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え、ヤマトの嫁になる!?私が!?っというか私のことを好き!?ヤマトが?私を?ど、どどどどういうこと!?りょ、両思い?え、でもいいのかな?猿獣人なのに。でもヤマトが首族長になればそのルールを変えられるのか?
俺が首族長になってから告白したかったって……、親父を倒すまではって……、それってそれくらい私を婚姻したかったってこと……?
いやいやでもまだヤマトは首族長じゃないんだし認められないはずだけど!
「窮屈な思いをさせるが、俺が首族長になるまで猿獣人には秘密の関係にしてもらいたい。他の獣人には言ってもいいがとにかく猿獣人には漏れないように人は選んでくれ。絶対に1年以内には親父をぶっ倒してみせるし、それまでにお前のことも振り向かせてみせる」
「い、いやいやちょっと待って!!ぇと……い、いつから…私のこと……その……」
「わかんねぇよ。気付いたら好きだったんだ。お前以外どうでもいいって思うぐらいにな。なのにお前は俺の気も知らずに1番仲良い男友達とか言うし、無防備にベタベタ触ってくるし、どんどん可愛くなんのに俺の気持ちにも周りの男の気持ちにクソ鈍感だし、挙句の果てには男しかこねぇ酒場でウエイトレスなんかしやがって、結局ストーカーなんか寄せ付けやがって。このバカ犬。駄犬娘が」
熱烈な告白されているはずなのに責められ詰られたのは何故…。
しかも最終的にバカと駄犬と言われたし!!
それに『俺の気も知らずに』ってなんだ。――――それは、私の方だ!
「ヤマトだって私の気持ちなんて知らなかったくせに!!鈍感はどっちだこのバカ猿!!あんたが猿獣人だから私は必死に自分の気持ちを抑えようって頑張ってたのに…。しかも私のこと避けるようになったし……。あれがどんなに悲しくて、寂しかったか、……だから諦めようって思って…、そしたらヤマトにだけ悪態つくようになっちゃうし……。そりゃあ酒場は男のお客さんが多いけど、今回みたいなこと初めてだもん……!もう3年も会ってなかったバカ猿のこと忘れかけてたのにまた会っちゃって……また私の気持ち、かき乱して……そしたら嫁になれって……な、なんなの………っ、うぅぅ~~~~っ」
なんだか自分でも何を言っているのかわからなかったし、自分でもなんで泣いているのかさえわからなかった。
告白をバカバカ言われながらされて、その返事のようなものをバカバカ泣きながら言う。なんだこの状況は。
不自然なくらい俯いてスウェットを着ている太腿に落ちる涙の染みを滲んだ視界で見る。
ガタッと椅子が引いた音がしたかと思うと、私の真横に気配を感じた。言うまでもなくヤマトが私の横に来て、顔を覗き込むようにしゃがみこんできた。
「ラキ。今の話、ほんとか?」
「……っ、……う、嘘なんて、……言わない、もん……バカァ」
「ラキも俺のことが好きってことか?」
「………っ」
「俺の勘違いじゃないか教えてくれ。ラキ」
乞うような諭すような声が甘くて胸がキュンとなってしまう。
締め付けられた胸の内のせいでジワリと涙が溢れてしまい両手で顔を隠したが、その手を外したいと言っているかのように、ヤマトの大きな手がまた手首を優しく掴んだ。
その優しく腕を掴む力加減にすら、私はキュンと胸が苦しくなった。
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