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ー下ー
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そのまま二人でプカプカ浮いて海水浴を楽しんでいたら、水中に何かが見えた。
恥ずかしいのでずっと下を向きがてら、水中の様子を観察していたのだ。
目を凝らしていたら、ヒモのようなものが水中に漂っているように見える。しかも結構太めで、半透明だ。それこそクラゲの触手のような……
「ねぇアラスターさん、アレなんだろう」
「ん?」
アラスターさんに見せてもようわからんとの一言で終わった。
しかし彼はちょっと考えてから、みんなに知らせた方がいいという判断を下した。僕も同意見だ。
「なぁクリス、ちょっと報告したいんだが…」
「は、はひ!何でしょうか?!」
チェンマオちゃんに話しかけられた時の僕みたいなリアクションをとる主人公。
好きなキャラが目の前にいるとそうなるよね…
「触手のようなものが水中に?」
「あぁ、もしかするとだけどな。でも本当にそうならマズイぜ…このままにして帰れねぇよな」
「分かりました。有識者に確認してきますね!」
スフスのデータキャラもここに来ているようで、南秦羅の海を知り尽くしたキャラたちも話に加わって色々相談し始めた。
彼らの見解では、もしかするとその大型のバケモノクラゲがさっきまで湧いていたバケモノクラゲの親玉で、尚且つ大量発生の原因なのではないかという意見だ。
「おびき出す必要がある。何かを囮にして水面から顔を出させなければ…」
「それならチャヨチャヨがぴったりです!ね?!チャヨチャヨ!さっき自分の潜水技術を自慢してたもんね?!」
「お、オレかよ~~~!!」
チャヨチャヨとはスフスのマスコットキャラクター。
猫だかウサギだかよく分からない青色の生き物で小憎たらしい性格のキャラクターで、こうやって主人公やヒロインに雑に扱われたりもする。
本当にチャヨチャヨが囮として海に潜り、親玉バケモノクラゲを刺激して来たようだ。
水面からとても大きなツルツルの丸いゼリーが水を波立たせながら浮かんできた。
まるで前世の日本で語り継がれてきた妖怪「海坊主」みたい。
姿を現した親玉は円盤型の大きな頭部と沢山の触手をこちらに向けてきた。相当お怒りのようだ。
チャヨチャヨは触手に絡まれてたけど主人公たちが助け出していた。
「よし行くぞ!出陣!!」
「おぉ!!」
バケモノクラゲを倒す為にみんな立ち向かっていくのはスフスでプレイしたレイドバトルを思い出す。
沢山のプレイヤーが一つの強大な敵を倒すのだ。
まずはタンクキャラ達が先陣を切っていく。水属性のダメージ担当のキャラ達にヘイトが向かないように武器や盾で派手に動いた。
僕達水属性持ちのダメージ担当は後方から攻撃を打っていく。
アラスターさんや僕は安全圏から飛び道具で攻撃出来るけど、他にも魔法使いキャラもいて、その人達も遠距離から攻撃を打てる。
近距離攻撃タイプは触手を処理する担当になったようだ。斬っても斬ってもまだ現れる触手はキリがなさそうで、僕たちがクラゲのコアを壊さないとどうにもならなそうだ。
大分傷が増えたクラゲに対して、指揮を取っていたデータキャラがみんなに呼びかける。
「クラゲのゼリー質は粗方削ぎ落とせた!これからタイミングを合わせて大技を繰り出してくれ!」
「了解!」
「派手に行くぜ!」
流石は歴戦のプレイアブルキャラクター達だ。合図もなくみんなで息を合わせて技を繰り出した。
僕やアラスターさんもみんなと同時に技を放った。
パリンというクリスタルが碎ける綺麗で乾いた音が鳴ったので、親玉バケモノクラゲのコアが破壊されたのが分かった。討伐が終了した合図でもあった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
終わったのは丁度空が綺麗なオレンジ色になった頃で、少し日が落ちてきて空が藍色になった今は砂浜でみんなとバーベキューをしている。
僕は焼いてもらった棒付き飴のような、グルグルととぐろを巻いたソーセージを頬張った。パリッとした皮から肉汁がジュワッとしてて美味い!
