孤児のTS転生

シキ

文字の大きさ
199 / 271
孤児と大罪を背負う英雄

199

しおりを挟む
遠くから「ピュー…ピュー」と海辺によくいる渡鳥の声が聞こえ目に夕陽のオレンジ色の光が差し込む。
私はゆっくりとその目を開けて現実を見る。

ここは海上国家シーヒルズから少し離れた孤島。
一時期は波に飲まれ流されそうになったものの運良く岩が私の背中を抑えてくれていたお陰で流されずに済んだ。

「あぁにしても…服がびしょ濡れだし背中に違和感があるなぁ」

痛覚が鈍感になっているためあんまというか痛みは感じないがそれでも身体に異常があるってだけで動きが変だ。
今はローブと服がびしょ濡れだから火の魔法陣で焚き火を作り出して火と弱くなりつつあるある陽の力で乾かしている最中だ。

にしてもあの異常な気配と天気はなんだったのだろうか?
あの分厚い雲もいつの間にか無くなって今は快晴とも言える天気になっているし…。
ここは異世界だから天気を操るような超存在がいてもおかしく無いことだが…それにしては今の現状ってのはおかしい。
何せそんな存在がいるんだったら移動するはずだし…いや召喚されたんだったらおかしくも無いのか?

「召喚するだけで大雨と大津波を起こすねぇ…そんな奴いたらやばいな」

そう私は呟きながら焚き火で焼いていた魚を手にして齧り付く。
内臓の処理を怠ったせいであんま美味しく無い…今度はめんどくさがらずに処理してから食べることとしよう。

大雨と津波自体はゆーて2時間程で止んだからあんま被害はないがそれが長引いたら私も雨と波で参ってしまっていたかもしれない。
それにしてもここら辺にいたはずの魚がいなくなってしまったな。
遠くから来た鳥はここらを飛んでいるみたいだが。

魚は気配に敏感だから急に現れた大きな気配を恐れて隠れたり離れた海域に逃げてしまったのか…コレじゃあ魚を今日の夕飯にすることができないではないか。
虚空庫に入れている魚の備蓄も少ないしこのままでは夕食が質素になってしまうな。
飛んでいる鳥でも食えば…いや捌くのが面倒だしいいや街に帰れば料理が…。

「あ、そういえば船ッ!」

海を眺めていると急にここまで移動する足として使っていた船のことを思い出し船を停めていた場所へと飛び出すように走る。
確か船は錨のような重りを落としてたしロープで近くの岩に回していたからそんじょそこらの雨や津波じゃびくともしない…はずなんだがまぁあの津波だったしなぁ。

「あぁ…やっぱりか」

走り出してたどり着いた船を停めていたところには船の姿は見当たらずそこには木片と金属の部品だけが転がっていた。
おおかた重りが抜けて岩にぶつかって壊れたとかだろう。

帰りは飛翔の魔術を使って飛んでいくしかないだろうな。
あんまここにいるのもなんだしさっさと帰ることとしよう…結局ここを調べても出てくる情報はなかったことだし。

私は来た道を帰り木の枝で固定させていたローブと服を外し虚空庫の中へ入れることとした。
…流石にまだ水で濡れていたし濡れた状態の服を着たら流石に風邪を引いてしまうことだろうからな。

「さて、そうと決まれば…魔法陣展開『飛翔』」

そうして自分に飛翔の魔術を施して空を昇る。
あんまり下は見ないようにするがそんな考えとは逆に身体はだんだんと強張るように縮こまる。

ちゃんと海上国家シーヒルズの場所を覚えていればこんなことにはならなかったしなんならコンパスの一つぐらい持っておけば話が違ったのかもしれない。
そう現実逃避するとあーだこーだと今になって後悔が込み上げてくる。

上だけを見続け逸話である鯉が滝を登るように空へと昇ること何分か経ち「ここまでくればいいだろう」と思うところで飛翔でその場に止まる。
自分に対して気持ちを落ち着かせる魔術をかけて精神の安定策を行い視線を海に向ける。

やはり高いところにいると頭が認識しているからか飛んでいるのにも関わらず足がブルブルと武者震いする…。
あぁ変な汗も出てきた…ここは早めに終わらせてさっさと地上に戻るとしよう。

「うッ…いやぁ…アレかな?」

私が周りを見渡し目を向けた先には小さくはあるが陸があるところが見えた。
…だが見えるのは海上国家シーヒルズの港にあった灯台のみでその他の建物はなぜかここからでは見えない。
貿易が盛んだから船の一つぐらい見えてもいいはずなんだがな。

「と、とりあえず位置はわかった…あっちに向かって海を渡ればシーヒルズに着くんだな」

そう私は再確認するとまた空を見上げると飛翔の魔術を弱め上に昇ってきた時よりもスピードを落としながら降っていく。
にしてもなぜこんなにも胸騒ぎがするのだろうか?

あの気配を感じた時から何故か胸騒ぎとそこに行かなければという使命感というべきか…そんな変な気分になっている。
いつもこういう胸騒ぎの時は関わらないように避けてるんだが今回ばかりはそうとも行かない。

「まぁさっさと帰ってちゃんとした料理でも食べたいな…ただ焼いた魚ってのは味気なかったし」

そう思いつつ地上に足をつけれる位置まで降りた後水平に移動するように飛翔の魔法陣を再構築からの操作を行う。
私は今度こそ孤島から離れることとした。

目指すは陽が完全に落ちる前までにシーヒルズの灯台に辿り着く。
そのことを念頭に私は夕陽に染まり光が反射してオレンジ色の幻想的な海を滑るようにして飛んでいく。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

スラム街の幼女、魔導書を拾う。

海夏世もみじ
ファンタジー
 スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。  それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。  これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

妖精の森の、日常のおはなし。

華衣
ファンタジー
 気づいたら、知らない森の中に居た僕。火事に巻き込まれて死んだはずだけど、これってもしかして転生した?  でも、なにかがおかしい。まわりの物が全部大きすぎるのだ! 草も、石も、花も、僕の体より大きい。巨人の国に来てしまったのかと思ったけど、よく見たら、僕の方が縮んでいるらしい。  あれ、身体が軽い。ん!?背中から羽が生えてる!? 「僕、妖精になってるー!?」  これは、妖精になった僕の、ただの日常の物語である。 ・毎日18時投稿、たまに休みます。 ・お気に入り&♡ありがとうございます!

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

処理中です...