私鬼戦記 禁断の魔方陣とカエルに変えらし者

京間 みずき

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九話 あぶり出し

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カン、カン、カン  カン、カン、カン
火の見やぐらにぶらがる半鐘はんしょうを、腕が引きち切れん計りの勢いで、葉組はぐみの火消し屋、シラカバの息子、半次郎は目の色を変えて、それを鳴らす。




「火事だ、火事だーー」「江戸の町が火の海と化すぞ」「忍びの者達はまだかーー」


 
 人々は、悲鳴を上げて逃げ回る中、葉組の火消し屋達は、燃え盛る火元に向かい走り行く「半次郎ーー」「コイツと変わって、お前も現場にむかえ」「この火事の原因は、どうやら、もののけか、あやかしの仕業らしい」

 「親方了解でーーす」



 先月十一歳になったばかり半次郎だが、その身のこなしは、父親のシラカバ同様に身軽く、火の見やぐらの頭端より、一気に空転しながら飛び降り、かろやかに着地する。
 
 
 「里中島の忍びの者達にも、応援を要請したが、いつになるかわから無い」

 「半次郎、今日も頼んだぞ」葉組の親方が、半次郎の肩を ポンとたたくと、半次郎は、「ニィー」とわざわざ声にして笑い

 「おらっちに任せとけ、親方様」



 半次郎は、シラカバから、譲りもらったクサリガマを背に付け、火の見やぐらの直ぐ近くの三軒長屋の屋根にヒョイと飛び乗り、屋根から、屋根へと飛び移り、火元のに向かい一直線に颯爽さっそうと駆け走る。

 「ホイの、ホイの、ホホイっと」

 半次郎が、火元と思われる現場にたどり着くと、悲惨な惨劇を目にする。

 「なんなんだ一体何があった」
 「もののけや、妖の仕業?」「いや違う、今までにここまで、悪しき力を持つ者などいない」

 火事で逃げ回る人々の背中には、悪しき魔力を秘める矢が刺さり、彼等はもがき苦しんでいた。
 
 火消し屋半次郎は、思わず大声で叫ぶ
 「何者の仕業だーー」「どこに、どこに行きやがった」


 そうこの時、吸鬼は里中島では無く、この江戸の町に現れ、町の至る所に火を放ち、魔力を秘める矢で、火事で逃げ回る人々を襲っていた。

 その目的は、ただ一つ

 「白き魔力は、伸縮の魔力、だがその本質は介護の雫」
 「出て来い、白き魔力を操るシラカバよ」「これだけの者達が、もがき苦しんで居るぞ」「優しきお前は、必ずやその姿を表す」

「あの時のうらみ、こよい晴らしてくれる」「お前を、憎きお前を小石に変えてくれる」「キャキャキャーー」

 その目的は、この大きな江戸の町の何処に住むで有ろう、シラカバをあぶり出す為の物だった。


 時を同じく、 柚華達は、里中島に足を踏み入ていた。
 「ふうーー、快適な空の旅だったね」
「カエルちゃん、お姉たまって、やっぱ凄いね」
 
 
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