精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

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第003話 第一村人発見ではあるが物騒な顛末

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 道。

 道である。

 文明の第一歩。

 これさえ敷いとけば、ローマ人喜ぶ。

 本当にここまで辿り着けた事に安堵する。

 いや、本当に。

 森、怖い。

 どうも、あら、クマさん、こんにちはが実現しそうだったのだ。

 無邪気に接近を告げる精霊さんに頼み込んで追い払ってもらったのだが。

 それからというものオオカミさんとかウサギさんどころか、蚊や小蠅に至るまで近づいてこなくなったので、ビバ精霊さんバリアというものだ。

 ただ森限定と伝えたのが良くなかったのか、現在絶賛蚊柱に集られ中なのには閉口しているが。

 で、危険地帯森を脱出し、文明の申し子道に辿り着いた。

 と言っても、朱を超えた陽光はマッハで陰り、世界は薄闇に包まれていたのだが。

「野宿……かなぁ……」

 あまりにも不遇な状況と鳴りやまぬお腹を抱え、しょんぼりしていたところ。

『にんげんさん、にんげんさん』

 精霊さんに導かれ、ひょいっと目線を上げると遠くぼぉっと灯る赤。

 火。

 焚火かなと。

 これは、第一村人発見かな?

 村人じゃないかもしれないけど。

 ちょっとウキウキ、概ねドキドキとしながら、道を辿る事となった。

 てくてく、てちてちと歩む事それなり。

 闇の中の火の光って、結構遠くまで届くんだなと思いながら目的地に到着する。

 道から若干離れた岩場を背に、ウシというかヤクっぽい毛むくじゃらの動物につないだ馬車を発見した。

 無造作に接近しようとしたところ、鋭い叫び声が聞こえた。

「動くな!!」

 ぴたりとだるまさんが転んだ状態で制止し、お上りさんムーブに後悔する。

 精霊さんとのほんわか交流で緩んでいたが、駄女神の言っていた事を鑑みると、ここはまさに世紀末。

 澱んだ街角ではタフボーイにならないといけなかったのに、完全に日本人モードであった。

 とりあえず、非常口の上にあるアイコンみたいなポーズで固まっていると、馬車の陰からにょきっと弓矢が生えてきた。

 それに続き現れたのは、少女。

 中学生、高校生?

 社会に出ちゃうと、電車に乗る時くらいしか出会う事がないので、判別が難しいが。

 まだ大人になり切れてない女性が険しい顔でこちらを窺っている。

「誰!? 何しに来たの!?」

 誰何が来て、いきなりズドンじゃない事に若干安心する。

 安心すると、あれ会話が出来ているなと、こんなタイミングで疑問が湧いてきちゃう。

 どうも駄女神が健全な肉体やらに置き換えた時に、言語の部分も翻訳出来る状態にしてくれたのかなと考えながら、直近の問題への対処を思案する。

「あ、えっと。お邪魔してすみません。私の名前は、三島」

 と、ここまで話したところで小さな疑問が浮かぶ。

 苗字と名前ってどういう扱いなんだろう。

 名前が先?

 苗字が先?

 慌てている故か、混乱がさらに混乱を巻き起こしている昨今。

「ミシマね。目的は?」

 向こうが勝手に進展してくれた。

 よし、今後は私、ミシマで生きていこう。

「あー。道に迷いました。食料も何もなく、日も暮れた所に火の光が見えたので」

 ぷるぷるしながら答えると、少女が首を振る。

 何か粗相をしたかと身構えそうになったが、どうもそれが合図だったらしく馬車の陰から歳を召した女性が強張った顔をしながら近づいてくる。

 何をされるのかとびくついていると、ぱふぱふと全身を叩かれた。

 あ、これ、身体検査だと思った瞬間。

「大丈夫よ!!」

 おば様の言葉に、少女の弓が下ろされて一息。

 窮地を脱した。

 ふと、下を見ると精霊さん達がきょとんとした瞳で眺めていたので、頼めばよかったのかと気付いたのは焚火の方に招かれて、ほいほいと座り込んでからだった。
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