寮長様の小型わんこ

Neu(ノイ)

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序章:寮長様と小型わんこ

嫌いなわんこ 01

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*何年か前に掌編として書いたものを一部修正しています。
掌編集と重複し、若干表記や表現が異なる箇所がございますがご了承下さいませ。


【嫌いなわんこ】


 最悪だ。
最悪以外に言葉が浮かばない。
堀中 和志(ホリナカ カズシ)は、部屋に入って来た人物を凝視した。
彼は大きな鞄を小さな背に背負い、うんしょうんしょ、と自分の部屋に運ぼうとしていた。


 彼は今日からルームメイトになった堀内 健(ホリウチ ケン)である。
幼馴染みの佐倉 光輝(サクラ コウキ)と兄弟の契りを交わしたと言うふざけた奴だ。
和志は健のことが嫌いなのだ。


 理由は解らない。
彼を見ていると、イライラする。
自分とは相容れない。
和志は健を尻目に自分の荷物を運んだ。


 そうして、荷物の整理を始めてから一時間程が経過した時だった。
扉がノックされた。
ふぅ、と息を吐き出し扉を開ければ、案の定、健が立っている。

「何かな、堀内君?」

嫌っているなどと知られても面倒なので、にっこりと笑顔を張り付ける。
健はまだ成長期前なのだろう、155cm程の身長だった。
和志は成長期に入り始めた頃で、175cmはあっただろうか。
小さな健を見下ろす形になった。

「自己紹介、まだだったろ? 俺、堀内 健! 健でいーよ。一年宜しくな! クラスも一緒だと良いね」

目の下で、彼のふわふわとした淡い茶髪が揺れている。
健は首を上げて和志を見上げていた。
クラスも一緒だなんて御免だ、と思いつつも、そうとは言えないので、適当に流そうとした。

「ああ、僕は堀中 和志だよ。一応、この棟の寮長をやっているから、何でも聞いてね。じゃあ」
「知ってる! 毎年寮長やってるよな。偉いなあ、って思う。俺には無理だから。あ、そう言えば、佐倉の兄ちゃんとは幼馴染みなんだろ?」

話を切り上げようとしたのだが、健はマシンガンのように畳み掛ける。
口を挟む隙も与えてはくれなかった。

「まあ、ね。幼馴染みと言っても、この学校では、幼等部組も沢山いるから。結構多いよ、幼馴染みは。僕、荷物の整理がまだだから」
「へえ、そうなんだな! 俺は小等部から。えー、もうちょっと話しようよ」

くい、と服の裾を引かれる。
ひきつる顔をどうにか抑えて首を振った。

「堀内君は、片付け終わったの?」
 「健! 苗字は嫌なの! 片付けー、明日にすんだあ。今日はもう疲れたし」

ぷくっ、と膨れる頬が目に入る。
幼い仕草に、幾つだよと内心思いつつ、服を引っ張られる感覚に溜め息を吐いた。

「堀内君。悪いけど、寮長としての仕事もあるから。離してくれるかい?」
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