楠葵先輩は頼られたい

黒姫百合

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第六十三話

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「実乃里、食べさせてくれ」
「えぇー……恥ずかしいから自分で食べて」
「実乃里に食べさせてほしいんだ」
「……はぁ~分かったから。はい、あーん」
「あーん……実乃里に食べさせてもらうと、さらにおいしく感じるよ」
「……はいはい」

 実乃里と瞳は優たちがいるのにも関わらずラブラブしていた。
 きっとテスト勉強でストレスが溜まっているのだろう。
 ラブラブなことは良いことだが、傍から見るとただのバカップルにしか見えない。

「中村さん中村さん、このチョコもおいしいから食べてみて。私、おいしすぎて十個はたべてしまったわ」

 葵は嬉しそうな表情で優にチョコを勧めてくる。

「分かりました。ではお言葉に甘えて食べてみますね」

 葵がこんなにもオススメするのだ。
 おいしいに決まっている。
 優は包装をはがしチョコを食べる。
 独特な苦みがあるがこれはこれでおいしい。

「チョコって一度食べると止まらなくなるのよね~」

 葵はそう言ってさらに五個チョコレートを食べる。
 優はこの苦みを調べるために成分表を見る。

「……これってウイスキーボンボンじゃないですかー」

 苦みの正体を知り、優は大きな声を上げる。

「ウイスキーボンボン?」

 優の声を聞いた瞳が優の方を向く。
 その顔はあきらかにしかめっ面だった。

「葵、このチョコ何個食べた」
「う~ん、数えてない」
「……これアルコール入ってるから帰り運転できないだろ」

 瞳は頭を抱える。
 ウイスキーボンボンには少量のアルコールが含まれている。
 それを何個食べたか分からないとなると、仮に勉強会が終わった後アルコールが抜き切れていなかったとすると法律的に運転ができない。

「それならお泊り会でもしない? そうしたらもっと勉強もできるし勉強が終わったら友達とも遊べるし。それに電車で帰って次の日車取りに来るのも面倒だし」
「はぁ~あ」

 少しだけ酔っている葵は陽気な顔でとんでもないことを提案する。
 その提案に瞳は開いた口が塞がらないようだった。

「さすがに男女で寝泊りはダメだろ」
「別に男子は中村さんの部屋、女子は実乃里ちゃんの部屋に泊まれば問題ないでしょ」
「そっか……」
「もしかして瞳、男女で寝ること想像してたの~。瞳もお盛んな年頃だね~」
「てめ~表に出ろやごら~」

 男女で優の部屋に寝ることを想像していたことを葵に図星された瞳は顔を真っ赤にして怒鳴る。
 葵のからかう顔はウザくも可愛かった。

「もう瞳ちゃんったら……」

 彼氏の実乃里は瞳の言動に頭を抱えていた。
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