精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

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第102話 黄金の蜂蜜酒

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 もうね、中腰の給水作業、やだ……。

 腰の痛みに耐えつつやり切ったわけですが。

 家に戻ってからも大変で。

 腰は痛いわ、周囲はアルコールでアゲアゲだわで。

 見えないなりに騒がしいのが分かるのか、リサさんが手を振るたびにウェーブが起こり、空気が動くのです。

 あ、ウェーブに乗って精霊さんが流れていった。

 そんな動きを感じて苦笑する、私とリサさん。

 一仕事終えて、頑張ったという事で今夜はお酒を解禁です。

 リサさんは出来立てのカシスみたいな実の醸造酒。

 私は黄金の蜂蜜酒を味見してみようかなと。

 こちんとカップを当てて、口に含んだ瞬間。

 強い甘みと強いアルコール、そしてどこか懐かしい冬の夜の香りを感じたと思った瞬間、意識がヴェールに包まれました。

 ふわふわと雲の上を歩くような頼りない感じで目覚めた周囲には、まばゆいばかりに輝く星達が散りばめられています。

 あれ?

 家の中だったよなと、立ち上がろうとすると、足元もふわふわ。

 絨毯なんてないのにと下を向くと、そこは暗黒の世界。

 夜空の只中に、ちょこんと直立している訳で。

 あぁ、これは明晰夢だなと。

 空を飛ぶ夢なんて子供以来だなと思ってちょこちょこと歩いていると、ごうごうと風と思われる音が響いてきまして。

 目を凝らしてみると、遥か彼方、星の瞬くまにまに蠢く何かが微かに映ります。

 なんじゃありゃと、じっと見つめていると、何故か心の奥底、脳みその遥か奥、連綿たる古代の記憶から、何かが溢れてきました。

 心の赴くままに口を開くと、微かに漏れ出る歌のような喘ぎのような呼気のような。

「いぁ……いあ……はす……」

 と、その瞬間、ちょこんと小さな手が口をばってんに押さえます。

『いたの』

『つらなりにのってきちゃったの』

『かえらないとへんしつしちゃうの』

 いつもの半透明ではない、何故だかきっちりと姿を現した精霊さん達が周囲を取り囲んで、インディアンなダンスを始めます。

 えいほーえいほーとその輪の動きが激しくなるにつれ、意識は朦朧とし、世界は万華鏡のように不確かなものに変わっていきます……。

 耳に響いていたごうごうと轟く風の音は精霊さん達の掛け声に上書きされて、いつの間にか聞こえなくなっていました。

 ふわぁぁ。

 大きなあくびを一つ。

 その瞬間、かくんと膝の力が抜けて、体ががくりとよろめきました。

 うわ、こけちゃう。

 そう思った瞬間、がばりと毛布をまくりながら飛び起きちゃいました。

 あれ?

 どこまでが夢で、どこまでが現実?

 そんな事を考えながら、ふとベッドの横にいた精霊さんを見つめてみると。

 にこにこ顔で手を振ってくれたので、振り返してみました。

 まぁ、この世界に転移してきた時点で夢みたいなものですから。

 精々現実と思って頑張ろうかなと、ぬくぬくのベッドから起き出した朝でした。
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