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第3章 スライム5兆匹と戦う男編
第42話 失敗か成功か
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第42話 失敗か成功か
レンジは目の前で繰り広げられる、自分を奪う合うかのような女性たちの争いに、鼻を下を伸ばしていたわけではなかった。
確かに下着姿の女騎士たちに囲まれているのは、夢のような状況だ。
しかし、レンジはその光景を、胸が締め付けられるような思いで見ていた。
これはけっして、ハーレム展開などではない。レベルドレインの対象になるということは、これまでに得た力を失うということなのだ。彼女たちは、みんな、仲間のだれかではなく、自分を犠牲にしようとしているのだった。
それを思うと、レンジはとてもニヤついて見ていることなどできなかった。
「あー、うるさあい! とにかく、いったん落ち着いて。本当にセトカのレベルドレインが失敗したのか、確認するから待ちなさい」
ライムは肩にかけてきた鞄を下ろすと、ごそごそと中を探り始めた。
目の前で起こる騒動に唖然としていたレンジは、ふいに肩をつんつんと叩かれた。
「レンジ。だめだったの?」
セトカが、小さな声でそう言った。いつもの覇気が戻っていない。
「だめっていうか、よくわかんない」
レンジが不安そうにそう言うと、セトカはうつむいて言った。
「私、レベル下がった」
「え、マジで?」
「力が入らない。子どものころに戻ったみたい」
レベルドレインが成功している?
レンジはあらためて、自分の両手の手のひらを見つめた。それでも、やっぱり、なにか変わった感じはしなかった。
「あったわ。これよ。動かないでね」
ライムが測定器を取り出して、アンテナのような部分をレンジに向けた。
「触んなくていいのか」
「指向性のレベル測定器よ。私が昔、作ったの。市販品より精密に測れるわ」
そう言って、ライムは測定器のモニタを凝視している。
「どうなんだ?」
イヨも覗き込んだ。
「この数字がレベルか? 8、いや9か」
「待って。安定してない。変ね」
ライムは測定器の側面についているつまみをいじっている。
その時、レンジは自分の体に起きた異変に気づいていた。
ドクン。
心臓が、血液以外の、なにかエネルギーに満ちた液体を全身に運んでいるような感覚。
モンスターを倒して、レベルが上がった時の、あの感覚だ。レベル6になってから、ずいぶんと経つので、久しく忘れていた感覚だった。
しかし、あきらかに今までとはなにかが違っていた。
体の真ん中から、光が溢れてくるような、そんな気がした。
なんだ、これは?
目を見開いて、自分の体に起きた異変の正体を探ろうとしているレンジに、測定器のアンテナは向けられたままだ。
「上がってる。上がってるわ。レベル10、レベル11……」
レベル11?
レンジは驚いた。あっさりと壁を超えた。ネーブルの多くの冒険者が必ず止められるレベル10の壁を。レべル6なんかで足踏みをしていたレンジには、その壁すら遠かったのに。
しかし、自分の中に今、新たな力が湧き上がってくるのを感じる。
心臓が全身に循環させるエネルギーで、体中の細胞が作り変えられるような、そんな感覚が、絶え間なく続いている。
「レベル15、18、23、35?」
ライムが悲鳴を上げた。
「か、加速しているっ」
「故障じゃねえのか」
バレンシアが言った。揉み合っていた女性たちも動きを止めている。
「どうなんだレンジ?」
レンジはバレンシアに揺さぶられた。しかし、レンジは反応しなかった。瞳孔が開いている。自分の体に起きている異変に、心が、精神が対処しきれていないようだった。
「うそっ。100越えた?」
ライムは自分の口を押えて、絶句した。
「100だとぉ?」とバレンシア。
「成功していたのでありますか?」
マーコットがそう言った時、自分を掴むバレンシアの腕の力が抜けていることに気づいて、そこからするりと顔を抜いた。
そして、レンジの顔に自分の顔を衝突させた。
「あーっ、なにキスしてやがる!」
「ふむっ。これは最後のチャンスかも知れないであります。んちゅ」
「離れろコラ、スッポン女!」
バレンシアがマーコットを引きはがしにかかる。
「やめて、マーコット!」
セトカもバレンシアに加勢した。マーコットは必死に抵抗している。
「むぎぃ。私は、求婚されたのでありますぞ!」
「私は婚約をしたのよ!」
「はあ? セトカどういうことだよ!」
「求婚と婚約はどっちが強いのでありますか?」
「なにやってんスか団長も」
「団長、婚約ってどういうことなのでしょう」
「だー! あんたらうるさぁい!」
測定器から目を離さずに、ライムが絶叫した。
不思議だった。
『おい。どうしたんだよレンジ。固まっちまって』
『レンジ? しっかりしなさい』
『どうしよう。もしかして、あ、あんなにしたから?』
『あんなにって、どういうことだセトカ』
『大丈夫でありますか、レンジ殿。むっちゅぅ』
『あー、こらてめえ』
みんなの声が、どこか遠くで聞こえている。
レンジは、初めて経験する不思議な感覚にとらわれていた。
女子たちがドタバタとしている光景は目に入っている。バレンシアに揺さぶられているのを感じている。口に、マーコットの唇が吸い付いている感触もある。彼女の良い匂いも、鼻孔をくすぐっている。
だが、同時に、レンジは見たことのない長い廊下にいた。
どこだ、ここは?
