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第三章
閑話 雑用係は少し昔を振り返る 後編
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「ちいっ! これだけやって一発掠めただけかよ。嫌になるぜ」
ズザザザっと勢いよく地面を削って着地を決める青年……ケン。武器を失い徒手空拳になったというのに、その眼からまるで闘志は消えていない。
「本当よねぇ。せめて近くに水場があればもう少しやれるんだけど、ここは見事にカラッカラの荒野。……無い物ねだりはしょうがないわよねん!」
ケンと同じく槍使いの女性……イザスタも、どうにか手放さなかった槍を振るって再び構える。
その間軍服の女性はと言うと、何も言わず軽く自らの頬を撫でていた。
そしてその手に付いた血。薄皮一枚切れて一滴染み出しただけのそれを見て、
「…………ククっ! ハハハハハっ!」
ただ、笑った。
それはいかにも楽し気で、愉快そうで、それでいてどこまでも凄絶な、ただの笑顔。たったそれだけで、
「ぐっ!?」
「これは……本気で洒落になんないわね」
他の二人への圧力が急激に跳ね上がった。
それまでも常人では意識を保っていられないほどの精神的な圧だったが、今度は物理的にぺしゃんこにされるような圧力に全身が悲鳴を上げ、足元が軽くひび割れる。だが、
「んっ……なろっ!」
「むぅ~……やあっ!」
二人は常人ではなかった。気合を入れて必死に圧力を耐え、ボロボロになりながらも尚立ち続ける。
「ハハハ……ふぅ。良いぞ。“煙華”が珍しく手こずっていると聞いて侵略前の戯れにしばし遊んでみたが、流石は始まりの夢。中々どうして粒揃いよ。……名を聞こう」
その様子を見て気を良くしたのか、軍服の女性は圧を解いて二人に話しかけた。
この瞬間、ただ蹂躙する対象から興味の対象になった事で、この場に居る者達の運命は変転する。
「はぁ……ケン。ケン・サード。ただの雑用係だよ」
「あら自己紹介? そういうのは大好きよ! アタシはイザスタ。イザスタ・フォルス。ただのお姉さんよん!」
ケンはどうにか息を整える時間を作るべく、イザスタは純粋に会話を楽しむべく話に乗る。
「サードにフォルス……番号持ちという事は始まりの夢の“十指”か。こちらの上級幹部に相当する者達だという。成程」
軍服の女性……首領は、どこか納得したように頷く。
「言っとくが番号は実力順じゃねぇからな。俺は単にそれなりに長く在籍してるのと、あちこちに顔が利くからこの席に据えられただけだ」
「まあ戦闘力って意味じゃケンちゃんウチでは上の下ぐらいだものね。だけど他の十指や長く在籍している人は皆ケンちゃんに一目置いてるわよ! 頼りになるって!」
「皆して俺に雑用係を頼みたいだけだよなそれっ!? やれ料理作れだの道具の整備手伝えだのスパーリングの相手だの。俺も仕事が忙しいんだってのっ!?」
「でもなんだかんだ最後は手伝ってくれるのがケンちゃんなのよねん」
ケンはどこか嘆くようにぼやくのに対し、にこやかにそう返すイザスタ。その様子を見て首領はまるで面白がるように笑う。
「ククク。その戦闘力上の下の雑用係が、他の十指と二人がかりで加減しているとはいえこのワタシに一撃入れて見せるか。褒めてやろう」
「はぁ。お褒めに預かり光栄だよ。リーチャーの首領様。褒めついでに帰ってくれるとこっちは助かるんだけどな。……ちなみに加減してたってどのくらいだ?」
「そうだな……これくらいだ」
首領は少し思案して、軽く手を広げて見せる。
「5……5割くらいは出してたってか?」
「5%くらいだな」
「……マジかよ」
苦い顔でケンは隣に立つ相方に目線を向ける。すると、
「う~ん……多分ホントっぽいわよん。さっきちょろっと槍ごしに読み取ったけど、本当にこの人そのくらい加減してる。さっきのパンチだって、拳が身体を突き抜けないかつ防御だけ普通に抜けるって絶妙な具合だったし。もう笑うしかないわねぇ」
「それはまた……えらく絶望的な戦力差なことで」
イザスタが苦笑しながらもそう返し、ケンはそうかと額を手で押さえて天を仰ぐ。そして、
「……うっし。そんじゃ疲れもそれなりに取れてきたし、せめて10%は引き出させてやるとするか」
「OK。もう一踏ん張りするとしましょうか」
それでもなお、二人の戦意は揺るがない。再びしっかりと構え直すその様子を見て、
「ふむ。勝てぬと知ってもまだ足掻くか。……それはお前達の後ろにある物を守るためか?」
首領はそう言って二人の後方のはるか先、この場所からでも微かに見える街、この国の首都を指差す。
「始まりの夢のやり口は知っている。誰かの依頼、願いを、支払われた対価の分だけ実行する。要するに世界を股にかけた何でも屋の集団だ。どうせ誰かに国を我らから守れと依頼されたのだろう?」
「……まあそんな所だ」
そうポツリと返すケンの表情は固い。何故なら、
「正確に言うと、あそこの王族に自分達が国外逃亡するまで時間を稼げって依頼されちゃったのよん。今頃他の仲間が逃がしてるんじゃない? あの人達感じ悪かったわよねケンちゃん」
「イザスタ。喋り過ぎだぞ。……まああまり良い依頼人でなかったのは確かだがな」
イザスタがは~いと肩をすくめるのを見て、ケンも軽くため息を吐く。
「なんだ? 見た所元より乗り気ではないようだな。どれほどの対価を積まれたかは知らぬが、自らの国も民も見捨てて逃げるような愚者の為にワタシに挑むというのか?」
その言葉と共に、首領から再び圧が放たれる。今度は肉体そのものに干渉するレベルではないが、それでも圧倒的な実力差を知らしめるには十分。それでも、
「当然だろ? これは単に筋の問題だ。どれだけ依頼人が気に入らなかろうが、どれだけ相手がこっちより強かろうが、どれだけ状況が不利だろうが関係ねぇ」
ケンは大きく一歩踏み出すと、首領を見据えて堂々と啖呵を切る。
「一度請け負った仕事に責任を持って全力で挑む。それが大人ってもんだろうがよ」
「ケンちゃんったらこんな状況でも真面目さんなんだから。……ま、アタシ的には正直あんまり好みじゃない人達の為に動くのはやる気が出ないんだけど」
そう言いながらも、あまり気負わず飄々とした様子でイザスタもまたケンのように前に出る。
「それはともかくとして、あの街にはそれなりにアタシ好みの子が居るのよねん。だから、あそこにちょっかいかけようって言うんなら……お姉さんも本気出して邪魔しちゃうんだから。ね? 首領ちゃん」
「首領ちゃんって……気が抜けるからその言い方は止めとけ」
「え~!? 可愛いじゃない首領ちゃん。こういう時こそ楽しまなきゃっ!」
そんな二人の様子を見て、
「気骨はある。実力も悪くない。それに何より……気に入ったぞ!」
首領は笑いながら右腕を胸の高さまで上げると、そのまま手を差し出すようにして広げて宣言した。
「お前達。ワタシの下に降れ。ちなみに拒否権はない」
◇◆◇◆◇◆
「というのが首領様との最初の出会いだったな……どうしたレイ?」
「いや……なんというか滅茶苦茶な話だなって。その辺りの事は詳しく聞いたことがなかったけど、よく首領様相手に啖呵切って生きてたね」
「あの時は良く生きてたなと自分でも思うな」
軽~く昔の話を終えると、レイがなんか複雑な顔をしてそう返してくる。
あの後すぐ別動隊が駆け付けた事でいったん首領様は退いてくれたが、問題だったのはそれで完全に顔を覚えられた事だった。
ただでさえマーサにレイといった奴らとよくぶつかっていたのに、低確率で仕事中にラスボスとエンカウントするようになった俺の胃は当時ボロボロだったんじゃないだろうか?
おまけに俺の体質の事が普通にバレるし、いつの間にかイザスタが普通に首領様と仲良くなってオフの日に一緒に茶を飲むような間柄になってたし。
それから色々あって俺がリーチャーに来てからは、首領様の素がカリスマならぬカリチュマって判明して余計手がかかるようになったし。
「最近はあのクソガキの面倒まで見るハメになって大変だし、まあそこはどうせアイツがこの試験で幹部になって終わる訳だが……んっ!? どうしましたか首領様?」
ふと見ると、先ほどまで楽しそうに画面を見ていた首領様が何やら難しそうな顔をしていた。
「どれどれ……これは先ほどのチームですね。見なよケン君。さっきとは打って変わって凄い勢いだ。どこにこんな力を残していたんだろうね?」
レイに言われて俺も画面を見ると、そこには先ほど邪因子切れ寸前だった筈のチームが、全員変身を維持する余力を残して崖登りをクリアした様子が映し出されていた。
「それだけではない。こちらも見てみよ」
首領様の指差す画面のあちらこちらで、邪因子の活性化率が急激に上昇した者が現れ始めていた。
実際極限状態の中能力が引き出される事例がない訳ではない。ネルも以前あったしな。しかしここまでの人数が出来るとは予想外だった。
「これは……俺の見立て違いでしたかね。良い意味でですが」
「……全てがそうだと良いのだがな」
首領様がそう呟く中、いよいよ試験は終盤を迎える。
さあクソガキ。ここからが勝負所だぞ。
◇◆◇◆◇◆
という訳で、ちょっとした雑用係の回想シーンでした。
ここから一気に話は進んでいく予定です。……多分。
この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。
お気に入り、感想等は作家のエネルギー源です。ここぞとばかりに投入していただけるともうやる気がモリモリ湧いてきますので何卒、何卒よろしく!
ズザザザっと勢いよく地面を削って着地を決める青年……ケン。武器を失い徒手空拳になったというのに、その眼からまるで闘志は消えていない。
「本当よねぇ。せめて近くに水場があればもう少しやれるんだけど、ここは見事にカラッカラの荒野。……無い物ねだりはしょうがないわよねん!」
ケンと同じく槍使いの女性……イザスタも、どうにか手放さなかった槍を振るって再び構える。
その間軍服の女性はと言うと、何も言わず軽く自らの頬を撫でていた。
そしてその手に付いた血。薄皮一枚切れて一滴染み出しただけのそれを見て、
「…………ククっ! ハハハハハっ!」
ただ、笑った。
それはいかにも楽し気で、愉快そうで、それでいてどこまでも凄絶な、ただの笑顔。たったそれだけで、
「ぐっ!?」
「これは……本気で洒落になんないわね」
他の二人への圧力が急激に跳ね上がった。
それまでも常人では意識を保っていられないほどの精神的な圧だったが、今度は物理的にぺしゃんこにされるような圧力に全身が悲鳴を上げ、足元が軽くひび割れる。だが、
「んっ……なろっ!」
「むぅ~……やあっ!」
二人は常人ではなかった。気合を入れて必死に圧力を耐え、ボロボロになりながらも尚立ち続ける。
「ハハハ……ふぅ。良いぞ。“煙華”が珍しく手こずっていると聞いて侵略前の戯れにしばし遊んでみたが、流石は始まりの夢。中々どうして粒揃いよ。……名を聞こう」
その様子を見て気を良くしたのか、軍服の女性は圧を解いて二人に話しかけた。
この瞬間、ただ蹂躙する対象から興味の対象になった事で、この場に居る者達の運命は変転する。
「はぁ……ケン。ケン・サード。ただの雑用係だよ」
「あら自己紹介? そういうのは大好きよ! アタシはイザスタ。イザスタ・フォルス。ただのお姉さんよん!」
