黒曜に染まる宇宙 ー Death in the Space ー

ろーくん

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第2話 夢を見上げる者 - ダウブル -

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「あーあ、あたし達もあと少しで卒業かぁ~。進路とかぜーんぜん決めてないよ」
「だよね~? どーして高校って3年で終わりなんだろ、5年くらいあればいいのに、テスト抜きで」
「いえてるいえてる。そーいえばミカは、航宙試験、合格したんでしょ? やっぱ将来は長距離の免許も取る気?」
 宇宙に行く事が当たり前のご時勢にあって、ただ宇宙船を操縦できる程度では、自動車のAT車専用免許を有するのと大差はない。
「んー、わかんないなー。宇宙に出たい、って思ってたはいたけど、こういう仕事がしたい、ってまで考えてたワケじゃないし」
「進路希望はお嫁さんです! とかさ、かわいーコト言えたらいいのにねー」
「アハハ、うけるー。いつの時代の進路希望よソレ? そういうのなんか古いマンガデータで読んだコトあるケドさ」
 この時代、文明も技術も大いに進み、育児の労力も養育の資金も非常に安上がりで済む。人によっては学生で子を作り、体外子宮による出産で一切の苦痛なく親となる者も少なくなかった。
「じゃ、私コッチだから。また明日ねー」「私はコッチっと。ばいばいミカー」
「うん、二人ともまた明日ー」
 二人の女子高生が乗り場で学生証IDカードを端末にかざして呼んだタクシーには誰も乗ってはいない。完全自動運転による車両は、それぞれの家近くの乗り場まで走っても一律100円で済む安さだ。
「……私もタクシー定期、やっぱ学生証に入れよっかなー。今度バイト代入ったら考えようっと」


―――自動運転のタクシー車内

「………。ダイブ・ナレテ・キタ」
 邪悪な笑みを浮かべた女子高生は、自分の学生証IDカードをタクシーの映像出力端末にかざして、自室セキュリティサービスのカメラ映像を出力させた。
 そこに映っている者―――裸体のまま縛られ、ベッドに転がる女子。もはや虫の息だが、その姿はとまったく同じであった。
「モウ・オマエニ・ヨウハ・ナイ。コレカラハ、ワタシガ、オマエダ。サヨウなら、今までのマユミ。そして私だけが本物のマユミよ、フフフ」
 映像の中でマユミだった者の股間から真っ黒いモノが噴出する。
 真っ黒いモノが覆いつくした後、急激に乾いていき、やがて完全に蒸発した時、本物のマユミは、完全にこの世から消え去っていた。

―――ダウブル。

 ダブルとも呼ばれ、ドッペルゲンガーと呼ばれる現象でも有名なその名は、今ではごく一部の宇宙専門の機関のみでその存在の調査が進められている宇宙生命体を指す言葉である。
 容姿も言動も癖も好みすら、完全に本人に成り代わってしまうために、調査は困難を極めている。
 今、この星の人間の何人がダウブルなのか、すら明らかになっていない……
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