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39、偽装悪女は相棒と最後の晩餐を楽しむ
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こちらを見て、フェリクスは射貫かれたように目を見開き、言葉を失っていた。
借りてきた猫のように固まり、真っ赤に染まった彼の耳を視界の端に収めながら、シンシアはそっと、慈しむように瞼を閉じた。
(……満たされる。疼いていた左手が、嘘のように大人しくなった……)
至近距離にフェリクスがいるというのに、昼間に感じた獰猛な衝動が、今は凪のように静まっている。
大人しくなった理由はおそらく、悪食が幸せな記憶に包まれ、安らいだからだろう。
十歳で母を亡くしてから、グスタフには便利なゴミ箱扱いされて、アースラとコーデリアには訓練と称して食事に異物を混入されてきた。
シンシアは生きるために、悪食に命じるしかなかった。その身体に悪い、まずい異物を全て喰らい尽くせと。
フェリクスの魔力は、母とお菓子で悪食の制御訓練をした、幸せだったあの頃を彷彿とさせる。
それは辛い期間が忘れさせた至福の味と記憶。だからこそ悪食にとって、奇跡のような救いだったに違いない。
おそらく悪食がフェリクスの魔力に強い執着を示すのは、もう二度と失いたくないからなのだろう。あの幸せな記憶と味を。だから定期的に摂取しないと、不安に駆られる。
その衝動が、強くでてしまった。そう考えると、今日起こった異変の理由に説明がついた。
(……ごめんなさいね。明日、私はまた命じなければならない。一緒に深淵に落ちて――この世で一番まずいものを、喰らい尽くせと)
ペルカ村を救うには、汚染された大地に潜む闇の残滓を全て吸い取らなければならない。
それにおそらく、グスタフがただそれを見ているわけがない。きっと何か罠をしかけているはずだ。
その全てを喰らえという残酷な命令は、悪食にかつてないほど苦痛の記憶と、絶望的な味を強いることになるだろう。
それでも明日、シンシアは命じなければならない。
全てを終わらせるために、一緒に地獄に落ちろ――と。
(だからせめて、今夜だけ。最後の夜くらいは、この子に……幸せな夢を見せ続けてあげたい)
そのためにはフェリクスを騙し、その善意を利用して、最高のデザートを盗み出す必要がある。
それはシンシアにとって、苦楽を共にした相棒に対する、せめてもの償いだった。
(たとえ嫌われたとしても、私は最後まで――悪女を演じるわ)
シンシアは覚悟を決め、閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げる。
すぐ隣には、まだ夢から醒めないような熱い眼差しで、フェリクスがこちらを見つめていた。
シンシアは震える唇の端をぐっと引き上げ、彼を真っ直ぐに見据えて口を開く。
「旦那様。一つ、お願いがあります」
「……お願い?」
シンシアは、戸惑うフェリクスの逞しい腕を、逃がさないように自らの両手でぎゅっと掴んだ。
震える指先を悟られないよう、あえて力を込めて握り、上目遣いで訴える。
「一晩、この手をわたくしに貸してください」
「……手を、一晩⁉ それはつまり……」
「あちらで一緒に休みましょう。――同じ寝台で」
シンシアの言葉に、フェリクスは弾かれたようにソファから立ち上がった。
あまりに急な動きに、握っていた彼の腕は、シンシアの指先を掠めるようにして離れてしまう。
「い、いや……っ!」
フェリクスは端正な顔を真っ赤に染め、逃げ出すかのように二、三歩後退りした。
まるで猛獣にでも追い詰められたかのように、彼は必死に自分とシンシアとの間に、安全な距離を作ろうとしている。
「俺は、ここで。この、ソファでいい。ベッドは、君が使ってくれ」
「でもそれだと、悪食の制御訓練になりませんわ。実は今日一日、この子が貴方の魔力をずっと欲してましたの」
「俺の、魔力を……?」
「貴方の魔力が美味しすぎるせいですわ。いつ本能に負けて貴方を襲ってしまうか、気が気ではありませんでしたの」
シンシアは艶っぽいため息を漏らすと、ソファに座ったまま、狼狽えるフェリクスをそっと見上げる。
「だから管理者の義務として、お付き合いいただけますよね?」
それは、もはや懇願ではなく命令だった。
傲慢な悪女を演じながら、シンシアは心の中で相棒に語りかける。
(……大丈夫よ。きっとこの人は、私たちを拒めないわ)
するとシンシアの声に応えるように、刻印が静かに脈打つのを感じた。
幸い、今は悪食の衝動も安定している。
フェリクスの魔力を吸いすぎて傷つける心配がないと確信しているからこそ、シンシアは強気に振る舞えた。
それは冷酷な悪女に相応しい、計算ずくの我が儘だ。
「…………っ」
フェリクスは、喉を鳴らして生唾を飲み込んだ。
管理者の義務――その言葉は、フェリクスにとって何よりも重い役割だ。
「……わかった。君が、その……満足いくまで、付き合おう」
観念したように、フェリクスが声を絞り出した。
シンシアの唇が、緩やかに弧を描く。
決して演技と悟られないように、シンシアはゆっくりと、【暴食】の刻印が刻まれた左手を差し出した。
しかし、フェリクスの手が自身の指先を包んだ瞬間、あまりの衝撃にシンシアの思考が停止する。
(……っ⁉ あ、熱い……⁉)
生身の男性の、温かな体温と硬い手のひらの質感。
いつものように布越しではない、直に伝わる純粋な魔力の奔流に刻印が喜び、熱く疼き始めた。
そこでようやく、シンシアは戦慄しながら思い出した。
(そういえばこの人、手袋してなかったわ!)
