ロニーとアラスター〜ソシャゲの低レア不人気キャラに転生したら何故か高レア人権キャラと仲良くなりました〜

緑川にゃにゃ

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「ほぁ~…これが異世界転生…」

 俺は日本でしがないゲーマーをやっていたはずなのだが、目が覚めると見たことない木造のヨーロピアンな可愛らしい部屋、鏡を見れば金髪碧眼の少年になっていた。
 ただこの顔に見覚えはある。

 前世でプレイしていたファンタジーRPGのソーシャルゲーム「ステラファンタジアストーリー」(略してスフス)の星が二個しか付いてない最低レアで、尚且つ初心者序盤育成おすすめキャラにも入ってない、誰も使ってない弓士のロニー。
 スフスは有名ゲーム会社が制作してたし、TVCMも放映していたかなり人気のソシャゲだったと記憶しているが、友達がやっていたから自分も話題についていくためにプレイしていただけなので、ガチ勢という訳ではない。それにロニーは微課金勢の俺もさすがに使った記憶が無い。
 スフスには強い上に可愛くて好きな女の子キャラもいたけど、ついぞそのキャラの水着は引けなかったなぁ……

 とにかくイマドキのオタクとしてネット小説もそこそこ読んでたし、まさか自分が異世界転生するとも思ってないし本当に有り得ることだと知らなかったとはいえ、小説で予習(?)しておいたのですんなり現状を受け入れた。
 ロニーは前世の俺より身長は低そうだし、17歳という設定にしてはかなり童顔だが前世の顔よりだいぶ整っていて概ね満足。
 俺はこれからロニーとして生きていくぞ!

 ロニーが暮らすスコウという町は森の中にある。
 ログハウスやツリーハウスが沢山並ぶ町並みは、なんだかおもちゃみたいで可愛い。
 空気も澄んでいて、木漏れ日も爽やかな気持ちにさせてくれるし今日からここで暮らすことにあまり不満は無い。
 この世界にスマホもゲームも無いけど俺にはやることがあった。

 ロニーとして最強を目指す!

 ロニーの中に俺という記憶はあるが、ロニーとしての記憶もあり、彼は誇り高きスコウの戦士として弓を極めたい気持ちがあった。
 しかしここはゲームの世界で、主人公の意志によりキャラクターが強化される可能性が高い。
 ロニーはもう既に主人公に会っており、仲間認定を受け、多分ガチャで引かれた状態になっているらしいがこの世界の主人公もロニーに対して反応が薄かったので、主人公の協力が得られるかどうかは怪しそうだ。
 だとするならば今世は自分自身でロニーのパワーアップを人生の目標にして暮らそう。
 このゲームの世界に終わりがあるのかは分からないが、終わりを迎える時には最強の弓士になっていることを目指して――

 丁度スコウではお祭りの準備の真っ最中だ。
 スコウは目が良い者が多いので、町民は弓を扱う。
 森の中は魔物の巣窟であり、町には結界を張っているがその外に出ると弱い魔物からレイドバトルの対象になるような魔物まで潜んでいるので危険だ。
 弱い魔物の中には食肉や衣類用の皮になるものもいるのでスコウの人々は昔から傷を最小限にして魔物を狩る為に弓を用いた。
 スコウのお祭りはスコウの戦士である弓士達の腕の競い合いがメインイベントだ。
 部門は射的と魔物狩りの二種類あり、射的は弓以外使ってはいけないが、魔物狩りの腕を競う部門は矢や弾を使う遠距離武器なら何でもいいので、スコウ以外の地域からも腕自慢の参加者がやってくる。
 僕はどちらの部門にも出るつもりなので、お祭りの準備を手伝いつつ空いた時間で射的の練習をしていた。

「ソシャゲのプレイアブルキャラになるくらいだから腕は良いのかも」

 丸い的に矢を放ち、より真ん中に多くの矢を射ることが出来るものが優勝する。
 今の段階でロニーは的から外さないので中々の腕前だ。しかし現状に満足したくない。的に当たる矢をもっと真ん中に寄せたいのだ。もっと強くなりたいし、今回のお祭りでは早く強くならないといけない理由もあった。
 誰かにコーチングしてもらいたいが、スコウの戦士たちはみんな自分のことで忙しい様子で、俺に構ってる暇は無さそうだ。

 実は今回のお祭りはゲーム内の期間限定イベントストーリーである。その上なんとロニーに焦点を当てたストーリーだった。
 このお祭りの魔物狩りの際に強い魔物が暴走してしまい、まだ魔物との対峙経験の浅い参加者が襲われてしまうのだが、スコウ生まれで森を知り尽くしてるロニーやお祭りに来た他のキャラが魔物を倒したり、怪我をした参加者を援護したりしてトラブルを解決し、その中であまり自分に自信がなかったロニーの成長を描いている。
 俺は予めトラブルを知っているので、念入りな祭りの準備や警備担当の町民に警備の厳重化を促したりと色々動いてはいるが、ただの町の少年がこれから起こることを声高に言っても信じてくれなさそうだし、怪我人を出さない様にするにはこういった地味な活動に留まっている。
 ゲームでのロニーはこのトラブルが起こることを知らなかったが、俺の記憶がある今のロニーは知っている。せっかく知っているのならば怪我人を出さず、未然に事を終えたい。
 その為には絶対に強くなってみんなを助けなければ!
 俺はこの祭りに参加する為にスコウに訪れたあのキャラを頼った。

「狙い撃ちのコツぅ?!」
「はい、是非アラスターさんに教えて欲しくて」

 天楼の狂狼ことアラスターはスフスの最高レア人権キャラだ。
 普通遠距離攻撃キャラは遠距離から攻撃できる代わりに攻撃力が低く設定されているのだが、この人は近距離攻撃キャラ顔負けの攻撃力を誇り、その上味方回復スキル持ちで、攻撃を受け止める近距離タンクキャラを回復しつつアラスターで攻撃しまくるアラスターシステムというゲーム攻略法が存在した。
 彼が使うのは魔弾銃である。魔力を弾にして勢いよく発射する為の武器だが、普通の銃とは違いリロードの必要が無く、自分の体内の魔力が尽きるまで打つ事が出来るらしい。
 そしてアラスターは強い上にイケメンキャラだ。SNS上でもお姉さん方がアラスターの名をよくトレンドワード入りさせてたっけか……

「アラスターさんの凄い技術のほんの少しで良いんです!教えて頂けませんか…?」
「うぅ~ん…」

 赤いメッシュの入った黒い髪を無造作にオールバックにして丈の長いコートを肩にかけたハンサムな長身の青年は、天使の様な金髪と南国の海みたいなコバルトターコイズブルーの瞳を持つ可愛らしい少年(当社比)のお願いを聞くか聞くまいか悩んでいる様だ。

「確かにスコウ生まれで弓士のお前は今回の祭りで力を示したいだろうよ…でも当日まで時間がないし、また来年に懸けた方がいいんじゃねーか?」
「確かに良い成績を残すのであればそうなんですが…胸騒ぎがするんです…今回のお祭りで何か悪いことが起きそうな…」

 アラスターは都会出身なので、スコウ出身を生かした神秘的で意味深な言葉と表情で彼を惑わす作戦。
 後はもう情に訴えて目を潤ませ上目遣いで押せ押せだ。
 男だと言えど可愛い弟系(?)キャラのお願い攻撃には抗えまい。

「お願いします!町のみんなを守りたいんです!」

「わ、わかったよ…」

 アラスター陥落!やったね!
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