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第1話、ラブクラフト
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初恋、それはその言葉通り初めての恋。
良い意味でも悪い意味でも、その人の恋心というものを動かすスイッチとなるだろう。
そしてその恋心はとてつもない感情エネルギーを産む。
その感情エネルギーは、激しい喜びから成る「正」と、深い絶望から成る「負」の2つの性質を持つ。
それが特殊感情性理論。
その提唱者である 風乃 奏人(30歳)は感情エネルギーを利用し、完成は有り得ないと言われた「タイムマシン」を作り上げた。
「ついに完成した…!特殊感情性理論を利用したタイムマシン、しかもコンパクトな腕時計サイズ。名付けて「恋の架け橋」!!その名の通り俺と彼女を繋ぐ架け橋を作り上げるだろう!待っていてくれ、里奈!」
そう、私の初恋の彼女の名は
「時岡 里奈」
黒髪ロングで清楚。誰もが羨む美少女だ。そんな彼女とは中学の部活で知り合い、漫画が好きという共通の趣味から仲良くなっていった。
彼女から話しかけてくることが多く、絶対俺に惚れていた。何度も告白しようとしたのだが、当時ヘタレだった私は告白できなかった。
その後高校が別々になり、連絡もなかなか取らなくなっていき、今では何をしているのか分からない…。
思わず笑みが零れた。やっとあの輝かしい青春の日々へ戻れるのだ、何も考えずに遊んでいられたあの頃に、初恋の彼女と毎日のように笑いあっていた…あの頃へ戻れるのだ。
そこからやり直すのだ、今のクソッタレのような人生を…。
「と、言っても当時の私と今の私が入れ替われるわけでは無い。当時の私に、"今彼女に告白すれば間違いなく成功し、その先何十年と2人の幸せな日々が続く"と教えてやるのだ。あの時のヘタレて告れなかった私に!未来を変えるんだと!!」
彼女と写った写真を見る。
緊張気味に固まった笑顔の私。その右隣で優しく微笑む彼女。なんて微笑ましい写真だろう……これが彼女とのツーショットならもっと良かったのだが。
その写真の私の左隣には同じ部活だった「伊吹 生野」がいた。こいつとは幼稚園の頃から一緒で、腐れ縁で中学までは同じだった。こいつとも高校からは別々になってしまったが、それこそ腐れ縁でよく一緒に遊ぶことはあった。
成績優秀でスポーツ万能、更にはイケメンという。何もかもが私の上を行く完璧な奴だった。
漫画やアニメの中のキャラクターみたいな奴だが、どこの学校にも何故か1人くらい居るテンプレ的な奴だ。
だがそんな事はどうでもいい。
「ふっ、生野…お前も里奈に惚れていただろうが、彼女は俺に惚れているんだ。お前は仲良し3人組の中のピエロだ。」
"思い通り"という感じにゲス顔になる。
ラブクラフトは恋愛感情の「正」のエネルギーをキャッチし、過去、そして未来を思うがまま行き来できる「超空間ゲート」を発生させる。そのゲートをくぐることによって時を超えるのだ。
「さぁ、いよいよ起動だ。 "創造開始"!!」
タイムマシンである"ラブクラフト"に向け、里奈に対する初恋の想い正のエネルギーを送る。
するとラブクラフトが薄いピンクの淡い光を放ち、奏人の体を包み込んだ。
淡い光はやがて円のようなものを奏人の頭上に作り出し、頭から足元に向かって降り始めた。
円が通過した頭から奏人の体が消えていく。超空間ゲートに入ったのだ。
やがて奏人の姿が円に消えていった。
超空間ゲートの中は、"タイムマシンと言えば!"という感じの、沢山の時計がカチコチと音を立てて針を回している謎の空間になっている。
「よしよし、ここまでは上手くいっている。あとはあの写真を撮ったあの日の事を思い浮かべるんだ。」
忘れもしない…中学校の卒業式の日、卒業式のあと私たちは校庭の近くに悠々と立っている1本の枝垂れ桜、その下で3人で写真を撮ったのだ。あの時のあの場所へ…!!
