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一章:可愛いキノコ、愛しい殺人鬼
秘密の関係 56
しおりを挟む金曜の夜に司破と別れて3日が経っている。
あの日は家に帰り、オムライスを食べながら小畑とちゃんと話し合った。
結局のところ、担任については今後ひどくなるようならば涼子に相談するということで落ち着き、その日はお風呂に入りぐっすりと眠りについた。
次の日は、何事もなく放課後まで時間は過ぎ去り、義一郎と共に向かった保健室で、オリエンテーションで明紫亜を嬲った三人からの謝罪を受けた。
その後、司破と過ごせるかと思ったが、矢張り新任で何かと忙しいらしく、学校で別れたきりだった。
日曜日も司破から連絡が来ることはなく、明紫亜は一人で買物に出掛けた。
家に戻ってからは、宿題をしたり、小畑と料理を作ったりして過ごした。
司破と結婚することを考えれば、一応自分が嫁という立場になるのだろう。
それ故に、花嫁修業だと自身を奮い立たせ、今までしようとしなかったことにも挑戦しようと心を入れ替えたのだ。
そんなこんなで司破の誕生日である8日を迎えた月曜日。
ふーんふふんふ、ふふんふっふー、ふっふっふんふっふ、と何の歌か定かではない鼻歌混じりで明紫亜は通学路を歩く。
今日は司破の誕生日だ。
プレゼントも何とか買うことが出来て、明紫亜はとてもご機嫌だった。
司破が忙しかったら、渡すだけでもいい。
忙しい司破の迷惑にはなりたくない。
会いたい、だなんて自分からは言わないと決めた。
少し会って「おめでとう」を告げプレゼントを渡せたら、それだけでいい。
明紫亜は雪代の家族以外の誕生日を祝うことがあまりなかった。
それだから、とても楽しみで心が躍るのだ。
授業は順調に進み、本日最後の授業が化学だった。
理科室での実験で、明紫亜は隣の席の杉木と周辺の席の数名と同じ班になっての実験を行っていた。
薬品を入れたビーカーをアルコールランプで熱している時にそれは起こったのだ。
破裂音がしたと思った瞬間、腕を引かれた。
「危ない、メシア!」
そう叫ぶのを耳にした途端に体が誰かの腕に抱き込まれたと、その声が杉木のものであったと、そう認識しても頭の中は真っ白で何が起こったのか判断出来ない。
ただ体が震えてしまい、庇ってくれた人間の腕の中でガタガタと身を縮こませていた。
思わず縋るように目の前の腕にしがみつく。
「大丈夫か、メシア。悪いな、触っても、大丈夫だったか?」
こんな状況でも明紫亜の体質を気に掛ける杉木に気持ちが込み上げた。
潤んだ瞳で少し離れた杉木を見遣る。
「ぁ、ぁ、ぁ、そんなことより! 杉るん、は? け、け、怪我っ! してない? どうしよう」
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