レンジは目の前で繰り広げられる、自分を奪う合うかのような女性たちの争いに、鼻を下を伸ばしていたわけではなかった。
確かに下着姿の女騎士たちに囲まれているのは、夢のような状況だ。
しかし、レンジはその光景を、胸が締め付けられるような思いで見ていた。
これはけっして、ハーレム展開などではない。レベルドレインの対象になるということは、これまでに得た力を失うということなのだ。彼女たちは、みんな、仲間のだれかではなく、自分を犠牲にしようとしているのだった。
それを思うと、レンジはとてもニヤついて見ていることなどできなかった。
「あー、うるさあい! とにかく、いったん落ち着いて。本当にセトカのレベルドレインが失敗したのか、確認するから待ちなさい」
ライムは肩にかけてきた鞄を下ろすと、ごそごそと中を探り始めた。
目の前で起こる騒動に唖然としていたレンジは、ふいに肩をつんつんと叩かれた。
「レンジ。だめだったの?」
セトカが、小さな声でそう言った。いつもの覇気が戻っていない。
「だめっていうか、よくわかんない」
レンジが不安そうにそう言うと、セトカはうつむいて言った。
「私、レベル下がった」
「え、マジで?」
「力が入らない。子どものころに戻ったみたい」
レベルドレインが成功している?
レンジはあらためて、自分の両手の手のひらを見つめた。それでも、やっぱり、なにか変わった感じはしなかった。
「あったわ。これよ。動かないでね」
ライムが測定器を取り出して、アンテナのような部分をレンジに向けた。
「触んなくていいのか」
「指向性のレベル測定器よ。私が昔、作ったの。市販品より精密に測れるわ」
そう言って、ライムは測定器のモニタを凝視している。
「どうなんだ?」
イヨも覗き込んだ。
「この数字がレベルか? 8、いや9か」
「待って。安定してない。変ね」
ライムは測定器の側面についているつまみをいじっている。
その時、レンジは自分の体に起きた異変に気づいていた。
ドクン。
心臓が、血液以外の、なにかエネルギーに満ちた液体を全身に運んでいるような感覚。
モンスターを倒して、レベルが上がった時の、あの感覚だ。レベル6になってから、ずいぶんと経つので、久しく忘れていた感覚だった。
しかし、あきらかに今までとはなにかが違っていた。
体の真ん中から、光が溢れてくるような、そんな気がした。
なんだ、これは?
目を見開いて、自分の体に起きた異変の正体を探ろうとしているレンジに、測定器のアンテナは向けられたままだ。
「上がってる。上がってるわ。レベル10、レベル11……」
レベル11?
レンジは驚いた。あっさりと壁を超えた。ネーブルの多くの冒険者が必ず止められるレベル10の壁を。レべル6なんかで足踏みをしていたレンジには、その壁すら遠かったのに。
しかし、自分の中に今、新たな力が湧き上がってくるのを感じる。
心臓が全身に循環させるエネルギーで、体中の細胞が作り変えられるような、そんな感覚が、絶え間なく続いている。
「レベル15、18、23、35?」
ライムが悲鳴を上げた。
「か、加速しているっ」
「故障じゃねえのか」
バレンシアが言った。揉み合っていた女性たちも動きを止めている。
「どうなんだレンジ?」
レンジはバレンシアに揺さぶられた。しかし、レンジは反応しなかった。瞳孔が開いている。自分の体に起きている異変に、心が、精神が対処しきれていないようだった。
「うそっ。100越えた?」
ライムは自分の口を押えて、絶句した。
「100だとぉ?」とバレンシア。
「成功していたのでありますか?」
マーコットがそう言った時、自分を掴むバレンシアの腕の力が抜けていることに気づいて、そこからするりと顔を抜いた。
そして、レンジの顔に自分の顔を衝突させた。
「あーっ、なにキスしてやがる!」
「ふむっ。これは最後のチャンスかも知れないであります。んちゅ」
「離れろコラ、スッポン女!」
バレンシアがマーコットを引きはがしにかかる。
「やめて、マーコット!」
セトカもバレンシアに加勢した。マーコットは必死に抵抗している。
「むぎぃ。私は、求婚されたのでありますぞ!」
「私は婚約をしたのよ!」
「はあ? セトカどういうことだよ!」
「求婚と婚約はどっちが強いのでありますか?」
「なにやってんスか団長も」
「団長、婚約ってどういうことなのでしょう」
「だー! あんたらうるさぁい!」
測定器から目を離さずに、ライムが絶叫した。
不思議だった。
『おい。どうしたんだよレンジ。固まっちまって』
『レンジ? しっかりしなさい』
『どうしよう。もしかして、あ、あんなにしたから?』
『あんなにって、どういうことだセトカ』
『大丈夫でありますか、レンジ殿。むっちゅぅ』
『あー、こらてめえ』
みんなの声が、どこか遠くで聞こえている。
レンジは、初めて経験する不思議な感覚にとらわれていた。
女子たちがドタバタとしている光景は目に入っている。バレンシアに揺さぶられているのを感じている。口に、マーコットの唇が吸い付いている感触もある。彼女の良い匂いも、鼻孔をくすぐっている。
だが、同時に、レンジは見たことのない長い廊下にいた。
どこだ、ここは?
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