タイミングとしては写真を撮る直前だ。
写真を撮ったすぐあと、桜の後ろの方で妙な叫び声が聞こえた気がして、それを確かめるために私は1人、枝垂れ桜の裏の森へ入っていく。
「そこで過去の私に会い、里奈に告白しろと伝えるのだ…!!」
ラブクラフトへ向け強く念じた。
すると超空間ゲートの出口らしきものが見えた。いや、これからの人生をバラ色にするための入口と言うべきか。
勢い良くそのままゲートの入口へ体を突っ込んだ。
良い意味でも悪い意味でも、その人の恋心というものを動かすスイッチとなるだろう。
そしてその恋心はとてつもない感情エネルギーを産む。
その感情エネルギーは、激しい喜びから成る「正」と、深い絶望から成る「負」の2つの性質を持つ。
それが特殊感情性理論。
その提唱者である 風乃 奏人(30歳)は感情エネルギーを利用し、完成は有り得ないと言われた「タイムマシン」を作り上げた。
「ついに完成した…!特殊感情性理論を利用したタイムマシン、しかもコンパクトな腕時計サイズ。名付けて「恋の架け橋」!!その名の通り俺と彼女を繋ぐ架け橋を作り上げるだろう!待っていてくれ、里奈!」
そう、私の初恋の彼女の名は
「時岡 里奈」
黒髪ロングで清楚。誰もが羨む美少女だ。そんな彼女とは中学の部活で知り合い、漫画が好きという共通の趣味から仲良くなっていった。
彼女から話しかけてくることが多く、絶対俺に惚れていた。何度も告白しようとしたのだが、当時ヘタレだった私は告白できなかった。
その後高校が別々になり、連絡もなかなか取らなくなっていき、今では何をしているのか分からない…。
思わず笑みが零れた。やっとあの輝かしい青春の日々へ戻れるのだ、何も考えずに遊んでいられたあの頃に、初恋の彼女と毎日のように笑いあっていた…あの頃へ戻れるのだ。
そこからやり直すのだ、今のクソッタレのような人生を…。
「と、言っても当時の私と今の私が入れ替われるわけでは無い。当時の私に、"今彼女に告白すれば間違いなく成功し、その先何十年と2人の幸せな日々が続く"と教えてやるのだ。あの時のヘタレて告れなかった私に!未来を変えるんだと!!」
彼女と写った写真を見る。
緊張気味に固まった笑顔の私。その右隣で優しく微笑む彼女。なんて微笑ましい写真だろう……これが彼女とのツーショットならもっと良かったのだが。
その写真の私の左隣には同じ部活だった「伊吹 生野」がいた。こいつとは幼稚園の頃から一緒で、腐れ縁で中学までは同じだった。こいつとも高校からは別々になってしまったが、それこそ腐れ縁でよく一緒に遊ぶことはあった。
成績優秀でスポーツ万能、更にはイケメンという。何もかもが私の上を行く完璧な奴だった。
漫画やアニメの中のキャラクターみたいな奴だが、どこの学校にも何故か1人くらい居るテンプレ的な奴だ。
だがそんな事はどうでもいい。
「ふっ、生野…お前も里奈に惚れていただろうが、彼女は俺に惚れているんだ。お前は仲良し3人組の中のピエロだ。」
"思い通り"という感じにゲス顔になる。
ラブクラフトは恋愛感情の「正」のエネルギーをキャッチし、過去、そして未来を思うがまま行き来できる「超空間ゲート」を発生させる。そのゲートをくぐることによって時を超えるのだ。
「さぁ、いよいよ起動だ。 "創造開始"!!」
タイムマシンである"ラブクラフト"に向け、里奈に対する初恋の想い正のエネルギーを送る。
するとラブクラフトが薄いピンクの淡い光を放ち、奏人の体を包み込んだ。
淡い光はやがて円のようなものを奏人の頭上に作り出し、頭から足元に向かって降り始めた。
円が通過した頭から奏人の体が消えていく。超空間ゲートに入ったのだ。
やがて奏人の姿が円に消えていった。
超空間ゲートの中は、"タイムマシンと言えば!"という感じの、沢山の時計がカチコチと音を立てて針を回している謎の空間になっている。
「よしよし、ここまでは上手くいっている。あとはあの写真を撮ったあの日の事を思い浮かべるんだ。」
忘れもしない…中学校の卒業式の日、卒業式のあと私たちは校庭の近くに悠々と立っている1本の枝垂れ桜、その下で3人で写真を撮ったのだ。あの時のあの場所へ…!!
タイミングとしては写真を撮る直前だ。
写真を撮ったすぐあと、桜の後ろの方で妙な叫び声が聞こえた気がして、それを確かめるために私は1人、枝垂れ桜の裏の森へ入っていく。
「そこで過去の私に会い、里奈に告白しろと伝えるのだ…!!」
ラブクラフトへ向け強く念じた。
すると超空間ゲートの出口らしきものが見えた。いや、これからの人生をバラ色にするための入口と言うべきか。
勢い良くそのままゲートの入口へ体を突っ込んだ。
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