58 / 106
第058話 魚の干物は貴重品?
しおりを挟む
はい。
意気揚々といつもの酒場に川魚の干物を卸しに来たわけですが。
何、この驚愕の眼差し。
「魚だよな……。良いのか?」
マスターが絞り出すような声を上げるのに、私はくてんと首を傾げるしかなく。
リサさんがちょっと呆れたように苦笑いしつつ。
端っこに引っ張っていかれました。
「村でも、ご馳走なの。町でどうやって魚なんて手に入れるの?」
聞いてみると。
産直の村でも川から枯渇するようなアイテム。
いわんや、町の川なんて汚水交じりですし。
上流で獲れる少ない魚もお偉いさんのところでストップするような世界。
たまに入ってくる痛みかけの海魚の干物だって高値の華だそうで。
これはやっちゃったかなと。
ダリーヌさん案件だったようですが、まぁいつもの誼だしいっかと。
「村で作った新鮮な干物です。是非扱って下さい」
そう告げると、文字通り滂沱の涙で受け取ってくれました。
値付けが出来ないとか叫んでましたが、適当な金額に落ち着くだろうと考えます。
そう言えば、去り際に聞いたのですが。
豪族さん。
どうも、適当な屑肉に何かの植物から取れる根っこの汁で色付けしたのを燻製だって売り出したらしく。
色は近いのですが、えごいし、まずいので詐欺だと騒がれているようです。
毒が入っていないだけましじゃないのかなとか考えますが、もしかしたらその試験すらしていない気もして。
触れない方が良い話題のようなので、渇いた笑いだけ返しておきました。
次回持ってくるものを聞いたら飛び上がるんだろうなとか考えながら、ダリーヌさんのお店へ。
「さっさと持ってくるさね!!」
訪問と同時に、矢のような催促。
何の話かと思えば、前に卸した点火棒。
どうも需要に火が付いたようで、全然足りなくなっているそうです。
聞くところによると、野営をする人が買っていくのがデフォだったようですが。
最近、ちょっと家でものを焙るのに最適だという新しい使い方が編み出されたらしく。
お仕事が終わったお父さんが、ちょっと干し肉を焙っておつまみに一杯なんてやっているそうです。
それ、卓上コンロじゃねとも思いながら、とんでもない数の注文を頂きまして。
精霊さんに頑張ってもらわないと死ねるなと思った次第です。
魚の干物の燻製にも挑戦したいですし、サワガニの干物で出汁を引いたりしてみたいのですが。
スローライフはどこいったって気分です。
意気揚々といつもの酒場に川魚の干物を卸しに来たわけですが。
何、この驚愕の眼差し。
「魚だよな……。良いのか?」
マスターが絞り出すような声を上げるのに、私はくてんと首を傾げるしかなく。
リサさんがちょっと呆れたように苦笑いしつつ。
端っこに引っ張っていかれました。
「村でも、ご馳走なの。町でどうやって魚なんて手に入れるの?」
聞いてみると。
産直の村でも川から枯渇するようなアイテム。
いわんや、町の川なんて汚水交じりですし。
上流で獲れる少ない魚もお偉いさんのところでストップするような世界。
たまに入ってくる痛みかけの海魚の干物だって高値の華だそうで。
これはやっちゃったかなと。
ダリーヌさん案件だったようですが、まぁいつもの誼だしいっかと。
「村で作った新鮮な干物です。是非扱って下さい」
そう告げると、文字通り滂沱の涙で受け取ってくれました。
値付けが出来ないとか叫んでましたが、適当な金額に落ち着くだろうと考えます。
そう言えば、去り際に聞いたのですが。
豪族さん。
どうも、適当な屑肉に何かの植物から取れる根っこの汁で色付けしたのを燻製だって売り出したらしく。
色は近いのですが、えごいし、まずいので詐欺だと騒がれているようです。
毒が入っていないだけましじゃないのかなとか考えますが、もしかしたらその試験すらしていない気もして。
触れない方が良い話題のようなので、渇いた笑いだけ返しておきました。
次回持ってくるものを聞いたら飛び上がるんだろうなとか考えながら、ダリーヌさんのお店へ。
「さっさと持ってくるさね!!」
訪問と同時に、矢のような催促。
何の話かと思えば、前に卸した点火棒。
どうも需要に火が付いたようで、全然足りなくなっているそうです。
聞くところによると、野営をする人が買っていくのがデフォだったようですが。
最近、ちょっと家でものを焙るのに最適だという新しい使い方が編み出されたらしく。
お仕事が終わったお父さんが、ちょっと干し肉を焙っておつまみに一杯なんてやっているそうです。
それ、卓上コンロじゃねとも思いながら、とんでもない数の注文を頂きまして。
精霊さんに頑張ってもらわないと死ねるなと思った次第です。
魚の干物の燻製にも挑戦したいですし、サワガニの干物で出汁を引いたりしてみたいのですが。
スローライフはどこいったって気分です。
36
あなたにおすすめの小説
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる