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この真っ白な世界から
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「ルシェルくん、ばいばい!」
「……うん、じゃあな」
きらきらと輝くような笑顔で手を振り、大人と手を繋いで去っていく同室の少年。
今日もまた、俺は誰かの後ろ姿を見送る立場となってしまった。
(あぁ、また俺だけ取り残されるのか)
どんどん退院していく、周りの入院患者。殆どの理由が、怪我や病気の完治だ。
もう悪いところはないからおうちに帰っても大丈夫ですよって言われたんだと、そんな自慢話を何度聞かされたことだろう。
(俺はもう、一生ここから出られないっていうのに)
誰かが去った後もたまに人は入ってくるけれど、そいつらも時が経てばまた俺に背を向けてこの世界を去っていく。
そんな光景を、俺は飽きるほど繰り返し見てきた。そして、そのたびに心はどんどん下降していくばかりで。
(……クソ)
体を蝕む苦しみやベッドの柵から解放され、自由になるその姿や笑顔が眩しかった。
取り残される俺は、いつまで経ってもから抜け出せない。家に帰ってもいい許可なんて、医師からは永遠に降りることがない。
みんなはカラフルな世界へ旅立つのに、俺はいつまで経っても真っ白い世界の住人のままだ。
見慣れすぎた風景
食べ慣れすぎた食事
読み飽きた本
見飽きたテレビ
全てのことに飽き飽きしてしまった俺は、こうしてぼんやりと天井や窓枠に切り取られた青空を見つめ続け。
そうして一時間一分一秒を無駄にしつつ、宣告された時を待つしかない。
あぁ、こんなにもくだらなくてつまらないことが この世のどこにあるのだろう。
(――俺はどうして生きているんだ?)
一人になれば、自然とそんな言葉が脳内を駆け巡っていた。
◇ ◇ ◇
医師や看護師、他の人の目をくぐり抜け、病院で一番高いところに辿りついた。
ここにも場を区切る高いフェンスはあるけれど、ベッドの上にいるよりは全然マシだった。
――"関係者以外立ち入り禁止"の文字を蹴り飛ばした甲斐があった。
久しぶりに一人きりで吸った外の空気に、少しばかり胸が弾む。
「……誰も、いない」
丁度いいことに、屋上には誰もいなかった。
眼上にあるのはただっ広くて青い空、眼下に広がるは様々な建物。
下はコンクリートだろうか。遠いから見えにくいけどクッションのようなものは見当たらない。
(これだけ高ければ、きっと痛みは一瞬で終わる)
他の奴なら「落ちたら危ない」と思うだろうが、俺はそれでいい。
幾度となく繰り返される日常、飽きに飽きるまで見過ぎてしまった真っ白な世界とさよならできるなら、なんだっていい。
やっと楽になれるんだ。どうせ助からない命なら、俺の頭には、そんな自殺願望しか残されていなかった。
「ルシェルくん! ルシェル・クライヴくん!」
「何処にいるのかと思ったら……こんなところにいたのね!」
フェンスをよじ登ろうとしたところで、医師と看護師の声が響く。
「……チッ」
とんだ邪魔が入りに来たか――無意識に舌打ちをした。
医師と看護師が俺に駆け寄ってくるが、そんなものは無視してひたすらフェンスをよじ登る。
「やめなさい! こんなことしたって何にもならないぞ、ルシェルくん!」
「ルシェルくん、自分の命を無駄にするようなことはやめなさい!!」
「ッ! やめろ……やめろ!! 邪魔すんなぁッ!!」
俺の腰や足を掴み、二人は俺を下ろそうとする。
必死で足掻き登ろうとしたけれど、やはり子どもでは大人の力に勝てないのだろうか。
医師と看護師にあがき続けて数分――あえなく俺の負けとなり、俺はフェンスから下ろされてしまった。
「ルシェルくん、自分の命を粗末にするなんて駄目じゃないか」
「とても辛いのはわかるけど、今した事は一番いけないことなのよ?」
