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第一章 高校二年生編
第14話 春風双葉は気付かれたい!
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「先輩! おはようございます!」
日曜日の午前九時五十分。
待ち合わせをしている駅前の広場で携帯をいじっていると、約束よりも十分前の時間に双葉は姿を現した。
「おはよう。早いな」
「それを言うなら先輩が早すぎるんだと思いますけど。いつから待ってたんですか?」
「んー……五分くらい前かな?」
本当は三十分は前に到着していたが、それは黙っておこう。
双葉は妙に勘が鋭く、「そうなんですかー?」と疑いの眼差しを向けてくるがこれ以上突っ込んでくることはなかった。
「とりあえず、行きましょうか!」
朝から元気な双葉の後ろ姿を見つめながら、俺は「はいはい」とその後についていった。
双葉は後輩という贔屓目なしにしても可愛い。
今更双葉に対して緊張したりするわけではないが、人目を引く双葉の隣を歩くというのは慣れない。
容姿はもちろん、女子高校生らしいファッションも魅力的だ。
庇護欲をそそる大きめの白のパーカーに、下はデニムのショートパンツだ。
部活で鍛えられた足は黒のタイツで隠されているが、それでも細く綺麗だとわかる。
それに動きやすそうなスニーカーを合わせており、双葉らしい活発でありながらも可愛らしい服装だった。
俺は白シャツの上にクリーム色のカーディガンを羽織り、下は黒のチノパン。
服に興味があるわけではないがオシャレをしたい年頃でもあるため、マネキンが着ているのをそのまま買った『ザ・無難』という感じだ。
「せんぱーい、どうしたんですか?」
先を歩く双葉が肩にかかった栗色の髪の毛を翻しながら振り返る。
「いや、何も」
「先輩がエスコートしてくれないと、どう回るのか私わからないんですよー?」
勝手に先へ先へと進んで行く癖に文句を言う双葉に、「はいはい」と言いながら合わせる。
今更見た目のことを気にしても仕方ない。
そもそもの話、双葉に限らず周りの女子はレベルが高い気がする。
花音はもちろん、若葉や美咲先輩もそうだ。逆にレベルが高いからこそ仲の良い女子がいても恋愛に発展しないのかもしれない。
「まずはどこに行くんですか?」
隣を歩く双葉は下から顔を覗かせる。
小柄な彼女は必然的に上目遣いとなり、男としてはグッとくる立ち位置だ。
「とりあえずは本屋だな」
「本屋ですか?」
「そうだ。時間潰しの目的もあるけど、部活の後のケアとかの参考になる本あるかなって」
「……なるほどです!」
技術的な面の本もあったりするが、大体初心者向けだ。
そもそも今更必要がないし、そういう指導は先生がしてくれるだろう。
しかし体のケアというのはわかっていても疎かにしがちだ。
双葉の話を聞いている限りでは、あまり入念にしている様子がなかった。
時間潰し半分、怪我防止の意味半分で、ちょうど良いのが本屋だと考えた。
駅前には大きなショッピングセンターがあり、そこには服屋や雑貨屋などが入っている。
そこに一番の目的である映画館もあった。
そして本屋もそのショッピングセンターの中にあるが、そこには向かわない。
ショッピングセンターの中の本屋となればあまり数は多くない。
それでも一つのフロアの半分を占めているため十分な大きさはあるが、駅前にはもう一つ大きい本屋がある。
俺たちはそこに入るとしばらくの間、色々と見て回っていた。
「私、本屋ってあんまり来ないんですよねー」
そう言いながら双葉はパラパラと本をめくる。
「ほら、なんか賢い人が来るイメージがあるので、たまーにマンガ買いに来るくらいです」
「そんなことないと思うけど。俺もよく来るし」
ほとんどが虎徹のついでだが、たまに一人で来ることもある。
そして俺は、双葉の言う『賢い人』の部類ではない自覚がある。
「てか、その言い方自分のことをバカって言っているようなもんだぞ」
「私バカですもーん」
バスケの戦略は天才的だが、勉強はてんでダメだ。
スポーツコースだから大目に見てもらっているが、学力は一年生時点での俺以下だ。
「先輩ってこういうの好きなんですよね?」
そう言って双葉が見せてきたのは、体のケアがわかりやすいマンガ形式となっている一冊だった。
その表紙には可愛い女の子が描かれている。
「うーん……、嫌いじゃないけど別にめちゃくちゃ好きってわけじゃないよ。普通くらいに好き」
確かに可愛い女の子のマンガは好きだ。
俺も男だから。
ただ、どちらかと言えば話が面白いからと読んでいる作品が多い。
双葉は「なーんだ」と言いながらその本を棚に戻した。
「まあ、先輩は私が好きなんですもんね」
「いや、別に?」
好きか嫌いかで言われれば好きだが、それはラブではなくライクだ。
即答で否定すると、双葉は悔しそうにしている。
「私は先輩のこと好きですよ?」
「はいはい、ありがとよー」
適当に流すと悔しそうな表情が返ってくる。
「俺は良いけど、そんなことばっかり言ってると勘違いされるぞ」
先輩として慕ってくれてくれているのがわかっているため、いちいちその言葉を間に受けない。
スキンシップも多く、兄妹のようにも思える。
「そろそろ移動しようか」
雑談が多くなってしまったが、それまでに色々と見ていたため、すでに時刻は十一時を回っていた。
予定よりは少し遅めだが、早めの予定を組んでいるためちょうど良い時間でもあった。
俺が少し前を歩き、双葉がそれに着いてくる。その僅かな距離と周りの喧騒によって、双葉の小さな呟きを俺は聞き逃していた。
「……勘違いしてくださいよ」
日曜日の午前九時五十分。
待ち合わせをしている駅前の広場で携帯をいじっていると、約束よりも十分前の時間に双葉は姿を現した。
「おはよう。早いな」
「それを言うなら先輩が早すぎるんだと思いますけど。いつから待ってたんですか?」
「んー……五分くらい前かな?」
本当は三十分は前に到着していたが、それは黙っておこう。
双葉は妙に勘が鋭く、「そうなんですかー?」と疑いの眼差しを向けてくるがこれ以上突っ込んでくることはなかった。
「とりあえず、行きましょうか!」
朝から元気な双葉の後ろ姿を見つめながら、俺は「はいはい」とその後についていった。
双葉は後輩という贔屓目なしにしても可愛い。
今更双葉に対して緊張したりするわけではないが、人目を引く双葉の隣を歩くというのは慣れない。
容姿はもちろん、女子高校生らしいファッションも魅力的だ。
庇護欲をそそる大きめの白のパーカーに、下はデニムのショートパンツだ。
部活で鍛えられた足は黒のタイツで隠されているが、それでも細く綺麗だとわかる。
それに動きやすそうなスニーカーを合わせており、双葉らしい活発でありながらも可愛らしい服装だった。
俺は白シャツの上にクリーム色のカーディガンを羽織り、下は黒のチノパン。
服に興味があるわけではないがオシャレをしたい年頃でもあるため、マネキンが着ているのをそのまま買った『ザ・無難』という感じだ。
「せんぱーい、どうしたんですか?」
先を歩く双葉が肩にかかった栗色の髪の毛を翻しながら振り返る。
「いや、何も」
「先輩がエスコートしてくれないと、どう回るのか私わからないんですよー?」
勝手に先へ先へと進んで行く癖に文句を言う双葉に、「はいはい」と言いながら合わせる。
今更見た目のことを気にしても仕方ない。
そもそもの話、双葉に限らず周りの女子はレベルが高い気がする。
花音はもちろん、若葉や美咲先輩もそうだ。逆にレベルが高いからこそ仲の良い女子がいても恋愛に発展しないのかもしれない。
「まずはどこに行くんですか?」
隣を歩く双葉は下から顔を覗かせる。
小柄な彼女は必然的に上目遣いとなり、男としてはグッとくる立ち位置だ。
「とりあえずは本屋だな」
「本屋ですか?」
「そうだ。時間潰しの目的もあるけど、部活の後のケアとかの参考になる本あるかなって」
「……なるほどです!」
技術的な面の本もあったりするが、大体初心者向けだ。
そもそも今更必要がないし、そういう指導は先生がしてくれるだろう。
しかし体のケアというのはわかっていても疎かにしがちだ。
双葉の話を聞いている限りでは、あまり入念にしている様子がなかった。
時間潰し半分、怪我防止の意味半分で、ちょうど良いのが本屋だと考えた。
駅前には大きなショッピングセンターがあり、そこには服屋や雑貨屋などが入っている。
そこに一番の目的である映画館もあった。
そして本屋もそのショッピングセンターの中にあるが、そこには向かわない。
ショッピングセンターの中の本屋となればあまり数は多くない。
それでも一つのフロアの半分を占めているため十分な大きさはあるが、駅前にはもう一つ大きい本屋がある。
俺たちはそこに入るとしばらくの間、色々と見て回っていた。
「私、本屋ってあんまり来ないんですよねー」
そう言いながら双葉はパラパラと本をめくる。
「ほら、なんか賢い人が来るイメージがあるので、たまーにマンガ買いに来るくらいです」
「そんなことないと思うけど。俺もよく来るし」
ほとんどが虎徹のついでだが、たまに一人で来ることもある。
そして俺は、双葉の言う『賢い人』の部類ではない自覚がある。
「てか、その言い方自分のことをバカって言っているようなもんだぞ」
「私バカですもーん」
バスケの戦略は天才的だが、勉強はてんでダメだ。
スポーツコースだから大目に見てもらっているが、学力は一年生時点での俺以下だ。
「先輩ってこういうの好きなんですよね?」
そう言って双葉が見せてきたのは、体のケアがわかりやすいマンガ形式となっている一冊だった。
その表紙には可愛い女の子が描かれている。
「うーん……、嫌いじゃないけど別にめちゃくちゃ好きってわけじゃないよ。普通くらいに好き」
確かに可愛い女の子のマンガは好きだ。
俺も男だから。
ただ、どちらかと言えば話が面白いからと読んでいる作品が多い。
双葉は「なーんだ」と言いながらその本を棚に戻した。
「まあ、先輩は私が好きなんですもんね」
「いや、別に?」
好きか嫌いかで言われれば好きだが、それはラブではなくライクだ。
即答で否定すると、双葉は悔しそうにしている。
「私は先輩のこと好きですよ?」
「はいはい、ありがとよー」
適当に流すと悔しそうな表情が返ってくる。
「俺は良いけど、そんなことばっかり言ってると勘違いされるぞ」
先輩として慕ってくれてくれているのがわかっているため、いちいちその言葉を間に受けない。
スキンシップも多く、兄妹のようにも思える。
「そろそろ移動しようか」
雑談が多くなってしまったが、それまでに色々と見ていたため、すでに時刻は十一時を回っていた。
予定よりは少し遅めだが、早めの予定を組んでいるためちょうど良い時間でもあった。
俺が少し前を歩き、双葉がそれに着いてくる。その僅かな距離と周りの喧騒によって、双葉の小さな呟きを俺は聞き逃していた。
「……勘違いしてくださいよ」
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