想定外の事態に、悪食が歓喜に震えているのがわかった。
(待ちなさい! 吸いすぎてはだめよ、悪食)
パニックで、シンシアの身体が石のように硬直する。
「……シンシア? どうした、大丈夫か?」
その異変はすぐにフェリクスにも伝わり、彼は心配そうに顔を覗き込んでくる。すると、風呂上がりの清潔な石鹸の香りが鼻先を掠めた。
「……っ、……ぁ……」
シンシアから、声にならない吐息が漏れる。
心臓の音が、まるで鐘が鳴るように耳元でうるさく響く感覚がした。
「……無理をするな、一旦中止だ!」
そう言ってフェリクスは、ソファに座るシンシアの身体を、軽々と掬い上げた。
硬いフェリクスの手が、シンシアの背中と膝裏をしっかりと支えている。
突然感じた浮遊感。そしてより近くで感じる彼の香りと体温が、シンシアのパニックを加速させた。
(……中止⁉ 待って……、もう……時間がないの!)
丁寧にベッドに降ろされて、ソファに戻ろうとするフェリクスに、シンシアは鋭い声を浴びせた。
「……酷いですわ、旦那様! こんなの、ヘビの生殺しと一緒です!」
「だ、だが……苦しそうだったではないか……」
「ここで中途半端に訓練を終えては、この子の飢えは、貴方の命さえ吸い尽くしてしまうかもしれませんわ。死にたくなければ、協力なさい」
それは悲鳴にも近い、シンシアの叫びだった。
「…………わかった。だが、決して無理はするなよ」
長い沈黙のあと。
フェリクスは短く吐息を漏らすと、喉の奥で何かを噛み潰したような、掠れた声で応じた。
ギィ、と寝台のバネが軋み、隣に巨大な質量が横たわった。
マットレスが大きく沈み込み、その衝撃がシンシアの身体にまで伝わってくる。
フェリクスの身体は、隣にいても分かるほど岩のように硬く強張っていた。
灯りの消えた室内。月光がカーテンの隙間から差し込み、二人の境界線を淡く照らす。
布団の中で、フェリクスの手が探るようにしてシンシアの左手に触れた。
その瞬間、ビクリと彼の手が跳ねたのを、シンシアは見逃さなかった。
けれど、フェリクスは逃げなかった。
少しだけ力を込めて、彼はシンシアの刻印ごと、その手をぎゅっと握り締めたのだ。
「……これで、いいか?」
「……ええ。そのまま、お休みください」
シンシアは暗闇の中、フェリクスの手の温もりを感じながら、内なる相棒に囁きかける。
(……静かになさい、悪食。貪りすぎてはだめよ。一瞬の快楽に身を任せれば、この幸せはすぐに壊れてしまうわ)
繋いだ素肌から流れ込む、芳醇で温かな魔力の奔流。
それを飢えた獣のように奪おうとする相棒に、シンシアは理性の首輪で優しく諭し、楽しみを教えるように抑え込んだ。
(だからゆっくりと、大事に味わいなさい)
それは、自分自身の心に言い聞かせる言葉でもあった。
シンシアにとってフェリクスは、母以外で初めて、安らぎと幸せを与えてくれた存在だった。
ドク、ドクと、手のひらから伝わってくる命の鼓動。
その清らかなリズムを壊さないように。フェリクスという「光」を汚さないように――掠め取った魔力を享受する。
(――大丈夫よ。夜が明けるまでは、この人は私たちだけのものだから)
シンシアが心の内でそう語りかけると、昂ぶっていた刻印の疼きが、嘘のように静かな、甘美な痺れへと変わっていった。
初めて知る、慈しむような魔力の摂取。
それは明日、苦難を共にする相棒に贈る――この世で最も贅沢な、最後のご馳走だった。
悪女を演じて手に入れた、背徳的で幸福なひととき。
シンシアは相棒と共にその晩餐を余すことなく楽しみ、明日訪れる地獄への恐怖を、至福の充足感で塗りつぶしていった。
借りてきた猫のように固まり、真っ赤に染まった彼の耳を視界の端に収めながら、シンシアはそっと、慈しむように瞼を閉じた。
(……満たされる。疼いていた左手が、嘘のように大人しくなった……)
至近距離にフェリクスがいるというのに、昼間に感じた獰猛な衝動が、今は凪のように静まっている。
大人しくなった理由はおそらく、悪食が幸せな記憶に包まれ、安らいだからだろう。
十歳で母を亡くしてから、グスタフには便利なゴミ箱扱いされて、アースラとコーデリアには訓練と称して食事に異物を混入されてきた。
シンシアは生きるために、悪食に命じるしかなかった。その身体に悪い、まずい異物を全て喰らい尽くせと。
フェリクスの魔力は、母とお菓子で悪食の制御訓練をした、幸せだったあの頃を彷彿とさせる。