「………」
医師と看護師が俺に説教を始めた。
命を粗末にしてはいけないだの、親御さんが知ったら悲しむだの――そんな綺麗事ばかりだ。
あぁ、正直鬱陶しい。お前らは俺のような身体じゃないから、そんなことが言えるんだ。
お前らだって俺のような身体になっちまえば、こういうことの一つや二つはしたくなるはずだよ。
誰が悲しもうとなんだろうと、もう俺には関係ないんだ。ただ、大人しく死なせてくれないことが一番腹立たしい。
「すみません! ルシェルくんは……」
医師と看護師の説教中、屋上のドアがまた開いた。
白髪に青い瞳の若い医師――この人は、俺の担当医師だ。
いつも俺の傍にいて、俺の愚痴を延々と聞いてくれる……まぁ、どちらかというと信頼はできる人。
「シーア先生! 大丈夫です、間一髪ルシェルくんを止められました!」
「本当に申し訳ないッス、俺がもっとちゃんと傍で見ていればこんなことには……」
俺を止めた医師と看護師に、シーア先生はぺこぺこと頭を下げて謝罪をしている。
シーア先生の言葉をひと通り聞いた後、医師と看護師は「じゃあ、後はよろしくお願いします」と、その場を立ち去っていった。
屋上に残されたのは、俺とシーア先生の二人。涼しい風が頬を撫でるように、ふわりと流れる。
「……戻りましょう、ルシェルくん」
「………」
「ここにいたら、風邪引くッスよ」
シーア先生は、何も言わなかった。きっと、言いたいことは殆どあの医者達が言ってしまったからだろう。
こういう時、シーア先生はいつも何も言わず傍にいてくれるのだ。
俺の手を取り、歩き出そうとする先生の手をがっちりと握り――先生の歩みを止めた。
「ルシェルくん?」
「ねぇ、シーア先生。お願いがあるんだ」
「何スか?」
俺の「お願い」という言葉に、シーア先生が答える。
視線を合わせるように少し屈んで、まっすぐと俺を見つめて――いつもの、優しい笑顔を向けてくれる。
この優しい先生は、俺のお願いを聞いてくれるだろうか。
「殺して」
俺が放った一言に、シーア先生は呆然と口を開く。出てきた言葉は「は……?」の一言だった。
想定内のリアクションではあった。シーア先生は医師だし、何より情に厚い優しい人だ。
こんなお願いを「わかりました!」なんて快諾するような人間ではない。それは俺もよく知っていた。
「もうさ、俺……死期を待つの疲れちゃったんだ」
「ルシェルくん……? 何、言って」
「それにさ、先が短いのはわかりきってるから……生きてたって楽しくないんだよね」
「そんなこと言っちゃダメッス、ルシェルくん!」
俺の両肩をガッと強く掴み、シーア先生が叫ぶ。眉間に皺を寄せて、僅かに目を潤ませて――あぁ、なんて情けない顔してるんだろう。
シーア先生もあの医師たちと同じことを言うのか。俺に「生きろ」と。生きてたってなんの望みもない俺に、優しくて残酷な言葉をそうしてぶつけるんだね。
「家族はみんな俺を捨てたし、友達だって一人もいない。誰も俺を待ってなんていない。」
嫉妬、憎悪、寂寥感、絶望――多種多様の色が混ざり合った黒々しい心に、思い出したくもないものが蘇る。
助かる見込みがないと知って以来、一度も顔を出さない両親。
友達と言っておきながら、二度と病院に顔を出しにこない元患者ども。
上辺だけの優しい言葉を放っていく医師と看護師。
そして、唯一信頼できるシーア先生からの――「そんなこと言っちゃダメ」という、否定の言葉。
シーア先生の人柄は知っている。
けれど、いざ実際に言われてしまうと、やっぱり苦しい。
この人も俺のことを分かってくれないんだ、なんて。そんな自分勝手な絶望を胸に抱いては、フェンスの向こうに期待を抱いてしまう。
「俺にはなーんにも残ってない。 だったら、俺が生きてる理由だってない」
シーア先生の手を振り払い、潤んだ目の彼に目を向ける。
「だからさ、殺してよ。 親愛なるシーア先生」
そう言い放った俺の顔は、どんな表情をしていたのだろう。
シーア先生はただ、俺の名を呼んでぼろぼろと涙を流すだけだった。
「……うん、じゃあな」
きらきらと輝くような笑顔で手を振り、大人と手を繋いで去っていく同室の少年。
今日もまた、俺は誰かの後ろ姿を見送る立場となってしまった。
(あぁ、また俺だけ取り残されるのか)
どんどん退院していく、周りの入院患者。殆どの理由が、怪我や病気の完治だ。
もう悪いところはないからおうちに帰っても大丈夫ですよって言われたんだと、そんな自慢話を何度聞かされたことだろう。
(俺はもう、一生ここから出られないっていうのに)
誰かが去った後もたまに人は入ってくるけれど、そいつらも時が経てばまた俺に背を向けてこの世界を去っていく。
そんな光景を、俺は飽きるほど繰り返し見てきた。そして、そのたびに心はどんどん下降していくばかりで。
(……クソ)
体を蝕む苦しみやベッドの柵から解放され、自由になるその姿や笑顔が眩しかった。
取り残される俺は、いつまで経ってもから抜け出せない。家に帰ってもいい許可なんて、医師からは永遠に降りることがない。
みんなはカラフルな世界へ旅立つのに、俺はいつまで経っても真っ白い世界の住人のままだ。
見慣れすぎた風景
食べ慣れすぎた食事
読み飽きた本
見飽きたテレビ
全てのことに飽き飽きしてしまった俺は、こうしてぼんやりと天井や窓枠に切り取られた青空を見つめ続け。
そうして一時間一分一秒を無駄にしつつ、宣告された時を待つしかない。
あぁ、こんなにもくだらなくてつまらないことが この世のどこにあるのだろう。
(――俺はどうして生きているんだ?)
一人になれば、自然とそんな言葉が脳内を駆け巡っていた。
◇ ◇ ◇
医師や看護師、他の人の目をくぐり抜け、病院で一番高いところに辿りついた。
ここにも場を区切る高いフェンスはあるけれど、ベッドの上にいるよりは全然マシだった。
――"関係者以外立ち入り禁止"の文字を蹴り飛ばした甲斐があった。
久しぶりに一人きりで吸った外の空気に、少しばかり胸が弾む。
「……誰も、いない」
丁度いいことに、屋上には誰もいなかった。
眼上にあるのはただっ広くて青い空、眼下に広がるは様々な建物。
下はコンクリートだろうか。遠いから見えにくいけどクッションのようなものは見当たらない。
(これだけ高ければ、きっと痛みは一瞬で終わる)
他の奴なら「落ちたら危ない」と思うだろうが、俺はそれでいい。
幾度となく繰り返される日常、飽きに飽きるまで見過ぎてしまった真っ白な世界とさよならできるなら、なんだっていい。
やっと楽になれるんだ。どうせ助からない命なら、俺の頭には、そんな自殺願望しか残されていなかった。
「ルシェルくん! ルシェル・クライヴくん!」
「何処にいるのかと思ったら……こんなところにいたのね!」
フェンスをよじ登ろうとしたところで、医師と看護師の声が響く。
「……チッ」
とんだ邪魔が入りに来たか――無意識に舌打ちをした。
医師と看護師が俺に駆け寄ってくるが、そんなものは無視してひたすらフェンスをよじ登る。
「やめなさい! こんなことしたって何にもならないぞ、ルシェルくん!」
「ルシェルくん、自分の命を無駄にするようなことはやめなさい!!」
「ッ! やめろ……やめろ!! 邪魔すんなぁッ!!」
俺の腰や足を掴み、二人は俺を下ろそうとする。
必死で足掻き登ろうとしたけれど、やはり子どもでは大人の力に勝てないのだろうか。
医師と看護師にあがき続けて数分――あえなく俺の負けとなり、俺はフェンスから下ろされてしまった。
「ルシェルくん、自分の命を粗末にするなんて駄目じゃないか」
「とても辛いのはわかるけど、今した事は一番いけないことなのよ?」
「………」
医師と看護師が俺に説教を始めた。
命を粗末にしてはいけないだの、親御さんが知ったら悲しむだの――そんな綺麗事ばかりだ。
