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しおりを挟む「君はずっと、俺にとって特別な人だよ……――」
その言葉を聞いて、ジワリと視界が滲み手を伸ばしてキスをねだった。
自分に覆いかぶさる巨躯を包み込むように抱きしめながら舌を絡め合わせていると、自分の秘裂をなぞる熱い感触にピクン、と体が跳ねた。
「アル様……」
「フェリシア…、どうしても無理そうだったら言ってくれ。俺のこと殴るなり引っ張叩くなり引っ掻くなりしてくれてもいい」
汗が湿り上気した頬を隠さず少し苦しそうに言ったアルガルド様は自分の獣欲とも言える強い欲望を必死に抑えている様子だった。
私を見て、そこまで昂ってくれることが嬉しい。
だけど欲望のままに私を傷つかせたくないと思ってくれていることが尚嬉しい。
「アル様にそんなことしません。ちゃんと、あなたを受け入れます」
「君はこんなにも愛らしいのに強いな。益々好きになってしまう」
「好きになってください。私は今、益々あなたを好きになりましたから」
「っ……あぁ、この気持ちに際限はないな」
汗で湿った肌が窓からの月明かりに僅かに照らされて、濡れた艶美さを醸しだす。
私の膝に手を置いて、よりグッと広げ秘裂から漏れ出る愛液を自身に塗りたくるようにゆるゆると動かした。
「アッ……ん、……っはぅ…」
「できる限り力を抜いて。息は、止めるなよ…」
クプッ
鈴口が滑るように挿ってきたのがわかった。
そこからミチミチと蜜路を進み、少し引いては更に奥へとゆっくり侵入する。
「ンンゥッ……ひぅ…ふ……っ、ァル、さまっ……」
「……っ、…フェリシア、痛く、ないか…?」
「ッン、……へぇ、き……ッハァ、……でも、ゅっ、くりぃ……」
「勿論だ。ゆっくりいくから、痛かったら、言ってくれ…」
「ん、っ……アルさま、……す、好きっ……」
「ッ……あぁ、俺もだ……でも、今はあまり煽らないでくれ…」
それからどれほどの時間をかけてくれたのだろうか。
アルガルド様の体がピッタリとくっついたように感じ、全部受け入れられたのだとわかる。下腹部だけに埋まる熱杭が自分の頭の先まで貫いているようで、その存在感にクラクラする。
その圧倒的存在感を感じるたびに自分がソレを締め付けてしまうと、そのたびに上から「っぐ…」と苦しそうな艶声と熱い吐息がかかる。
だけどその声の主を見る余裕はなく、私はずっと強く目を瞑ってこのクラクラする快楽を少しずつ少しずつ体に馴染ませようとしていた。
その時、
ポタッ ポタポタポタッ
自分の頬に雫が落ちた。
アルガルド様の汗だろうか…、そう思ってゆっくりと目を開け、瞠目した。
私の顔の横に手をついて見下ろすアルガルド様の群青の瞳が、またもや濡れすぎやしないかというほどに濡れていた。
その涙が私の頬にボタボタと落ちていた。
「ア、アル………様……」
「す、すまないっ……、君と、繋がれたことが、ぅ、嬉しくて……っ…」
全く動かず、涙を拭うこともせずに私の頬にボタボタと涙を落とすアルガルド様がただただ愛おしくて彼に向って両手を伸ばした。
「アル様……来て……?ギュッて、抱きしめてあげたいの……」
「フェリシアッ…」
私に覆いかぶさる固く逞しい体を抱きしめてあげているのか、抱きしめられているのかわからない。
この大きな体が細かく震え微かな嗚咽が聞こえて、それがさらに愛おしさを増し、艶やかな黒髪をゆっくりと梳かすように撫でてあげると私を抱きしめる力が強まってより湿った肌同士がくっついた。
「可愛い人。ほんとに、泣き虫なんだから」
「フェリシア……、俺は、……君のことを愛してる……」
「私も、初めて会ったときからずっと、アルガルド様だけを愛してます…。強いあなたも、泣き虫なあなたも……全部大好きです」
「フェリシアッ……」
「動いて?アル様……。私で気持ち良くなってほしいの…。私のこと、いっぱい愛して?」
「っ!……君は、本当に……っ、…………動くぞ」
「―――――ヒアアッ!」
決して強くない抽挿は、一度穿つことに私の弱いところを探り当てていく。そうして蕾となっていた快楽はすぐに花開き、しばらくすると何をされても快感へと昇華した。
「アッ…っ、んあっ!……アッ、ァルッ、さまっ……っあぅ」
パチュン、パチュン、と打ちつけあう音が規則的に天幕の内側に響く。
奥を穿つ熱杭に翻弄され喘ぐ私を、濡れた群青がじっと見つめてくることがさらに快感を増してきて自分のナカを抜き差しするモノを強く締め付ける。
「ひああっ、…ぁるっ!……ぁ、あっ、アルッ!……っ!」
「はぁ…っ、…フェリシアッ、……俺の、全部を、受け入れてくれっ」
「きてっ……ッアァ、…ァル、きてっ……ンンァっ!」
「………ッッッ」
熱い。 熱い。 熱い。
「ぁ……ひぅ、…っンンンン、~~~~~っ゛っ゛!!」
ポタポタポタッ
また顔に落ちてくる雫。
熱。
群青。
涙。
全部が愛しい。
全部が好き。
全部全部、私のものだ。
彼のこの姿を、泣き顔を、誰にも見せたくなんかない。
独り占めしたい。
私の。
私のものだ。
臍の内側に感じる白濁の熱と、頬に落ちてくる冷たくも熱い雫を感じる。
「アル……アル……っは、ぁ……」
滂沱しながら熱く息を吐くアルガルド様が汗で濡れた肌のまま私を抱きしめた。
未だ繋がったまま称え合うように抱き合い、引き寄せられるように唇を重ね吐息を交換するように舌を絡め合った。
「ンッ、ふ……っ、……ん、はぁ……ぁ、ある……もっと……」
「ッハァ、ハァ………体は、平気なのか?」
「ぅん…。アルをもっと、感じたいの……。ね…?お願い…」
「っ、……フェリシアッ……俺は、君がいてくれて、本当に幸せだっ…」
「ッフフ。いっぱいいっぱい泣いていいですよ。私も本当に幸せです」
コツン、と額を合わせ、一生飽きることない濡れた群青を見つめながら私はまた愛する人を抱きしめた。
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