特殊感情性理論

鏡華

文字の大きさ
1 / 4

第1話、ラブクラフト

しおりを挟む
初恋、それはその言葉通りの恋。

良い意味でも悪い意味でも、その人の恋心というものを動かすスイッチとなるだろう。
そしてその恋心はとてつもない感情エネルギーを産む。
その感情エネルギーは、激しい喜びから成る「正」と、深い絶望から成る「負」の2つの性質を持つ。
それが

その提唱者である 風乃 奏人かぜの たくと(30歳)は感情エネルギーを利用し、完成は有り得ないと言われた「タイムマシン」を作り上げた。

「ついに完成した…!特殊感情性理論を利用したタイムマシン、しかもコンパクトな腕時計サイズ。名付けて「恋の架け橋ラブクラフト」!!その名の通り俺とを繋ぐ架け橋を作り上げるだろう!待っていてくれ、里奈りな!」

そう、私の初恋の彼女の名は
時岡 里奈ときのおか りな
黒髪ロングで清楚。誰もが羨む美少女だ。そんな彼女とは中学の部活で知り合い、漫画が好きという共通の趣味から仲良くなっていった。

彼女から話しかけてくることが多く、絶対俺に惚れていた。何度も告白しようとしたのだが、当時ヘタレだった私は告白できなかった。
その後高校が別々になり、連絡もなかなか取らなくなっていき、今では何をしているのか分からない…。

思わず笑みが零れた。やっとあの輝かしい青春の日々へ戻れるのだ、何も考えずに遊んでいられたあの頃に、初恋の彼女と毎日のように笑いあっていた…あの頃へ戻れるのだ。
そこからやり直すのだ、今のクソッタレのような人生を…。

「と、言ってもと今の私が入れ替われるわけでは無い。当時の私に、"今彼女に告白すれば間違いなく成功し、その先何十年と2人の幸せな日々が続く"と教えてやるのだ。あの時のヘタレて告れなかった私に!未来を変えるんだと!!」

彼女と写った写真を見る。
緊張気味に固まった笑顔の私。その右隣で優しく微笑む彼女。なんて微笑ましい写真だろう……これが彼女とのツーショットならもっと良かったのだが。

その写真の私の左隣には同じ部活だった「伊吹 生野いぶき せいや」がいた。こいつとは幼稚園の頃から一緒で、腐れ縁で中学までは同じだった。こいつとも高校からは別々になってしまったが、それこそ腐れ縁でよく一緒に遊ぶことはあった。
成績優秀でスポーツ万能、更にはイケメンという。何もかもが私の上を行く完璧な奴だった。
漫画やアニメの中のキャラクターみたいな奴だが、どこの学校にも何故か1人くらい居るテンプレ的な奴だ。
だがそんな事はどうでもいい。

「ふっ、生野…お前も里奈に惚れていただろうが、彼女は俺に惚れているんだ。お前は仲良し3人組の中のピエロだ。」

""という感じにゲス顔になる。
ラブクラフトは恋愛感情の「正」のエネルギーをキャッチし、過去、そして未来を思うがまま行き来できる「超空間ゲート」を発生させる。そのゲートをくぐることによって時を超えるのだ。

「さぁ、いよいよ起動だ。 "創造開始クラフトオン"!!」

タイムマシンである"ラブクラフト"に向け、里奈に対する初恋の想いのエネルギーを送る。

するとラブクラフトが薄いピンクの淡い光を放ち、奏人の体を包み込んだ。
淡い光はやがて円のようなものを奏人の頭上に作り出し、頭から足元に向かって降り始めた。
円が通過した頭から奏人の体が消えていく。超空間ゲートに入ったのだ。
やがて奏人の姿が円に消えていった。

超空間ゲートの中は、"タイムマシンと言えば!"という感じの、沢山の時計がカチコチと音を立てて針を回している謎の空間になっている。

「よしよし、ここまでは上手くいっている。あとはあの写真を撮ったあの日の事を思い浮かべるんだ。」

忘れもしない…中学校の卒業式の日、卒業式のあと私たちは校庭の近くに悠々と立っている1本の枝垂れ桜、その下で3人で写真を撮ったのだ。あの時のあの場所へ…!!

タイミングとしては写真を撮る直前だ。
写真を撮ったすぐあと、桜の後ろの方で妙な叫び声が聞こえた気がして、それを確かめるために私は1人、枝垂れ桜の裏の森へ入っていく。

「そこで過去の私に会い、里奈に告白しろと伝えるのだ…!!」

ラブクラフトへ向け強く念じた。
すると超空間ゲートの出口らしきものが見えた。いや、これからの人生をバラ色にするための入口と言うべきか。



勢い良くそのままゲートの入口へ体を突っ込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...