あぁ、正直鬱陶しい。お前らは俺のような身体じゃないから、そんなことが言えるんだ。
お前らだって俺のような身体になっちまえば、こういうことの一つや二つはしたくなるはずだよ。
誰が悲しもうとなんだろうと、もう俺には関係ないんだ。ただ、大人しく死なせてくれないことが一番腹立たしい。
「すみません! ルシェルくんは……」
医師と看護師の説教中、屋上のドアがまた開いた。
白髪に青い瞳の若い医師――この人は、俺の担当医師だ。
いつも俺の傍にいて、俺の愚痴を延々と聞いてくれる……まぁ、どちらかというと信頼はできる人。
「シーア先生! 大丈夫です、間一髪ルシェルくんを止められました!」
「本当に申し訳ないッス、俺がもっとちゃんと傍で見ていればこんなことには……」
俺を止めた医師と看護師に、シーア先生はぺこぺこと頭を下げて謝罪をしている。
シーア先生の言葉をひと通り聞いた後、医師と看護師は「じゃあ、後はよろしくお願いします」と、その場を立ち去っていった。
屋上に残されたのは、俺とシーア先生の二人。涼しい風が頬を撫でるように、ふわりと流れる。
「……戻りましょう、ルシェルくん」
「………」
「ここにいたら、風邪引くッスよ」
シーア先生は、何も言わなかった。きっと、言いたいことは殆どあの医者達が言ってしまったからだろう。
こういう時、シーア先生はいつも何も言わず傍にいてくれるのだ。
俺の手を取り、歩き出そうとする先生の手をがっちりと握り――先生の歩みを止めた。
「ルシェルくん?」
「ねぇ、シーア先生。お願いがあるんだ」
「何スか?」
俺の「お願い」という言葉に、シーア先生が答える。
視線を合わせるように少し屈んで、まっすぐと俺を見つめて――いつもの、優しい笑顔を向けてくれる。
この優しい先生は、俺のお願いを聞いてくれるだろうか。
「殺して」
俺が放った一言に、シーア先生は呆然と口を開く。出てきた言葉は「は……?」の一言だった。
想定内のリアクションではあった。シーア先生は医師だし、何より情に厚い優しい人だ。
こんなお願いを「わかりました!」なんて快諾するような人間ではない。それは俺もよく知っていた。
「もうさ、俺……死期を待つの疲れちゃったんだ」
「ルシェルくん……? 何、言って」
「それにさ、先が短いのはわかりきってるから……生きてたって楽しくないんだよね」
「そんなこと言っちゃダメッス、ルシェルくん!」
俺の両肩をガッと強く掴み、シーア先生が叫ぶ。眉間に皺を寄せて、僅かに目を潤ませて――あぁ、なんて情けない顔してるんだろう。
シーア先生もあの医師たちと同じことを言うのか。俺に「生きろ」と。生きてたってなんの望みもない俺に、優しくて残酷な言葉をそうしてぶつけるんだね。
「家族はみんな俺を捨てたし、友達だって一人もいない。誰も俺を待ってなんていない。」
嫉妬、憎悪、寂寥感、絶望――多種多様の色が混ざり合った黒々しい心に、思い出したくもないものが蘇る。
助かる見込みがないと知って以来、一度も顔を出さない両親。
友達と言っておきながら、二度と病院に顔を出しにこない元患者ども。
上辺だけの優しい言葉を放っていく医師と看護師。
そして、唯一信頼できるシーア先生からの――「そんなこと言っちゃダメ」という、否定の言葉。
シーア先生の人柄は知っている。
けれど、いざ実際に言われてしまうと、やっぱり苦しい。
この人も俺のことを分かってくれないんだ、なんて。そんな自分勝手な絶望を胸に抱いては、フェンスの向こうに期待を抱いてしまう。
「俺にはなーんにも残ってない。 だったら、俺が生きてる理由だってない」
シーア先生の手を振り払い、潤んだ目の彼に目を向ける。
「だからさ、殺してよ。 親愛なるシーア先生」
そう言い放った俺の顔は、どんな表情をしていたのだろう。
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