【R18】抱いてくださらないのなら、今宵、私から襲うまでです

みちょこ

文字の大きさ
3 / 5

3話※

しおりを挟む
 威圧感を含ませた低いレイバードの声に、シルヴァナの肩が大きく震え上がる。同時にボタンを外そうとしていた手も止まってしまい、シルヴァナは何も出来ない状態と化してしまった。

「あ……あ……っ」

 ゆっくりと手を引き、シルヴァナは恐る恐る視線を持ち上げる。そこには、今までに見たことがないほど、険しい表情を浮かべるレイバードの姿があり、シルヴァナは小さな悲鳴を漏らした。

 (どうしよう。本当に怒らせてしまったわ)

「ご、ごめんなさ──」

 咄嗟に出たシルヴァナの掠れた言葉が、ふと途切れた。

 彼女の唇には、先ほども触れた感触があって。ゆっくりと瞼を開くと、近すぎる距離に睫毛を伏せたレイバードの顔があった。

「っ、ん……」

 暫くの時間を経て、シルヴァナは自分がキスをされていることにやっと気が付いた。シルヴァナの小さな唇は愛する人の温もりに包まれて、直ぐに幸せいっぱいの気持ちになる。優しく唇を吸い付かれ、重ねては離れて。何度か啄むような口づけを繰り返し、惜しむように離れていった。

「シルヴァナ」

 低く艶めいた声が、シルヴァナを呼ぶ。

 シルヴァナは長い睫毛を持ち上げて、レイバードを見つめた。宝石のような、美しい瞳。その奥底に獣めいた光のようなものがあって、シルヴァナの胸の奥がゾクゾクと震える。
 レイバードはシルヴァナの顎を掴むと、彼女のふっくらした下唇に親指で触れた。

「……シルヴァナ。舌を出しなさい」

 普段ならば、シルヴァナに対しては決して命令口調で話さないレイバード。まるで、臣下に向けるような冷淡な声に、シルヴァナは逆らうことが出来なかった。

「っ、あ……」

 シルヴァナの唇から、チラリと赤い舌が顔を出す。レイバードはそれを見つめながら顔を近付け、自ら出した舌を彼女の舌先に触れ合わせた。

「っ!」

 突然の感触に驚いたシルヴァナは、思わず舌を引っ込める。まさか、舌同士を触れさせるとは思わなかったのだ。自分の頭の中には存在しなかった行為に、シルヴァナの雪のように白い頬が赤く染まる。

「シルヴァナ。やめるのか」

 唇が触れそうな距離で尋ねられ、シルヴァナは更なる恥ずかしさが込み上げたものの、ぐっと堪えた。

「おっ、驚いただけです! や、めないで……」

「そうか。ならば続けよう」

 レイバードが微かに微笑み、シルヴァナの心に安堵が齎されたのも束の間──二人の唇は再び重なった。シルヴァナに口づけという行為を馴らすように、レイバードは唇同士をひたすら密着させる。僅かに開いたレイバードの唇から漏れる吐息に、シルヴァナは脳の奥が痺れるような感触に襲われた。

 もっと重ねていたい、もっとくっつけていたいと、シルヴァナはレイバードの後頭部に腕を回し、唇をぐっと押し付ける。
 愛する人とするキスがこんなに幸せな気持ちになるなんて、ずっとずっとこうしていたい。そう思っていたシルヴァナだったが、唇の隙間から生温かな感触がぬるりと入り込み、身体がビクンと震えた。

「んっ……!」

 それが先ほど自分の舌に触れた、レイバードの舌だと気づくのに時間は掛からなかった。熱すぎる彼の舌はたっぷりとシルヴァナの口内を堪能し、奥に潜んでいた彼女の舌を絡めとる。

「はぁ、んっ、へい、か……っ」

「んっ……はぁ……」

 瞬く間に舌が絡み合い、シルヴァナは堪らず身を捩らせる。息が苦しいのに、気持ち良くて、胸が恐ろしいほどに高鳴る。
 何だかいけないことをしているような気分になってしまい、それが一層シルヴァナの気分を高揚させた。

「シルヴァナ」

 夢中になってレイバードに合わせて自分の舌を動かしていた最中、ふと、緩やかな唾液の糸を繋いで唇が離れた。
 はぁはぁ、と必死に息を切らしてレイバードを上目で見つめるシルヴァナ。レイバードに愛おしむように見つめられ、唾液に濡れた唇に彼の唇が優しく触れた。

「よく頑張ったな。偉いぞ、シルヴァナ」

「は……ぁっ……へい、か……」

 シルヴァナはレイバードに褒められたことと、彼とこんな風に触れ合えたことに、嬉しさが込み上げる。堪らず、自分からレイバードに抱き付き、ちゅっ、ちゅっ、と唇を頬にぶつけた。

「愛い奴だ。お前は」

 レイバードにしがみついた状態で頭を撫でられ、そのままゆっくりと身体を離される。同時に彼と目があったシルヴァナは、幸せを主張するように愛くるしい笑みを浮かべた。

「……ああ。愛しいシルヴァナ」

「っ、ん……」

 眩しすぎる彼女の笑顔にレイバードは瞳を細め、再び唇を重ねる。しかし、長い間そこには留まらず、首筋、鎖骨、胸元、と唇をそっと落とした。
 柔らかな感触が触れる度にシルヴァナの身体は小さく跳ね、淡い吐息がこぼれる。

「……は、ぁ……へい、か……」

 レイバードは身体への口づけを止めると、彼女の胸元で結われた寝着の紐を指で引いた。紐はするすると簡単にほどけ、捲れた寝着からシルヴァナの美しい身体が露になる。

「や……、あっ……」

 透き通った瞳に上体を見つめられ、シルヴァナの身体が熱さに見舞われる。愛しい人に身体を見られる羞恥心から、思わず胸の膨らみを隠しそうになった──が、レイバードの手に優しく退けられた。

「……綺麗だ。シルヴァナ、お前は本当に美しくなった」

「へい、か……あぁ」

 レイバードの唇が、膨らみに軽く触れる。あまりにも優しい感触に、シルヴァナは恍惚とした表情を浮かべた。愛する人に身体を触れて貰えることが、幸せで堪らない。彼女の目尻に幸福から生まれる涙が伝う。

「……シルヴァナ」

 名前を呼ばれ、視線を落とした刹那、レイバードの舌がシルヴァナの先端に触れたのが見えた。濡れた感触に突かれ、ビリビリとした感触が身体を駆け巡り、シルヴァナの唇から甘美な声がこぼれる。

「はぁ、や……へいか……っ!」

 初めての快楽にシルヴァナは身悶え、身体をシーツに擦り付けるように動かす。そんな彼女を見て愉しむように、レイバードは先端に舌を這わせ、優しくキスをして、反対側の胸も同様に愛でた。

「んっ、はぁ、あぁ……」

 じっくりと可愛がられた先端が唾液に濡れ、空気を冷えた感触として拾っていく。
 シルヴァナは初めての快感の連続に、呆けたように天井を見つめた。

 (……ああ、もう既にこんな気分になってしまうなんて。確か、こっそり書斎で読んだ本には、口では言えないようなもっと凄いことが書いてあったはずなのに)

「シルヴァナ」

 名前を呼ばれ、シルヴァナの意識がはっと戻る。いつの間にか目の前に、自分をじっと見つめるレイバードの姿があった。

「へい、か」

 胸の奥から愛おしさが込み上げたシルヴァナは、レイバードに手を伸ばして顔を自ら近づける。

「キスしてください。陛下……っ」

「っ、可愛いやつだ」

 レイバードは躊躇うことなくシルヴァナの唇を塞ぐ。今度は自分からと、シルヴァナは積極的に舌を絡めて口づけをせがみ、それに欲情したレイバードも乱暴に舌を動かした。まるで獣がむしゃぶり合うような口づけに、自然とシルヴァナの腰がぐっと上がってしまう。

 そしてシルヴァナは気づいてしまった。秘部にじんわりと濡れたような感触があることに。

 (これは、一体…………あ……っ!)

 突然、レイバードに下着をずるりと膝まで下ろされ、驚いてしまったシルヴァナは、んぱっ、と彼から唇を離した。

「へ、陛下。何を……!」

「もっと気持ち良くさせてやる」

「えっ? あっ、あぁ……っ!」

 ぐにぐにぐに、とレイバードの指が秘部の柔らかな肉をほぐすように捏ね回す。ぬちゃぬちゃと水音のような厭らしい音も混じっていて、シルヴァナの顔が、かぁぁぁっ、と熱くなる。

「やだっ、陛下。そんなところ、きたないです……!」

「汚くなどない。お前の身体はどこも綺麗だ」

 ふっ、と息を漏らして笑うレイバード。
 こんな時なのに、シルヴァナは彼の笑顔が素敵だと思ってしまう。

 シルヴァナはレイバードの笑顔が大好きだった。普段、仕事の時は滅多に笑わないのに、二人でいる時はたまに笑顔を見せてくれて。自分だけが知る彼の素敵な姿、と密かな独占欲に浸っていた。

「へい……あっ……!?」

 レイバードの指がとある場所に触れた途端、シルヴァナの脳天に雷が落ちた。ビリビリビリ、と全身を蝕むような刺激に苛まれ、シルヴァナの背中が大きく仰け反る。 

 レイバードはシルヴァナが身悶えた瞬間を見逃さず、颯と彼女の足元へ移動した。

「ここがいいんだな」

 膝まで落ちていた下着が完全に脱がされ、シルヴァナは生まれたままの姿となる。しかし、シルヴァナにはそれを恥じる余裕もなく、同じ場所を焦らすように弄られ、狂ったように淫らな声を漏らした。

「あっ! あぁぁ! へいか! へいかっ!」

「っ、シルヴァナ……」

 自分の手で乱れるシルヴァナを前に、レイバードはうっとりとした表情を浮かべる。
 何度も何度も時間を掛けて、丁寧に撫で回されて。胸を触られた時よりも遥かに強烈な刺激に、シルヴァナの円らな瞳から涙が零れ落ちていく。

「あっ……あ……!」

 刺激に紛れて何かがどんどん迫ってくるような感覚、と言えばいいのだろうか。同時に寂しさのようなものも覚え、シルヴァナは泣きながら太ももの間にいるレイバードに両手を差し伸べた。

「へいかっ、こっち、こっち来てください……っ」

「は……っ……シルヴァナ……」

 カラダの悦びに震えながら、泣いてすがるシルヴァナを、レイバードはきつく抱き締める。シルヴァナは快楽と幸せに脳が犯され、触れ合う恥ずかしさなどは完全に消え去っていた。

「へ、陛下も、脱いで、肌のまま……!」

「っ、ぐ……!」

 シルヴァナの言葉に煽られ、レイバードは破り裂くようにシャツを脱ぎ捨てる。シルヴァナは息を乱してその光景を見つめ、薄い筋肉を纏ったレイバードの身体が露になった瞬間、彼の身体に肌を密着させた。レイバードも彼女を拒むはずもなく、抱き締め返す。

「は、ぁ……はぁ……」

「シ、ルヴァナ……」

 ぎゅうっ、と骨が軋むほどに抱き締め合い、シルヴァナは素肌を通して伝わる温もりと心音に心を震わせた。
 愛する人の吐息も、汗でさえも、全てが心地よく感じられて、永遠にこのままでもいい。そう思えるほどに身体が満たされていた。

 しかし、レイバードの顔は苦しいままだった。

「……シルヴァナ」

 名前を呼ばれ、シルヴァナはレイバードから僅かに顔を離す。額に汗を滲ませ、荒々しい呼吸を繰り返すその姿は、普段皇帝として振る舞う姿からは考えられず、情欲的に感じられた。

「もし、怖いのなら止めるのは今の内だ。この先は恐らく、止められなくなる」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

お義父さん、好き。

うみ
恋愛
お義父さんの子を孕みたい……。義理の父を好きになって、愛してしまった。

萎んだ花が開くとき

陽花紫
恋愛
かつては美しく、男たちの愛から逃げていたクレアはいつしか四十を過ぎていた。華々しい社交界を退き、下町に身を寄せていたところある青年と再会を果たす。 それはかつて泣いていた、小さな少年ライアンであった。ライアンはクレアに向けて「結婚してください」と伝える。しかしクレアは、その愛に向き合えずにいた。自らの身はもう、枯れてしまっているのだと。 本編は小説家になろうにも掲載中です。

執着彼氏と別れるのはいつ?

鳴宮鶉子
恋愛
執着彼氏と別れるのはいつ?

辺境伯と幼妻の秘め事

睡眠不足
恋愛
 父に虐げられていた23歳下のジュリアを守るため、形だけ娶った辺境伯のニコラス。それから5年近くが経過し、ジュリアは美しい女性に成長した。そんなある日、ニコラスはジュリアから本当の妻にしてほしいと迫られる。  途中まで書いていた話のストックが無くなったので、本来書きたかったヒロインが成長した後の話であるこちらを上げさせてもらいます。 *元の話を読まなくても全く問題ありません。 *15歳で成人となる世界です。 *異世界な上にヒーローは人外の血を引いています。 *なかなか本番にいきません

元遊び人の彼に狂わされた私の慎ましい人生計画

イセヤ レキ
恋愛
「先輩、私をダシに使わないで下さい」 「何のこと?俺は柚子ちゃんと話したかったから席を立ったんだよ?」 「‥‥あんな美人に言い寄られてるのに、勿体ない」 「こんなイイ男にアピールされてるのは、勿体なくないのか?」 「‥‥下(しも)が緩い男は、大嫌いです」 「やだなぁ、それって噂でしょ!」 「本当の話ではないとでも?」 「いや、去年まではホント♪」 「‥‥近づかないで下さい、ケダモノ」 ☆☆☆ 「気になってる程度なら、そのまま引き下がって下さい」 「じゃあ、好きだよ?」 「疑問系になる位の告白は要りません」 「好きだ!」 「疑問系じゃなくても要りません」 「どうしたら、信じてくれるの?」 「信じるも信じないもないんですけど‥‥そうですね、私の好きなところを400字詰め原稿用紙5枚に纏めて、1週間以内に提出したら信じます」 ☆☆☆ そんな二人が織り成す物語 ギャグ(一部シリアス)/女主人公/現代/日常/ハッピーエンド/オフィスラブ/社会人/オンラインゲーム/ヤンデレ

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

処理中です...