双子の鬼(月読シリーズ)

風見鶏ーKazamidoriー

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前編

鬼の所有物1

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 目覚めた時、月読は全裸でうつぶせていた。身体を動かそうとすると鈍い痛みがひろがり、呻いてからまぶたをひらく。太腿ふとももをつたう乾いた血と、生々しい愛撫あいぶあとが残されている。

全身がびついたようにギシギシと鳴り、脱力してふたたび横たわった。



 壁際かべぎわの分厚い石扉がひらき、黒い鬼がずいっと顔を出した。

「なるほどな、ろうへつながっている抜け道か。昔のとりでを使っているが知らなかった」

 目覚めた月読に気づき、赤い瞳がこちらを向く。

「おまえ、名は? 」
千隼ちはやはどこだ……? 生きているのか? 」

 獰猛どうもうな獣のごとくゆっくり側へ来た黒い鬼は、月読のあごを指で上向かせた。

「せっかちな奴だな。言うことを聞いていたら、そのうち会わせてやる……生かすも殺すもおまえ次第しだいだ」

 喉の奥でわらった鬼は、腕を伸ばして月読を引きよせる。

「俺は多娥丸たがまるだ、覚えろ」

 睨みつけても無意味だ、獲物を手に入れた鬼は楽しそうに口の端を上げて牙をのぞかせる。ベッドがギシリときしみ、多娥丸が太ももへ手をかけようとしたので月読は押し返して抵抗する。

「大人しくしないと隼英の息子が苦しむ事になるぞ」

 顔をこわばらせた月読は、きつい眼差まなざしを向けるが多娥丸は気にも留めない。

すでに怒張どちょうした凶悪な肉棒が腰巻こしまきの下から現れ、尻へあてがわれた。肉棒の先がすぼまりをこすりピリリとした痛みがはしる。

「……っ」
 昨晩の痛みを思い出して月読ののどが鳴った。極度きょくどの緊張で動けなくなり、奥の窄まりも先端をこばんでかたくまる。

その様子に多娥丸が舌打ちして、ベッドから降り部屋を出ていった。



 月読が安心して息をついたら、黒い鬼は戻ってきて再び緊迫きんぱくする。

あやしい薄紫うすむらさき色の液体を多娥丸は自身のたかぶりへ塗りたくっている。月読の足首をつかんで大きく開き、小瓶の液体を流し込めるように指で入り口を広げた。

「ううっ……はっ……やめ、ろっ」

 膝が胸につくほど折り曲げられ、恥ずかしい部分をさらされる。小瓶の口が窄まりへ当てられてトロリとした液体を流し込まれた。粘度のある冷たい液体は体温で温められて身体へ馴染なじむ。

窄まりをひらかれる痛みはにぶくなり、むず痒さが生まれ内側が熱くなった。神経が敏感になって乳首は痛いほどとがり、陰茎がちあがる。

黒い鬼は敏感びんかんになった両胸の尖りを爪の先ではじいた。

「あぁっ! くっ……やめっ」

 多娥丸の指が月読の陰茎へ触れてみつをしたたらせる先端をなぶった。尖った鬼の爪が尿道へ入り、動かされると痛みではない感覚が湧きあがってくる。

尖った爪の先は尿道からあふれる蜜に絡み、クチクチと卑猥ひわいな音がした。

「……ううっ……はっ……あうっ」

 鬼の爪で傷つけられるかもしれない恐怖で強張こわばり、与えられる快感にはふるえてのけぞった。もう一方の手が双丘の奥へ侵入して、内側で液体を塗りながらもてあそぶ。



 指が引きぬかれ質量のある物が押し込まれた。肉の凶器が入った刹那せつな、昨晩の蛮行ばんこうを覚えている窄まりが痛みにおののく。迫りくる鬼のたくましい腹を押し止めるが、あやしい液体のせいで力が入らず肉棒はズブリと侵入した。

つうっ……、ぁぐっ……ああっ!? 」

 昨晩と大差なく強引に腰を動かされて痛みがはしる。だがあやしい液体のせいで内側がしびれたようになり、甘くみだらな感覚が生まれる。

しされるたびヌチュヌチュと音がひびき、甘い快楽に支配されまいと月読は必死に歯を食いしばって抵抗した。容赦のない腰の動きは内奥を突き上げ、肉棒にまとう媚薬をさらに奥へとひろげる。

「――――っ……ぁっ……っっ! ふぁっっ」
 出そうになる嬌声きょうせいをシーツに噛みついておさえた。

 心とは裏腹うらはらに淫らにうずく身体、内壁は蠕動ぜんどうして抜き挿しをくりかえす肉棒へからみつく。上へのがれようと敷布を引っぱったが、多娥丸に足をつかまれ引き戻された。

筋肉の発達した太い腕に押さえこまれ、たける肉棒で深くつらぬかれる。

「――――ああっ……っ!! 」

 月読のちあがった欲望は、突き上げられる動きにれながら白い蜜を散らせ下腹部をらす。

口の端から牙を見せて笑った多娥丸は腰を激しく動かし、最奥を突いてけつく精を吐きだした。黒い鬼をくわえていた尻は硬直した後、ゆっくりと弛緩しかんした。

あやしい液体でとろけた身体は強制的にたっしてしまった。容姿だけでなく、立ちのぼる汗の匂いまで隼英と似ている男に眩暈めまいがする。



 行為は終わらず多娥丸はふたたび腰を動かし始める。媚薬びやくで淫らになった身体は、タガが外れたように 見境みさかいなく受け入れる。

「ああっ!! や、うああっ――――はうっ!! 」

 腹ばいの姿勢で突き上げられ何度目かの精を受けとめる。背中が弓なりに痙攣けいれんして鬼の凶器をめつけた。

「これでお前は俺のものだ」

 耳元で多娥丸のささやく声が聞こえた。

多娥丸はちた月読を腕に抱いてくことなく犯す、媚薬のせいで身体は継続的に反応した。望まないまじわりなのに快楽に屈した月読は、うすれゆく意識のなか奥歯を噛みしめた。
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