41 / 60
ランク別武闘大会・開幕
〜武闘大会決勝・優秀な冒険者たち〜
しおりを挟む
~武闘大会決勝・優秀な冒険者たち~
三日後の朝、私たちは闘技場に向かった。
選手用入口から中に入り、冒険者たちには控室で待ってもらう事にした。
私はキャリーム先輩に挨拶するため、相手側の控室に向かう。
すると同じ事を考えていたのだろうか、向かう途中の道でキャリーム先輩とバッタリ合ってしまう。
浮かない顔のキャリーム先輩に簡単に挨拶を済ませ、私は控室に戻る。
鉄ランクの相手は魔族であるどろぱっくさん。
あの幼い顔立ちをどこかで見た気がするのだが……思い出せない。
彼は二本の角が生えている、黒い髪を伸ばしてわざと天然パーマのような癖をつけているのが特徴的。
おそらく角を少しでも目立たなくしようとしているのだろう。
鉄ランクの魔法剣士で、風と水の合成魔法使い。
体の周りに風と水滴を纏って、気流や光の屈折を利用して体や武器を不可視可する能力。
鬼羅姫羅星さんは気流を操り見えづらくするが、どろぱっくさんの場合は完全に見えなくなる。
目を凝らせばぼんやりと違和感がある程度だろうか?
しかし、便利に思われる不可視可は思ったほど万能ではない。
透化するわけではないから適当に武器を振れば当たるし、本人も打たれ強いわけではない。
しかし一回戦で、彼は武器だけしか不可視可させていなかった。
武器だけしか不可視可させていないにも関わらず、客席からは野次がたくさん飛んでいて、不快に感じたのを覚えている。
やれ「卑怯者」だの「臆病者」だのと……
『半魔』と言うタブー発言まで聞こえてきていた。
半魔とは、その名の通り半分魔物と言う意味の、絶対に言ってはいけない差別用語。
いくらなんでもこんな野次まで飛ばすなんてあり得ない事だ。
一回戦の光景を思い出し、憤りながらも控室に向かう。
そして対戦するであろうどるべるうぉんさんに声をかける。
「セリナさん、何かあったのですか?」
彼を呼ぶとすぐ駆けつけて来てくれて、心配そうな表情で私の顔色を伺ってくる。
私はどう言おうか迷い、少し言葉を濁してしまう。
「キャリーム先輩の、鉄ランク代表の事なのですが……」
「あぁ、その事ですか。 心配はいりませんよ?」
どるべるうぉんさんは私の言いたい事を察したのか、優しそうな顔で微笑んでくれる。
「あまり自分で言うべき事ではありませんが、私はあなたに選んでもらった代表冒険者なのですから……」
私はどるべるうぉんさんの次の言葉を聞き、膝から崩れ落ちた。
☆
会場は歓声と野次が飛び交い、混沌としていた。
今日の試合解説(暇なので観戦に来てる冒険者)には、すいかくろみどさん、ぴりからさんが来てくれている。
後ろにはよりどりどり~みんさん、一人挟んでべりっちょべりーさんもいる。
「まじなんなんこの野次、ちょー感じ悪いわ~」
苛立たしげに隣で呟くすいかくろみどさん、しかし私はさっきどるべるうぉんさんと話をしたから分かる。
きっとあの人がこの空気を変えてくれるだろう。
私は真っ赤になった目ですいかくろみどさんの言葉に答えた。
「どるべるうぉんさんは、かなり優秀な方ですから……ハンカチ用意しておいた方がいいですよ?」
「——?」
首を傾げるすいかくろみどさん。
その直後、会場のブーイングはピークに達した。
どろぱっくさんが入場してきたのだ。
すでにどるべるうぉんさんは、闘技場内で剣を振ってウォーミングアップしている。
二人が対峙すると、審判は気まずそうな顔で開始の合図を入れた。
観客は流石に試合中は静かに見守るらしい、試合が始まっても動かない二人に視線を集める。
「どるべるうぉんさん? と言いましたか? あなたは変わった方なのですね」
警戒しながらもどろぱっくさんが口を開く。
「変わっている……とは? 何が言いたいのです?」
「あなたの視線からは嫌な気配を感じない、畏怖や憎悪、立場の弱いものを蔑むような視線が感じられません」
その一言を聞いたどるべるうぉんさんは構えを解き、やれやれと肩を窄めた。
「なんだ、そんな事ですか? 始まる前にもセリナさんに呼ばれましたよ。 まったく……みんな私を信用してくれてないようですね」
そう言いつつ、勢いよく剣をどろぱっくさんに向ける。
「貴殿にも教えてあげましょう! セリナさんやキャリームさんのような方々が優秀な冒険者たちから尊敬され、彼女たちの元に優秀な者が集う理由を!」
声を張り上げるどるべるうぉんさん、私は急いで用意したハンカチを握りしめる。
「いいですか、真に優秀な人間は、生まれや見た目などで人を評価しない! 自分の目で見た物、自分が信じた存在を疑ったりしない! ありもしない誹謗中傷や他人の意見に流されることなど決してない!」
野次を飛ばしていた観客たちは、不機嫌そうな顔でどるべるうぉんさんを睨む。
しかし、誰一人として何も言い返せない。
「あえて言わせて貰いましょう。 私はセリナ組の代表だ! セリナさんの看板を背負い、この場に立っている。 貴殿もそうでしょう、キャリームさんが代表に選んだからこの場に立っている! 代表として選ばれている貴殿に、尊敬の意は持つが、畏怖や差別の目を向ける事は断じてない! そのような愚行、お二人の名に泥を塗るのと同じ事!」
私はチラリと隣を確認する。
どるべるうぉんさんから目を逸らさずに、腕を組んで男泣きしているすいかくろみどさん。
顔を伏せて鼻を啜っているぴりからさん。
とりあえず、こうなるのは分かっていた事なので二人にもハンカチ渡してあげた。
「あえて言わせてもらいます! どろぱっく殿、私はセリナさんに選ばれた
——————優秀な冒険者だ。
だから無駄な事は考えず、持てる力全てを使い、私と戦ってもらいますよ?」
どるべるうぉんさんは優しく微笑みながら剣を構える。
会場中に響き渡った彼の声で、そこらじゅうから鼻を啜る音や嗚咽が聞こえてくる。
私もさっき、同じような事を直接言われて膝から崩れてへたり込み、大号泣してしまった。
……カッコよすぎんだよ! イケメンな上に性格もいいとか反則だ!
会場に盛大な拍手が響き渡る、観客たちは頬を濡らしながらどるべるうぉんさんへ賛美の声を送っている。
どろぱっくさんは驚きながらもあたりの様子を伺う。
すでに彼に向けられた視線には、畏怖や憎悪、蔑みを帯びた視線は一切なかった。
初めての事だったのだろうか、戸惑いながらも嬉しそうに笑うどろぱっくさん。
「どるべるうぉんさん、あなたと戦える事を……心から、誇りに思います」
嬉しそうに、満面の笑みで答えるどろぱっくさん。
彼の頬にも大粒の涙が滴り落ちている。
そして臨戦態勢をとる二人、どろぱっくさんが武器だけを不可視可する。
それを見たどるべるうぉんさんは、不服そうな顔をした。
「言ったはずですよ? どろぱっく殿、持てる力全てを使ってかかってこいと」
その言葉を聞き、どろぱっくさんはニヤリと笑ってから全身を不可視可した。
三日後の朝、私たちは闘技場に向かった。
選手用入口から中に入り、冒険者たちには控室で待ってもらう事にした。
私はキャリーム先輩に挨拶するため、相手側の控室に向かう。
すると同じ事を考えていたのだろうか、向かう途中の道でキャリーム先輩とバッタリ合ってしまう。
浮かない顔のキャリーム先輩に簡単に挨拶を済ませ、私は控室に戻る。
鉄ランクの相手は魔族であるどろぱっくさん。
あの幼い顔立ちをどこかで見た気がするのだが……思い出せない。
彼は二本の角が生えている、黒い髪を伸ばしてわざと天然パーマのような癖をつけているのが特徴的。
おそらく角を少しでも目立たなくしようとしているのだろう。
鉄ランクの魔法剣士で、風と水の合成魔法使い。
体の周りに風と水滴を纏って、気流や光の屈折を利用して体や武器を不可視可する能力。
鬼羅姫羅星さんは気流を操り見えづらくするが、どろぱっくさんの場合は完全に見えなくなる。
目を凝らせばぼんやりと違和感がある程度だろうか?
しかし、便利に思われる不可視可は思ったほど万能ではない。
透化するわけではないから適当に武器を振れば当たるし、本人も打たれ強いわけではない。
しかし一回戦で、彼は武器だけしか不可視可させていなかった。
武器だけしか不可視可させていないにも関わらず、客席からは野次がたくさん飛んでいて、不快に感じたのを覚えている。
やれ「卑怯者」だの「臆病者」だのと……
『半魔』と言うタブー発言まで聞こえてきていた。
半魔とは、その名の通り半分魔物と言う意味の、絶対に言ってはいけない差別用語。
いくらなんでもこんな野次まで飛ばすなんてあり得ない事だ。
一回戦の光景を思い出し、憤りながらも控室に向かう。
そして対戦するであろうどるべるうぉんさんに声をかける。
「セリナさん、何かあったのですか?」
彼を呼ぶとすぐ駆けつけて来てくれて、心配そうな表情で私の顔色を伺ってくる。
私はどう言おうか迷い、少し言葉を濁してしまう。
「キャリーム先輩の、鉄ランク代表の事なのですが……」
「あぁ、その事ですか。 心配はいりませんよ?」
どるべるうぉんさんは私の言いたい事を察したのか、優しそうな顔で微笑んでくれる。
「あまり自分で言うべき事ではありませんが、私はあなたに選んでもらった代表冒険者なのですから……」
私はどるべるうぉんさんの次の言葉を聞き、膝から崩れ落ちた。
☆
会場は歓声と野次が飛び交い、混沌としていた。
今日の試合解説(暇なので観戦に来てる冒険者)には、すいかくろみどさん、ぴりからさんが来てくれている。
後ろにはよりどりどり~みんさん、一人挟んでべりっちょべりーさんもいる。
「まじなんなんこの野次、ちょー感じ悪いわ~」
苛立たしげに隣で呟くすいかくろみどさん、しかし私はさっきどるべるうぉんさんと話をしたから分かる。
きっとあの人がこの空気を変えてくれるだろう。
私は真っ赤になった目ですいかくろみどさんの言葉に答えた。
「どるべるうぉんさんは、かなり優秀な方ですから……ハンカチ用意しておいた方がいいですよ?」
「——?」
首を傾げるすいかくろみどさん。
その直後、会場のブーイングはピークに達した。
どろぱっくさんが入場してきたのだ。
すでにどるべるうぉんさんは、闘技場内で剣を振ってウォーミングアップしている。
二人が対峙すると、審判は気まずそうな顔で開始の合図を入れた。
観客は流石に試合中は静かに見守るらしい、試合が始まっても動かない二人に視線を集める。
「どるべるうぉんさん? と言いましたか? あなたは変わった方なのですね」
警戒しながらもどろぱっくさんが口を開く。
「変わっている……とは? 何が言いたいのです?」
「あなたの視線からは嫌な気配を感じない、畏怖や憎悪、立場の弱いものを蔑むような視線が感じられません」
その一言を聞いたどるべるうぉんさんは構えを解き、やれやれと肩を窄めた。
「なんだ、そんな事ですか? 始まる前にもセリナさんに呼ばれましたよ。 まったく……みんな私を信用してくれてないようですね」
そう言いつつ、勢いよく剣をどろぱっくさんに向ける。
「貴殿にも教えてあげましょう! セリナさんやキャリームさんのような方々が優秀な冒険者たちから尊敬され、彼女たちの元に優秀な者が集う理由を!」
声を張り上げるどるべるうぉんさん、私は急いで用意したハンカチを握りしめる。
「いいですか、真に優秀な人間は、生まれや見た目などで人を評価しない! 自分の目で見た物、自分が信じた存在を疑ったりしない! ありもしない誹謗中傷や他人の意見に流されることなど決してない!」
野次を飛ばしていた観客たちは、不機嫌そうな顔でどるべるうぉんさんを睨む。
しかし、誰一人として何も言い返せない。
「あえて言わせて貰いましょう。 私はセリナ組の代表だ! セリナさんの看板を背負い、この場に立っている。 貴殿もそうでしょう、キャリームさんが代表に選んだからこの場に立っている! 代表として選ばれている貴殿に、尊敬の意は持つが、畏怖や差別の目を向ける事は断じてない! そのような愚行、お二人の名に泥を塗るのと同じ事!」
私はチラリと隣を確認する。
どるべるうぉんさんから目を逸らさずに、腕を組んで男泣きしているすいかくろみどさん。
顔を伏せて鼻を啜っているぴりからさん。
とりあえず、こうなるのは分かっていた事なので二人にもハンカチ渡してあげた。
「あえて言わせてもらいます! どろぱっく殿、私はセリナさんに選ばれた
——————優秀な冒険者だ。
だから無駄な事は考えず、持てる力全てを使い、私と戦ってもらいますよ?」
どるべるうぉんさんは優しく微笑みながら剣を構える。
会場中に響き渡った彼の声で、そこらじゅうから鼻を啜る音や嗚咽が聞こえてくる。
私もさっき、同じような事を直接言われて膝から崩れてへたり込み、大号泣してしまった。
……カッコよすぎんだよ! イケメンな上に性格もいいとか反則だ!
会場に盛大な拍手が響き渡る、観客たちは頬を濡らしながらどるべるうぉんさんへ賛美の声を送っている。
どろぱっくさんは驚きながらもあたりの様子を伺う。
すでに彼に向けられた視線には、畏怖や憎悪、蔑みを帯びた視線は一切なかった。
初めての事だったのだろうか、戸惑いながらも嬉しそうに笑うどろぱっくさん。
「どるべるうぉんさん、あなたと戦える事を……心から、誇りに思います」
嬉しそうに、満面の笑みで答えるどろぱっくさん。
彼の頬にも大粒の涙が滴り落ちている。
そして臨戦態勢をとる二人、どろぱっくさんが武器だけを不可視可する。
それを見たどるべるうぉんさんは、不服そうな顔をした。
「言ったはずですよ? どろぱっく殿、持てる力全てを使ってかかってこいと」
その言葉を聞き、どろぱっくさんはニヤリと笑ってから全身を不可視可した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
追放令嬢と【神の農地】スキル持ちの俺、辺境の痩せ地を世界一の穀倉地帯に変えたら、いつの間にか建国してました。
黒崎隼人
ファンタジー
日本の農学研究者だった俺は、過労死の末、剣と魔法の異世界へ転生した。貧しい農家の三男アキトとして目覚めた俺には、前世の知識と、触れた土地を瞬時に世界一肥沃にするチートスキル【神の農地】が与えられていた!
「この力があれば、家族を、この村を救える!」
俺が奇跡の作物を育て始めた矢先、村に一人の少女がやってくる。彼女は王太子に婚約破棄され、「悪役令嬢」の汚名を着せられて追放された公爵令嬢セレスティーナ。全てを失い、絶望の淵に立つ彼女だったが、その瞳にはまだ気高い光が宿っていた。
「俺が、この土地を生まれ変わらせてみせます。あなたと共に」
孤独な元・悪役令嬢と、最強スキルを持つ転生農民。
二人の出会いが、辺境の痩せた土地を黄金の穀倉地帯へと変え、やがて一つの国を産み落とす奇跡の物語。
優しくて壮大な、逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる