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第2章・第2節:届かないエール
夜更かし
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青白く光るパソコン。
モニターのライトが不気味にその存在を浮かび上がらせている。
部屋の豆電球とデスクライトの明かりだけを頼りにキーボードの手はよどみなく動いていた。
時刻は深夜2時を回ろうとしている。
孝一は、明日のチームミーティングに向けて独り資料作成をしていた。
「あれ?まだ起きてたの?」
「あ、ごめん、起こしちゃった」
「大丈夫。だけど、コウ、もう 2 時だよ」
時計を見て、寝ぼけ眼の奈々美は目を丸くした。
「うん。明日の資料を作ってたらなんか集中しちゃって。ごめん、もう少ししたら寝るから先に休んでて」
「わかった。あまり無理しないでね」
「うん」
最近の孝一は時間感覚がおかしくなっていた。
いくら若いとはいえ、妻としては心配になってくる。
「よし、こんなもんかなー?」
「はぁーあぁ」
大きなあくびが出た。
あとは出社前にコンビニで印刷すれば良いかと、床に就くことにした。
張り詰めていた意識が途切れたからか、もう一つ大きなあくびが出た。
孝一が床に就いた時には深夜3時を回っていた。
最近、より一層仕事にも力が入っている。
新人も入り、新体制となったチームを盛り上げていきたいという思いもあった。
また、桃田が柱となってチームをまとめてくれているが、少しでもその役割を自分が担うことができれば、次のチャンスが巡ってくるのではないかと考えていた。
もうすぐ父親にもなる。自分が進むべきは目の前の仕事だ。
仕事に、家庭にやれることに妥協せず。
これからのことをあれこれ考えを巡らせながら、頭よりも先に体が布団に沈んでいった。
カーテンの隙間から新しい朝を告げる日差しが差し込む。
「ねえ、もう支度する時間だよ」
奈々美の声に、孝一は飛び起きた。
見たくないが時計を確認すると、もう数分で家を出る時間だ。
「やっぱっ」
寝間着を脱ぎ捨て、急いでワイシャツに腕を通す。
台風のように慌ただしく、最低限の身支度を済ませた。
「ご飯食べられる?」
「いや、いい!」
奈々美の用意してくれた朝食にも口が付けられず、家を出る羽目になってしまった。
あぁ、昨日やりすぎた。
前日の夜更かしの後悔をしながら、なんとか駅のホームに滑り込んだ。
モニターのライトが不気味にその存在を浮かび上がらせている。
部屋の豆電球とデスクライトの明かりだけを頼りにキーボードの手はよどみなく動いていた。
時刻は深夜2時を回ろうとしている。
孝一は、明日のチームミーティングに向けて独り資料作成をしていた。
「あれ?まだ起きてたの?」
「あ、ごめん、起こしちゃった」
「大丈夫。だけど、コウ、もう 2 時だよ」
時計を見て、寝ぼけ眼の奈々美は目を丸くした。
「うん。明日の資料を作ってたらなんか集中しちゃって。ごめん、もう少ししたら寝るから先に休んでて」
「わかった。あまり無理しないでね」
「うん」
最近の孝一は時間感覚がおかしくなっていた。
いくら若いとはいえ、妻としては心配になってくる。
「よし、こんなもんかなー?」
「はぁーあぁ」
大きなあくびが出た。
あとは出社前にコンビニで印刷すれば良いかと、床に就くことにした。
張り詰めていた意識が途切れたからか、もう一つ大きなあくびが出た。
孝一が床に就いた時には深夜3時を回っていた。
最近、より一層仕事にも力が入っている。
新人も入り、新体制となったチームを盛り上げていきたいという思いもあった。
また、桃田が柱となってチームをまとめてくれているが、少しでもその役割を自分が担うことができれば、次のチャンスが巡ってくるのではないかと考えていた。
もうすぐ父親にもなる。自分が進むべきは目の前の仕事だ。
仕事に、家庭にやれることに妥協せず。
これからのことをあれこれ考えを巡らせながら、頭よりも先に体が布団に沈んでいった。
カーテンの隙間から新しい朝を告げる日差しが差し込む。
「ねえ、もう支度する時間だよ」
奈々美の声に、孝一は飛び起きた。
見たくないが時計を確認すると、もう数分で家を出る時間だ。
「やっぱっ」
寝間着を脱ぎ捨て、急いでワイシャツに腕を通す。
台風のように慌ただしく、最低限の身支度を済ませた。
「ご飯食べられる?」
「いや、いい!」
奈々美の用意してくれた朝食にも口が付けられず、家を出る羽目になってしまった。
あぁ、昨日やりすぎた。
前日の夜更かしの後悔をしながら、なんとか駅のホームに滑り込んだ。
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