アラスターさんは塩コショウで味付けされた肉串を食べている。
他のキャラはビールや秦羅名産のお酒を飲んでたけどアラスターさんはアルコールが低くて甘いカクテルを飲んでいた。
どうやらお酒にあまり強くないらしいことをボソッと教えてくれた。
それがすごく意外で、彼をじっと見てたら頬を紅くして「酒弱くて悪いかよ」と唇をとがらせて不貞腐れてた。ちょっと可愛い。
他の人たちは帰ったキャラもいたり、まだ大人キャラはどんちゃん騒ぎしてたりと色々だ。
焚き火をアラスターさんと眺めていて、僕は疲れてうつらうつらしてきた。
そんな僕に気付いたアラスターさんは僕を起こし、帰る準備をさせた。
「こんな時間じゃもうどこもホテルは空いてねぇだろうし、今日はもう帰っぞ!」
僕はそれにむにゃむにゃと返事をして元の服に着替えた。水着と弓はそのまま貰えることになった。嬉しい。
南秦羅ポータルからスコウポータルまで移動してきた頃にはもう夜も深くなっていた。
アラスターさんはわざわざ僕をスコウまで送り届けてくれたのだ。
優しい兄貴だ。まぁ、弟分になってやってもいいかな!
「眠いからってそこら辺で寝こけるなよ!じゃあな!」
「そんなことするわけないだろ!…じゃあ、気をつけてねアラスターさん」
「あぁ、おやすみロニー…」
砂浜で眠りそうになってたけど、それから少し眠気が冷めた僕はポータルの上から消えていくアラスターさんを見送った。
家に帰ってきたらまた眠気が襲ってきて、直ぐに寝る準備をしてベッドに入ったら一秒で寝てしまった。
僕が海でかっこよく泳ぐ夢を見た。チェンマオちゃんにも褒められたし、アラスターさんよりも早く泳げたので彼は悔しそうにハンカチを噛んでいた。
とてもいい夢だ。正夢にする為にプールで練習しなければ!
またアラスターさんとあーでもないこーでもないと色々言い合って海に行きたいな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ロニーをスコウまで送り届けた。
今は夜の天楼を、家に向かって歩いて今日のことを振り返っている。
今日は楽な仕事だって聞いてたけど、割と戦い詰めだったなぁ。
ロニーと泳ぐ練習は海だと危険だなと判断したから、今度は天楼か秦羅にあるプールにでも連れてってやろうと思う。そこでなら波もないし安心して教えてやれる。
ロニーのやつ、浮き輪がガキっぽいとか主張してて笑える。ガキのくせに何言ってんだ。超似合ってたぞ可愛い浮き輪。
あいつ、最初に南秦羅の海を目キラキラさせて眺めてたな。海自体見たの初めてなんじゃねぇのか?
可愛い弟分にはもっと色々体験させてやりたい。次はどこに行って何をしようか。
そんなことを考えてた俺はニヤニヤしてたのか、天楼の裏路地をうろつく部下たちに不気味そうに遠巻きから見られていた。あいつら後でシバく。
親玉バケモノクラゲこととか、ロニーのお陰で発覚していたことで、今回親玉を倒せなかったらまたザコクラゲ討伐に出向く羽目になっていただろうし(まぁそれはそれで南秦羅に行けて良いが)
キリが無かったのでロニーのお手柄だ。クリスに言った通り、足でまといにならなかったどころか活躍したし、これからももっと連れ出してやらねぇとな!
また、ロニーとあーでもないこーでもないと言い合いながらどこかに行こう。
そんなことを色々考えて自宅の近道である天楼の路地裏を歩き帰った。
恥ずかしいのでずっと下を向きがてら、水中の様子を観察していたのだ。
目を凝らしていたら、ヒモのようなものが水中に漂っているように見える。しかも結構太めで、半透明だ。それこそクラゲの触手のような……
「ねぇアラスターさん、アレなんだろう」
「ん?」
アラスターさんに見せてもようわからんとの一言で終わった。
しかし彼はちょっと考えてから、みんなに知らせた方がいいという判断を下した。僕も同意見だ。
「なぁクリス、ちょっと報告したいんだが…」
「は、はひ!何でしょうか?!」
チェンマオちゃんに話しかけられた時の僕みたいなリアクションをとる主人公。
好きなキャラが目の前にいるとそうなるよね…
「触手のようなものが水中に?」
「あぁ、もしかするとだけどな。でも本当にそうならマズイぜ…このままにして帰れねぇよな」
「分かりました。有識者に確認してきますね!」
スフスのデータキャラもここに来ているようで、南秦羅の海を知り尽くしたキャラたちも話に加わって色々相談し始めた。
彼らの見解では、もしかするとその大型のバケモノクラゲがさっきまで湧いていたバケモノクラゲの親玉で、尚且つ大量発生の原因なのではないかという意見だ。
「おびき出す必要がある。何かを囮にして水面から顔を出させなければ…」
「それならチャヨチャヨがぴったりです!ね?!チャヨチャヨ!さっき自分の潜水技術を自慢してたもんね?!」
「お、オレかよ~~~!!」
チャヨチャヨとはスフスのマスコットキャラクター。
猫だかウサギだかよく分からない青色の生き物で小憎たらしい性格のキャラクターで、こうやって主人公やヒロインに雑に扱われたりもする。
本当にチャヨチャヨが囮として海に潜り、親玉バケモノクラゲを刺激して来たようだ。
水面からとても大きなツルツルの丸いゼリーが水を波立たせながら浮かんできた。
まるで前世の日本で語り継がれてきた妖怪「海坊主」みたい。
姿を現した親玉は円盤型の大きな頭部と沢山の触手をこちらに向けてきた。相当お怒りのようだ。
チャヨチャヨは触手に絡まれてたけど主人公たちが助け出していた。
「よし行くぞ!出陣!!」
「おぉ!!」
バケモノクラゲを倒す為にみんな立ち向かっていくのはスフスでプレイしたレイドバトルを思い出す。
沢山のプレイヤーが一つの強大な敵を倒すのだ。
まずはタンクキャラ達が先陣を切っていく。水属性のダメージ担当のキャラ達にヘイトが向かないように武器や盾で派手に動いた。
僕達水属性持ちのダメージ担当は後方から攻撃を打っていく。
アラスターさんや僕は安全圏から飛び道具で攻撃出来るけど、他にも魔法使いキャラもいて、その人達も遠距離から攻撃を打てる。
近距離攻撃タイプは触手を処理する担当になったようだ。斬っても斬ってもまだ現れる触手はキリがなさそうで、僕たちがクラゲのコアを壊さないとどうにもならなそうだ。
大分傷が増えたクラゲに対して、指揮を取っていたデータキャラがみんなに呼びかける。
「クラゲのゼリー質は粗方削ぎ落とせた!これからタイミングを合わせて大技を繰り出してくれ!」
「了解!」
「派手に行くぜ!」
流石は歴戦のプレイアブルキャラクター達だ。合図もなくみんなで息を合わせて技を繰り出した。
僕やアラスターさんもみんなと同時に技を放った。
パリンというクリスタルが碎ける綺麗で乾いた音が鳴ったので、親玉バケモノクラゲのコアが破壊されたのが分かった。討伐が終了した合図でもあった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
終わったのは丁度空が綺麗なオレンジ色になった頃で、少し日が落ちてきて空が藍色になった今は砂浜でみんなとバーベキューをしている。
僕は焼いてもらった棒付き飴のような、グルグルととぐろを巻いたソーセージを頬張った。パリッとした皮から肉汁がジュワッとしてて美味い!
