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第61話『Q.たくさんの雑魚と一体強者どっちが嫌ですか?」
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「なあガイ。シャドウウルフって国家騎士三人がかりで一体倒せるって聞いたんだが、そんな化け物が今俺らの目の前に八体もいるのは気のせいか?」
「残念ながら現実だ。そしておまけにダークウルフも付いている」
おまけという言葉にダークウルフの機嫌が少し悪くなったように感じる。余計なこと言うなって。いや、今はそんなこと言っている場合じゃないか。すでに四方八方を囲まれてしまった俺たち。三人で、しかも国家騎士クラスなのはガイ一人だけ。なんとなくだがFランクのこの冒険者は俺より弱い。三人いるが俺とこいつを合わせて一人分になるかどうかってところだ。
「ガイ、どーする?」
「トールと……審査員さん名前なって言うの?」
「ロンだ」
「トールとロンは八体のシャドウウルフを頼む。俺は頑張ってダークウルフ早めに倒してお前らの方に向かうから」
「それまで持ちこたえろってわけね。任せな。持ちこたえるのは得意なんだ」
「頼むぜ」
俺たちは拳をぶつけ合いそれぞれの標的へと向く。しかし、どうやらロンはこの話に納得がいかないようで、突然俺たちが納得した意見に反論をしはじめた。
「待ってくれ! 二人で八体? それでAランクのお前は一対一か。楽な方を選ぶなよ!」
「トール、説明は頼んだ。俺はなるべく早くダークウルフを倒してくる」
「おっけー」
ガイはそう言ってシャドウウルフの間を風のようにすり抜けていくと大剣を振り下ろし、ダークウルフとの一騎打ちを始めた。俺はそんなガイを追えないようにライトニングボルトを放ちシャドウウルフの注意をこちらに向ける。
「おい、まだ話は――」
「分かんないんですか? 先輩冒険者さん」
「なに?」
注意を引くことに成功した俺は、ロンと共に八体のシャドウウルフを相手にすることとなった。右から左から正面から背後から。あらゆる方向から影の収縮を利用して突進を仕掛けてくる。俺とロンはかろうじてその攻撃を躱しているが、説明に使う頭が正直勿体無い。早く理解してもらわないと。
「ダークウルフ一体でシャドウウルフ八体より厄介だってAランク冒険者のガイが判断したんですよ。それとも先輩が一人でダークウルフと戦いますか?」
「それは……」
「分かったらこの場を持ちこたえることだけに集中してください。ガイは必ずあいつを倒してこっちに来ます。それまで耐えるんです」
「――分かった。信じよう」
よし。これで集中して防御に徹することができる。しかし集中したからと言ってシャドウウルフの攻撃がゆっくりに見えるわけでもなく、俺たちはジリジリとHPを削られていた。
感覚で分かるのだろうか? 俺にはそんな能力がない、と言うか感覚がずれていて分からないのかは知らんが、ロンはHPの損失を察知しとっさにステータスを表示させた。手慣れた動きだ。一瞬の隙もない。
「まずい、HPがイエローゾーンに入った。お前の方はどうだ?」
「え? 知らないよ。多分0じゃない?」
あ、ちょっと適当に返しすぎたかな。一応俺も余裕がないってことをわかって欲しいんだけど……でも残りHPがどのくらいかなんて俺感覚じゃわかんないしなぁ。
「何言ってんだ0だと死んでるよ。ふざけてる場合か! そう言う感覚ないのか?」
「ないですね。まぁ俺はまだ大丈夫なので気にしなくていいですよ」
なるほどやはりみんなは自分のHPがどのくらいなのか感覚でわかるのか。俺の体力がどれくらい持ちそうか分かるみたいなものなんだろうか? それとも死にそうなのが分かるとかそう言う類の話か? だとしたらすごいな。自分が後どれくらいで死ぬか分かるなんて。イエローゾーンくらいで騒ぐなと言いたいところだがこの世界の人はHP0で死んじゃうらしいし、心配になるのも仕方ないのか。そうなるともうロンの負担を俺が負うしかないか。ま、俺は食いちぎられない限り大丈夫だしなんとかなるべ。
「ロン! 一旦俺から離れてくれ。一時的に全ウルフのヘイトを買う」
「何言ってる。そんなことしたらお前が――」
「大丈夫ですって! これでもこいつらとは一度遊んだことあるんで」
行くぜ犬ども。生物最大の天敵雷様に怯えろ。
「ライトニングボルトォォオ!!」
地面に向かって放った渾身の一撃は半径数メートルに飛び散りながらシャドウウルフのヘイトを買うことに成功した。
