2 / 48
2 王太子ラインハルト・ヴァン・レインフォード
しおりを挟む
ラインハルト視点です。
――*――
王太子ラインハルトは、驚いていた。
あの、エミリア・ブラウンが泣いている。
気高く美しく、何事にも動じない彼女が、静かに涙を流しているのだ。
入学式の会場では、新入生が入場しているところである。
隣にいて、かつ彼女を気にかけていた自分以外は、エミリアが泣いていることに気づいていないだろう。
私は、小さい声でエミリアに声をかけた。
「……エミリア? 大丈夫かい?」
「……っ」
「エミリア? 何故泣いているんだい? どこか具合が悪いのか?」
「……で、殿下……ごめんなさい。少し、休ませていただきます。失礼しますわ」
エミリアは目を伏せ、小さい声で私にそう言って、一人入学式の会場を後にしてしまった。
「エミリア……?」
エミリアが心配だが、新入生の入場はもう後半に差し掛かっている。
入場が終わると学園長のスピーチがあり、その後、生徒代表として私もスピーチをしなければならないため、今は抜ける事ができない。
「……アレク。追え」
「……はっ」
私は正面を向いたまま、エミリアに話しかけた時より更に小声で、自分の斜め後ろに座っていた男にそう命じた。
騎士でもある優秀な彼は、決して深入りはしないし、エミリアに何かあればしっかり守ってくれるだろう。
********
私がエミリアと出会ったのは、7歳の頃だった。
宰相であるブラウン公爵に連れられて登城していた彼女は、青い瞳をぱちぱちさせて物珍しそうに辺りを見回していた。
金色の柔らかそうな髪は丁寧に編み込まれ、フリルのついた可愛らしいドレスが良く似合っていて、まるで可憐な花のようだった。
中庭で父親が戻るのを待つ彼女に私から話しかけたのが、始まりだった。
エミリアはその白い頬をほんのりと赤く染め、柔らかく微笑んでくれたのだ。
私は胸を射抜かれたような思いがした。
その日のうちに父上に、エミリアと婚約したい旨を話した。
娘を溺愛しているブラウン公爵は渋るかと思ったのだが、意外にもすんなり婚約の話は纏まったのであった。
それからというもの、エミリアは王太子妃教育のため、毎日登城するようになった。
顔には出さなかったが、彼女が血の滲むような努力をしているのは明らかだった。
それでもエミリアは私に会うたびに、その可憐な笑顔を向けてくれていたのだ。
私もエミリアに見合うだけの立派な男になろうと、帝王学、語学、経済学、剣術や馬術など様々な分野の知識と経験を蓄えていったのだった。
今も、エミリアとの仲は良好だと思っている。
私は彼女の事を大事に思っているから、婚約者として至って健全に付き合ってきたし、私も彼女もそれ以上の事を求めた事はない。
だが私も男だ……本当はすぐにでもエミリアを抱きしめて、口付けをして、可愛がりたい。
学園を卒業するまでは我慢すると決めているが、卒業したらすぐにでも結婚したいと、そう思っている。
********
「――以上です。改めて、生徒代表として新入生の皆様の御入学をお祝い申し上げます」
私は深々と一礼をして、スピーチを終える。
パラパラと拍手が鳴り、私は顔を上げた。
壇上から在校生の席を見るが、エミリアもアレクもまだ戻っていない。
私は席には戻らず、教師に一言断って会場を後にした。
会場から出てすぐの所で、一人の新入生がきょろきょろと辺りを見回しているのを見つけた。
この国では珍しいピンクの髪色の女子である。
大方、トイレか何かで外に出て、そのまま迷子になったのだろう。
「君、どうしたんだ? 入学式の会場なら向こうだぞ」
「……あっ!! ありがとうございますぅ!」
私が彼女に話しかけると、彼女は花が綻ぶように明るい笑顔を浮かべた。
「あの、もしかして、ラインハルト殿下ではありませんかぁ? スピーチ、終わっちゃいましたぁ?」
「え? あ、ああ……そうだが」
「やーん、殿下のスピーチ、楽しみにしてたのにぃー! でもぉ、ここでご本人とお会いできるなんてラッキーですぅ! 私、プリシラ・スワローって言います。ずっと殿下にお会いしたかったんですぅー!」
そう言って、プリシラと名乗った女子は図々しくも私の手をガシッと両手で捕まえた。
