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第四章
下町の休憩室〜呼び名〜
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誰もが眠くなっちゃうそんなお昼時、
ーモグモグ
「美味しいですか?」
ーコクン
「良かったです」
ーモグモグ
「・・・」
ーモグモグ
「・・・」
いつの間にか週一で来るようになったオルセイン様は今日も無心で料理を頬張っていた。
最初は学園の話などをしていたこの時間も、最近では何も話さず向かい合って座ってモキュモキュと料理を頬張る彼を見つめるだけの時間と化していた。
美味しそうに食べるなー。
今日の彼のメニューはシェフの気まぐれパスタ(今週はカルボナーラ)、ポタージュ、サラダ、たまごサンド、ツナサンド。
特にポタージュが美味しかったらしく、ルイに追加を持ってくるよう注文していた。
呼ばれて駆け寄ってきたルイは無言で食べる彼とそれを見ている私にまるで奇妙な珍獣か何かを見るかのような目を向けていた。
まぁ、そうでしょうね。
私も最初は戸惑ったけどさ、もう慣れたよ。
もう気分は可愛いペットに餌をあげる飼い主。
ーモグモグ
「・・・」
ーモグモグ
「・・・」
でも、やっぱり沈黙はきまづい。
ーモグモグ
「オルセイン様は好きな食べ物とかありますか?」
ーモグ……
「…?オルセイン様?」
私が話しかけた途端、食べる手を止めじっと私の顔を見つめてきたオルセイン様。
変なこと言っちゃったかな。
もしかして、食べ物に順位をつけるなとか何とか言われちゃったりして…。
いつもなら話しかけても手を止めることのないオルセイン様が食べるのをやめるものだから、冷や汗がダラダラと流れ始めた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
そんなプチパニックに陥ってる私にオルセイン様がかけたのは、意外な言葉で。
「なんで、いつもオルセイン様呼びなんだ?」
「へ………?」
「………クラークって呼べば?」
「でも……もう私は貴族では無いですし」
「俺がいいって言ってるからいいんだよ。はい、呼んで」
急すぎる。
でも、心無しかキラキラと瞳を輝かせているオルセイン様に嫌とは言えなくて。
「…ク、クラーク様?」
「様付けなくていい」
もうやけくそだ!
「クラーク!!」
呼んだ後、恐る恐る視線をあげるとオルセ…クラークは嬉しそうに笑っていた。
「っ!」
その笑顔はいつもの表情のない顔からは想像ができないほど美しかった。
以前から顔面偏差値が高めだとは思っていたけどここまでとは…。
「顔が赤いぞ?熱か?」
「ちょちょ、大丈夫なんで今触らないでください!手を引っ込めて!」
「でも、熱だったら大変だし、俺の手いつも冷たいから気持ちいよ?」
「やめてやめて、無理無理無理無理……」
おかわり用のポタージュを持ってきたルイが見たのは、ナナの顔に手を伸ばそうとするクラークとその手を俊敏によけ顔を赤く染めるナナで。
ーカタッ
ーパシッ
「何してるんですか」
テーブルにそっとポタージュを置いたルイはクラークの手を止めた。
「ナナの顔が赤くなってたから、熱があるなら俺の手冷たいから冷やしてあげようと思ったんだよ」
今、軽くナナ呼びだった?
え、ナナって呼ばれた?
「ナナ様の顔が赤いのはいつもの事です。大人しく席に座ってポタージュでも飲んでてください」
慌てふためく私を横目に、ルイはクラークにそう言ってお辞儀をしてキッチンへと戻った。
てか、今結構失礼なこと言ってなかった?
ルイ、クラークと私勘違いしてない?
