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第四章 モノ・インフィニティ編
163 黒牙団の残党と魔法殺し
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俺は、助けた五人の女性冒険者を“治療”し、彼女たちがいる客車のほうで眠ることにした。
(さて、明日はどうしようか。とりあえず、助けた五人の女性冒険者たちを階段エリアへ送ることだけは確定しているが……)
ここから十五ヶ所先――すなわち、階段エリアから二十番目の集落には、コボルトのオーブを持つ〈黒牙団〉の残党四人がおり、奴隷の女性五人がいると思われる。そして、その先のゴブリンの集落にも、少なくとも十五人の女性が捕まっていると考えられる。そちらも救助しなければならないだろう。
(明日は階段エリアまで五人の女性冒険者たちを送ったあと、〈黒牙団〉を潰し、その先のゴブリンの集落も制圧するか)
今日、ゴブリンの集落の倉庫で拾った武具や生地を〈修復(空間)〉スキルで新品同様に修復した俺は、明日に備えて眠りについた。
◇
翌朝。
俺は助けた五人の女性冒険者に、修復しておいた装備を返し、階段エリアまで送り届けた。その後、再び屋敷へ戻ると、中にいる奴隷の女性たちに、今日は一日屋敷の中で待機するよう頼んだ。
食事は、共有空間からマジックバッグの亜空間へ移して供給することにした。ただ、このペースで作り置きが減り続ければ、さすがにエルマも異変に気づくだろう。できれば、俺が出していると察してくれると助かるのだが。
屋敷の周囲を〈空架障壁〉で再び覆った俺は、〈黒牙団〉の残り四人がいると思われる、階段エリアから二十番目の集落へと飛んだ。
◇
集落に到着すると、四人の冒険者がゴブリンの群れと戦闘中だった。
(あれが〈黒牙団〉の残り四人か。この集落に居座り続けるなら、定期的に湧くゴブリンを倒し続ける必要があるということか)
たしか、集落を潰してから二日目には魔物が再出現していたはずだ。今日がちょうどその日だったのだろう。
(……一人だけ建物の前に陣取って戦っているな。他の三人は別の場所で、連携して戦っているようだが)
〈気配察知〉で確認すると、建物の中に五人のヒューマンの気配がある。守っているのは、建物の前に立つ一人の男だ。
(建物内に奴隷の女性が五人いるということか。なら、建物の前にいるのがザルグと呼ばれていた男か――〈鑑定〉)
ザルグ ヒューマン 三十二歳
Sランク冒険者 《魔法殺し》
所持スキル:
剣術[8]
体術[4]
身体強化[8]
気配察知[4]
(〈剣術[8]〉……たしかにSランク相当の実力だな。しかし、それでもゴブリンナイト相手に苦戦するのか)
今この場にいるゴブリンのレベルと、これまでのオークやアンデッドとの比較から判断すると、ゴブリンナイトのスキルレベルは確かに8前後と考えるのが妥当だろう。
(それよりも問題は、この称号――《魔法殺し》だ)
〈鑑定〉の詳細を確認する。
《魔法殺し》――あらゆる魔法効果を無効化する。
(なるほど。こいつには魔法が一切効かないということか。となると、女性化も奴隷化も不可能……か)
ひとまずザルグは後回しだ。先に残りの三人を処理することにする。
〈鑑定〉で確認すると――
(残りの三人はAランク相当のスキル構成か。弱くはないが、このダンジョンでは単独行動は厳しいレベルだな)
三人は固まってゴブリンを撃破して回っている。しかし、ザルグが建物の前から動かないため、討伐効率は大きく落ちているようだった。
(待つのは時間の無駄だな――“全滅バッチ”起動)
〈溶岩弾〉が一斉に放たれ、すべてのゴブリンを瞬時に貫いた。死体は自動的に俺の亜空間へと収納される。
「なんだ!? 何が起こった!?」
建物の前にいたザルグが狼狽する。だが、俺はそれを無視し、残りの三人へ魔法を発動した。
「〈性別変更〉。〈強制終了〉、〈血契約〉、〈服従契約〉、〈隷属刻印〉」
三人は瞬時に女性化し、俺の奴隷となった。
「その場で待機しろ」
命令を下したあと、俺はザルグの対処について思考を巡らせる。
(《魔法殺し》が厄介だな。あれでは魔法が一切通じない)
剣で戦えば勝てるだろう。しかし、ザルグには回復魔法が効かないため、こちらが傷を与えてしまうと治療できない。〈剣術[8]〉の相手を、傷つけずに無力化するのは難しい。
(……そうだ。この三人を使えばいい)
俺は女性化した三人に、ある命令を下した。
しばらくすると――
ザルグの前に、突如として一糸まとわぬ姿の女性が三人現れた。
「何だお前ら! どこから来た!?」
ザルグが叫ぶ。
「この先のゴブリンの集落に捕まっていた者です……なんとか逃げてきました。助けてください……助けていただければ、なんでもします……」
「なんでも?」
ザルグはわずかに警戒を残しながらも、目に興味の色が浮かんだ。
「例えば、何ができる?」
女性の一人が近づき、耳元で囁いた。
「例えば……こういうことは、いかがでしょうか……」
そう言って、ザルグの服に手をかける。
「……マジかよ。こんな朝っぱらから外でか。まあいい、相手してやる。残りの二人はどうする?」
「もちろん……私たちも……」
二人も近づき、ザルグの服を脱がし始める。
「ほう……三人同時か。相手してやるよ」
ザルグは警戒を解き、完全に無防備になった。
――十分後。
俺はザルグたちのもとへ近づき、全員に〈洗浄〉をかけた。ザルグはすでに気絶している。
「〈鑑定〉――ふむ。成功したようだな」
俺は事前に、三人へ特殊な指輪を渡していた。
〈強制終了〉と〈スキル・称号奪取(性)〉を付与した指輪だ。そのうちの一つには、
『対象が達した瞬間、自動的に自分に〈強制終了〉を発動し、対象の称号を奪取する』
という条件を設定しておいた。〈スキル・称号奪取(性)〉は魔法ではなく、スキルによる強制処理だ。《魔法殺し》では防げない。
その結果、最初にザルグと接触した者が、《魔法殺し》の奪取に成功した。
残りの二人には、それぞれ〈剣術[8]〉と〈身体強化[8]〉を奪取させている。こちらは〈強制終了〉を直接発動させたため、瞬時に完了した。
「これで問題はないな――〈性別変更〉。〈強制終了〉、〈血契約〉、〈服従契約〉、〈隷属刻印〉」
称号を失ったザルグには、魔法が正常に通用した。
ザルグも女性化し、俺の奴隷となった。
(さて、明日はどうしようか。とりあえず、助けた五人の女性冒険者たちを階段エリアへ送ることだけは確定しているが……)
ここから十五ヶ所先――すなわち、階段エリアから二十番目の集落には、コボルトのオーブを持つ〈黒牙団〉の残党四人がおり、奴隷の女性五人がいると思われる。そして、その先のゴブリンの集落にも、少なくとも十五人の女性が捕まっていると考えられる。そちらも救助しなければならないだろう。
(明日は階段エリアまで五人の女性冒険者たちを送ったあと、〈黒牙団〉を潰し、その先のゴブリンの集落も制圧するか)
今日、ゴブリンの集落の倉庫で拾った武具や生地を〈修復(空間)〉スキルで新品同様に修復した俺は、明日に備えて眠りについた。
◇
翌朝。
俺は助けた五人の女性冒険者に、修復しておいた装備を返し、階段エリアまで送り届けた。その後、再び屋敷へ戻ると、中にいる奴隷の女性たちに、今日は一日屋敷の中で待機するよう頼んだ。
食事は、共有空間からマジックバッグの亜空間へ移して供給することにした。ただ、このペースで作り置きが減り続ければ、さすがにエルマも異変に気づくだろう。できれば、俺が出していると察してくれると助かるのだが。
屋敷の周囲を〈空架障壁〉で再び覆った俺は、〈黒牙団〉の残り四人がいると思われる、階段エリアから二十番目の集落へと飛んだ。
◇
集落に到着すると、四人の冒険者がゴブリンの群れと戦闘中だった。
(あれが〈黒牙団〉の残り四人か。この集落に居座り続けるなら、定期的に湧くゴブリンを倒し続ける必要があるということか)
たしか、集落を潰してから二日目には魔物が再出現していたはずだ。今日がちょうどその日だったのだろう。
(……一人だけ建物の前に陣取って戦っているな。他の三人は別の場所で、連携して戦っているようだが)
〈気配察知〉で確認すると、建物の中に五人のヒューマンの気配がある。守っているのは、建物の前に立つ一人の男だ。
(建物内に奴隷の女性が五人いるということか。なら、建物の前にいるのがザルグと呼ばれていた男か――〈鑑定〉)
ザルグ ヒューマン 三十二歳
Sランク冒険者 《魔法殺し》
所持スキル:
剣術[8]
体術[4]
身体強化[8]
気配察知[4]
(〈剣術[8]〉……たしかにSランク相当の実力だな。しかし、それでもゴブリンナイト相手に苦戦するのか)
今この場にいるゴブリンのレベルと、これまでのオークやアンデッドとの比較から判断すると、ゴブリンナイトのスキルレベルは確かに8前後と考えるのが妥当だろう。
(それよりも問題は、この称号――《魔法殺し》だ)
〈鑑定〉の詳細を確認する。
《魔法殺し》――あらゆる魔法効果を無効化する。
(なるほど。こいつには魔法が一切効かないということか。となると、女性化も奴隷化も不可能……か)
ひとまずザルグは後回しだ。先に残りの三人を処理することにする。
〈鑑定〉で確認すると――
(残りの三人はAランク相当のスキル構成か。弱くはないが、このダンジョンでは単独行動は厳しいレベルだな)
三人は固まってゴブリンを撃破して回っている。しかし、ザルグが建物の前から動かないため、討伐効率は大きく落ちているようだった。
(待つのは時間の無駄だな――“全滅バッチ”起動)
〈溶岩弾〉が一斉に放たれ、すべてのゴブリンを瞬時に貫いた。死体は自動的に俺の亜空間へと収納される。
「なんだ!? 何が起こった!?」
建物の前にいたザルグが狼狽する。だが、俺はそれを無視し、残りの三人へ魔法を発動した。
「〈性別変更〉。〈強制終了〉、〈血契約〉、〈服従契約〉、〈隷属刻印〉」
三人は瞬時に女性化し、俺の奴隷となった。
「その場で待機しろ」
命令を下したあと、俺はザルグの対処について思考を巡らせる。
(《魔法殺し》が厄介だな。あれでは魔法が一切通じない)
剣で戦えば勝てるだろう。しかし、ザルグには回復魔法が効かないため、こちらが傷を与えてしまうと治療できない。〈剣術[8]〉の相手を、傷つけずに無力化するのは難しい。
(……そうだ。この三人を使えばいい)
俺は女性化した三人に、ある命令を下した。
しばらくすると――
ザルグの前に、突如として一糸まとわぬ姿の女性が三人現れた。
「何だお前ら! どこから来た!?」
ザルグが叫ぶ。
「この先のゴブリンの集落に捕まっていた者です……なんとか逃げてきました。助けてください……助けていただければ、なんでもします……」
「なんでも?」
ザルグはわずかに警戒を残しながらも、目に興味の色が浮かんだ。
「例えば、何ができる?」
女性の一人が近づき、耳元で囁いた。
「例えば……こういうことは、いかがでしょうか……」
そう言って、ザルグの服に手をかける。
「……マジかよ。こんな朝っぱらから外でか。まあいい、相手してやる。残りの二人はどうする?」
「もちろん……私たちも……」
二人も近づき、ザルグの服を脱がし始める。
「ほう……三人同時か。相手してやるよ」
ザルグは警戒を解き、完全に無防備になった。
――十分後。
俺はザルグたちのもとへ近づき、全員に〈洗浄〉をかけた。ザルグはすでに気絶している。
「〈鑑定〉――ふむ。成功したようだな」
俺は事前に、三人へ特殊な指輪を渡していた。
〈強制終了〉と〈スキル・称号奪取(性)〉を付与した指輪だ。そのうちの一つには、
『対象が達した瞬間、自動的に自分に〈強制終了〉を発動し、対象の称号を奪取する』
という条件を設定しておいた。〈スキル・称号奪取(性)〉は魔法ではなく、スキルによる強制処理だ。《魔法殺し》では防げない。
その結果、最初にザルグと接触した者が、《魔法殺し》の奪取に成功した。
残りの二人には、それぞれ〈剣術[8]〉と〈身体強化[8]〉を奪取させている。こちらは〈強制終了〉を直接発動させたため、瞬時に完了した。
「これで問題はないな――〈性別変更〉。〈強制終了〉、〈血契約〉、〈服従契約〉、〈隷属刻印〉」
称号を失ったザルグには、魔法が正常に通用した。
ザルグも女性化し、俺の奴隷となった。
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