髪と同じ、ピンク色の瞳は感激からだろうか、潤んでいる。
美人のエミリアとは正反対のタイプだが、プリシラも可愛らしい顔立ちをしている。
「あ、入学式に戻らないとぉ! 殿下、またお会いしましょうねー!」
プリシラは突然思い出したかのように手を離してそう言うと、そのまま大きく手を振りながら入学式の会場へと戻っていった。
その貴族らしからぬ行動にすっかり毒気を抜かれてしまったが、私は気を取り直してエミリアを探しに向かうのだった。
********
「殿下、こちらです」
「アレク、エミリアはどんな様子だ?」
「それが、先程からずっと泣いていらっしゃって。エミリア様が出ていってすぐに追いつき、陰ながら見守っておりましたが、どうも何か思い悩んでいらっしゃるようです。それと、不審な接触があったのですが……」
「詳しく話してくれ」
アレクが話してくれた内容は、正直言って半分も理解出来なかった。
プリシラというのは、先程入学式の会場近くで会ったあの令嬢だろう。
外見の特徴も一致する。
「……あなたの愛しの王子様は私がいただく……と、そう言ったのか?」
「ええ、確かにそう言っていましたよ。その後あの令嬢が言った事は、俺には全く理解出来ませんでした。ヒロインだとか悪役令嬢だとか、転生者だとか……。ですが、エミリア様は何か思う所があったのか、それからずっと泣いていらっしゃいます」
「愛しの王子様……」
あの図々しい令嬢は、私とエミリアの仲を裂けるとでも思っているのだろうか。
思い上がりも甚だしい。
それに、私達の知らない単語を並べ立てて……頭がおかしいとしか思えない。
「なあアレク、エミリアは私を好いてくれていると思うか?」
「え、ええ、そう思いますよ」
「私も、エミリアを愛しているんだ。ならば、どう考えたってあの令嬢が間に割り込む余地なんてないだろう?」
「……はい、そう思います」
「なら、エミリアは何を悩んでいるのだろうな……」
「……少し、お話しされてはいかがですか? 私から先生方に、エミリア様が体調不良で倒れ、殿下が一緒にいるとでも伝えておきますよ」
「……そうだな。頼む」
「はっ」
そうしてアレクは校舎の中へ向かっていった。
私は、校舎の陰から出て、エミリアの元へと向かうのだった。
「エミリア」
私が呼びかけると、エミリアははっとしたように慌てて顔を隠すようにハンカチを目元に当てる。
「で、殿下……! お見苦しいところをお見せして、申し訳ありません……!」
「見苦しくなどないから、顔を見せてごらん。ほら、大丈夫だから……」
「あ……」
恥ずかしそうにしながらも、エミリアはハンカチをどけてくれた。
その目元は、どれほど泣いたのだろうか……赤く腫れてしまっていた。
「可哀想に、腫れてしまっているね……。冷やした方がいいな。濡れタオルを持ってくるから、少し待っててくれるかい?」
「いえ、殿下にそのようなことをしていただく訳には……」
「私がそうしたいんだよ。少しの間一人にしてしまうが、すぐに戻ってくるから、待っててくれ」
「殿下……」
私は、一番近くにある水道に向かった。
エミリアの為に何かしたい気持ちも勿論あったが、正直少し動揺してしまって、じっとしていられなかったのだ。
厳しい妃教育を受けても涙を見せないほど気丈な彼女が、あんなにも泣き腫らして……。
一体あの不躾な令嬢に何を言われたのだろうか。
怒りが込み上げてくる。
やはりこんな顔をエミリアに見せるべきではない、離れて正解だった。
タオルはすぐには用意出来なかったので、手持ちのハンカチを濡らしてからエミリアの所へ戻った。
二、三分で戻ったのだが、そこにはエミリアの姿はなかったのだった。
「エミリア……」
一人にするべきではなかったと、すぐに後悔が襲ってきた。
それほどまでに悩んでいたとは……。
その場で相談に乗ってあげるべきだったか。
私は途方に暮れて教室に戻ったが、アレクから聞かされたのはエミリアが早退したという知らせであった。
――*――
王太子ラインハルトは、驚いていた。
あの、エミリア・ブラウンが泣いている。
気高く美しく、何事にも動じない彼女が、静かに涙を流しているのだ。
入学式の会場では、新入生が入場しているところである。
隣にいて、かつ彼女を気にかけていた自分以外は、エミリアが泣いていることに気づいていないだろう。
私は、小さい声でエミリアに声をかけた。
「……エミリア? 大丈夫かい?」
「……っ」
「エミリア? 何故泣いているんだい? どこか具合が悪いのか?」
「……で、殿下……ごめんなさい。少し、休ませていただきます。失礼しますわ」
エミリアは目を伏せ、小さい声で私にそう言って、一人入学式の会場を後にしてしまった。
「エミリア……?」
エミリアが心配だが、新入生の入場はもう後半に差し掛かっている。
入場が終わると学園長のスピーチがあり、その後、生徒代表として私もスピーチをしなければならないため、今は抜ける事ができない。
「……アレク。追え」
「……はっ」
私は正面を向いたまま、エミリアに話しかけた時より更に小声で、自分の斜め後ろに座っていた男にそう命じた。
騎士でもある優秀な彼は、決して深入りはしないし、エミリアに何かあればしっかり守ってくれるだろう。
********
私がエミリアと出会ったのは、7歳の頃だった。
宰相であるブラウン公爵に連れられて登城していた彼女は、青い瞳をぱちぱちさせて物珍しそうに辺りを見回していた。
金色の柔らかそうな髪は丁寧に編み込まれ、フリルのついた可愛らしいドレスが良く似合っていて、まるで可憐な花のようだった。
中庭で父親が戻るのを待つ彼女に私から話しかけたのが、始まりだった。
エミリアはその白い頬をほんのりと赤く染め、柔らかく微笑んでくれたのだ。
私は胸を射抜かれたような思いがした。
その日のうちに父上に、エミリアと婚約したい旨を話した。
娘を溺愛しているブラウン公爵は渋るかと思ったのだが、意外にもすんなり婚約の話は纏まったのであった。
それからというもの、エミリアは王太子妃教育のため、毎日登城するようになった。
顔には出さなかったが、彼女が血の滲むような努力をしているのは明らかだった。
それでもエミリアは私に会うたびに、その可憐な笑顔を向けてくれていたのだ。
私もエミリアに見合うだけの立派な男になろうと、帝王学、語学、経済学、剣術や馬術など様々な分野の知識と経験を蓄えていったのだった。
今も、エミリアとの仲は良好だと思っている。
私は彼女の事を大事に思っているから、婚約者として至って健全に付き合ってきたし、私も彼女もそれ以上の事を求めた事はない。
だが私も男だ……本当はすぐにでもエミリアを抱きしめて、口付けをして、可愛がりたい。
学園を卒業するまでは我慢すると決めているが、卒業したらすぐにでも結婚したいと、そう思っている。
********
「――以上です。改めて、生徒代表として新入生の皆様の御入学をお祝い申し上げます」
私は深々と一礼をして、スピーチを終える。
パラパラと拍手が鳴り、私は顔を上げた。
壇上から在校生の席を見るが、エミリアもアレクもまだ戻っていない。
私は席には戻らず、教師に一言断って会場を後にした。
会場から出てすぐの所で、一人の新入生がきょろきょろと辺りを見回しているのを見つけた。
この国では珍しいピンクの髪色の女子である。
大方、トイレか何かで外に出て、そのまま迷子になったのだろう。
「君、どうしたんだ? 入学式の会場なら向こうだぞ」
「……あっ!! ありがとうございますぅ!」
私が彼女に話しかけると、彼女は花が綻ぶように明るい笑顔を浮かべた。
「あの、もしかして、ラインハルト殿下ではありませんかぁ? スピーチ、終わっちゃいましたぁ?」
「え? あ、ああ……そうだが」
「やーん、殿下のスピーチ、楽しみにしてたのにぃー! でもぉ、ここでご本人とお会いできるなんてラッキーですぅ! 私、プリシラ・スワローって言います。ずっと殿下にお会いしたかったんですぅー!」
そう言って、プリシラと名乗った女子は図々しくも私の手をガシッと両手で捕まえた。
髪と同じ、ピンク色の瞳は感激からだろうか、潤んでいる。
美人のエミリアとは正反対のタイプだが、プリシラも可愛らしい顔立ちをしている。
「あ、入学式に戻らないとぉ! 殿下、またお会いしましょうねー!」
