うさぎ獣人くん、(自称)名器な私はいかがですか?【R18】

冬見 六花

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「でもラーラちゃん。うさぎ獣人の性欲のままに任せていたら、あなた身が持たないわよ?」
「え、そうなんですか?」
「えぇ。うさぎ獣人の性欲が強いっていうのは絶倫だからなの。四六時中発情しているってことじゃないのよ」
「絶……倫……」
「ただでさえ人間は獣人よりも身体的に弱いのに、うさぎ獣人が満足するまでセックスしたら最悪腹上死するわよ」
「えぇっ!?」

 うさぎ獣人のエッチってそんなにすごいの!?
 もしかしてリュカもそのことを危惧して私に手を出してこないのかもしれない。
 それならば私がこの問題をどうにかして、リュカに安心してもらわなければ手を出してもらえない!

「腹上死はしたくないです! でも、そういう関係になってリュカが満足してくれないのは嫌です! どうしたらいいですか!?」
「え~でも満足したうえで回数が少なくなんて、ラーラちゃんが名器じゃない限り無理じゃない?」
「じゃあ私を名器にしてください!」
「あのねぇ、人それぞれ顔や体つきが違うように名器っていうのも生まれ持った個性なのよ。まぁ努力次第で名器になれるとも聞くけど」
「じゃあ今すぐ私を名器にしてください!」
「話聞いてた? 無茶言わないでよ~……あっ、でも」

 私の勢いに若干引き気味のエルン先生だったが、何かを思いついたような顔をして立ち上がり後ろにある薬棚で何かを物色し始めた。そしてお目当てのものが見つかったのか、何かの液体が入っている小瓶を手に持ち、そのまま渡してくれるのかと思うと机に向かって何か手紙を書き始めた。
 先生の様子をジッと見つめながら大人しく待っていると、玄関のほうから「ラーラいるー?」とリュカの声が聞こえてきた。私が今日診療所へ行くことを知らせていたからか、迎えに来てくれたようだ。

「ちょうどいいタイミングだわ。リュカ君も中へ入るよう言ってくれる?」
「わかりました! リュカー! 診察室にいるから入ってきてー!」

 入口のほうに向かって声を上げると、すぐに診察室のドアが開き、長い灰色の耳が見えたかと思うと大好きなリュカが入ってきた。

「お待たせ、ラーラ。エルン先生こんにちは」
「リュカ! 今日も世界一素敵!」

 常に溢れる想いを止めることなく言葉にすると、「はいはい、ありがと」と少し呆れるような口調で、でも嬉しそうに私の頭を優しく撫でてくれた。好き。

「まだ診察中ですか? 今日はずいぶん時間がかかってるように思うんですが、もしかしてラーラの足の調子が悪いとか……?」
「ううん、ただラーラちゃんと女子会をしていただけよ。ラーラちゃん、今すぐなりたいのよね?」
「はい! 今すぐに! いつでも準備と覚悟はできてるので!」
「持続力がなくても構わないかしら?」
「え、でもそれだと……」
「大丈夫よ。最初の1回が強烈ならあとはなんとかなるわ」
「……わ、わかりました! それで大丈夫です! 最初が肝心ですもんね!」

 私達の会話についていけないリュカが不思議そうな顔をしているが、口を挟まないでいる。

「リュカ君の家って警備隊の寮よね?」
「え、はい。そうですけど……」
「ならここからゆっくり歩いても10分くらいね」

 戸惑いながらリュカが答えた。
 エルン先生はその答えに満足気な表情で頷いた。

「じゃあラーラちゃん、これ例の薬だから今飲んでくれる?」
「はい!」

 エルン先生は手紙を書き終えたらしく、先程手に取った小瓶を私に渡してきた。名器になれる薬を躊躇いもなく口にするところを隣のリュカが凝視している。
 私が飲み終わったのを満足気に確認したエルン先生は、先程の手紙をリュカに手渡した。

「先生、ラーラが今飲んだのは何の薬ですか?」
「薬についてはこの手紙に書いてあるわ」

 困惑したような表情で答えたリュカを見て、エルン先生が妖艶に微笑んだ。

「なら、今日は寄り道せずまっすぐリュカ君の家に行きなさい。手紙は帰ったら読んでちょうだい」







「――ん?」

 診療所を出てエルン先生の言う通り、散歩デートを取りやめてリュカの家にまっすぐ向かい、家まですぐそこというところまで来たときに違和感は訪れた。

「どうしたの? ラーラ」
「な、なんか急に暑くなってきて……」
「暑い? 今日はむしろ肌寒いと思うけど。俺の家まで歩けそう?」
「う、うん。大丈夫……」

 もしかして名器になれる薬の効果だろうか。「今すぐ名器にして」と無茶を言ったがさすがエルン先生だ。
 少し足元がおぼつかないままリュカの家へとたどり着いた瞬間、大好きなリュカの匂いが強烈に鼻孔をくすぐり、下腹部に衝撃を与えそのまま足の力が抜けてしまった。

「ラーラ!?」

 力が抜けた私を抱きとめたリュカがものすごく焦った表情をしている。
 ――リュカ、私、名器になったから満足させることができるよ、と言いたいのにうまく口が回らない。
 そして私を心配そうに見つめるリュカに抱きつきたくてたまらなくなり、その本能に従った。見た目よりもがっしりとした体に胸が苦しくなってしまう。
 そしてそれと同時に子宮が疼き始め、その疼きはどんどん大きくなっていく。

「リュカぁ……だいすき、ほんとに、すごく、すきぃ……」
「ど、どうしたの、ラーラ! もしかしてさっきの薬のせい? ……そうだ、手紙っ」

 リュカは片腕で私を抱き上げ、ベッドに運んだあとポケットに入れていた手紙を取り出して破れるような勢いで封を開けた。数秒間目が文字を追った後、ワナワナと震えたリュカは「っくそ、あの女豹め……」とつぶやいて、本当に手紙を破ってしまった。
 だけどそんな姿すらかっこいいと思ってしまい、子宮の疼きが加速する。

「リュ、カぁ……わ、たし……め、めぇきに……」
「ごめん、ラーラ。…………本当はこんなことしたくないんだけど」

 しっかりと身に纏っている警備隊服のボタンを少し緩めながら、リュカがベッドへと上がった。
 いつも私を優しく見つめる満月色のリュカの目は、今まで見たことのないような苛立ちを見せていた。


「下着、脱がすよ?」






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