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最終話、特殊感情性理論
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カシャッ!!
シャッター音が響き渡り、写真が撮れたようだ。
3人は早速写真の確認をしている。
「おっ、良いんじゃね?」
「うん、よく撮れてる!!」
「俺…すげぇ変な顔…」
「んなことねーよ!いい笑顔じゃん!!」
「うんうん、いいと思うよ。」
3人の反応を見るに良い写真が撮れたんだろう。というかこの枝垂れ桜の下で撮った写真はあれ1枚だ。微笑ましい青春の1ページ…。
そんなことより、写真を撮るあの瞬間。私は見てしまった。
私を真ん中に、左に生野、右に里奈。2人とも私にピッタリと寄っている。
生野は左手でスマホを持ち写真を撮っていた。里奈は右手で可愛らしくピースをしていた。ちなみに私も右手でピースをしていた。右手はカッコつけてポケットの中。
問題は生野の右手と里奈の左手の行方だ。2人の手は若き日の私の後ろに伸びていた。
そして恋人つなぎでしっかりと握られていた。真ん中の、私の背中の後ろでしっかりと。
道化は私の方だったのだ。きっと2人はかなり前からそういう仲だったのだろう。
思い返してみると、2人が仲良くしている間に私が誘われて入る形が多かった。
2人があの時「巡り合わせてくれてありがとう」と感謝を言ったのは、3人ではなく生野と里奈。
「自分達2人を巡り合わせてくれてありがとう」
そういう意味だったのだ。ずっと私は最初から実らない片思いをしていたのだ。2人が既に結ばれていた事も知らずに。馬鹿なヤツだ。本当に…。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
現実を突きつけられ全てに絶望した私は泣き叫んでいた。
青春の全てを賭けて、クソッタレな人生を変えるためにしてきた努力が全てが無駄だったのだ。
その時だった。どす黒い紫色の光が、腕時計サイズのタイムマシン「ラブクラフト」から溢れ出した。
失恋し、今までの努力が全て無駄だったと分かった私の心から、ラブクラフトに向けて深い絶望から成る「負のエネルギー」が吸い込まれ、どす黒い光となって放たれたのだ。
やがてその光は超空間ゲートを発生させ、私の体を包み込んだ。
私の意思を無視してゲートが発生したのだ。もしかしたら、深層心理で深い絶望から現実逃避しようとしたのかもしれない。
2度目のタイムスリップだ。
どこへ行くのかは私にも分からない。
過去か未来か。それとも……。
━━━━━━━━━━━━━━━
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
と後ろの森の方から叫び声が聞こえる。
「な、何!?」
「頭おかしいパリピが暴れてるだけじゃね?」
びっくりする里奈をよそに、テキトーな事を言う生野。
「俺、ちょっと見てくるよ。」
何となく気になったので見に行く。
鬱蒼と生い茂る草木、空気が美味しい。
「何か聞こえたのはこの辺か…誰かいるのかな。」
キョロキョロと見渡すが誰もいない。すると、どす黒い紫色の光がキラキラと輝いているのが見え、すーっと消えていった。
「な、なんだあれ。」
その場で今見たものがなんだったのか考えてみる。宇宙人が居た名残か…UMAか、幽霊か…。色々妄想してみる。
「おーい、奏人ー!何か居たかー?」
生野の声が聞こえる。
「何もいなかったーー!」
大声で答えながら彼らの元に戻っていく。それにしてもあの光は一体、なんだったんだろう…。
何故かは分からないが、とても悲しいそんな感じの光だった。
━━━━━━━━━━━━━━━
深い絶望の中、私は時の流れをさまよってた。過去に来る時と同じ超空間ゲートを流れていく。
私の意思と反して勝手に作動したラブクラフト、元いた時代のことを念じれば帰れるだろう。だがそんな気力も気分でもない。
私の人生は全て何もかもが無駄だった、その無駄の集大成を生み出した元の時代に戻ったって何かが変わることは無いし、未練もない。30歳といういい歳して彼女いない歴=年齢、魔法使というやつだ。
いっその事このままここで死ぬか。それとも、負のエネルギーを利用し、ラブクラフトの新たな可能性を見出すか。いや、どんなに考えても無駄なものは無駄だ、ラブクラフトの可能性を見出したところで私自身の未来に希望を見いだせそうにない。
私は考えるのをやめ、目を閉じ、時の流れに身を任せた。
人類史上初めてのタイムマシンを完成させた科学者「風乃 奏人」は、溢れ出る涙と共に時の流れへと消えていった。腕のタイムマシンから、どす黒い紫色の光を放ちながら。
~Fin~