ケンはどうにか息を整える時間を作るべく、イザスタは純粋に会話を楽しむべく話に乗る。
「サードにフォルス……番号持ちという事は始まりの夢の“十指”か。こちらの上級幹部に相当する者達だという。成程」
軍服の女性……首領は、どこか納得したように頷く。
「言っとくが番号は実力順じゃねぇからな。俺は単にそれなりに長く在籍してるのと、あちこちに顔が利くからこの席に据えられただけだ」
「まあ戦闘力って意味じゃケンちゃんウチでは上の下ぐらいだものね。だけど他の十指や長く在籍している人は皆ケンちゃんに一目置いてるわよ! 頼りになるって!」
「皆して俺に雑用係を頼みたいだけだよなそれっ!? やれ料理作れだの道具の整備手伝えだのスパーリングの相手だの。俺も仕事が忙しいんだってのっ!?」
「でもなんだかんだ最後は手伝ってくれるのがケンちゃんなのよねん」
ケンはどこか嘆くようにぼやくのに対し、にこやかにそう返すイザスタ。その様子を見て首領はまるで面白がるように笑う。
「ククク。その戦闘力上の下の雑用係が、他の十指と二人がかりで加減しているとはいえこのワタシに一撃入れて見せるか。褒めてやろう」
「はぁ。お褒めに預かり光栄だよ。リーチャーの首領様。褒めついでに帰ってくれるとこっちは助かるんだけどな。……ちなみに加減してたってどのくらいだ?」
「そうだな……これくらいだ」
首領は少し思案して、軽く手を広げて見せる。
「5……5割くらいは出してたってか?」
「5%くらいだな」
「……マジかよ」
苦い顔でケンは隣に立つ相方に目線を向ける。すると、
「う~ん……多分ホントっぽいわよん。さっきちょろっと槍ごしに読み取ったけど、本当にこの人そのくらい加減してる。さっきのパンチだって、拳が身体を突き抜けないかつ防御だけ普通に抜けるって絶妙な具合だったし。もう笑うしかないわねぇ」
「それはまた……えらく絶望的な戦力差なことで」
イザスタが苦笑しながらもそう返し、ケンはそうかと額を手で押さえて天を仰ぐ。そして、
「……うっし。そんじゃ疲れもそれなりに取れてきたし、せめて10%は引き出させてやるとするか」
「OK。もう一踏ん張りするとしましょうか」
それでもなお、二人の戦意は揺るがない。再びしっかりと構え直すその様子を見て、
「ふむ。勝てぬと知ってもまだ足掻くか。……それはお前達の後ろにある物を守るためか?」
首領はそう言って二人の後方のはるか先、この場所からでも微かに見える街、この国の首都を指差す。
「始まりの夢のやり口は知っている。誰かの依頼、願いを、支払われた対価の分だけ実行する。要するに世界を股にかけた何でも屋の集団だ。どうせ誰かに国を我らから守れと依頼されたのだろう?」
「……まあそんな所だ」
そうポツリと返すケンの表情は固い。何故なら、
「正確に言うと、あそこの王族に自分達が国外逃亡するまで時間を稼げって依頼されちゃったのよん。今頃他の仲間が逃がしてるんじゃない? あの人達感じ悪かったわよねケンちゃん」
「イザスタ。喋り過ぎだぞ。……まああまり良い依頼人でなかったのは確かだがな」
イザスタがは~いと肩をすくめるのを見て、ケンも軽くため息を吐く。
「なんだ? 見た所元より乗り気ではないようだな。どれほどの対価を積まれたかは知らぬが、自らの国も民も見捨てて逃げるような愚者の為にワタシに挑むというのか?」
その言葉と共に、首領から再び圧が放たれる。今度は肉体そのものに干渉するレベルではないが、それでも圧倒的な実力差を知らしめるには十分。それでも、
「当然だろ? これは単に筋の問題だ。どれだけ依頼人が気に入らなかろうが、どれだけ相手がこっちより強かろうが、どれだけ状況が不利だろうが関係ねぇ」
ケンは大きく一歩踏み出すと、首領を見据えて堂々と啖呵を切る。
「一度請け負った仕事に責任を持って全力で挑む。それが大人ってもんだろうがよ」
「ケンちゃんったらこんな状況でも真面目さんなんだから。……ま、アタシ的には正直あんまり好みじゃない人達の為に動くのはやる気が出ないんだけど」
そう言いながらも、あまり気負わず飄々とした様子でイザスタもまたケンのように前に出る。
「それはともかくとして、あの街にはそれなりにアタシ好みの子が居るのよねん。だから、あそこにちょっかいかけようって言うんなら……お姉さんも本気出して邪魔しちゃうんだから。ね? 首領ちゃん」
「首領ちゃんって……気が抜けるからその言い方は止めとけ」
「え~!? 可愛いじゃない首領ちゃん。こういう時こそ楽しまなきゃっ!」
そんな二人の様子を見て、
「気骨はある。実力も悪くない。それに何より……気に入ったぞ!」
首領は笑いながら右腕を胸の高さまで上げると、そのまま手を差し出すようにして広げて宣言した。
「お前達。ワタシの下に降れ。ちなみに拒否権はない」
◇◆◇◆◇◆
「というのが首領様との最初の出会いだったな……どうしたレイ?」
「いや……なんというか滅茶苦茶な話だなって。その辺りの事は詳しく聞いたことがなかったけど、よく首領様相手に啖呵切って生きてたね」
「あの時は良く生きてたなと自分でも思うな」
軽~く昔の話を終えると、レイがなんか複雑な顔をしてそう返してくる。
あの後すぐ別動隊が駆け付けた事でいったん首領様は退いてくれたが、問題だったのはそれで完全に顔を覚えられた事だった。
ただでさえマーサにレイといった奴らとよくぶつかっていたのに、低確率で仕事中にラスボスとエンカウントするようになった俺の胃は当時ボロボロだったんじゃないだろうか?
おまけに俺の体質の事が普通にバレるし、いつの間にかイザスタが普通に首領様と仲良くなってオフの日に一緒に茶を飲むような間柄になってたし。
それから色々あって俺がリーチャーに来てからは、首領様の素がカリスマならぬカリチュマって判明して余計手がかかるようになったし。
「最近はあのクソガキの面倒まで見るハメになって大変だし、まあそこはどうせアイツがこの試験で幹部になって終わる訳だが……んっ!? どうしましたか首領様?」
ふと見ると、先ほどまで楽しそうに画面を見ていた首領様が何やら難しそうな顔をしていた。
「どれどれ……これは先ほどのチームですね。見なよケン君。さっきとは打って変わって凄い勢いだ。どこにこんな力を残していたんだろうね?」
レイに言われて俺も画面を見ると、そこには先ほど邪因子切れ寸前だった筈のチームが、全員変身を維持する余力を残して崖登りをクリアした様子が映し出されていた。
「それだけではない。こちらも見てみよ」
首領様の指差す画面のあちらこちらで、邪因子の活性化率が急激に上昇した者が現れ始めていた。
実際極限状態の中能力が引き出される事例がない訳ではない。ネルも以前あったしな。しかしここまでの人数が出来るとは予想外だった。
「これは……俺の見立て違いでしたかね。良い意味でですが」
「……全てがそうだと良いのだがな」
首領様がそう呟く中、いよいよ試験は終盤を迎える。
さあクソガキ。ここからが勝負所だぞ。
◇◆◇◆◇◆
という訳で、ちょっとした雑用係の回想シーンでした。
ここから一気に話は進んでいく予定です。……多分。
この話までで面白いとか良かったとか思ってくれる読者様。完結していないからと評価を保留されている読者様。
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