「あの、ルイがああ言ったのは別に深い意味とかクラークを嫌な気持ちにさせようとか思ったんじゃなくて、えっと…」
「……ふふ、気にしてないし、ナナがクラークって呼んでくれたから許す」
ーモグモグ
いたずらっ子のように笑い、またポタージュを食べ始めたクラーク。
「その顔は反則だって…」
「ん?」
「なんでもないです」
「あ、あと敬語も禁止」
「えぇ………」
「約束」
「…わかった」
ちょっぴり眠くなっちゃうお昼時、私は下町に来て初めての友達ができた(みたい)
その頃のキッチン
ーシャッシャッシャッ
「アイツ、ナナ様の顔に触れようとしてたんですけど」
「ほー」
ーシャッシャッシャッ
「それにナナ様もナナって名前呼ばれただけで嬉しそうにして」
「ほー」
ーシャッシャッシャッ
「てか、毎週来るとか暇なんですかね」
「かもなー」
ーピタッ
「聞いてます?真剣なんですけど?」
「わ、わかったから喉元に研ぎたてのナイフ突きつけんな。死ぬから、そんなん向けられたら」
ちょっぴり事件勃発。
ーモグモグ
「美味しいですか?」
ーコクン
「良かったです」
ーモグモグ
「・・・」
ーモグモグ
「・・・」
いつの間にか週一で来るようになったオルセイン様は今日も無心で料理を頬張っていた。
最初は学園の話などをしていたこの時間も、最近では何も話さず向かい合って座ってモキュモキュと料理を頬張る彼を見つめるだけの時間と化していた。
美味しそうに食べるなー。
今日の彼のメニューはシェフの気まぐれパスタ(今週はカルボナーラ)、ポタージュ、サラダ、たまごサンド、ツナサンド。
特にポタージュが美味しかったらしく、ルイに追加を持ってくるよう注文していた。
呼ばれて駆け寄ってきたルイは無言で食べる彼とそれを見ている私にまるで奇妙な珍獣か何かを見るかのような目を向けていた。
まぁ、そうでしょうね。
私も最初は戸惑ったけどさ、もう慣れたよ。
もう気分は可愛いペットに餌をあげる飼い主。
ーモグモグ
「・・・」
ーモグモグ
「・・・」
でも、やっぱり沈黙はきまづい。
ーモグモグ
「オルセイン様は好きな食べ物とかありますか?」
ーモグ……
「…?オルセイン様?」
私が話しかけた途端、食べる手を止めじっと私の顔を見つめてきたオルセイン様。
変なこと言っちゃったかな。
もしかして、食べ物に順位をつけるなとか何とか言われちゃったりして…。
いつもなら話しかけても手を止めることのないオルセイン様が食べるのをやめるものだから、冷や汗がダラダラと流れ始めた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
そんなプチパニックに陥ってる私にオルセイン様がかけたのは、意外な言葉で。
「なんで、いつもオルセイン様呼びなんだ?」
「へ………?」
「………クラークって呼べば?」
「でも……もう私は貴族では無いですし」
「俺がいいって言ってるからいいんだよ。はい、呼んで」
急すぎる。
でも、心無しかキラキラと瞳を輝かせているオルセイン様に嫌とは言えなくて。
「…ク、クラーク様?」
「様付けなくていい」
もうやけくそだ!
「クラーク!!」
呼んだ後、恐る恐る視線をあげるとオルセ…クラークは嬉しそうに笑っていた。
「っ!」
その笑顔はいつもの表情のない顔からは想像ができないほど美しかった。
以前から顔面偏差値が高めだとは思っていたけどここまでとは…。
「顔が赤いぞ?熱か?」
「ちょちょ、大丈夫なんで今触らないでください!手を引っ込めて!」
「でも、熱だったら大変だし、俺の手いつも冷たいから気持ちいよ?」
「やめてやめて、無理無理無理無理……」
おかわり用のポタージュを持ってきたルイが見たのは、ナナの顔に手を伸ばそうとするクラークとその手を俊敏によけ顔を赤く染めるナナで。
ーカタッ
ーパシッ
「何してるんですか」
テーブルにそっとポタージュを置いたルイはクラークの手を止めた。
「ナナの顔が赤くなってたから、熱があるなら俺の手冷たいから冷やしてあげようと思ったんだよ」
今、軽くナナ呼びだった?
え、ナナって呼ばれた?
「ナナ様の顔が赤いのはいつもの事です。大人しく席に座ってポタージュでも飲んでてください」
慌てふためく私を横目に、ルイはクラークにそう言ってお辞儀をしてキッチンへと戻った。
てか、今結構失礼なこと言ってなかった?
ルイ、クラークと私勘違いしてない?
「あの、ルイがああ言ったのは別に深い意味とかクラークを嫌な気持ちにさせようとか思ったんじゃなくて、えっと…」
「……ふふ、気にしてないし、ナナがクラークって呼んでくれたから許す」
ーモグモグ
いたずらっ子のように笑い、またポタージュを食べ始めたクラーク。
「その顔は反則だって…」
「ん?」
「なんでもないです」
「あ、あと敬語も禁止」
「えぇ………」
「約束」
「…わかった」
ちょっぴり眠くなっちゃうお昼時、私は下町に来て初めての友達ができた(みたい)
その頃のキッチン
ーシャッシャッシャッ
「アイツ、ナナ様の顔に触れようとしてたんですけど」
「ほー」
ーシャッシャッシャッ
「それにナナ様もナナって名前呼ばれただけで嬉しそうにして」
「ほー」
ーシャッシャッシャッ
「てか、毎週来るとか暇なんですかね」
「かもなー」
ーピタッ
「聞いてます?真剣なんですけど?」
「わ、わかったから喉元に研ぎたてのナイフ突きつけんな。死ぬから、そんなん向けられたら」
ちょっぴり事件勃発。
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この作品をお読み頂き、ありがとうございます!
そうですね、カイルとよりを戻すのかどうかは、作者の私にもまだ分かりませんが、楽しみに待っていてください!!
私も、ナナには必ず幸せになって欲しいと思ってます(●︎´▽︎`●︎)
とても面白そうです!!
主人公にはハッピーエンドになってほしいですね♡♡
この作品をお読みいただき、ありがとうございます!
私もナナ(主人公)には必ず幸せになってもらいたく、今、全力でハッピーエンドに繋げようとしています( *´︶`*)
これからも楽しんで読んでいただけたら、嬉しいです。