102 / 106
第102話 黄金の蜂蜜酒
しおりを挟む
もうね、中腰の給水作業、やだ……。
腰の痛みに耐えつつやり切ったわけですが。
家に戻ってからも大変で。
腰は痛いわ、周囲はアルコールでアゲアゲだわで。
見えないなりに騒がしいのが分かるのか、リサさんが手を振るたびにウェーブが起こり、空気が動くのです。
あ、ウェーブに乗って精霊さんが流れていった。
そんな動きを感じて苦笑する、私とリサさん。
一仕事終えて、頑張ったという事で今夜はお酒を解禁です。
リサさんは出来立てのカシスみたいな実の醸造酒。
私は黄金の蜂蜜酒を味見してみようかなと。
こちんとカップを当てて、口に含んだ瞬間。
強い甘みと強いアルコール、そしてどこか懐かしい冬の夜の香りを感じたと思った瞬間、意識がヴェールに包まれました。
ふわふわと雲の上を歩くような頼りない感じで目覚めた周囲には、まばゆいばかりに輝く星達が散りばめられています。
あれ?
家の中だったよなと、立ち上がろうとすると、足元もふわふわ。
絨毯なんてないのにと下を向くと、そこは暗黒の世界。
夜空の只中に、ちょこんと直立している訳で。
あぁ、これは明晰夢だなと。
空を飛ぶ夢なんて子供以来だなと思ってちょこちょこと歩いていると、ごうごうと風と思われる音が響いてきまして。
目を凝らしてみると、遥か彼方、星の瞬くまにまに蠢く何かが微かに映ります。
なんじゃありゃと、じっと見つめていると、何故か心の奥底、脳みその遥か奥、連綿たる古代の記憶から、何かが溢れてきました。
心の赴くままに口を開くと、微かに漏れ出る歌のような喘ぎのような呼気のような。
「いぁ……いあ……はす……」
と、その瞬間、ちょこんと小さな手が口をばってんに押さえます。
『いたの』
『つらなりにのってきちゃったの』
『かえらないとへんしつしちゃうの』
いつもの半透明ではない、何故だかきっちりと姿を現した精霊さん達が周囲を取り囲んで、インディアンなダンスを始めます。
えいほーえいほーとその輪の動きが激しくなるにつれ、意識は朦朧とし、世界は万華鏡のように不確かなものに変わっていきます……。
耳に響いていたごうごうと轟く風の音は精霊さん達の掛け声に上書きされて、いつの間にか聞こえなくなっていました。
ふわぁぁ。
大きなあくびを一つ。
その瞬間、かくんと膝の力が抜けて、体ががくりとよろめきました。
うわ、こけちゃう。
そう思った瞬間、がばりと毛布をまくりながら飛び起きちゃいました。
あれ?
どこまでが夢で、どこまでが現実?
そんな事を考えながら、ふとベッドの横にいた精霊さんを見つめてみると。
にこにこ顔で手を振ってくれたので、振り返してみました。
まぁ、この世界に転移してきた時点で夢みたいなものですから。
精々現実と思って頑張ろうかなと、ぬくぬくのベッドから起き出した朝でした。
腰の痛みに耐えつつやり切ったわけですが。
家に戻ってからも大変で。
腰は痛いわ、周囲はアルコールでアゲアゲだわで。
見えないなりに騒がしいのが分かるのか、リサさんが手を振るたびにウェーブが起こり、空気が動くのです。
あ、ウェーブに乗って精霊さんが流れていった。
そんな動きを感じて苦笑する、私とリサさん。
一仕事終えて、頑張ったという事で今夜はお酒を解禁です。
リサさんは出来立てのカシスみたいな実の醸造酒。
私は黄金の蜂蜜酒を味見してみようかなと。
こちんとカップを当てて、口に含んだ瞬間。
強い甘みと強いアルコール、そしてどこか懐かしい冬の夜の香りを感じたと思った瞬間、意識がヴェールに包まれました。
ふわふわと雲の上を歩くような頼りない感じで目覚めた周囲には、まばゆいばかりに輝く星達が散りばめられています。
あれ?
家の中だったよなと、立ち上がろうとすると、足元もふわふわ。
絨毯なんてないのにと下を向くと、そこは暗黒の世界。
夜空の只中に、ちょこんと直立している訳で。
あぁ、これは明晰夢だなと。
空を飛ぶ夢なんて子供以来だなと思ってちょこちょこと歩いていると、ごうごうと風と思われる音が響いてきまして。
目を凝らしてみると、遥か彼方、星の瞬くまにまに蠢く何かが微かに映ります。
なんじゃありゃと、じっと見つめていると、何故か心の奥底、脳みその遥か奥、連綿たる古代の記憶から、何かが溢れてきました。
心の赴くままに口を開くと、微かに漏れ出る歌のような喘ぎのような呼気のような。
「いぁ……いあ……はす……」
と、その瞬間、ちょこんと小さな手が口をばってんに押さえます。
『いたの』
『つらなりにのってきちゃったの』
『かえらないとへんしつしちゃうの』
いつもの半透明ではない、何故だかきっちりと姿を現した精霊さん達が周囲を取り囲んで、インディアンなダンスを始めます。
えいほーえいほーとその輪の動きが激しくなるにつれ、意識は朦朧とし、世界は万華鏡のように不確かなものに変わっていきます……。
耳に響いていたごうごうと轟く風の音は精霊さん達の掛け声に上書きされて、いつの間にか聞こえなくなっていました。
ふわぁぁ。
大きなあくびを一つ。
その瞬間、かくんと膝の力が抜けて、体ががくりとよろめきました。
うわ、こけちゃう。
そう思った瞬間、がばりと毛布をまくりながら飛び起きちゃいました。
あれ?
どこまでが夢で、どこまでが現実?
そんな事を考えながら、ふとベッドの横にいた精霊さんを見つめてみると。
にこにこ顔で手を振ってくれたので、振り返してみました。
まぁ、この世界に転移してきた時点で夢みたいなものですから。
精々現実と思って頑張ろうかなと、ぬくぬくのベッドから起き出した朝でした。
34
あなたにおすすめの小説
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています
黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。
失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった!
この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。
一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。
「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」
底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を!
目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。
スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。
何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。
やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。
「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ!
ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。
2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる