しているため、このまま葵を入れてしまうと葵に下着を見られてしまう。
 それはさすがに恥ずかしい。
 デリカシーのない葵にきつめに言うと葵も自分がデリカシーのないことを言ったことを自覚したのか、反省する。
 その後、優は見られたくないものは急いで衣装ケースにしまい、軽く片づけをした。

「もう大丈夫ですので入ってください」
「お邪魔しまーす」

 葵は遠慮がちに優の部屋に入る。
 学生寮は八畳のワンルームである。
 部屋に入って右側にトイレとバスルームがある。
 もちろん、別々である。
 部屋には衣装ケースと、布団と、食事する用のミニテーブル、漫画やラノベが入った本棚がある。

「たくさん漫画やライトノベルがあるのね」

 本棚の中を見ながら葵が話す。

「好きですから」
「良いわね、コレクション」

 葵は優の趣味を否定しない。
 それも葵と一緒にいて居心地の良い理由の一つだった。
 その後、買ってきたお惣菜を冷蔵庫にいれ、レトルト食品を棚に入れる。

「ご飯は私が炊くわね」
「ありがとうございます」
「中村さんは休んでて良いわよ」
「それじゃーお風呂にでも入ってきます」
「うん」

 さすがに葵もお風呂まで介助を申し出るほどデリカシーがない女の子ではなかったらしい。
 お風呂の介助も申し出られた、さすがに引いてしまう。
 人差し指の湿布をはがし、優はシャワーを浴びる。
 お湯で温まると突き指したところが痛むが、無視して頭を洗う。
 今、部屋に先輩の女の子がいる。
 こんなギャルゲーみたいなシチュエーションにドキドキしない男の娘はいないだろう。
 自分の部屋に家族以外の女の子がいると思うと、意識してしまう。
 頭と体を洗い終えた優はパジャマに着替え、髪を乾かす。
 ちなみに優のパジャマはグレーのスウェットである。

「米研ぎ終えたから勝手に休んでいたわ」
「別にそれは良いですけど。ありがとうございます楠先輩。米も研いでもらって」

 髪を乾かし終えた優が部屋に戻ると、葵が部屋で休んでいた。
 優は葵にお礼を言っていないことを思い出し、お礼を言う。

「……あれ楠先輩。その荷物なんですか」
「これは着替えよ。今日はここに中村さんの面倒を見るために泊まらせてもらうわ」

 来た時にはなかった荷物が増えていることに疑問を抱いた優は葵に尋ねる。
 今日、葵はここに泊まるらしい。

 ?

「……えぇ―――」

 その意味を理解した瞬間、優は絶叫する。
 優はこの状況に頭がついていけない。
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