プリシラは突然思い出したかのように手を離してそう言うと、そのまま大きく手を振りながら入学式の会場へと戻っていった。
その貴族らしからぬ行動にすっかり毒気を抜かれてしまったが、私は気を取り直してエミリアを探しに向かうのだった。
********
「殿下、こちらです」
「アレク、エミリアはどんな様子だ?」
「それが、先程からずっと泣いていらっしゃって。エミリア様が出ていってすぐに追いつき、陰ながら見守っておりましたが、どうも何か思い悩んでいらっしゃるようです。それと、不審な接触があったのですが……」
「詳しく話してくれ」
アレクが話してくれた内容は、正直言って半分も理解出来なかった。
プリシラというのは、先程入学式の会場近くで会ったあの令嬢だろう。
外見の特徴も一致する。
「……あなたの愛しの王子様は私がいただく……と、そう言ったのか?」
「ええ、確かにそう言っていましたよ。その後あの令嬢が言った事は、俺には全く理解出来ませんでした。ヒロインだとか悪役令嬢だとか、転生者だとか……。ですが、エミリア様は何か思う所があったのか、それからずっと泣いていらっしゃいます」
「愛しの王子様……」
あの図々しい令嬢は、私とエミリアの仲を裂けるとでも思っているのだろうか。
思い上がりも甚だしい。
それに、私達の知らない単語を並べ立てて……頭がおかしいとしか思えない。
「なあアレク、エミリアは私を好いてくれていると思うか?」
「え、ええ、そう思いますよ」
「私も、エミリアを愛しているんだ。ならば、どう考えたってあの令嬢が間に割り込む余地なんてないだろう?」
「……はい、そう思います」
「なら、エミリアは何を悩んでいるのだろうな……」
「……少し、お話しされてはいかがですか? 私から先生方に、エミリア様が体調不良で倒れ、殿下が一緒にいるとでも伝えておきますよ」
「……そうだな。頼む」
「はっ」
そうしてアレクは校舎の中へ向かっていった。
私は、校舎の陰から出て、エミリアの元へと向かうのだった。
「エミリア」
私が呼びかけると、エミリアははっとしたように慌てて顔を隠すようにハンカチを目元に当てる。
「で、殿下……! お見苦しいところをお見せして、申し訳ありません……!」
「見苦しくなどないから、顔を見せてごらん。ほら、大丈夫だから……」
「あ……」
恥ずかしそうにしながらも、エミリアはハンカチをどけてくれた。
その目元は、どれほど泣いたのだろうか……赤く腫れてしまっていた。
「可哀想に、腫れてしまっているね……。冷やした方がいいな。濡れタオルを持ってくるから、少し待っててくれるかい?」
「いえ、殿下にそのようなことをしていただく訳には……」
「私がそうしたいんだよ。少しの間一人にしてしまうが、すぐに戻ってくるから、待っててくれ」
「殿下……」
私は、一番近くにある水道に向かった。
エミリアの為に何かしたい気持ちも勿論あったが、正直少し動揺してしまって、じっとしていられなかったのだ。
厳しい妃教育を受けても涙を見せないほど気丈な彼女が、あんなにも泣き腫らして……。
一体あの不躾な令嬢に何を言われたのだろうか。
怒りが込み上げてくる。
やはりこんな顔をエミリアに見せるべきではない、離れて正解だった。
タオルはすぐには用意出来なかったので、手持ちのハンカチを濡らしてからエミリアの所へ戻った。
二、三分で戻ったのだが、そこにはエミリアの姿はなかったのだった。
「エミリア……」
一人にするべきではなかったと、すぐに後悔が襲ってきた。
それほどまでに悩んでいたとは……。
その場で相談に乗ってあげるべきだったか。
私は途方に暮れて教室に戻ったが、アレクから聞かされたのはエミリアが早退したという知らせであった。
158
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
リリィ=ブランシュはスローライフを満喫したい!~追放された悪役令嬢ですが、なぜか皇太子の胃袋をつかんでしまったようです~
汐埼ゆたか
恋愛
伯爵令嬢に転生したリリィ=ブランシュは第四王子の許嫁だったが、悪女の汚名を着せられて辺境へ追放された。
――というのは表向きの話。
婚約破棄大成功! 追放万歳!!