アラスターさんは塩コショウで味付けされた肉串を食べている。
他のキャラはビールや秦羅名産のお酒を飲んでたけどアラスターさんはアルコールが低くて甘いカクテルを飲んでいた。
どうやらお酒にあまり強くないらしいことをボソッと教えてくれた。
それがすごく意外で、彼をじっと見てたら頬を紅くして「酒弱くて悪いかよ」と唇をとがらせて不貞腐れてた。ちょっと可愛い。
他の人たちは帰ったキャラもいたり、まだ大人キャラはどんちゃん騒ぎしてたりと色々だ。
焚き火をアラスターさんと眺めていて、僕は疲れてうつらうつらしてきた。
そんな僕に気付いたアラスターさんは僕を起こし、帰る準備をさせた。
「こんな時間じゃもうどこもホテルは空いてねぇだろうし、今日はもう帰っぞ!」
僕はそれにむにゃむにゃと返事をして元の服に着替えた。水着と弓はそのまま貰えることになった。嬉しい。
南秦羅ポータルからスコウポータルまで移動してきた頃にはもう夜も深くなっていた。
アラスターさんはわざわざ僕をスコウまで送り届けてくれたのだ。
優しい兄貴だ。まぁ、弟分になってやってもいいかな!
「眠いからってそこら辺で寝こけるなよ!じゃあな!」
「そんなことするわけないだろ!…じゃあ、気をつけてねアラスターさん」
「あぁ、おやすみロニー…」
砂浜で眠りそうになってたけど、それから少し眠気が冷めた僕はポータルの上から消えていくアラスターさんを見送った。
家に帰ってきたらまた眠気が襲ってきて、直ぐに寝る準備をしてベッドに入ったら一秒で寝てしまった。
僕が海でかっこよく泳ぐ夢を見た。チェンマオちゃんにも褒められたし、アラスターさんよりも早く泳げたので彼は悔しそうにハンカチを噛んでいた。
とてもいい夢だ。正夢にする為にプールで練習しなければ!
またアラスターさんとあーでもないこーでもないと色々言い合って海に行きたいな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ロニーをスコウまで送り届けた。
今は夜の天楼を、家に向かって歩いて今日のことを振り返っている。
今日は楽な仕事だって聞いてたけど、割と戦い詰めだったなぁ。
ロニーと泳ぐ練習は海だと危険だなと判断したから、今度は天楼か秦羅にあるプールにでも連れてってやろうと思う。そこでなら波もないし安心して教えてやれる。
ロニーのやつ、浮き輪がガキっぽいとか主張してて笑える。ガキのくせに何言ってんだ。超似合ってたぞ可愛い浮き輪。
あいつ、最初に南秦羅の海を目キラキラさせて眺めてたな。海自体見たの初めてなんじゃねぇのか?
可愛い弟分にはもっと色々体験させてやりたい。次はどこに行って何をしようか。
そんなことを考えてた俺はニヤニヤしてたのか、天楼の裏路地をうろつく部下たちに不気味そうに遠巻きから見られていた。あいつら後でシバく。
親玉バケモノクラゲこととか、ロニーのお陰で発覚していたことで、今回親玉を倒せなかったらまたザコクラゲ討伐に出向く羽目になっていただろうし(まぁそれはそれで南秦羅に行けて良いが)
キリが無かったのでロニーのお手柄だ。クリスに言った通り、足でまといにならなかったどころか活躍したし、これからももっと連れ出してやらねぇとな!
また、ロニーとあーでもないこーでもないと言い合いながらどこかに行こう。
そんなことを色々考えて自宅の近道である天楼の路地裏を歩き帰った。
応援ありがとうございます!
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