シャッター音が響き渡り、写真が撮れたようだ。
3人は早速写真の確認をしている。
「おっ、良いんじゃね?」
「うん、よく撮れてる!!」
「俺…すげぇ変な顔…」
「んなことねーよ!いい笑顔じゃん!!」
「うんうん、いいと思うよ。」
3人の反応を見るに良い写真が撮れたんだろう。というかこの枝垂れ桜の下で撮った写真はあれ1枚だ。微笑ましい青春の1ページ…。
そんなことより、写真を撮るあの瞬間。私は見てしまった。
私を真ん中に、左に生野、右に里奈。2人とも私にピッタリと寄っている。
生野は左手でスマホを持ち写真を撮っていた。里奈は右手で可愛らしくピースをしていた。ちなみに私も右手でピースをしていた。右手はカッコつけてポケットの中。
問題は生野の右手と里奈の左手の行方だ。2人の手は若き日の私の後ろに伸びていた。
そして恋人つなぎでしっかりと握られていた。真ん中の、私の背中の後ろでしっかりと。
道化は私の方だったのだ。きっと2人はかなり前からそういう仲だったのだろう。
思い返してみると、2人が仲良くしている間に私が誘われて入る形が多かった。
2人があの時「巡り合わせてくれてありがとう」と感謝を言ったのは、3人ではなく生野と里奈。
「自分達2人を巡り合わせてくれてありがとう」
そういう意味だったのだ。ずっと私は最初から実らない片思いをしていたのだ。2人が既に結ばれていた事も知らずに。馬鹿なヤツだ。本当に…。
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
現実を突きつけられ全てに絶望した私は泣き叫んでいた。
青春の全てを賭けて、クソッタレな人生を変えるためにしてきた努力が全てが無駄だったのだ。
その時だった。どす黒い紫色の光が、腕時計サイズのタイムマシン「ラブクラフト」から溢れ出した。
失恋し、今までの努力が全て無駄だったと分かった私の心から、ラブクラフトに向けて深い絶望から成る「負のエネルギー」が吸い込まれ、どす黒い光となって放たれたのだ。
やがてその光は超空間ゲートを発生させ、私の体を包み込んだ。
私の意思を無視してゲートが発生したのだ。もしかしたら、深層心理で深い絶望から現実逃避しようとしたのかもしれない。
2度目のタイムスリップだ。
どこへ行くのかは私にも分からない。
過去か未来か。それとも……。
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「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
と後ろの森の方から叫び声が聞こえる。
「な、何!?」
「頭おかしいパリピが暴れてるだけじゃね?」
びっくりする里奈をよそに、テキトーな事を言う生野。
「俺、ちょっと見てくるよ。」
何となく気になったので見に行く。
鬱蒼と生い茂る草木、空気が美味しい。
「何か聞こえたのはこの辺か…誰かいるのかな。」
キョロキョロと見渡すが誰もいない。すると、どす黒い紫色の光がキラキラと輝いているのが見え、すーっと消えていった。
「な、なんだあれ。」
その場で今見たものがなんだったのか考えてみる。宇宙人が居た名残か…UMAか、幽霊か…。色々妄想してみる。
「おーい、奏人ー!何か居たかー?」
生野の声が聞こえる。
「何もいなかったーー!」
大声で答えながら彼らの元に戻っていく。それにしてもあの光は一体、なんだったんだろう…。
何故かは分からないが、とても悲しいそんな感じの光だった。
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深い絶望の中、私は時の流れをさまよってた。過去に来る時と同じ超空間ゲートを流れていく。
私の意思と反して勝手に作動したラブクラフト、元いた時代のことを念じれば帰れるだろう。だがそんな気力も気分でもない。
私の人生は全て何もかもが無駄だった、その無駄の集大成を生み出した元の時代に戻ったって何かが変わることは無いし、未練もない。30歳といういい歳して彼女いない歴=年齢、魔法使というやつだ。
いっその事このままここで死ぬか。それとも、負のエネルギーを利用し、ラブクラフトの新たな可能性を見出すか。いや、どんなに考えても無駄なものは無駄だ、ラブクラフトの可能性を見出したところで私自身の未来に希望を見いだせそうにない。
私は考えるのをやめ、目を閉じ、時の流れに身を任せた。
人類史上初めてのタイムマシンを完成させた科学者「風乃 奏人」は、溢れ出る涙と共に時の流れへと消えていった。腕のタイムマシンから、どす黒い紫色の光を放ちながら。
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