それは辛い期間が忘れさせた至福の味と記憶。だからこそ悪食にとって、奇跡のような救いだったに違いない。
おそらく悪食がフェリクスの魔力に強い執着を示すのは、もう二度と失いたくないからなのだろう。あの幸せな記憶と味を。だから定期的に摂取しないと、不安に駆られる。
その衝動が、強くでてしまった。そう考えると、今日起こった異変の理由に説明がついた。
(……ごめんなさいね。明日、私はまた命じなければならない。一緒に深淵に落ちて――この世で一番まずいものを、喰らい尽くせと)
ペルカ村を救うには、汚染された大地に潜む闇の残滓を全て吸い取らなければならない。
それにおそらく、グスタフがただそれを見ているわけがない。きっと何か罠をしかけているはずだ。
その全てを喰らえという残酷な命令は、悪食にかつてないほど苦痛の記憶と、絶望的な味を強いることになるだろう。
それでも明日、シンシアは命じなければならない。
全てを終わらせるために、一緒に地獄に落ちろ――と。
(だからせめて、今夜だけ。最後の夜くらいは、この子に……幸せな夢を見せ続けてあげたい)
そのためにはフェリクスを騙し、その善意を利用して、最高のデザートを盗み出す必要がある。
それはシンシアにとって、苦楽を共にした相棒に対する、せめてもの償いだった。
(たとえ嫌われたとしても、私は最後まで――悪女を演じるわ)
シンシアは覚悟を決め、閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げる。
すぐ隣には、まだ夢から醒めないような熱い眼差しで、フェリクスがこちらを見つめていた。
シンシアは震える唇の端をぐっと引き上げ、彼を真っ直ぐに見据えて口を開く。
「旦那様。一つ、お願いがあります」
「……お願い?」
シンシアは、戸惑うフェリクスの逞しい腕を、逃がさないように自らの両手でぎゅっと掴んだ。
震える指先を悟られないよう、あえて力を込めて握り、上目遣いで訴える。
「一晩、この手をわたくしに貸してください」
「……手を、一晩⁉ それはつまり……」
「あちらで一緒に休みましょう。――同じ寝台で」
シンシアの言葉に、フェリクスは弾かれたようにソファから立ち上がった。
あまりに急な動きに、握っていた彼の腕は、シンシアの指先を掠めるようにして離れてしまう。
「い、いや……っ!」
フェリクスは端正な顔を真っ赤に染め、逃げ出すかのように二、三歩後退りした。
まるで猛獣にでも追い詰められたかのように、彼は必死に自分とシンシアとの間に、安全な距離を作ろうとしている。
「俺は、ここで。この、ソファでいい。ベッドは、君が使ってくれ」
「でもそれだと、悪食の制御訓練になりませんわ。実は今日一日、この子が貴方の魔力をずっと欲してましたの」
「俺の、魔力を……?」
「貴方の魔力が美味しすぎるせいですわ。いつ本能に負けて貴方を襲ってしまうか、気が気ではありませんでしたの」
シンシアは艶っぽいため息を漏らすと、ソファに座ったまま、狼狽えるフェリクスをそっと見上げる。
「だから管理者の義務として、お付き合いいただけますよね?」
それは、もはや懇願ではなく命令だった。
傲慢な悪女を演じながら、シンシアは心の中で相棒に語りかける。
(……大丈夫よ。きっとこの人は、私たちを拒めないわ)
するとシンシアの声に応えるように、刻印が静かに脈打つのを感じた。
幸い、今は悪食の衝動も安定している。
フェリクスの魔力を吸いすぎて傷つける心配がないと確信しているからこそ、シンシアは強気に振る舞えた。
それは冷酷な悪女に相応しい、計算ずくの我が儘だ。
「…………っ」
フェリクスは、喉を鳴らして生唾を飲み込んだ。
管理者の義務――その言葉は、フェリクスにとって何よりも重い役割だ。
「……わかった。君が、その……満足いくまで、付き合おう」
観念したように、フェリクスが声を絞り出した。
シンシアの唇が、緩やかに弧を描く。
決して演技と悟られないように、シンシアはゆっくりと、【暴食】の刻印が刻まれた左手を差し出した。
しかし、フェリクスの手が自身の指先を包んだ瞬間、あまりの衝撃にシンシアの思考が停止する。
(……っ⁉ あ、熱い……⁉)
生身の男性の、温かな体温と硬い手のひらの質感。
いつものように布越しではない、直に伝わる純粋な魔力の奔流に刻印が喜び、熱く疼き始めた。
そこでようやく、シンシアは戦慄しながら思い出した。
(そういえばこの人、手袋してなかったわ!)
想定外の事態に、悪食が歓喜に震えているのがわかった。
(待ちなさい! 吸いすぎてはだめよ、悪食)
パニックで、シンシアの身体が石のように硬直する。
「……シンシア? どうした、大丈夫か?」
その異変はすぐにフェリクスにも伝わり、彼は心配そうに顔を覗き込んでくる。すると、風呂上がりの清潔な石鹸の香りが鼻先を掠めた。
「……っ、……ぁ……」
シンシアから、声にならない吐息が漏れる。
心臓の音が、まるで鐘が鳴るように耳元でうるさく響く感覚がした。
「……無理をするな、一旦中止だ!」
そう言ってフェリクスは、ソファに座るシンシアの身体を、軽々と掬い上げた。
硬いフェリクスの手が、シンシアの背中と膝裏をしっかりと支えている。
突然感じた浮遊感。そしてより近くで感じる彼の香りと体温が、シンシアのパニックを加速させた。
(……中止⁉ 待って……、もう……時間がないの!)
丁寧にベッドに降ろされて、ソファに戻ろうとするフェリクスに、シンシアは鋭い声を浴びせた。
「……酷いですわ、旦那様! こんなの、ヘビの生殺しと一緒です!」
「だ、だが……苦しそうだったではないか……」
「ここで中途半端に訓練を終えては、この子の飢えは、貴方の命さえ吸い尽くしてしまうかもしれませんわ。死にたくなければ、協力なさい」
それは悲鳴にも近い、シンシアの叫びだった。
「…………わかった。だが、決して無理はするなよ」
長い沈黙のあと。
フェリクスは短く吐息を漏らすと、喉の奥で何かを噛み潰したような、掠れた声で応じた。
ギィ、と寝台のバネが軋み、隣に巨大な質量が横たわった。
マットレスが大きく沈み込み、その衝撃がシンシアの身体にまで伝わってくる。
フェリクスの身体は、隣にいても分かるほど岩のように硬く強張っていた。
灯りの消えた室内。月光がカーテンの隙間から差し込み、二人の境界線を淡く照らす。
布団の中で、フェリクスの手が探るようにしてシンシアの左手に触れた。
その瞬間、ビクリと彼の手が跳ねたのを、シンシアは見逃さなかった。
けれど、フェリクスは逃げなかった。
少しだけ力を込めて、彼はシンシアの刻印ごと、その手をぎゅっと握り締めたのだ。
「……これで、いいか?」
「……ええ。そのまま、お休みください」
シンシアは暗闇の中、フェリクスの手の温もりを感じながら、内なる相棒に囁きかける。
(……静かになさい、悪食。貪りすぎてはだめよ。一瞬の快楽に身を任せれば、この幸せはすぐに壊れてしまうわ)
繋いだ素肌から流れ込む、芳醇で温かな魔力の奔流。
それを飢えた獣のように奪おうとする相棒に、シンシアは理性の首輪で優しく諭し、楽しみを教えるように抑え込んだ。
(だからゆっくりと、大事に味わいなさい)
それは、自分自身の心に言い聞かせる言葉でもあった。
シンシアにとってフェリクスは、母以外で初めて、安らぎと幸せを与えてくれた存在だった。
ドク、ドクと、手のひらから伝わってくる命の鼓動。
その清らかなリズムを壊さないように。フェリクスという「光」を汚さないように――掠め取った魔力を享受する。
(――大丈夫よ。夜が明けるまでは、この人は私たちだけのものだから)
シンシアが心の内でそう語りかけると、昂ぶっていた刻印の疼きが、嘘のように静かな、甘美な痺れへと変わっていった。
初めて知る、慈しむような魔力の摂取。
それは明日、苦難を共にする相棒に贈る――この世で最も贅沢な、最後のご馳走だった。
悪女を演じて手に入れた、背徳的で幸福なひととき。
シンシアは相棒と共にその晩餐を余すことなく楽しみ、明日訪れる地獄への恐怖を、至福の充足感で塗りつぶしていった。
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