13 / 71
第2章 魔神回廊攻略編
第13話 回廊の入り口
しおりを挟む
第13話 回廊の入り口
カラマンダリン山脈の主峰、パウアマレロの白い山頂が、ほの赤く染まっていた。パウアマレロは地元の言葉で、神の座る椅子、という意味だ。なんとも壮大な空想だ。
近づくにつれ、そびえたつ山々の威容が、地表に張り付いて歩く人々をなお小さくする。
レンジたち、ネーブルの住人には見慣れた光景だった。この壮大な景色を見上げながらみんな育つのだ。
騎士団の面々は、1万メートル級の山々が連なりながら朱に染まってゆく夕景に、みな顔を上げて嘆息している。
「あの山の上を、越えて行ければいいんですがなあ」
マーコットが腰に手を当てながら言った。
「あー、無理無理。普通に凍え死ぬし。完全装備で登山しても、ユキオオカミとか、雪山に順応してる魔物が襲って来るから、地の利が悪すぎて確実に全滅よぉ」
ライムが正論で返した。
レンジの記憶では、そもそもパウアマレロの登頂に成功した人間自体がいない。仮にそれを越えても、まだまだ山脈は続くのだ。
北方諸国と南方諸国を隔てる、まさに自然の要害だった。
「全体、止まれ」
先頭の団長セトカから、突然指示が出た。全員がすぐさまそれに従う。
レンジも慌ててバレンシアの背中から降りた。
「なんだ、あのモンスター」
林に囲まれた隘路の先に、緑色のトカゲのような動物が数匹たむろしていた。牛ほどの大きさがある。レンジには見たことがない魔物だった。
「火噛みトカゲだな」
樹の裏側に身を隠しながら、ギムレットが言った。
「このあたりはもう、魔神回廊から迷い出てくる魔物がたまぁにいやがるから、人が寄り付かない土地なんだよ。と言っても、あんなヤバいやつにお目にかかることはないはずなんだがな」
「私たちのせいか」
セトカが訊ねると、ギムレットはうなづいた。
「ああ。第4層の魔物だ。入り口側から1層、2層、3層、4層ときて、最深部が第5層。奥へ潜るほど、強い個体ばかりになる。4層の魔物なんか普通は、外に出てくることはないが、あんたらがいっぱい殺しながら無理やり抜けたからな。騒ぎになってんのさ。回廊内の魔物どもの生息地図も、役に立たないかも知れん」
「なるほど。だが、もうどうしようもない」
レンジはレザー装備に身を固めたギムレットの肘を引っ張った。
「なあ。あのトカゲ、モンスターレベルはどのくらいなの」
モンスターレベルとは、冒険者たちが狩りをする上で、便宜上、獲物の強さを数値化したものだ。人間のレベルのように厳密なものではないが、先人たちの経験の積み重ねで生まれた数字であり、指標として便利なものだった。
一般的な6人パーティであれば、モンスターレベルがパーティの平均レベルの倍までであれば討伐が可能とされている。それ以上のモンスターと出くわせば、逃げるほうが良いと判断できるわけだ。
レンジが今まで所属してきたのは、おおむね平均レベル10前後のパーティがほとんどだったので、レベル20以上の魔物と出会えば、逃げるしかなかった。
ちなみに、レンジの大好きスライムちゃんは、モンスターレベル1である。なんて人にやさしい魔物なんだろう。
と、思ったが、そのスライムのせいで北の国々は滅亡の危機に瀕しているという。わからないものだ。
「火噛みトカゲか……。俺もほとんど出会ったことはないが、まあレベル100近いと見ていいだろう。第4層のアベレージがそのくらいだからな」
あ、死ぬ。出会ったら死ぬやつだ。もしダンジョン内でいきなり出くわしたら確実に全滅するやつ。それが、3、4、5、6……なんかいっぱいいる。
レンジは血の気が引いた。
「口をくちゃくちゃ動かしているだろ。口の中に火が見えるか。ああやってつねに火種を練ってるんだよ。近づいたら高熱のブレスをぶっぱなしてくる。当たったら即死だ」
「だってさ。どうする、団長」
バレンシアに訊かれて、セトカはふむ、と顎の下に手をやった。
「迂回するなら、少し戻って林の中を通る道があるが……」
ギムレットがそう言いかけたところで、トカゲたちが一斉にこちらを向いた。かと思うと、いきなり短い脚を機敏に動かして近寄って来はじめた。
「おっと、風向きが変わったか。まずいな、気づかれたぞ」
ギムレットがすぐに動けるように重心を落とした。レンジは、悲鳴をあげそうになった。
しかし、セトカは平然として、「トリファシア」と言った。
「はい」
そう答えて、長く白い髪をした騎士が、身を隠していた樹々のあいだからひとり進み出た。そのままツカツカと、道の先へ歩いていく。
トカゲたちは彼女に狙いを定め、殺到した。
「危ない!」
レンジは思わず叫んだ。トカゲの一匹が、ノーモーションで口から炎を吐いたのだ。
しかし、次の瞬間、そのトカゲの首が地面に落ちた。首は火を吐きながら、ゴロゴロと転がっていった。
なにが起こっているのか、レンジにはよくわからなかった。ただ、目の前のトカゲの群れが、次々とバラバラに切り裂かれていった。
トリファシアと呼ばれた騎士は、腰に剣を指したままだ。それが抜かれる瞬間が、レンジには見えなかった。
最後の一頭が、姿勢を低くして、まるで地面を舐めるように首を動かしながら、口を開こうとした瞬間、トリファシアの体が瞬時にその面前に移動した。
そしてブゥン、と彼女の全身がブレたかと思うと、目の前の火噛みトカゲは崩れ落ちるように横倒しになった。その体が地面に触れるや、上、中、下と水平にズレていった。3つにスライスされていたのだった。
レンジがそちらに目を奪われている間に、もう彼女の剣は腰の鞘に収まっていた。
「1班のトリファシア班長のイアイであります!」
マーコットがレンジに教えてくれた。
「最後の三段切りは一瞬で3回転しています。あれは真似したくてもできないのであります」
火噛みトカゲの群れは、あっという間もなく、全滅していた。
「この程度の魔物であれば問題はない」
セトカはギムレットに説明するように言った。
トリファシアは息も切らさずに隊列に戻っていった。
「こいつは恐れ入ったな」
ギムレットは驚いた顔で額の汗をぬぐった。
レンジは改めて、彼女たちの強さを思い知らされた。言葉で聞くよりも、目で見たものは瞭然だった。
(こいつら、まじでバケモノだ……!)
頼もしく思うと同時に、空恐ろしくなった。これまでの経験がまったくの白紙にされたような気がした。
人間の強さの深度が、こんな先まであったのかと。それを知って、怖くなったのだ。
慄然としているレンジを慰めるように、マーコットが背中をさすってくれた。
「私が最初に1班に配属されたときから、トリファシア班長は憧れの人であります! 我が団でレベル150の壁を越えているのは、団長と副団長とトリファシア班長だけ。私もいつか壁を越えたいであります」
先頭の班に戻った、かの人を見ると、目が切れ長で細く、落ち着いた表情をしている。優し気な顔立ちだった。
あ、手を振ってくれた。
じっと見ていたレンジに、そんなサービスをしてくれた。意外とお茶目な人なのかも知れない。
「他にも迷い出た魔物がいるかも知れない。注意して進もう」
セトカの号令で一行は、再出発した。
丘に囲まれてくねくねと曲がる道を行くことしばし。日が暮れたころに、レンジたちは山脈の麓に到着することができた。
それまでにも、数回魔物に出くわしたが、すべて先頭の一班が蹴散らしていた。
「あれが魔神回廊の入り口か」
レンジは初めて見る、伝説のダンジョンの玄関に目を奪われていた。
主峰パウアマレロの山麓に穿たれた、巨大な石造りの門が口を開けている。周りには牛や馬などの頭をした獣面人胴の石像がたくさん立っていたが、どれも崩れかけており、ここがうち捨てられてからの悠久の年月を感じさせた。
その山肌の内側へと延びる門の奥からは、得体の知れない瘴気のようなものが漏れ出ているような気がして、レンジは思わず身を震わせた。
え、待って。まじであそこへ入るの?
膝がガクガクしはじめる。
この山々の底には、かつて栄華を誇ったドワーフの国があり、無数の坑道が縦横に伸びていたという。
数百年前にそのはるか深奥で異界への入り口を掘り当ててしまい、多くの魔物があふれ出した。そして恐るべき魔神も。
ドワーフたちは追い立てられるように山脈の北へと逃げ、無人となった坑道は魔物が闊歩する地獄となり果て、今に至るというわけだ。
これまでレンジが、冒険者の端くれとして挑んできた、どのダンジョンとも格が違う。掛け値なしの激ヤバダンジョンだった。
そもそも、このネーブル周辺のダンジョンは、古(いにしえ)のドワーフ王国の遺跡に由来するものがほとんどなのだ。
その本丸がここにあるというのに、冒険者たちが探索するのは、もっぱら貴種(ノーブル)ドワーフの別荘の跡地だとか、ゴミ捨て場だったような場所だったりした。
それだけ、回廊に巣くう魔物が強すぎるということであり、なにより、古文書でアタランティアという名前を付されている魔神が、圧倒的に恐ろしいのであった。
「回廊に入れば、まともに休息は取れない。ここでいったん仮眠をとることとする。全員、野営の準備だ」
セトカがそう指示を出した。少し道を戻って、一行は林の中で腰を落ち着けた。
日の暮れた林の中ではフクロウの声がやけに響いた。
闇に吸い込まれていくような、不吉な声だった。
カラマンダリン山脈の主峰、パウアマレロの白い山頂が、ほの赤く染まっていた。パウアマレロは地元の言葉で、神の座る椅子、という意味だ。なんとも壮大な空想だ。
近づくにつれ、そびえたつ山々の威容が、地表に張り付いて歩く人々をなお小さくする。
レンジたち、ネーブルの住人には見慣れた光景だった。この壮大な景色を見上げながらみんな育つのだ。
騎士団の面々は、1万メートル級の山々が連なりながら朱に染まってゆく夕景に、みな顔を上げて嘆息している。
「あの山の上を、越えて行ければいいんですがなあ」
マーコットが腰に手を当てながら言った。
「あー、無理無理。普通に凍え死ぬし。完全装備で登山しても、ユキオオカミとか、雪山に順応してる魔物が襲って来るから、地の利が悪すぎて確実に全滅よぉ」
ライムが正論で返した。
レンジの記憶では、そもそもパウアマレロの登頂に成功した人間自体がいない。仮にそれを越えても、まだまだ山脈は続くのだ。
北方諸国と南方諸国を隔てる、まさに自然の要害だった。
「全体、止まれ」
先頭の団長セトカから、突然指示が出た。全員がすぐさまそれに従う。
レンジも慌ててバレンシアの背中から降りた。
「なんだ、あのモンスター」
林に囲まれた隘路の先に、緑色のトカゲのような動物が数匹たむろしていた。牛ほどの大きさがある。レンジには見たことがない魔物だった。
「火噛みトカゲだな」
樹の裏側に身を隠しながら、ギムレットが言った。
「このあたりはもう、魔神回廊から迷い出てくる魔物がたまぁにいやがるから、人が寄り付かない土地なんだよ。と言っても、あんなヤバいやつにお目にかかることはないはずなんだがな」
「私たちのせいか」
セトカが訊ねると、ギムレットはうなづいた。
「ああ。第4層の魔物だ。入り口側から1層、2層、3層、4層ときて、最深部が第5層。奥へ潜るほど、強い個体ばかりになる。4層の魔物なんか普通は、外に出てくることはないが、あんたらがいっぱい殺しながら無理やり抜けたからな。騒ぎになってんのさ。回廊内の魔物どもの生息地図も、役に立たないかも知れん」
「なるほど。だが、もうどうしようもない」
レンジはレザー装備に身を固めたギムレットの肘を引っ張った。
「なあ。あのトカゲ、モンスターレベルはどのくらいなの」
モンスターレベルとは、冒険者たちが狩りをする上で、便宜上、獲物の強さを数値化したものだ。人間のレベルのように厳密なものではないが、先人たちの経験の積み重ねで生まれた数字であり、指標として便利なものだった。
一般的な6人パーティであれば、モンスターレベルがパーティの平均レベルの倍までであれば討伐が可能とされている。それ以上のモンスターと出くわせば、逃げるほうが良いと判断できるわけだ。
レンジが今まで所属してきたのは、おおむね平均レベル10前後のパーティがほとんどだったので、レベル20以上の魔物と出会えば、逃げるしかなかった。
ちなみに、レンジの大好きスライムちゃんは、モンスターレベル1である。なんて人にやさしい魔物なんだろう。
と、思ったが、そのスライムのせいで北の国々は滅亡の危機に瀕しているという。わからないものだ。
「火噛みトカゲか……。俺もほとんど出会ったことはないが、まあレベル100近いと見ていいだろう。第4層のアベレージがそのくらいだからな」
あ、死ぬ。出会ったら死ぬやつだ。もしダンジョン内でいきなり出くわしたら確実に全滅するやつ。それが、3、4、5、6……なんかいっぱいいる。
レンジは血の気が引いた。
「口をくちゃくちゃ動かしているだろ。口の中に火が見えるか。ああやってつねに火種を練ってるんだよ。近づいたら高熱のブレスをぶっぱなしてくる。当たったら即死だ」
「だってさ。どうする、団長」
バレンシアに訊かれて、セトカはふむ、と顎の下に手をやった。
「迂回するなら、少し戻って林の中を通る道があるが……」
ギムレットがそう言いかけたところで、トカゲたちが一斉にこちらを向いた。かと思うと、いきなり短い脚を機敏に動かして近寄って来はじめた。
「おっと、風向きが変わったか。まずいな、気づかれたぞ」
ギムレットがすぐに動けるように重心を落とした。レンジは、悲鳴をあげそうになった。
しかし、セトカは平然として、「トリファシア」と言った。
「はい」
そう答えて、長く白い髪をした騎士が、身を隠していた樹々のあいだからひとり進み出た。そのままツカツカと、道の先へ歩いていく。
トカゲたちは彼女に狙いを定め、殺到した。
「危ない!」
レンジは思わず叫んだ。トカゲの一匹が、ノーモーションで口から炎を吐いたのだ。
しかし、次の瞬間、そのトカゲの首が地面に落ちた。首は火を吐きながら、ゴロゴロと転がっていった。
なにが起こっているのか、レンジにはよくわからなかった。ただ、目の前のトカゲの群れが、次々とバラバラに切り裂かれていった。
トリファシアと呼ばれた騎士は、腰に剣を指したままだ。それが抜かれる瞬間が、レンジには見えなかった。
最後の一頭が、姿勢を低くして、まるで地面を舐めるように首を動かしながら、口を開こうとした瞬間、トリファシアの体が瞬時にその面前に移動した。
そしてブゥン、と彼女の全身がブレたかと思うと、目の前の火噛みトカゲは崩れ落ちるように横倒しになった。その体が地面に触れるや、上、中、下と水平にズレていった。3つにスライスされていたのだった。
レンジがそちらに目を奪われている間に、もう彼女の剣は腰の鞘に収まっていた。
「1班のトリファシア班長のイアイであります!」
マーコットがレンジに教えてくれた。
「最後の三段切りは一瞬で3回転しています。あれは真似したくてもできないのであります」
火噛みトカゲの群れは、あっという間もなく、全滅していた。
「この程度の魔物であれば問題はない」
セトカはギムレットに説明するように言った。
トリファシアは息も切らさずに隊列に戻っていった。
「こいつは恐れ入ったな」
ギムレットは驚いた顔で額の汗をぬぐった。
レンジは改めて、彼女たちの強さを思い知らされた。言葉で聞くよりも、目で見たものは瞭然だった。
(こいつら、まじでバケモノだ……!)
頼もしく思うと同時に、空恐ろしくなった。これまでの経験がまったくの白紙にされたような気がした。
人間の強さの深度が、こんな先まであったのかと。それを知って、怖くなったのだ。
慄然としているレンジを慰めるように、マーコットが背中をさすってくれた。
「私が最初に1班に配属されたときから、トリファシア班長は憧れの人であります! 我が団でレベル150の壁を越えているのは、団長と副団長とトリファシア班長だけ。私もいつか壁を越えたいであります」
先頭の班に戻った、かの人を見ると、目が切れ長で細く、落ち着いた表情をしている。優し気な顔立ちだった。
あ、手を振ってくれた。
じっと見ていたレンジに、そんなサービスをしてくれた。意外とお茶目な人なのかも知れない。
「他にも迷い出た魔物がいるかも知れない。注意して進もう」
セトカの号令で一行は、再出発した。
丘に囲まれてくねくねと曲がる道を行くことしばし。日が暮れたころに、レンジたちは山脈の麓に到着することができた。
それまでにも、数回魔物に出くわしたが、すべて先頭の一班が蹴散らしていた。
「あれが魔神回廊の入り口か」
レンジは初めて見る、伝説のダンジョンの玄関に目を奪われていた。
主峰パウアマレロの山麓に穿たれた、巨大な石造りの門が口を開けている。周りには牛や馬などの頭をした獣面人胴の石像がたくさん立っていたが、どれも崩れかけており、ここがうち捨てられてからの悠久の年月を感じさせた。
その山肌の内側へと延びる門の奥からは、得体の知れない瘴気のようなものが漏れ出ているような気がして、レンジは思わず身を震わせた。
え、待って。まじであそこへ入るの?
膝がガクガクしはじめる。
この山々の底には、かつて栄華を誇ったドワーフの国があり、無数の坑道が縦横に伸びていたという。
数百年前にそのはるか深奥で異界への入り口を掘り当ててしまい、多くの魔物があふれ出した。そして恐るべき魔神も。
ドワーフたちは追い立てられるように山脈の北へと逃げ、無人となった坑道は魔物が闊歩する地獄となり果て、今に至るというわけだ。
これまでレンジが、冒険者の端くれとして挑んできた、どのダンジョンとも格が違う。掛け値なしの激ヤバダンジョンだった。
そもそも、このネーブル周辺のダンジョンは、古(いにしえ)のドワーフ王国の遺跡に由来するものがほとんどなのだ。
その本丸がここにあるというのに、冒険者たちが探索するのは、もっぱら貴種(ノーブル)ドワーフの別荘の跡地だとか、ゴミ捨て場だったような場所だったりした。
それだけ、回廊に巣くう魔物が強すぎるということであり、なにより、古文書でアタランティアという名前を付されている魔神が、圧倒的に恐ろしいのであった。
「回廊に入れば、まともに休息は取れない。ここでいったん仮眠をとることとする。全員、野営の準備だ」
セトカがそう指示を出した。少し道を戻って、一行は林の中で腰を落ち着けた。
日の暮れた林の中ではフクロウの声がやけに響いた。
闇に吸い込まれていくような、不吉な声だった。
0
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
防御力ゼロと追放された盾使い、実は受けたダメージを100倍で反射する最強スキルを持ってました
黒崎隼人
ファンタジー
どんな攻撃も防げない【盾使い】のアッシュは、仲間から「歩く的」と罵られ、理不尽の限りを尽くされてパーティーを追放される。長年想いを寄せた少女にも裏切られ、全てを失った彼が死の淵で目覚めたのは、受けたダメージを百倍にして反射する攻防一体の最強スキルだった!
これは、無能と蔑まれた心優しき盾使いが、真の力に目覚め、最高の仲間と出会い、自分を虐げた者たちに鮮やかな鉄槌を下す、痛快な成り上がり英雄譚! 「もうお前たちの壁にはならない」――絶望の底から這い上がった男の、爽快な逆転劇が今、始まる。
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる