精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

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第098話 セレモニー

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 通常の契約であれば木板に色々と記載して取り交わしとなるけど。

 永代に続くような期間の長い調印などは、粘土板で取り交わされる。

 そんな事実を知ったのは、領主様との初顔合わせの時だった。

 私達の村の詳細を確認の上、今後の方針を確認した後。

 領主様が国としての立場の説明を懇々と説いてくれた。

 諸外国という概念は存在するそうで、これを機に国として設立させれば良いというのが国の方針。

 これは国にとっても、領主様にとってもメリットがある。

 今後国が伸張していくにあたって、どこかで限界というのは発生する。

 そういう時に、自分達と異なる勢力が存在するというのはありがたいのだ。

 理念や文化の違い、教育や方針の違い、何よりも商材等交易の相手がいることにより、経済発展が見込まれる。

 言い方は悪いけど、問題が発生するなら戦争を起こして取り込んでも良い。

 でも、それまでの間勝手に成長してくれるのだ。

 ありがたい存在である。

 それに領主様というより辺境伯に取っては国境線が明確になるのはメリット尽くしだ。

 最も大きい要素としては、国境線より向こうの出来事に関しては責任を負わなくて済むようになること。

 現状だと、限りなく無限に責任を負わなくてはいけないだけに、ほっと一息がつけるというところだろう。

 そんな和やかな説明の後、国として正式に認める旨と国交の樹立を宣言する旨が記載された粘土板にヘラでサインを記載する。

 国として独立しましたと私達が言ってもあまり意味はない。

 国が国として成り立つには、同じように国として成り立っているところから国として認められなければならないからだ。

 そうでなければ、地方の諸勢力の一つという扱いのままとなる。

 直近で大きな違いとしては、交易における関税を決められる事だろうか。

 今までは向こうの言い分で交易を行っていたが、問題が発生した場合物申せるようになったのはありがたい。

 スムーズな取り交わしを終えた粘土板はこれから焼き入れを行い、それぞれ所有する形となる。

 その譲渡を式典にするのが昨今のブームらしい。

 という訳で、態々着込むこともない一張羅を購入し、セレモニーに参列する事となったのだ。

 といっても、辺境伯としての示威行為の部分が大きいので、うちから大量にセレモニー用の食材を購入してもらっている。

 うはうはな値段だったので、もう少し人員を取り込んでも年次の予算としては成り立つなと思わせる額だった。

 厳かな雰囲気に包まれつつ、壇上に登り周辺の領主や高官達がひしめく中、私とリサさんで契約板を受け取る。

 それぞれに内容を読み上げ、新たな国の設立、そして国交の樹立を寿ぐ。

 そして、始まるのは宴会だ。

 皆が楽しそうにはしゃぎまわるのを尻目に、私達が楽しめるはずもなく。

 訪れる客の名前と顔を覚える神経衰弱ゲームを淡々と進めるだけだった。

 でも、村に訪れてくれた指揮官が挨拶に来てくれたのはちょっと嬉しかった。

 食事が忘れられないという話だったので、村にスカウトしてみると考えてみるという話だった。

 冗談のつもりだったが、結構本気な様子だったので、川魚でタイが釣れた気分であったのは間違いない。

 という訳で。

 今回のセレモニーのメインイベント。

 領主の遠縁さんの追放と豪族さんの処刑が始まった。

 もうね、蛮族。

 処刑がエンターテインメントとかよく分からない。

 でも、そういう文化だからしょうがない。

 遠縁さんに関しては、財産を押さえたけど使い込みが激しかったらしく、返却する金額には程遠く。

 町が被るにしても、結構な金額だったため、町の人間が納得するような話ではなく。

 本人がのうのうと生きる事能わずという結論に至りまして、荒地に追放となりましたとさ。

 豪族さんに関してはもっと単純で。

 村々と協議した結果、周辺諸勢力間での盗賊騒ぎの首魁という扱いになりました。

 付き添っていた村人さん達も小作に引き下げられましたし、その原因となった人間を庇う人もおらず。

 うちの村としても、村を追い出された元凶なので、そういう意味では恨み骨髄ですし。

 誰の反対もなく、エンターテインメントに処刑されるという訳です。

 まぁ、淡々と石打たれながら壁の外に追いやられる遠縁さん。

 その遠縁さんを眺めながら空しそうな表情をしている豪族さんが荒地の際に設営された壇上に上げられ、すこーんっと首を切られてクライマックス。

 やんやの喝采ですが、個人的にはドン引きで。

 ぽーんと飛ばされても、苦労が消える訳もなく。

 何となく、疲れるだけのセレモニーだったなと考えつつ、帰路に就くことと相成りました。
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