特殊感情性理論

鏡華

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第2話、運命の時へ

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一瞬、眩いまばゆい光が目の前に見えた。

「……ぁだっ!!」

次の瞬間、私はお尻から激しく地面に叩きつけられた。

「ったく……顔から突っ込んだのになんでケツから出てくるんだ…。」

ぼやきながら辺りを見渡す。
懐かしくも見慣れた木々。田舎特有のキジバトの鳴き声。自然の空気の美味しさ。間違いない、ここはあの枝垂れ桜の裏の森だ。あとはあの日に遡れたのか確かめるだけなのだが、それはすぐに分かった。

「とうとう卒業なんだね…。」

「そうだなぁ、3年間あっという間だったなぁ。」

今でもよく覚えている、懐かしい声が聞こえてきた、里奈と生野だ。

「おーい、奏人ー!早く来いよー!!」

「今行くー!」

生野がの名前を呼ぶ。

少し木陰から覗いてみた。そこには中学校の制服を着た里奈と奏人、走ってこちらに向かってくる1人の少年。

「あれは正しく…若き日の私!という事は……タイムスリップに成功したのだ!!」

なんの取り柄も無かった私が遂にタイムマシンを作り上げ、タイムスリップにを成功させたのだ。
感情…それも恋愛感情というモノに目をつけた私の発想の勝利だ。
またも思わず笑みが零れる。

「さぁ、最後の仕上げだ。あとは若き日の私にこれからすべき事を伝えるだけ…。」

合流した私を含めた3人を注意深く観察した。

「どこ行ってたんだよ奏人?」

「ごめんごめん、ちょっとトイレに…。」

「ふふっ、奏人らしいなぁ。」

和気あいあいと話す3人。
今見ていても微笑ましい、やはり私が一番輝いていた時期だけの事はある。
青春の日々の思い出とは、やはりいつも綺麗なものなのだ。

「思えば色々あったなぁ、たったの3年間だってのに。」

生野が話し出す。

「あれからもう3年経ったんだね。」

「ほんと早いなぁ…。」

里奈と私が次々に言う。

「まぁ、俺達3人がこうして仲良く揃ったのは、奏人のおかげだな!感謝してるぜ!!」

生野が私の肩に腕を回しながら言う。

「えっ、俺?」

キョトンとする私。

「そうだよ!奏人が陸上部に入るって言わなきゃこの3年間の3人の思い出は無かったことになるんだぞ?」

「入る部活に迷ってた生野が、陸上部に入るって言った奏人に着いてきたんだよね?私はそう聞いたけど。」

「あっ、そんな理由だっけ。」

「ったく、奏人は忘れっぽいなぁ。そんで、同じく陸上部に入部したのが里奈って訳だ。」

「あぁ…まぁ、入部したのはこの3人だったから必然だったのでは…?」

「だから、奏人が陸上部に入るって言わなかったら、私は生野とも奏人とも出会わなかったかもしれないの!!」

「な、なるほど…。」

若き日の私は終始キョドった雰囲気の陰キャだった。今もそうかもしれないが。
とにかく、この3人グループが成り立ったのは私のおかげなのだ。
さぁ、記憶が正しければこの後、生野が写真を撮ろうと提案してくるはずだ。

「なぁ、せっかくだし3人で写真撮らない?あの枝垂れ桜の下で。」

「写真!いいね、撮ろう撮ろう!!」

「俺写真写り悪いんだよなぁ…。」

「「良いから良いから!!」」

ボヤく私の背中を押して桜の木へ向かう里奈と奏人。

「(ほら来た!、予定通りだ、私も移動することにしよう)」

枝垂れ桜の斜め後方、3人がギリギリ見える所に移動した。
そして枝垂れ桜の木下に移動した3人。

「よっし!撮ろう!!」

相変わらずテンションが高い生野。

「3人一緒に入るのって無理じゃね…?誰か撮る係が居るんじゃ…。」

「内カメラ使えば良いんじゃないの?」

「あっ、なるほど…。」

「ふふっ♪」

アホな私の言葉に的確なツッコミを入れクスクスと笑う里奈。やはり可愛い。

「センターは奏人で、俺と里奈が横に寄る感じでな。」

「うん、分かった。」

「ちょ!なんで俺がセンター!?」

「主役が真ん中ってのは当然だろ?」

「主役!?俺なんか全てにおいて生野の脇役だろ!?」

真ん中を指定されてキョドる私。当時の私は極力目立ちたくないと考えていた。自分がそんなキャラじゃないと自覚していたからだ。

「なーに言ってんだよ、この3人を巡り合わせたのは「奏人」お前だろ?だから奏人が主役で真ん中なのは当然だって。」

「そうだよ、奏人が私達を結んでくれた、繋ぎ合わせてくれた。全部奏人のおかげだよ。」

何の取り柄もない、いつも中途半端で影の薄い陰キャ。そんな俺とも2人は仲良くしてくれた。繋ぎ合わせてくれてありがとうと、感謝の言葉をくれている。
今でもよく覚えているが、とても嬉しかった。

「生野…里奈……ありがとう…。」

若き日の私は涙を零した。

「(やっぱり良い奴らだなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)」

影で見ていた私も思わず涙が出てきた。

「まだ泣くなよ奏人~、写真撮ってから思いっきり泣いて笑おうぜ!!」

「そう…だね、ごめん。」

にっと笑いかける生野、涙を拭い答える私。何だかんだで生野はやはり良い友達だ、こんなに爽やかな男はなかなか居ない。


生野、私、そして里奈。
3人が肩を並べ寄り沿う。
遂にその瞬間が訪れる。
あの思い出の写真をとるその時が。

「行くぞー、はい、チーズ!!」
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