雨晴れの先で明日の輝きを

月下 / 藍白

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1章

#4 母亡き子供

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「あ、あの、大丈夫ですか?」
泣いていた女の子はハッと顔を見上げ、希望を抱くような声を発した。
「お母さん!?」
私の声が少女の母のものに似ていたのか、それとも目に溜まっていた涙が私を母に見させたのか。
瞬きを繰り返した幼い少女の瞳は私を母ではないと認識した瞬間、厭世観に取り憑かれたかのように、顔に影を落とした。
「……あ、……あぁ、、、、私のせいで、、、、、」
少女は膝から崩れ落ちそうになるが、横に立っていたお姉さんが抱える。
「翔空ちゃん、しっかり!」
「そうだよ翔空!今頃母さんもどこかへ避難してるって!」
どうやらこの少女は翔空というらしい。そしてきっと……この雨で母親を亡くしている。恐らく、隣の少年は翔空ちゃんの兄だろう。外見に見合わない程しっかりしているし、母親を亡くしても動揺せず、冷静な判断ができている。
そして、このお姉さんは……母親ではないとすると、一体何者なのだろうか。こんな状況なのだから2人を助けてあげた赤の他人という説も拭い切れない。
……なんでだろう、少し既視感があるような……
「少しあっちのベッドお借りしますね~」
そう言ってお姉さんは翔空ちゃんを仮眠室のベッドへと運ぶ。残された少年は、それに続いて走って行った。
「……とりあえず俺達も様子を見に行ってみよう」
私は無言で頷く。まだあの人たちの何の役にもたててないのにここですたこらと戻る訳にはいかない。
私達も静かに少年達の後を追いかけて仮眠室を覗いた。
仮眠室のベッドに寝かされるとよっぽど疲れていたのか、泣いていた少女はわずか1分ほどで眠ってしまった。
「星奈くん、お姉ちゃん見ててくれるかな?」
「うん、わかった。」
少年の方は星奈というらしい。どうやら兄ではなく弟だったようだ。星奈君ににこっとした柔らかい笑みを向けた後、お姉さんは仮眠室の扉をそっとしめ、私達と向き合った。
「突然すみませんでした。私は光凰院麗沙こうおういん れいさといいます。」
私達に向けられた表情は先程の柔らかいものとは違い、大人の表情であった。
そのギャップに私の心臓はドキリと跳ね、ゴクリと唾を飲んだ。
「俺は黒沢克人です。」
「わっ私は大神麗瑚でしっ。」
黒沢さんに続いて焦ったように名前を名乗る。
このなんだか大人な空間に耐えきれず私は思いっきり舌を噛んでしまった。恥ずかしい……
そんな私を見て光凰院さんはにこりと笑う。
表情が豊かで物腰柔らかい彼女は大人の余裕を感じさせ、同性の私ですら先程とは違う意味で心臓が鼓動を速めた。
「あの2人は雙山翔空ふたやま とあ星奈せなといいます。」
「……あの、なんであなたがあの二人を?」
光凰院さんが仮眠室にいる2人の姉弟の紹介をした後、黒沢さんは少し不信感を抱くような雰囲気を醸し出しながら、光凰院さんに問いかけた。
