親友ラバー

Neu(ノイ)

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一章:親友の異変

異変×噂=告白 06

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覚悟を決めたように一気に喋り、和志は誡羽を窺った。
誡羽は驚いたのか口を開けて言葉を失っていた。

「堀中、光輝は大丈夫なのか? 何かに巻き込まれたりとか」
「それは大丈夫だよ。色々と話し合いがあるみたいで。ごめんね、従妹が」
「いや、堀中のせいじゃないだろ? 謝るなよ」

俯き加減で額に手を当てる和志は申し訳ないと顔を歪ませていた。
そんな彼に首を振り笑い掛けるも、誡羽の微笑みに力はなかった。

「有り難う、誡羽君。理呼ちゃん……従妹は、少し難しい子でね。光輝も手を焼いてるんだと思うよ」
「そう、なんだな。何にしても、無事なら良かった。心配だったから」
「うん。話はそれだけだよ。どうする、食堂一緒に行こうか?」

肩の荷が降りたのだろう、和志は晴れやかな表情で立ち上がる。
時計を確認すれば、既に18時を回ろうとしていた。
誡羽を窺うと、小さく首を縦に揺らした。

「お邪魔させて貰うよ。健ちゃんは大丈夫か? 昨日、今日は一緒に食べるって、光輝言ってたけど」
「ああ。昨日途中からでも一緒だったから、まあ満足してるみたいだよ。健も相当光輝のことが好きだけど、良く解らない絆で結ばれているみたい。光輝の困ることはしないんだって豪語してるよ」
「へえ。本当に仲が良いんだな」

二人で並んで話ながらリビングを出る。
廊下を進み靴を履けば、扉を開けて部屋から退室した。
そのまま和志の部屋へと向かう。


 あの後、健と合流し、食堂で、泰造と嵐と一緒になり、結局、5人で食事を摂った。
食事を終える間際、健から一緒に寝ようと誘われ、この日は和志と健の部屋で一夜を過ごすことになった。
食堂から一旦部屋に戻り、着替えや学校の支度を持ち、和志達の部屋に向かう。
夜の23時頃まで、宿題をしたり、ゲームをしたり、雑談をしたりして過ごし、誡羽は健の部屋で眠るのだった。




 朝を迎え、お腹に掛かる圧迫感にうすらぼんやりと意識が浮上する。
良く見れば、お腹の上には健の頭が乗っかっていた。
彼はあまり寝相が良くないようだ。
むにゃむにゃ、と口を動かしながら、誡羽の服を握り込んでいる。


 珍しく寝起きの悪い誡羽が一発で目を覚ました。
相当健が重かったのか。
人の部屋だからなのかは解らないが。


 健の頭をそっと持ち上げて横に退かした。
上体を起こす誡羽の目に、机上の目覚まし時計が飛び込んできた。
カエルの形をした黄緑のそれは、きょろんとした双眸を誡羽に向けている。
あんぐりと開けた口の中に文字盤が埋め込まれている。
時刻は6時を指していた。
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