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エピローグ、救世主-メシア-
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どれだけ長い時間をさまよっただろう。
気がついたら何かの建物の中に横になって寝ていた。
「なんだここは…どこの時代なんだ……。いや、どこでもいいか。」
ぽつりと呟き起き上がる。周りを見渡すと大きな十字架がステンドグラスで彩られた壁に1つ掛けられていた。
反対側には均等に並べられた長椅子。
どうやらどこかの教会の中らしい。
「おぉ、お目覚めですか。救世主様。」
女性の声が聞こえた。声が聞こえた方を見ると、修道服に身を包んだ女性が跪いていた。
「救世主様がお目覚めになられた…やっと…やっとこの世は救われる…。」
顔を上げ、私の方を見て微笑むその女の顔は"時岡 里奈"にそっくりだった。
「あ、アンタは…里奈…っ。」
「…?申し遅れてすみません、救世主様。私の名前は"シスター"貴方様を信じ、仕える者です。以後お見知りおきを。」
「シスター」そう名乗る女は再び頭を下げ、深々とお辞儀をする。
「里奈じゃないのか…。」
落胆する私をよそに、シスターは話を続ける。
「りな…という方はどなたか存じません。申し訳ありません。さぁ、救世主様、この世をお救い下さい!!」
「この世を救えって…私にそんな力はない。ただの人間だ。それにここがどこかも分からないし、初めて会ったアンタの言うことを聞く義理も、世界を救う義理もない。」
そう、私はただの人間で、ピエロなのだ。世界を救うなど出来るはずがない。
「そ、そんな…救世の書には確かに"世界が滅びへと向かいし時、白き衣に身を包み、神の力をその腕に宿した救世主が降臨される"そう書いてあったのです!」
「じゃあそいつは私では無いな。他を当たってくれ。」
我ながら荒んでいる。相手は今にも泣きそうな顔で困っているのに。いや、救って欲しいのは私の方も同じだった。短い人生のうち10年も無駄な研究に費やしたのだ。神様ってやつは理不尽だ、無差別に才能を与えその才能が無いものは救わない。神様が本当に居るのならぶん殴ってやりたい。そう思っていた。
その時、勢いよく入口らしき大扉が開け放たれた。
「おいおいおいおい、シスターさんよぉ。今日こそ俺様の奥さんになってもらうぜぇ~。」
太った醜悪な男が「ぬっ」と入ってきた。絵に描いたようなデブのブサイクだった。それに比べ服装や装飾品がとても豪華だ、相当な金持ちなのだろう。はたまた貴族か王族か。
「そ、それは…私は神に仕える身の者です。神以外に仕えることは…」
「じゃあこの教会ぶっ壊しちゃえば良いんだね、そうすれば神もクソもないでしょ。」
「それだけは辞めてください…!代々受け継がれてきた教会なのです…それだけは…。」
「じゃあ俺の奥さんになってよ、ねぇ!!」
シスターと醜悪な男のやり取りは続き、男はシスターの髪を引っ張り連れ出そうとする。
「痛っ!!お、おやめ下さい…!!もう許してください…。」
泣きながら許しを乞うシスターに下衆な態度を取る男。
義理も何も無かったが、流石に見ていて良いものでは無いし、シスターが里奈に似ていたので助けに入ることにした。
「おいクソデブ、彼女は嫌がっているじゃあないか。離してやれよ。」
「あぁ?誰だお前。てめぇには関係ねえだろ、死にてえのか?あぁ!?」
ドスの効いた声で粋がり、懐から銃を取り出し、銃口を私に向ける。
銃口を向けられたら、普通なら誰だって怯えるだろうが、死んだような精神の私にはどうでもいい事だった。寧ろ早く殺してくれ、そう思った。
「ひっ…救世主様!お逃げください!!はっ……!!」
「メシア様ァ?あいつが神様ってか、胡散臭ぇなぁ…なら、アイツをぶっ殺せば俺の奥さんになってくれるんだよなぁ!!!」
下卑た笑みを浮かべ、引き金を引く。
パァン!という音とともに弾丸が飛び出した。
死ぬ間際、走馬灯のように記憶が駆け巡り、目の前の事象が全てスローに見えると言うが正にその通りだった。
視界の端には目尻に涙を浮かべ私の方に手を伸ばすシスターが見える。赤の他人のために涙を流す彼女は本当に聖職者なのだろう。
ゆっくりと着実に私に向かってくる弾丸をよそに、思考はとても穏やかだった。
(当たったら死ぬなぁ、あと1m、あと50cm……。)
迫り来る弾丸を受け入れようと、目を閉じようとした。
その時だった、ラブクラフトが再びどす黒い光を放ち、弾丸を消し去った。
「な、何しやがった!?」
目の前のデブが狼狽えながら言う。
私自身何が起こったのか分からなかった。
その間もラブクラフトはどす黒い光を放ち続けていた。それを見て私は理解した。
負のエネルギーが何らかの化学反応を起こしたのだ。人には深層心理というものがある、死を覚悟したつもりだったが心の奥底では死を恐れていたのだろう。その思いが負のエネルギーが注ぎ込まれたラブクラフトによって具現化し、死を避けたのだ。
「まさか…負のエネルギーを取り込んだラブクラフトは私の心に反応して具現化する力を持ったのか…!?」
そう私は常人には無い力を手に入れたのだ。
「こ、このっ!!」
「っ!メシア様逃げて!!」
再び銃口を向けるデブ、シスターが庇うように私の前に立つ。
「シスターさんとやら、危ないのは君の方だぞ。どいてくれ。」
前に立つシスターにどくように言う。
「どきません!メシア様は希望なのです!!」
「私が…希望……。」
「ごちゃごちゃうるせぇ!!俺様の女にならねぇならお前も要らねえ、まとめてぶっ殺してやる!!!」
ドンッドンッ!と銃弾が数発放たれる。また目の前の銃弾はゆっくりに見えた。
シスターは恐怖からか目を瞑っている。
見れば見るほど里奈にそっくりだ。
「この私が希望か…。フッ。」
私は向かいくる銃弾に向け手をかざし"あのデブに向かっていけ"と念じる。
するとラブクラフトが黒い光を放ち、銃弾の軌道を正反対に変えた。
やがて銃弾はデブの腕、腹、足、そして眉間を貫いた。
ドサッと倒れるデブ。
シスターはまだ目を瞑っている。
「おい、シスター。もう終わったぞ。」
「ひっ………ふぇ…?」
怯えながら目を開き、目の前の光景を目の当たりにするシスター。
「っ!?い、いったい何が……。」
「それはアンタが1番よく知っているんじゃあないか。私は救世主だ。穢れた魂を救済したまでだ。」
我ながらテキトーなことを言ったと思った。何がメシア様だ、何の取り柄もないただの道化じゃないか。
「やっぱり…貴方様がメシア様…。うっ…うぅ…っ。」
「…なんで泣いているんだ?」
「すみません…やっと…やっとこの世が救われるんだって思うと嬉しくて…っ。」
「よくわからんが、私に任せておけ。とりあえず腹が空いた、何か食べられるものはないか?」
「は、はいっ!今なにかお作りします!!こちらの食堂でお待ちくださいっ。」
涙を拭いパッと笑顔になり、食堂へと案内するシスター。その笑顔は本当に"里奈"によく似ていた。
世界には3人ほど似た奴が居ると言うが、そういうものなのだろう。
ふと壁にかけられた巨大な十字架を見る。
世界を救うとか、誰かの役に立つとか私には縁のない話だが、死ぬまでの退屈しのぎにはなるだろう。
まぁ、この世界に来たのも何かの運命に導かれたか、はたまた偶然か。神様って奴が本当に居るのかは疑わしいところだが、私は私の好きにさせてもらおう。
私は再び未来へと歩き始めた。
この世界の救世主として…。
気がついたら何かの建物の中に横になって寝ていた。
「なんだここは…どこの時代なんだ……。いや、どこでもいいか。」
ぽつりと呟き起き上がる。周りを見渡すと大きな十字架がステンドグラスで彩られた壁に1つ掛けられていた。
反対側には均等に並べられた長椅子。
どうやらどこかの教会の中らしい。
「おぉ、お目覚めですか。救世主様。」
女性の声が聞こえた。声が聞こえた方を見ると、修道服に身を包んだ女性が跪いていた。
「救世主様がお目覚めになられた…やっと…やっとこの世は救われる…。」
顔を上げ、私の方を見て微笑むその女の顔は"時岡 里奈"にそっくりだった。
「あ、アンタは…里奈…っ。」
「…?申し遅れてすみません、救世主様。私の名前は"シスター"貴方様を信じ、仕える者です。以後お見知りおきを。」
「シスター」そう名乗る女は再び頭を下げ、深々とお辞儀をする。
「里奈じゃないのか…。」
落胆する私をよそに、シスターは話を続ける。
「りな…という方はどなたか存じません。申し訳ありません。さぁ、救世主様、この世をお救い下さい!!」
「この世を救えって…私にそんな力はない。ただの人間だ。それにここがどこかも分からないし、初めて会ったアンタの言うことを聞く義理も、世界を救う義理もない。」
そう、私はただの人間で、ピエロなのだ。世界を救うなど出来るはずがない。
「そ、そんな…救世の書には確かに"世界が滅びへと向かいし時、白き衣に身を包み、神の力をその腕に宿した救世主が降臨される"そう書いてあったのです!」
「じゃあそいつは私では無いな。他を当たってくれ。」
我ながら荒んでいる。相手は今にも泣きそうな顔で困っているのに。いや、救って欲しいのは私の方も同じだった。短い人生のうち10年も無駄な研究に費やしたのだ。神様ってやつは理不尽だ、無差別に才能を与えその才能が無いものは救わない。神様が本当に居るのならぶん殴ってやりたい。そう思っていた。
その時、勢いよく入口らしき大扉が開け放たれた。
「おいおいおいおい、シスターさんよぉ。今日こそ俺様の奥さんになってもらうぜぇ~。」
太った醜悪な男が「ぬっ」と入ってきた。絵に描いたようなデブのブサイクだった。それに比べ服装や装飾品がとても豪華だ、相当な金持ちなのだろう。はたまた貴族か王族か。
「そ、それは…私は神に仕える身の者です。神以外に仕えることは…」
「じゃあこの教会ぶっ壊しちゃえば良いんだね、そうすれば神もクソもないでしょ。」
「それだけは辞めてください…!代々受け継がれてきた教会なのです…それだけは…。」
「じゃあ俺の奥さんになってよ、ねぇ!!」
シスターと醜悪な男のやり取りは続き、男はシスターの髪を引っ張り連れ出そうとする。
「痛っ!!お、おやめ下さい…!!もう許してください…。」
泣きながら許しを乞うシスターに下衆な態度を取る男。
義理も何も無かったが、流石に見ていて良いものでは無いし、シスターが里奈に似ていたので助けに入ることにした。
「おいクソデブ、彼女は嫌がっているじゃあないか。離してやれよ。」
「あぁ?誰だお前。てめぇには関係ねえだろ、死にてえのか?あぁ!?」
ドスの効いた声で粋がり、懐から銃を取り出し、銃口を私に向ける。
銃口を向けられたら、普通なら誰だって怯えるだろうが、死んだような精神の私にはどうでもいい事だった。寧ろ早く殺してくれ、そう思った。
「ひっ…救世主様!お逃げください!!はっ……!!」
「メシア様ァ?あいつが神様ってか、胡散臭ぇなぁ…なら、アイツをぶっ殺せば俺の奥さんになってくれるんだよなぁ!!!」
下卑た笑みを浮かべ、引き金を引く。
パァン!という音とともに弾丸が飛び出した。
死ぬ間際、走馬灯のように記憶が駆け巡り、目の前の事象が全てスローに見えると言うが正にその通りだった。
視界の端には目尻に涙を浮かべ私の方に手を伸ばすシスターが見える。赤の他人のために涙を流す彼女は本当に聖職者なのだろう。
ゆっくりと着実に私に向かってくる弾丸をよそに、思考はとても穏やかだった。
(当たったら死ぬなぁ、あと1m、あと50cm……。)
迫り来る弾丸を受け入れようと、目を閉じようとした。
その時だった、ラブクラフトが再びどす黒い光を放ち、弾丸を消し去った。
「な、何しやがった!?」
目の前のデブが狼狽えながら言う。
私自身何が起こったのか分からなかった。
その間もラブクラフトはどす黒い光を放ち続けていた。それを見て私は理解した。
負のエネルギーが何らかの化学反応を起こしたのだ。人には深層心理というものがある、死を覚悟したつもりだったが心の奥底では死を恐れていたのだろう。その思いが負のエネルギーが注ぎ込まれたラブクラフトによって具現化し、死を避けたのだ。
「まさか…負のエネルギーを取り込んだラブクラフトは私の心に反応して具現化する力を持ったのか…!?」
そう私は常人には無い力を手に入れたのだ。
「こ、このっ!!」
「っ!メシア様逃げて!!」
再び銃口を向けるデブ、シスターが庇うように私の前に立つ。
「シスターさんとやら、危ないのは君の方だぞ。どいてくれ。」
前に立つシスターにどくように言う。
「どきません!メシア様は希望なのです!!」
「私が…希望……。」
「ごちゃごちゃうるせぇ!!俺様の女にならねぇならお前も要らねえ、まとめてぶっ殺してやる!!!」
ドンッドンッ!と銃弾が数発放たれる。また目の前の銃弾はゆっくりに見えた。
シスターは恐怖からか目を瞑っている。
見れば見るほど里奈にそっくりだ。
「この私が希望か…。フッ。」
私は向かいくる銃弾に向け手をかざし"あのデブに向かっていけ"と念じる。
するとラブクラフトが黒い光を放ち、銃弾の軌道を正反対に変えた。
やがて銃弾はデブの腕、腹、足、そして眉間を貫いた。
ドサッと倒れるデブ。
シスターはまだ目を瞑っている。
「おい、シスター。もう終わったぞ。」
「ひっ………ふぇ…?」
怯えながら目を開き、目の前の光景を目の当たりにするシスター。
「っ!?い、いったい何が……。」
「それはアンタが1番よく知っているんじゃあないか。私は救世主だ。穢れた魂を救済したまでだ。」
我ながらテキトーなことを言ったと思った。何がメシア様だ、何の取り柄もないただの道化じゃないか。
「やっぱり…貴方様がメシア様…。うっ…うぅ…っ。」
「…なんで泣いているんだ?」
「すみません…やっと…やっとこの世が救われるんだって思うと嬉しくて…っ。」
「よくわからんが、私に任せておけ。とりあえず腹が空いた、何か食べられるものはないか?」
「は、はいっ!今なにかお作りします!!こちらの食堂でお待ちくださいっ。」
涙を拭いパッと笑顔になり、食堂へと案内するシスター。その笑顔は本当に"里奈"によく似ていた。
世界には3人ほど似た奴が居ると言うが、そういうものなのだろう。
ふと壁にかけられた巨大な十字架を見る。
世界を救うとか、誰かの役に立つとか私には縁のない話だが、死ぬまでの退屈しのぎにはなるだろう。
まぁ、この世界に来たのも何かの運命に導かれたか、はたまた偶然か。神様って奴が本当に居るのかは疑わしいところだが、私は私の好きにさせてもらおう。
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