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星ランククエスト発令!
〜緊急クエスト・火山龍の足止め〜
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~緊急クエスト・火山龍の足止め~
レイトがナンバーツー受付嬢である理由は二つ。 一つはモンスターの大量発生にめざといこと。
彼女は記憶力が恐ろしくいい、そのため発注されたクエストは三年前のものまで常に記憶している。
故に発見されたモンスターの位置や数、些細な噂話から担当地域の生態系を統計的に算出し、モンスターが大量発生する前に見つけ出してしまう。
故に彼女が担当する地域の上級モンスターの出現や、大規模な蹂躙戦はまず起こらない。 そして彼女の指示で動く冒険者たちは中規模での蹂躙戦を得意とする。
実力者揃いの中衛が多く、範囲攻撃や罠を仕掛けることを得意とする。
金ランク冒険者である華嘉亜天火やフェアエルデ、ラオホークなどがいい例だ。
中でも水魔法のエキスパートと言われる華嘉亜天火は大気中の水分が存在する限りほぼ無敵に近いであろう。
そしてもう一つ目、レイトは蹂躙戦以外にも得意な事がある。 それは巨大モンスターの討伐だ。
「随分とでかいね♩ 生きた火山とはよく言った物だ♬」
日は沈み、すでに辺りは暗くなり始めている。
松明を灯して発光虫を辺りに散布したレイトは火山龍の一部を目視してつぶやく。
「ぷぷるんさん? 相手の位置を特定して指示を出してくれ」
「わ、わかりました。 皆さんあたしの指示をちゃんと聞いてくれますかね? そもそも指示の意味を分かってくれるのでしょうか、ああ心配です……」
ボソボソと喋っているのは銀ランク冒険者のぷぷるん。 黄金世代と言われる第四世代でもかなり有名な女性冒険者。
彼女は風魔法を使い超音波を操る事ができる。 索敵も、攻撃も超音波を用いるためほぼ隙がない。
どんなに視野が悪くても彼女から逃げる事はできず、姿を隠したところで意味がないのだ。
そしてもう一つ、彼女には優秀な能力がある。
「レイトさん、あの龍の大きさはとんでもないです。 ですが大き過ぎる故に足一本でも使えなくなれば、大幅にバランスを崩す骨格をしています」
そう、超音波を使い相手の内部構造まで明らかにしてしまうため、どんなに巨大な敵でも弱点が一瞬で丸裸になってしまうのだ。
「聞いていたかい? フェアエルデさん、くりんこんさん。 君たちの最強コンボの出番だよ?」
声をかけられた二人の冒険者がレイトの背後に歩み寄る。
「やっぱり俺たちのコンボは無敵だぜ! どんなに硬い敵だろうと、俺からは逃げられないエブリナイ」
「せっ、先輩! 油断は禁物ですよ? この前自分で掘った落とし穴に自分で引っかかってえらい目にあったじゃないですか!」
二人はいつもパーティーを組んでいる。
フェアエルデは金ランクの男性冒険者で、第三世代。 地属性を操り、大地の形を一瞬で変化させる事ができる。
主に落とし穴を一瞬で作り出したり、尖った岩でモンスターを串刺しにする。
もう一人は銀ランク冒険者のくりんこん。
第四世代の女性冒険者。 この二人は出身地も一緒で、冒険者育成学校でも先輩後輩関係だったらしい。
一ヶ月違いで卒業したため世代は違くなってしまったが昔から仲が良く、能力の相性も完璧に近いのだ。
くりんこんは水と地の合成魔法でセメントを作り出す。
そして作り出したセメントはフェアエルデの能力で変形することもできる上に魔力が尽きない限り自由自在に操れるのだ。
「ではお二人さん♪ あの龍の足を固めてもらおうか?」
蹂躙戦において、この二人がいるだけでほぼ一瞬でモンスターを無力化できる。
まずフェアエルデが巨大な落とし穴を大量に作る、そして穴に落ちたモンスターをくりんこんがセメントで固めてしまう。
たったこれだけでモンスターたちは身動きひとつ取れずに窒息死する。
問題点としては討伐したモンスターはセメントまみれになってしまうため素材がほぼ使えなくなることくらいだ。
「レイトさん! 一つ問題があるんだトライアングラー」
「ああ、大きさのことかな?♩」
レイトは予測していたかのように返事を返し、ぷぷるんに視線を送る。
「あ、ええっと……足一本分の大きさ的に、フェアエルデさんの能力なら二本分が限界かと思います。 二本なら右前足と左後脚がおすすめです! あ、ええっと今あたしらが立ってる位置から見て右手前と左奥です。 分かりますかね? ええっと、火山龍の手前に立ったとして……」
「わ、わかったからもう大丈夫だ敗北者!」
心配性のぷぷるんは一生懸命わかりやすく説明しようとしていたが、頭をぽりぽりかきながら遮るフェアエルデ。
「は、敗北者……やはりあたしは人生の敗北者なんですよね? ええ分かってます、こんなあたしなんか……」
「ぷっ! ぷぷるんさん! 先輩は韻を踏んだだけです! いつも踏んでるでしょ? 先輩も相手を小馬鹿にしたような韻を踏むのはやめて下さい!」
勝手に元気をなくすぷぷるんを慌てて元気付けようとするくりんこんを見て、レイトはにっこりと笑う。
「さあみんな! 作戦開始だ! 天国と地獄の滑走路へ、火山龍を導こうじゃないか!♪」
その合図を聞いたフェアエルデとくりんこんは同時に駆け出した。 レイトはニコリと口角を上げて後ろに控える冒険者たちに視線を送る。
「ギャラクシーさんはどこかな?♫」
「ここだ、今回の俺の役目は空からの監視か?」
「さすがギャラクシーさん! 話が早い!」
銀河は特殊な金属を自在に変形させて攻撃をする冒険者だ。 火、雷、地属性を匠に合成させる事でその複雑な戦闘を可能にしている。
彼の周りを浮遊する金属に、自分自身が乗って空を自在に移動することもできるのだ。
「レイトさん、念のため奴の視界も塞いだ方がいい、フェアエルデが作る大穴は恐らく規模的に一回が限度だ。 外したら洒落にならない」
銀河の提案を聞いたレイトは、にっこりと笑いながらオカリナを吹く。
「素晴らしいよギャラクシーさん! 全くもってその通りだ! ならばラオホークさんに煙幕を頼もうか!」
ラオホークも第三世代の金ランク冒険者で、口数が少ないクノイチのような格好をした女性。
炎と水魔法を合成して煙を作り出す。 作り出す煙は有毒なものや無毒のものまで様々な性質のものがあり、相手によって作り出す煙の種類を変える。
煙は相手にまとわりつき自由を奪うが、ラオホークだけが自在に動けるようになる上に、身体能力も向上する。
「煙幕ですか? 毒ですか?」
ラオホークは煙のようにふらっと現れる。
いつの間にか現れるラオホークに銀河は驚くが、レイトは動揺しない。
「無毒で構わないさ?♫ 魔力は温存しておいてくれ、もしかしたらあの巨体の中に直接猛毒の煙を吸わせなければいけないかもしれないからね?」
「御意」
ラオホークは一言だけ告げてその場から霞のように消える。
「では銀河さん、ぷぷるんさんと一緒に空中から指示を出してくれるかな?」
「私は構わないのだが……」
銀河は気まずそうにぷぷるんに視線を向ける。
「くっ! くくく、空中だなんて! 落ちたらどうするんですか? 落ちたら死んじゃいますよ! もしかしてレイトさんはあたしが死んでも構わないんですか!」
「おやおや♪ 可愛いお顔が台無しだよぷぷるんさん?♫」
捲し立てるようにレイトに迫っていくぷぷるん。
呆れた顔でそれを見ていた銀河は思わずつぶやく。
「この女、めんどくせ~」
その呟きを聞いたぷぷるんはガミガミと騒ぎ立てたが、結局銀河の首にがっしりと掴みながら夜空に消えていく事になった。
がっしりと首にしがみつかれた銀河は、酸欠で青ざめながら文句を言っていたが。
レイトがナンバーツー受付嬢である理由は二つ。 一つはモンスターの大量発生にめざといこと。
彼女は記憶力が恐ろしくいい、そのため発注されたクエストは三年前のものまで常に記憶している。
故に発見されたモンスターの位置や数、些細な噂話から担当地域の生態系を統計的に算出し、モンスターが大量発生する前に見つけ出してしまう。
故に彼女が担当する地域の上級モンスターの出現や、大規模な蹂躙戦はまず起こらない。 そして彼女の指示で動く冒険者たちは中規模での蹂躙戦を得意とする。
実力者揃いの中衛が多く、範囲攻撃や罠を仕掛けることを得意とする。
金ランク冒険者である華嘉亜天火やフェアエルデ、ラオホークなどがいい例だ。
中でも水魔法のエキスパートと言われる華嘉亜天火は大気中の水分が存在する限りほぼ無敵に近いであろう。
そしてもう一つ目、レイトは蹂躙戦以外にも得意な事がある。 それは巨大モンスターの討伐だ。
「随分とでかいね♩ 生きた火山とはよく言った物だ♬」
日は沈み、すでに辺りは暗くなり始めている。
松明を灯して発光虫を辺りに散布したレイトは火山龍の一部を目視してつぶやく。
「ぷぷるんさん? 相手の位置を特定して指示を出してくれ」
「わ、わかりました。 皆さんあたしの指示をちゃんと聞いてくれますかね? そもそも指示の意味を分かってくれるのでしょうか、ああ心配です……」
ボソボソと喋っているのは銀ランク冒険者のぷぷるん。 黄金世代と言われる第四世代でもかなり有名な女性冒険者。
彼女は風魔法を使い超音波を操る事ができる。 索敵も、攻撃も超音波を用いるためほぼ隙がない。
どんなに視野が悪くても彼女から逃げる事はできず、姿を隠したところで意味がないのだ。
そしてもう一つ、彼女には優秀な能力がある。
「レイトさん、あの龍の大きさはとんでもないです。 ですが大き過ぎる故に足一本でも使えなくなれば、大幅にバランスを崩す骨格をしています」
そう、超音波を使い相手の内部構造まで明らかにしてしまうため、どんなに巨大な敵でも弱点が一瞬で丸裸になってしまうのだ。
「聞いていたかい? フェアエルデさん、くりんこんさん。 君たちの最強コンボの出番だよ?」
声をかけられた二人の冒険者がレイトの背後に歩み寄る。
「やっぱり俺たちのコンボは無敵だぜ! どんなに硬い敵だろうと、俺からは逃げられないエブリナイ」
「せっ、先輩! 油断は禁物ですよ? この前自分で掘った落とし穴に自分で引っかかってえらい目にあったじゃないですか!」
二人はいつもパーティーを組んでいる。
フェアエルデは金ランクの男性冒険者で、第三世代。 地属性を操り、大地の形を一瞬で変化させる事ができる。
主に落とし穴を一瞬で作り出したり、尖った岩でモンスターを串刺しにする。
もう一人は銀ランク冒険者のくりんこん。
第四世代の女性冒険者。 この二人は出身地も一緒で、冒険者育成学校でも先輩後輩関係だったらしい。
一ヶ月違いで卒業したため世代は違くなってしまったが昔から仲が良く、能力の相性も完璧に近いのだ。
くりんこんは水と地の合成魔法でセメントを作り出す。
そして作り出したセメントはフェアエルデの能力で変形することもできる上に魔力が尽きない限り自由自在に操れるのだ。
「ではお二人さん♪ あの龍の足を固めてもらおうか?」
蹂躙戦において、この二人がいるだけでほぼ一瞬でモンスターを無力化できる。
まずフェアエルデが巨大な落とし穴を大量に作る、そして穴に落ちたモンスターをくりんこんがセメントで固めてしまう。
たったこれだけでモンスターたちは身動きひとつ取れずに窒息死する。
問題点としては討伐したモンスターはセメントまみれになってしまうため素材がほぼ使えなくなることくらいだ。
「レイトさん! 一つ問題があるんだトライアングラー」
「ああ、大きさのことかな?♩」
レイトは予測していたかのように返事を返し、ぷぷるんに視線を送る。
「あ、ええっと……足一本分の大きさ的に、フェアエルデさんの能力なら二本分が限界かと思います。 二本なら右前足と左後脚がおすすめです! あ、ええっと今あたしらが立ってる位置から見て右手前と左奥です。 分かりますかね? ええっと、火山龍の手前に立ったとして……」
「わ、わかったからもう大丈夫だ敗北者!」
心配性のぷぷるんは一生懸命わかりやすく説明しようとしていたが、頭をぽりぽりかきながら遮るフェアエルデ。
「は、敗北者……やはりあたしは人生の敗北者なんですよね? ええ分かってます、こんなあたしなんか……」
「ぷっ! ぷぷるんさん! 先輩は韻を踏んだだけです! いつも踏んでるでしょ? 先輩も相手を小馬鹿にしたような韻を踏むのはやめて下さい!」
勝手に元気をなくすぷぷるんを慌てて元気付けようとするくりんこんを見て、レイトはにっこりと笑う。
「さあみんな! 作戦開始だ! 天国と地獄の滑走路へ、火山龍を導こうじゃないか!♪」
その合図を聞いたフェアエルデとくりんこんは同時に駆け出した。 レイトはニコリと口角を上げて後ろに控える冒険者たちに視線を送る。
「ギャラクシーさんはどこかな?♫」
「ここだ、今回の俺の役目は空からの監視か?」
「さすがギャラクシーさん! 話が早い!」
銀河は特殊な金属を自在に変形させて攻撃をする冒険者だ。 火、雷、地属性を匠に合成させる事でその複雑な戦闘を可能にしている。
彼の周りを浮遊する金属に、自分自身が乗って空を自在に移動することもできるのだ。
「レイトさん、念のため奴の視界も塞いだ方がいい、フェアエルデが作る大穴は恐らく規模的に一回が限度だ。 外したら洒落にならない」
銀河の提案を聞いたレイトは、にっこりと笑いながらオカリナを吹く。
「素晴らしいよギャラクシーさん! 全くもってその通りだ! ならばラオホークさんに煙幕を頼もうか!」
ラオホークも第三世代の金ランク冒険者で、口数が少ないクノイチのような格好をした女性。
炎と水魔法を合成して煙を作り出す。 作り出す煙は有毒なものや無毒のものまで様々な性質のものがあり、相手によって作り出す煙の種類を変える。
煙は相手にまとわりつき自由を奪うが、ラオホークだけが自在に動けるようになる上に、身体能力も向上する。
「煙幕ですか? 毒ですか?」
ラオホークは煙のようにふらっと現れる。
いつの間にか現れるラオホークに銀河は驚くが、レイトは動揺しない。
「無毒で構わないさ?♫ 魔力は温存しておいてくれ、もしかしたらあの巨体の中に直接猛毒の煙を吸わせなければいけないかもしれないからね?」
「御意」
ラオホークは一言だけ告げてその場から霞のように消える。
「では銀河さん、ぷぷるんさんと一緒に空中から指示を出してくれるかな?」
「私は構わないのだが……」
銀河は気まずそうにぷぷるんに視線を向ける。
「くっ! くくく、空中だなんて! 落ちたらどうするんですか? 落ちたら死んじゃいますよ! もしかしてレイトさんはあたしが死んでも構わないんですか!」
「おやおや♪ 可愛いお顔が台無しだよぷぷるんさん?♫」
捲し立てるようにレイトに迫っていくぷぷるん。
呆れた顔でそれを見ていた銀河は思わずつぶやく。
「この女、めんどくせ~」
その呟きを聞いたぷぷるんはガミガミと騒ぎ立てたが、結局銀河の首にがっしりと掴みながら夜空に消えていく事になった。
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