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一章:傲慢王子は呪われ奴隷を飼う
付き纏う王子 04
しおりを挟む面白くなさそうに、ふん、と鼻で嗤うシヴァであったが、それでもメシアの体を下にと降ろした。
離れていく温もりに胸が引き攣るような痛みを覚える。
寂寥感がメシアの内を侵食し、息苦しさに天を仰いだ。
髪が、もさり、と後ろに流れ落ちる。
「メシア」
僅かに口角を持ち上げたシヴァの掌に手首を掴まれていた。
行くぞ、と歩き出す青年の背を追い掛けながら、繋がった手を意識してしまう。
嫌な筈の他人との触れ合いを、ただ嬉しく感じている。
「勝手に歩いて迷子になっても知らないからな」
精一杯の強がりを口に乗せても抵抗はしなかった。
まだもう少し、シヴァと繋がっていたい。
その感情を異常だと認識しながらも欲求には抗えない。
「どうせ迷子になるなら担ぐか?」
「……先に行かないでよ」
悪戯に笑う青年の顔が振り向きメシアを見ている。
ぷくん、と片頬を膨らませ文句を垂れた。
「たく、注文の多いガキだな」
悪態を吐きながらも歩調を緩めメシアに並んだシヴァの顔には何処か嬉しそうな色が浮かぶ。
「無理に連れて来たのは貴方でしょ? 文句があるなら着いて来なくていいし。それにしても、王子の癖に口が悪いですね」
ふい、と青年の視線から逃げるように横を向いたメシアに、シヴァは「王子なんて形だけだからな」と淡々と答えた。
「俺と異母弟は、妃が産んだ子供ではなく、王が外で作った落胤だ。18歳まで一般民として育ったんでな。堅苦しいのは嫌いなんだよ」
ふーん、と相槌を打ちながら目の前に辿り着いたカースレストにと足を踏み入れる。
何てこともないかのように話しているが、特殊な生い立ちである。
それなりに苦労もしているのかもしれない、とシヴァに勝手な親近感を抱く。
「何で王子になったんですか?」
「異母兄がキチガイなんだよ。逃げ道を奪われて、王子になるしかなかったんだ」
第一王子? と首を傾げるメシアを睨むシヴァから、ちっ、と舌打ちが聞こえてくる。
掴まれている手首を更に強く握られていた。
「あんな男に興味を持つな。お前は俺のことだけ考えていればいい」
傲慢なことを言われた気がする。
それなのに、メシアは何故か胸が満たされるような充足感を得てしまう。
戸惑いに瞬きを繰り返し俯いた。
黙っていると腕を引かれ、よろけた身体が青年にぶつかる。
上から見下ろしてくる真っ黒な瞳を見上げて息を吐き出した。
高鳴った心臓を誤魔化そうと急いで離れようとして叶わない。
「逃げるな、メシア。お前は俺のモノだ」
腕から離れた手に肩を抱かれていた。
反論しなくては、と開いた唇は機能しない。
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