さてさて、また俺のとっておきを見せてやりましょうかね。
俺はロンから遠ざかりながらガイが戻ってくるまでいかに一人で持ちこたえるかのプランを練るのだった。
「残念ながら現実だ。そしておまけにダークウルフも付いている」
おまけという言葉にダークウルフの機嫌が少し悪くなったように感じる。余計なこと言うなって。いや、今はそんなこと言っている場合じゃないか。すでに四方八方を囲まれてしまった俺たち。三人で、しかも国家騎士クラスなのはガイ一人だけ。なんとなくだがFランクのこの冒険者は俺より弱い。三人いるが俺とこいつを合わせて一人分になるかどうかってところだ。
「ガイ、どーする?」
「トールと……審査員さん名前なって言うの?」
「ロンだ」
「トールとロンは八体のシャドウウルフを頼む。俺は頑張ってダークウルフ早めに倒してお前らの方に向かうから」
「それまで持ちこたえろってわけね。任せな。持ちこたえるのは得意なんだ」
「頼むぜ」
俺たちは拳をぶつけ合いそれぞれの標的へと向く。しかし、どうやらロンはこの話に納得がいかないようで、突然俺たちが納得した意見に反論をしはじめた。
「待ってくれ! 二人で八体? それでAランクのお前は一対一か。楽な方を選ぶなよ!」
「トール、説明は頼んだ。俺はなるべく早くダークウルフを倒してくる」
「おっけー」
ガイはそう言ってシャドウウルフの間を風のようにすり抜けていくと大剣を振り下ろし、ダークウルフとの一騎打ちを始めた。俺はそんなガイを追えないようにライトニングボルトを放ちシャドウウルフの注意をこちらに向ける。
「おい、まだ話は――」
「分かんないんですか? 先輩冒険者さん」
「なに?」
注意を引くことに成功した俺は、ロンと共に八体のシャドウウルフを相手にすることとなった。右から左から正面から背後から。あらゆる方向から影の収縮を利用して突進を仕掛けてくる。俺とロンはかろうじてその攻撃を躱しているが、説明に使う頭が正直勿体無い。早く理解してもらわないと。
「ダークウルフ一体でシャドウウルフ八体より厄介だってAランク冒険者のガイが判断したんですよ。それとも先輩が一人でダークウルフと戦いますか?」
「それは……」
「分かったらこの場を持ちこたえることだけに集中してください。ガイは必ずあいつを倒してこっちに来ます。それまで耐えるんです」
「――分かった。信じよう」
よし。これで集中して防御に徹することができる。しかし集中したからと言ってシャドウウルフの攻撃がゆっくりに見えるわけでもなく、俺たちはジリジリとHPを削られていた。
感覚で分かるのだろうか? 俺にはそんな能力がない、と言うか感覚がずれていて分からないのかは知らんが、ロンはHPの損失を察知しとっさにステータスを表示させた。手慣れた動きだ。一瞬の隙もない。
「まずい、HPがイエローゾーンに入った。お前の方はどうだ?」
「え? 知らないよ。多分0じゃない?」
あ、ちょっと適当に返しすぎたかな。一応俺も余裕がないってことをわかって欲しいんだけど……でも残りHPがどのくらいかなんて俺感覚じゃわかんないしなぁ。
「何言ってんだ0だと死んでるよ。ふざけてる場合か! そう言う感覚ないのか?」
「ないですね。まぁ俺はまだ大丈夫なので気にしなくていいですよ」
なるほどやはりみんなは自分のHPがどのくらいなのか感覚でわかるのか。俺の体力がどれくらい持ちそうか分かるみたいなものなんだろうか? それとも死にそうなのが分かるとかそう言う類の話か? だとしたらすごいな。自分が後どれくらいで死ぬか分かるなんて。イエローゾーンくらいで騒ぐなと言いたいところだがこの世界の人はHP0で死んじゃうらしいし、心配になるのも仕方ないのか。そうなるともうロンの負担を俺が負うしかないか。ま、俺は食いちぎられない限り大丈夫だしなんとかなるべ。
「ロン! 一旦俺から離れてくれ。一時的に全ウルフのヘイトを買う」
「何言ってる。そんなことしたらお前が――」
「大丈夫ですって! これでもこいつらとは一度遊んだことあるんで」
行くぜ犬ども。生物最大の天敵雷様に怯えろ。
「ライトニングボルトォォオ!!」
地面に向かって放った渾身の一撃は半径数メートルに飛び散りながらシャドウウルフのヘイトを買うことに成功した。
さてさて、また俺のとっておきを見せてやりましょうかね。
俺はロンから遠ざかりながらガイが戻ってくるまでいかに一人で持ちこたえるかのプランを練るのだった。
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