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しおりを挟む――――エリシアのことを、初めから好意的だったというと嘘になる。
婚約者だと紹介されたときは、なんとも間抜けそうな娘が選ばれたものだと思った。
だけどその後すぐに自分を襲った症状の一件で、その意識は変わった。
彼女とお菓子を食べてすぐ座っていることすらできないほど具合が悪くなり、体中に蕁麻疹が現れ、聞くに堪えない呼吸音が自分の喉から漏れ、痛みと痒さと苦しさでのたうちまわった。
何人もの医師や薬師が僕を診たが皆が「お菓子に毒は入っておらず、原因不明」と言って悉く匙を投げた。
何が引き金となってこうなるのかわからず、食べ物全てが毒に見えて食べられなくなり、体も心も痩せ細っていくのは必然だった。
――――……そんな僕の傍にエリシアはずっといてくれた。
倒れたとき僕が目を覚ますまで一緒にいてくれて、蕁麻疹で腫れて醜い容姿の僕の手をずっと握って、顔をグチャグチャにしながら泣いて僕を励まし続けてくれた。
症状が落ち着いてからも欠かすことなく毎日見舞いに来ては、優しい笑みと温かい言葉で僕の無事を心から案じてくれた。
そんな女の子を、好きにならない道などありえるだろうか。
彼女を僕のものにしたい。
婚約者という立場ではなく、その柔な心に僕を植え付け食い込ませたい。
そこから根を張って彼女を僕から離れないようにしたい。
そんな時、彼女が「前世で読んだ本の話」をしてきた。
毒の正体がわかったことの喜びなどどうでも良いほど、これを利用しない手はないと思った。
だから自分のトラウマすら利用することにした。
優しい僕のエリシアは、お願いすれば毎食一緒に食事を摂ってくれるようになる。そうしたらならばもういっそここに住むということになるはず。
周囲の人間だって口を挟むことなどしないだろう。王太子の僕が健康となるのだし、傍に置くのは婚約者だ。文句を言われる筋合いなどない。
ゆっくり、彼女との距離を縮めていこう。
そしてゆっくり彼女の気持ちを育てていこう……―――
それがようやく、ほんとうにようやく、花開いた。
カタッと小さな音が隣の部屋から聞こえた。
僕の可愛いエリシアはもう起きてしまったのだろうか。
それともあの扉の音で起きてしまったのか。……だとしたらやっぱりあいつは殺しておかないと。
まだもう少しだけ眠っていたほうがいいと、僕が出せる最大限の優しく甘い声でエリシアに囁いてこよう。
夜になったらまたエリシアを愛すから、今はゆっくり休んでいてと伝えにいこう。
そうしたらきっと、恥ずかしがりながらあの白い肌を赤くして、紫の瞳を潤ませながら、僕を甘く熱く見つめてくれることだろう。
……そういえば、エリシアにあのイカれた女がいなくなったことをまだ言っていない。
それを言ったら僕をとられることはないとエリシアは安心するだろうか。
まぁあの女がいようがいまいが、僕がエリシアから離れることなど万に一つもないけれど。
だけどもう少し、不安に思って僕に縋るエリシアを見ていたい。
あの女のもとに行かないでと、好きにならないでと、私をずっと好きでいてと、快感で善がりながら僕に懇願するエリシアを見ていたい。
そんなふうに縋ってくるエリシアを逃げないよう組み伏せ、拘束し、縛り付けて、愛してあげたい。
僕に囚われることに安心してくれる可愛い可愛いエリシアを見ていたい。
エリシアが作って育てたこの体すべてを使って、僕が育てたエリシアの甘く優しく柔らかい心をこれからもずっと愛してあげよう。
「ハハッ、健康とはなんて素晴らしい!」
独り言ちてから、僕のエリシアに愛を囁くため隣の寝室へと足を向けた。
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読ませていただきました😄
読みやすくてあっという間でした✨
身体よわよわ殿下がヤンデレになる(,,>᎑<,,)
クルミのアレルギーで拒食症になって、エリシアの「あ~ん❤」で治す殿下
美味しくいただく為に狙いを定めてる(*/ω\*)
重いヤンデレ良かったです❤
本来のヒロインは元の世界に返しちゃうし(笑)
他の攻略メンバーは殿下が管理してるし(〃艸〃)♡
最後がハッピーエンドなはずなのに、バットエンドっぽくなるのはヤンデレ殿下のせい??
エリシアちゃんが幸せならまあいっか❤と(笑)
面白かったです✨ごちそうさまでした
ψ(˶ꔷ؎ꔷ˶)
他のヒーロー(側近)さん達生きてて良かった。ε= ( ˊᵕˋ ;) ホッ
ヒドインさんもお家に戻れたようだし?良かった、良かった!ε-(´∀`;)
ぱらさん
殿下はやたらめったら攻撃しない優しい人です笑
周りを飛ぶ虫だけを滅すタイプなのです💪
マイカちゃんは現代で良いマッチョを探してほしいです笑
これも愛、たぶん愛、きっと愛…。
重くて、粘着質。
でも、本人たちが幸せならイイ…のかな😅
NOGAMIさん
愛の水中花ありがとうございます笑
本人たちはとっても幸せです!💪w