明らかに不審がっている黒沢さんに、私はなにかトラブルが起きてしまうのではないかとヒヤヒヤしたが、そんな態度を気に止めることも無く、光凰院さんは口を開いた。
「実は、あの2人のお父様と職場が同じなので、昔から雙山さんのお宅と仲良くさせてもらってるんです。もし信じられないようであれば、2人に確認を取って頂いて構いません。」
なるほど、そういうことだったのか。
それならばこの3人が一緒にいるのは不自然なことではないだろう。
2人も光凰院さんに心を開いている様子だったし、これは真実だと認識して良さそうだ。
チラッと黒澤さんの顔を確認してみたが、黒沢さんも特に疑っている様子はなさそうだった。
……そして、さっきから続いていた蟠りが今ようやく溶けた。光凰院さんはは多分、航空自衛隊の方だ。先日テレビで自衛隊特集をやっていた時に、なんだかよく分からないけど凄い人だということで出演していたはずだ。
だからどこかで見たことがあるような気がしていたわけである。ようやく思い出せてなんだかスッキリした。
「すみません、失礼かもしれませんが……どうして翔空ちゃんはあんなに泣いていたんですか?」
場の空気が黒沢さんの一言で一転した。光凰院さんからは深く悲しい匂いがする。黒沢さんも私もあまり踏み込むのは良くないとわかっていたが、やはり心のどこかで気になっていた。ましてや、これからここで生活を共にするかもしれない。ここで聞いておかなければこの先に機会はない、と黒沢さんは判断したのだろう。
「……少し重い話になりますが……翔空ちゃんたちのお母様は…この雨で亡くなりました。お母様と翔空ちゃんが近所の商店街へ行った帰りに、突如雨が……先程まで降っていた雨とは違う雨が降ってきて、商店街の人達は大騒ぎしていたそうです。
溶けたアーケードの落ちてきた所に丁度翔空ちゃんとお母様がいて……咄嗟の判断でお母様は翔空ちゃんの背中を押し、お母様だけが下敷きになってしまったそうです。……翔空ちゃんはお母さんの目が閉じても必死に助けを呼んでいたと聞きました。それで、商店街の方が気の毒だと傘を差して翔空ちゃんを家まで送って下さって……元々今日雙山家に予定があり、その時丁度私がお家にいたので……不在のお父様の代わりに、私が2人をここに連れてきたんです。」
「……すみません。不躾な質問をしてしまって。」
黒沢さんが俯いてそう言った。
その声はどこか震えていて、光凰院さんもそれに気づき、大丈夫ですよと声をかけていた。
その一方で私はこの話になにか引っかかる部分があると疑問を抱いていた。この話のどこかでおかしいことがあったはずだ。私は必死に頭を回し、考え続けた。
翔空ちゃんはお母さんと2人で……商店街……アーケード……
……いやどれも違う、もっと何か……食い違う部分があったはずだ。
私の小さい脳みそは悲鳴を上げながら考えを巡らせた。
きっとそう難しいことでもなかったはずなのに。
簡単な部分だからこそ思い出せない。蟠りが解けない。
私はこの空間に変な間が訪れるくらいに必死に脳をフル回転させていた。
そんな時、神様が私に手助けをしてくれたかのように唐突に閃いた。


_そうだ。
翔空ちゃんは傘差しながら連れられて来たと言っていた。学校にいた時見たものが間違っていなければ傘は溶けるはずなのに。なぜ商店街の人の傘は溶けなかったんだ?
思い出したその1つの疑問は私の体内に流れる血に加速をつけ、私は脈の音で耳がうるさく鳴り響いた。
これが分かればこの暗闇に一筋の光が見えるかもしれない。私の直感がそう教えてきた。
「光凰院さん!さ、さっき翔空ちゃんは、商店街の方に傘を差して連れてこられたって言ってましたよね?」
「え、えぇ…そうだけれど……」
私のあまりの迫力に光凰院さんは驚いたような顔をして私の質問に答える。
ただこの状況を打破することが出来るかもしれないと必死になっていた私は畳み掛けるように光凰院さんにいろいろ尋ねた。
「その傘って、溶けたりしてませんでした?穴が空いたりとか、ドロドロになっていたりだったりとか!!その時翔空ちゃんや送ってくれた方はどこか怪我をしていませんでしたか!?」
「え、えと、怪我はなかったと思うわ………あと…と、溶けた?傘が…ですよね?」
「はい!さっきネットニュースを見ていて……記事には傘が溶けると書いてあったんです。」
私は徐に自身のスマホを取り出し、心做しか少し震える手でスマホを操作してさっき見ていたニュースのページを開いた。
「これなんですけど……送ってくれた方の傘と一般的な普通の傘でなにか違う点はありませんでしたか!?」
「うーん……あの時は翔空ちゃんのことが心配で……あまり周りをよく見ていなかったから……」
そりゃそうか。翔空ちゃんのお母さんは亡くなってしまったわけだし……そう考えると周りに目が向いていなかったのも頷ける。
「……そう、ですか……突然すみません……」
神様は無慈悲だった。
こんな希望のない事態に、光が見えたと思ったのに。容赦なくシャッターを下ろしてしまった。
これで何かが分かれば、1歩前進することだって出来たはずなのに……!
そういった不甲斐なさから私は強く拳を握りしめた。
その瞬間、
「……あ」
光凰院さんはハッと思い出したかのように顔を上げた。
「何か思い出しましたか!?」
一筋の縄に縋り付くように、私も顔をあげる。
固く閉じていた拳も力を緩め、再度緊張がMAXに高じるのがわかった。
「確か……確かだけれど、この前商店街を通った時、”昔ながらの傘屋”という店があったはずだわ……珍しいなと思って…それで何となく覚えていて……でもお店は覗いていないから送ってくれた方のお店なのかも分からないし、どんな傘なのかもわからないわ……」
「い、いえ……!その情報だけで十分です!ありがとうございます!!」
思いもよらぬその情報に、私は全身が震えた。
神様はまだ私を、私達を見捨ててなんかいなかったのだ。
嬉しい。こんな事態になって、初めて心からそう感じた。
そんな歓喜に浸かったのもつかの間、私は直ぐに情報を頼りに考え始めた。
昔ながらの傘屋……手作りで傘を作っているのなら、きっと原料は……木だ。このネットニュースの記事では、傘が溶けると書いてある。けど、原料が木の傘は溶けていない。……つまり……私の頭の中に1つの答えが生まれた。でもこれがあっているのか分からない。もしかしたら違うかもしれない。まだ不確かであるこの情報を共有すべきなのか?
一気に多くの物事を考えたせいか、私の頭の中がパンクしてしまった。青ほど頭が良ければ更に考えが回るんだろうが私には無理だ。
うぅぅ、と取り憑かれたような声を出して頭を抱える。
「大神さん?大丈夫か?」
私のそんな様子を見兼ねてか、今まで黙っていた黒沢さんが私に声をかけてきた。
要らない心配をかけてしまったと私は正気に戻って大丈夫です!とだけ言葉を発する。
「ごめんなさい、子供にこんな話すべきじゃなかったわよね。麗瑚ちゃんも、疲れたならしっかり休んだ方がいいわよ。」
「いえ、大丈夫です!」
光凰院さんも私に優しく声をかけてくれる。
休めと言ってくれてるが、そうはいかない。
私はもう高校生だ。あともう少しで大人の仲間入りをすると言うのに、こんなところでへばっていられない。
今私にできることは、この雨がなぜ起こったか考えること。考えるのは苦手だが、情報収集ならきっと私にだってできる。
落ち着いたらにも2人にも話を聞いてみないと。そう思い、私は1歩踏み出した。
_私はこの時、まだ何も気がついていなかった。
俺が行くと言って先に出ていったあの人のことを_



***


ガタッとどこからともなく振動が伝わる。その音に少し体が反応した。
段々と風が強くなり、窓が唸っているのがわかった。
ふと自分の顔を触ってみると、手にはひんやりとした感覚が伝わってきた。頬にはじわじわと自分の手の温度が伝わり熱を喰い始めたのが分かる。どうやら部屋の温度も少し下がっできているようで、そう思い始めるとどこからともなく体が震えた。
……麗瑚は大丈夫だろうか。あいつは昔から努力が空回りするというか……気遣いだとかが変な方向に抜けてしまって子供とコミュニケーションをとるのが下手くそなタイプだから少し心配だ。……まぁ、僕も人のことは言えないのだが。
そう自嘲しながら3人が戻ってくるのを待つ。すると、僕の心配なんぞ余所に、先程まで鳴り響いていた泣き声がスっと収まった。
まぁ多分麗瑚ではなくて……黒沢さんとかが上手くやってくれたのだと思うんだけど。
そんな状況を思い浮かべながらふっと笑みが零れた。いつの間にか自分の口角が上がっているのに気づき、これはけして朗笑では無い、苦笑だと頭の中で繰り返していた。全く愚かだと自分で思う。
「ん、立花くん大丈夫~?少し震えてるよ~?」
思わぬ佐々木の言葉に僕は小さくえ、とだけ反応し、自分の手を見つめる。
……本当だ。気づいたら自分の体は意志とは関係なしに、少し震えているような気がした。だがこんなのはよくあることで理由はすぐに分かった。
……この部屋、少し暗い。我ながら情けない話だが、僕は少し……暗いところが苦手だ。理由はいろいろあるけど……まぁそんなことはどうでもいい。思い出すだけ無駄だ。
いつものように電気をつければ収まるだろう。
「……別に、大丈夫。…です。……佐々木…さん、電気つけて……もらって、いいですか。段々日が落ちてきてる…ので。」
こうなると自分で立つのも精一杯になってしまうため、不躾だとはわかっていたが佐々木に電気をつけてくれと頼む。
基本的に麗瑚と家族以外の人間と話さないからか、おぼつかない敬語が飛び出してしまった。
別にこいつを尊敬しているわけではないから敬語なんて使わなくてもいいだろうとは思うが……何かと不調法な人間だと思われるのは癪だ。とりあえず敬語は違和感なく使えるようにしておこう。
「…あぁ、暗いの怖かった?ごめんね~、すぐ明るくするね~。」
佐々木は一瞬キョトンとしたような顔をしたが、すぐに笑顔を取り戻して、そう明るいトーンで僕に言ってきた。
僕の口からは小さくえ、という声が漏れていた。それくらいに驚いたのだ。
……一瞬で悟られた。こいつ、のんびりと能天気に喋っている割には周りをしっかり見ている。
これだけで僕が暗いのに恐怖を感じているとわかったのは麗瑚とこいつで2人だけだ。なかなか鋭いやつだなと少し佐々木を見直した。……もしかしてみんな口に出していないだけで僕が暗いのが怖いと気づいていたのだろうか。……そうだったら僕、めちゃくちゃ恥ずかしいんじゃ……。
そんなことを考えていると、佐々木は立ち上がって電気のスイッチを探して始めた。
あった~、と呑気な声をだして電気をつけたその瞬間、僕のスマホから気に入っていない軽快な音楽が流れ始めた。自身のスマホを確認すると、そこには”母”と書いてある画面が表示されていた。
……生きていたのか。
そういえば、学校に居たときから連絡していなかった……ような気がする。
スマホを手に取り、応答と書かれている枠をスワイプし、僕はゆっくりとスマホを耳に当てた。
「もしも…」
『もしもし!?青!!無事なの!?』
うるさすぎるその声に耳がキーンと痛み、頭になり響くその痛みに眉を顰める。母の焦ったような声があたりに響き渡り、少し恥ずかしかったがそれと同時に元気だということがわかって安心した。
「……大丈夫だよ。母さんも無事でよかった。今麗瑚と一緒にいるから麗瑚のお母さんにも伝えておいて」
『…それが……桜良さん、どこにもいないのよ……』
「…まさか………」
『いえ、あの人なら絶対無事よ。愛娘の嫁入りを見るまで死ねないと言っていたもの。』
そう僕に告げた母の言葉は、少しおちゃらけたような声をしていて……けれど強い意志を感じられた。
「そうか……一応麗瑚には伝えないでおく。」
『そうね、あんた今どこにいるの?』
「学校の下の会館にいるよ。母さんは?」
『私は市役所にいるわ。合流は出来そう?』
あまりこっちに人が来ないのは何故かと思っていたが、ここの会館だけでなく市役所も避難所として解放していたようだ。
「無理かな、怪我してる」
『そうなの!?大丈夫なの?』
「大丈夫。」
『わかった、必ず毎日連絡するのよ。何かあったら絶対電話するように。』
「了解」
『気をつけてね。』
「母さんもね」
そこで電話をきった。全く母さんは心配性がすぎる。もう僕は高校生なのだからそこまで干渉されなくても自分で生きていけるのだ。
……まぁでも、この状況下だと誰だってそうなってしまうのかもしれない。
「……いいお母さんだね~」
……クソ、こいつがいること忘れてた。佐々木がにやにやしながらこっちを見ている。
クソ、なんなんだこいつ。ウザイな。
なんで分からないが自分の顔が熱くなっていくのを感じた。
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