辺境の地で、前世からの夢だったスローライフに胸躍らせるリリィに、新たな出会いが待っていた。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
リリィ=ブランシュ・ル・ベルナール(19)
第四王子の元許嫁で転生者。
悪女のうわさを流されて、王都から去る
×
アル(24)
街でリリィを助けてくれたなぞの剣士
三食おやつ付きで臨時護衛を引き受ける
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
「さすが稀代の悪女様だな」
「手玉に取ってもらおうか」
「お手並み拝見だな」
「あのうわさが本物だとしたら、アルはどうしますか?」
**********
※他サイトからの転載。
※表紙はイラストAC様からお借りした画像を加工しております。
【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。
悪役令嬢の品格 ~悪役令嬢を演じてきましたが、今回は少し違うようです~
幸路ことは
恋愛
多くの乙女ゲームで悪役令嬢を演じたプロの悪役令嬢は、エリーナとして新しいゲームの世界で目覚める。しかし、今回は悪役令嬢に必須のつり目も縦巻きロールもなく、シナリオも分からない。それでも立派な悪役令嬢を演じるべく突き進んだ。
そして、学園に入学しヒロインを探すが、なぜか攻略対象と思われるキャラが集まってくる。さらに、前世の記憶がある少女にエリーナがヒロインだと告げられ、隠しキャラを出して欲しいとお願いされた……。
これは、ロマンス小説とプリンが大好きなエリーナが、悪役令嬢のプライドを胸に、少しずつ自分の気持ちを知り恋をしていく物語。なろう完結済み Copyright(C)2019 幸路ことは
悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?
ぽんぽこ狸
恋愛
仕事帰りのある日、居眠り運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった主人公。次に目を覚ますとなにやら暗くジメジメした場所で、自分に仕えているというヴィンスという男の子と二人きり。
彼から話を聞いているうちに、なぜかその話に既視感を覚えて、確認すると昔読んだことのある児童向けの小説『ララの魔法書!』の世界だった。
その中でも悪役令嬢である、クラリスにどうやら成り代わってしまったらしい。
混乱しつつも話をきていくとすでに原作はクラリスが幽閉されることによって終結しているようで愕然としているさなか、クラリスを見限り原作の主人公であるララとくっついた王子ローレンスが、訪ねてきて━━━━?!
原作のさらに奥深くで動いていた思惑、魔法玉(まほうぎょく)の謎、そして原作の男主人公だった完璧な王子様の本性。そのどれもに翻弄されながら、なんとか生きる一手を見出す、学園ファンタジー!
ローレンスの性格が割とやばめですが、それ以外にもダークな要素強めな主人公と恋愛?をする、キャラが二人ほど、登場します。世界観が殺伐としているので重い描写も多いです。読者さまが色々な意味でドキドキしてくれるような作品を目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。
完結しました!最後の一章分は遂行していた分がたまっていたのと、話が込み合っているので一気に二十万文字ぐらい上げました。きちんと納得できる結末にできたと思います。ありがとうございました。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
最初から勘違いだった~愛人管理か離縁のはずが、なぜか公爵に溺愛されまして~
猪本夜
恋愛
前世で兄のストーカーに殺されてしまったアリス。
現世でも兄のいいように扱われ、兄の指示で愛人がいるという公爵に嫁ぐことに。
現世で死にかけたことで、前世の記憶を思い出したアリスは、
嫁ぎ先の公爵家で、美味しいものを食し、モフモフを愛で、
足技を磨きながら、意外と幸せな日々を楽しむ。
愛人のいる公爵とは、いずれは愛人管理、もしくは離縁が待っている。
できれば離縁は免れたいために、公爵とは友達夫婦を目指していたのだが、
ある日から愛人がいるはずの公爵がなぜか甘くなっていき――。
この公爵の溺愛は止まりません。
最初から勘違いばかりだった、こじれた夫婦が、本当の夫婦になるまで。
転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜
咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。
実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。
どうして貴方まで同じ世界に転生してるの?
しかも王子ってどういうこと!?
お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで!
その愛はお断りしますから!
※更新が不定期です。
※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。
※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる